この章では、Oracle Service Bus管理コンソールのチェンジ・センターを使用する手順について説明します。手順には、セッションのアクティブ化、構成変更の表示、構成タスクの取消しおよび競合の解決が含まれます。
チェンジ・センターは、Oracle Service Busでサービスおよびメタデータが構成されている場合にチームのコラボレーションを可能にします。各ユーザーは、作業中の構成をバスのコア構成にチェック・インする準備が整うまで、サンドボックス「セッション」で作業します。複数のユーザーが構成を操作するため、チェンジ・センターでは複数の取消しレベルと競合の可視性が提供されます。
大部分のチェンジ・センターのページでは、セッション内で作業を行う場合(チェンジ・センターで「編集」をクリックした場合など)と、そうでない場合とで異なる情報が表示されます。たとえば、チェンジ・センターで「変更の表示」をクリックすると表示される「構成の変更の表示」ページには、そのセッションで加えられたすべての変更が一覧表示されます。セッション外の場合は、アクティブ化されたすべてのセッションが一覧表示されます。
表3-1にチェンジ・センターのタスクおよび関連するセッション情報を示します。
表3-1 チェンジ・センターのタスクおよびセッション情報
タスク | セッション情報 |
---|---|
競合の表示 |
セッション内のみ: このリンクはセッションで発生した競合の回数を表示します。Oracle Service Bus管理コンソールの現在のセッションとその他すべてのセッションで行われた変更の間で発生した競合をすべて表示および解決します。別のセッションですでに変更およびアクティブ化されたリソースを現在のセッションで変更すると、競合が発生します。2つのセッションによって同一リソースに対して2つの変更が行われた場合は、どちらか一方のセッションがアクティブになるまで競合は発生しません。 このページには、セッション内のリソースに関するセマンティクス・エラーも表示されます。 |
変更の表示 |
セッション内: 現在のセッションで行われた構成の変更内容を表示します。 セッション外: 現在までにセッションのアクティブ化によって発生した構成の変更内容を表示します。 |
変更の取消し |
セッション内: 現在のセッションで行われた構成の変更を取り消します。 セッション外: セッションのアクティブ化を取り消します。 |
すべてのセッションを表示 |
セッション内、セッション外: Oracle Service Bus管理コンソール内に存在するセッションをすべて表示します。 |
セッションのアクティブ化 |
セッション内のみ: セッションをアクティブ化します。 |
タスクの詳細の表示 |
セッション内: 現在のセッションで行われた特定の変更内容の詳細を表示します。 セッション外: 前のセッションのアクティブ化によって行われた特定の変更内容の詳細を表示します。 |
「チェンジ・センター」モジュールは、Oracle Service Bus管理コンソールを使用して構成を変更する場合の開始点になります。管理コンソールを使用して構成を変更するには、「チェンジ・センター」を使用してセッションを開始する必要があります。
「編集」または「作成」をクリックして、セッションを開始します。「チェンジ・センター」にセッションの名前が表示されます。
管理コンソールの関連するページで適切な変更を行います。
変更を行った各ページで「保存」をクリックします。現在のセッションでそれまでに行ったすべての変更内容が保存されます。
セッション中の任意の時点で「チェンジ・センター」で「破棄」をクリックすると、現在のセッションでそれまでに行った変更内容が破棄されます。
変更を行ったら、「チェンジ・センター」の「アクティブ化」をクリックします。3.2項「セッションのアクティブ化」を続行します。
セッションをアクティブ化するには:
チェンジ・センターで「アクティブ化」をクリックします。「セッションのアクティブ化」ページが表示され、セッション名、ユーザー名、および説明のフィールドが示されます。
セッションの作成と破棄は、システムの他のアクティビティとは関係なく実行されます。ただし、別のセッションのアクティブ化が処理中である場合、「セッションのアクティブ化」ページに、WebLogic Serverの変更を保留しているユーザーを示すエラーが表示されます。セッションで行った変更とアクティブ化されている他のセッションとの間の競合を解決する方法の詳細は、3.9項「競合の表示と解決」を参照してください。
検証エラーが発生した場合は、セッションに検証エラーがあることを示すエラー・メッセージが表示されます。手順を進める前に、構成の競合を表示し、修正します。競合の修正の詳細は、3.9項「競合の表示と解決」を参照してください。
すべての競合を表示するまで、セッションをアクティブ化できません。既存の競合を表示している間に新しい競合が生じた場合は、アクティブ化する前に、新しい競合を知らせるメッセージがポップアップします。
「説明」フィールドに説明を入力します。この説明は、セッションのアクティブ化によって発生した構成の変更内容を表示するために「チェンジ・センター」で「変更の表示」をクリックした場合に、「説明」列に表示されます。
「発行」をクリックして、セッションをアクティブ化します。待ち時間に新しい衝突が発生しなければ、セッションが終了し、構成がランタイムにデプロイされます。
注意: 別のサーバー(作業しているサーバー以外の単一のサーバー、またはクラスタ内の管理対象サーバー)上のJMSエンドポイントのURIを使用してセッションをアクティブ化する場合は、宛先サーバーが使用可能であることを確認してください。 Oracle Service Busでは、JMSエンドポイントのURLが指定する宛先が到達不能な場合、プロキシ・サービスをJMSトランスポートに登録できません。つまり、JMSサービスの場合、Oracle Service Busは指定された接続ファクトリが存在するかどうかを確認し、存在しない場合はセッションのアクティブ化エラーが発生します。 |
「チェンジ・センター」の下にある「終了」をクリックすると、任意の時点でセッションを終了できます。ただし、セッションが破棄されるわけではありません。
「チェンジ・センター」の下にある「編集」をクリックすると、セッションに戻って変更を継続できます。これは、「ログアウト」をクリックして管理コンソールからログアウトする場合やブラウザを終了する場合にも当てはまります。セッション、およびセッションで行ったすべての変更は、管理コンソールからログアウトした場合やサーバーを再起動した場合でもそのまま残ります。
セッションを終了できるのは、セッションがアクティブにされている場合のみです。3.2項「セッションのアクティブ化」を参照してください。
このページには、セッション内で作業を行う場合(チェンジ・センターで「編集」をクリックした場合)と、そうでない場合とで異なる情報が表示されます。
セッション内の場合は、現在のセッションで行われた構成の変更内容が「構成の変更の表示」ページに表示されます。この項の「セッション内で行われた構成の変更内容を表示するには」を参照してください。
セッション外の場合は、これより前に行われたセッションのアクティブ化による構成の変更内容が「構成の変更の表示」ページに表示されます。この項の「セッションのアクティブ化によって発生した構成の変更内容を表示するには」を参照してください。
セッション内で行われた構成の変更内容を表示するには
セッションをまだ作成していない場合は、「作成」をクリックして新しいセッションを作成してから、現在の構成を変更します。3.1項「チェンジ・センターの使用」を参照してください。
構成に少なくとも1つの変更を加えます。
「チェンジ・センター」の下にある「変更の表示」をクリックします。「構成の変更の表示」ページに、現在のセッション中に構成に行った各変更に関して、表3-2に示す情報が表示されます。
表3-2 セッション内で行われた構成の変更内容
プロパティ | 説明 |
---|---|
タスク |
実行されたタスクの説明。タスクは、「タスクの詳細」ページにリンクされています。3.7項「タスクの詳細の表示」を参照してください。 |
実行時間 |
タスクが実行された日時。 |
ユーザー |
変更を加えたユーザーの名前。 |
タスク・ステータス |
次のタスクのステータス。 完了しました - タスクが完了しました。 元に戻されました - タスクは元に戻されました。 元に戻す操作が完了しました - 元に戻す操作が完了しました。 |
元に戻したユーザー |
タスクを元に戻したユーザーの名前。タスクが元に戻されたことがない場合、フィールドには「 |
オプション |
タスクの実行を取り消すには「取消し」アイコンをクリックします。 セッション内で作業している間は、タスクを任意の順序で取り消すことができます。 タスクを取り消すと、タスクのオブジェクトがタスクの実行前の状態に戻ります。ただし、取り消すタスクの後に同じオブジェクトに対して実行されたタスクも取り消されます。3.6項「タスクの取消し」を参照してください。 |
セッションのアクティブ化によって発生した構成の変更内容を表示するには
セッション内で作業していないことを確認します。3.3項「セッションの終了」を参照してください。
「チェンジ・センター」の下にある「変更の表示」をクリックします。「構成の変更の表示」ページに、すでにアクティブ化されているセッションに関して、表3-3に示す情報が表示されます。
表3-3 アクティブ化された構成の変更内容
プロパティ | 説明 |
---|---|
タスク |
アクティブ化されたセッションの説明。タスクは、「タスクの詳細」ページにリンクされています。このページには、セッションで実行された操作が表示されます。3.7項「タスクの詳細の表示」を参照してください。 |
説明 |
アクティブ化されたセッションの追加説明(「セッションのアクティブ化」ページを使用してセッションをアクティブ化したときに、説明を入力した場合)。 |
実行時間 |
セッションがアクティブ化された日時。 |
ユーザー |
セッションをアクティブ化したユーザーの名前。 |
タスク・ステータス |
次のセッションのステータス。 アクティブ化されました - セッションがアクティブ化されたことを示します。 部分的にアクティブ化されました - クラスタ内の1つまたは複数のサーバーにアクセスできないためにそれらのサーバー上でアクティブ化を実行できない場合、セッションのアクティブ化処理中に表示されます。サーバーが利用可能になると、アクティブ化されていないすべての変更内容がそれらのサーバーでアクティブ化されます。 元に戻されました - 以前にアクティブ化されたセッションが取り消され、セッション内で実行された操作がすべて破棄されたことを示します。 元に戻す操作がアクティブ化されました - 元に戻す操作がアクティブ化されたことを示します。 進行中 - セッションのアクティブ化に時間がかかるような場合、セッションのアクティブ化処理中に表示されます。 失敗しました - セッションのアクティブ化に失敗した場合に表示されます。セッションのアクティブ化の失敗はOracle Service Busで認識されますが、セッション内の個別の更新で発生する失敗は認識されません。 |
元に戻したユーザー |
このタスクを元に戻したユーザーの名前。セッションのアクティブ化が元に戻されたことがない場合、フィールドには「 |
オプション |
「取消し」アイコンをクリックすると、セッションのアクティブ化が取り消され、そのセッションで実行された操作が取り消されます。セッションのアクティブ化は任意の順序で元に戻すことができます。 元に戻してセッションに移動アイコンをクリックすると、セッションでアクティブ化した変更内容を取り消すために必要なタスクを入力済の、新しいセッションが作成されます。3.6.2項「元に戻してセッションに移動」を参照してください。 |
開始日と終了日で区切られた特定の期間について、セッションのアクティブ化をパージすることができます。このアクションはセッション外でのみ可能です。
注意: セッションのアクティブ化履歴のパージには、複数レベルの取消しを可能にするデータの削除が含まれます。つまり、特定の期間について、セッションのアクティブ化履歴をパージすると、その期間中にアクティブ化されたセッションの取消しはできなくなるということです。 |
アクティブなセッション内でないことを確認して、「変更の表示」をクリックします。
「構成の変更の表示」ページで日付によるパージをクリックします。日付単位でのセッション・アクティブ化履歴のパージ・ページが表示されます。
MM/DD/YYYY
の書式で開始日と終了日をそれぞれのフィールドに入力します。
指定された日付の間のすべてのセッションに関するセッションのアクティブ化履歴が、Oracle Service Busから削除されます。
「構成の変更の表示」ページでは、Oracle Service Bus構成で現在のセッション中に実行したタスクを取り消すことができます。また、セッションの外からもセッションのアクティブ化を取り消すことができます。Oracle Service Busでは、システム・リソースの制約のみで、複数レベルのセッションのアクティブ化を取り消すことができます。詳細は、3.6.1項「タスクを取り消す順序」を参照してください。
注意: Oracle Service Busバージョン2.1から2.5にアップグレードする場合、アップグレード前にアクティブ化したセッションを取り消すことはできません。アップグレード後にアクティブ化したセッションは、セッションのアクティブ化履歴で取り消すことができます。 |
セッションでのタスクの取消し
セッション内にいることを確認します。
「チェンジ・センター」の下にある「変更の表示」をクリックします。
特定のタスクの「オプション」列で、「取消し」アイコンをクリックします。
タスクが取り消されます。
現在のセッションでの変更を取り消すことができます。その後で、元に戻す操作を取り消したり、元に戻す操作の取消しをさらに取り消したりと、以前に遡って元に戻す操作を実行できます。
以前にアクティブ化したセッションの取消し
セッション外にいることを確認します。
「チェンジ・センター」の下にある「変更の表示」をクリックします。
次のいずれかを行います。
特定のタスクの「オプション」列で、「取消し」アイコンをクリックします。セッションのアクティブ化が取り消されます。
特定のタスクの「オプション」列で、元に戻してセッションに移動アイコンをクリックします。セッションでアクティブ化された変更を元に戻すために必要なタスクを入力済の新しいセッションが作成されます。詳細は、3.6.2項「元に戻してセッションに移動」を参照してください。
タスクはどのような順序で取り消すこともできます(個々の取消し操作を行った結果、データが有効である場合)。取消し操作によって、リソースの値が、そのリソースを変更する前の値に設定されます。
取り消そうとしているタスクがオブジェクトの作成タスクである場合は、オブジェクトを戻すことのできる前の状態がありません。つまり、このタスクを実行する前は、オブジェクト自体が存在していません。実際には、取消し操作により、セッションから作成したオブジェクトが削除されます。この場合、削除されるオブジェクトを参照するオブジェクトにエラーが発生します。このようなエラーは、チェンジ・センターの「競合の表示」ページで確認できます。
セッションで作業をしていない場合は、 「構成の変更の表示」 ページにアクセスして、以前にアクティブ化したセッションを確認できます。これらのセッションは取り消すことができます。セッションを取り消すことでランタイム構成エラーが発生する場合は、以前にアクティブ化したセッションを取り消すことはできません。たとえば、セッションのアクティブ化を取り消すことによって、他のオブジェクトが参照するオブジェクトが削除対象になる場合は、この取消し操作を実行できません。
取消し操作は元に戻すことができます。[タスク]の取消しの「オプション」列で、「取消し」アイコンをクリックします。Oracle Service Busは、無制限の取消し機能を備えています。つまり、元に戻す操作の取消しをさらに取り消すなど、以前に遡って取消しを行うことができます。
セッションのアクティブ化を取り消すことによりセマンティクス・エラーが発生する場合は、その取消し操作を実行することはできません。しかし、この場合には別の方法を用いることができます。セッションのアクティブ化を取り消し、その変更結果を新しいセッションに移すという方法です。その後、セマンティクス・エラーを修正し、セッションをアクティブ化します。この元に戻してセッションに移動する機能を使用して、セッションのアクティブ化を取り消した場合の結果を調べることも可能です。変更結果をすべて調べてから、取消しを実行するかどうかを決定できます。実行する場合は、そのセッションをアクティブ化することができます。
このページでは、セッション内の場合は、現在のセッションで変更した内容の詳細を表示できます。また、セッション外の場合は、以前にアクティブ化したセッションで変更した内容の詳細を表示できます。
「チェンジ・センター」の「変更の表示」を選択します。
「構成の変更の表示」ページにある「タスク」列でタスク名をクリックします。「タスクの詳細」ページに、表3-4に示す情報が表示されます。
「戻る」をクリックすると、「構成の変更の表示」ページに戻ります。
このページでは、Oracle Service Bus管理コンソール内の既存のすべてのセッションを表示できます。これらのセッションは、セッション内にいる場合にもセッション外にいる場合にも表示できます。
すべてのセッションを表示できるのは、管理者ロールを使用している場合のみです。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Service Bus開発者ガイド』の管理セキュリティの構成に関する説明を参照してください。
「チェンジ・センター」の下にある「すべてのセッションを表示」をクリックします。既存のセッションごとに、表3-5に示す情報が「すべてのセッションを表示」ページに表示されます。
別のセッションに切り替えるには、該当するセッションの「セッション名」列のリンクをクリックします。
注意: 同一ユーザーが複数のブラウザからログインすることには対応していません。そのような操作を行うと、管理コンソールで予期できない動作が生じるおそれがあります。 |
このページでは、構成のエラーに関する診断メッセージを表示できます。また、作業中のセッションと他のアクティブ化されたセッションとの間の競合を表示して解決できます。競合の表示のリンクでは、セッション中の現在の競合の数も表示されます。
競合の表示
「チェンジ・センター」の下にある「競合の表示」をクリックします。「競合の表示」ページに、競合の種類に応じて次の1つ以上の項目が表示されます。
特定の競合の詳細を表示するには、その競合の「名前」列のリンクをクリックします。
セッションで変更を加えたオブジェクトが、現在のセッションの編集を開始してからランタイムで変更された場合、表3-7に示す情報が「競合の表示」ページに表示されます。
表3-7 同時更新
プロパティ | 説明 |
---|---|
名前 |
競合しているリソース。そのリソースにリンクされています。 |
自分の変更内容 |
セッションでこのオブジェクトに行った変更の説明。 |
他のユーザーの変更内容 |
別のユーザーのセッションでこのオブジェクトに行われた変更の説明。 |
同期 |
「同期」アイコンをクリックすると、このオブジェクトがランタイムで保存された状態に戻ります。 |
競合の解決
競合を解決するには、「メッセージ」列に表示された情報を基に(表3-6を参照)、問題を理解し、競合の原因となっているオブジェクトを編集して問題を修正します。
同時更新により競合が発生した場合、つまり、別のセッションで変更およびアクティブ化されたリソースを現在のセッションで変更したことで競合が発生した場合(表3-7を参照)、次のいずれかの方法で競合を解決できます。
「チェンジ・センター」の下の「アクティブ化」をクリックします。この操作により、変更内容がランタイムに保存されるので、以前のセッションのアクティブ化でコア・データにデプロイされた変更内容はオーバーライドされます。つまり、他のユーザーが他のセッションで保存した変更内容は、このセッションの変更内容によって上書きされます。
表の「同期」列の「同期」アイコンをクリックします(表3-7を参照)。この操作により、このセッションでこのオブジェクトがランタイムに保存された状態に戻ります。