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Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Publisherレポート・デザイナーズ・ガイド
11gリリース1 (11.1.1)
B63038-04
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15 翻訳サポートの概要と概念

この章では、BI Publisherでのレポートおよびカタログ翻訳に関する概念の概要について説明します。

内容は次のとおりです。

15.1 翻訳サポートの概要

BI Publisherでは、以降の各項で説明する2つの方法で翻訳がサポートされています。

15.1.1 カタログの翻訳について


重要:

BI PublisherがOracle Business Intelligence Enterprise Editionと統合されている場合は、BI Publisherのカタログ翻訳(フォルダとレポート、データ・モデル、スタイル・テンプレートおよびサブ・テンプレート名)は無視されます。かわりに、Oracle BI Enterprise Editionのカタログ翻訳メカニズムが適用されます。統合カタログで翻訳可能なコンポーネントの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Enterprise Editionシステム管理者ガイド』のOracle Business Intelligenceデプロイメントのローカライズに関する項を参照してください。


カタログ翻訳は、選択したカタログ・フォルダ内のすべてのオブジェクトから翻訳可能文字列を別のファイルに抽出できるBI Publisherの機能です。このファイルは、翻訳して、BI Publisherにアップロードし、適切な言語コードを割り当てることができます。

カタログ翻訳では、レポート・レイアウトの翻訳可能文字列のみでなく、ユーザーに表示されるカタログ・オブジェクトの説明、レポート・パラメータ名、およびデータ表示名などのユーザー・インタフェース文字列も抽出されます。

ユーザーがカタログを表示すると、「アカウント」プリファレンスで選択されたユーザー・インタフェース言語に対応するアイテムの翻訳が表示されます。ユーザーがレポートを表示すると、「アカウント」プリファレンスで選択されたレポート・ロケールに対応するアイテムの翻訳が表示されます。

15.1.2 テンプレートの翻訳について

テンプレート翻訳は、単一のRTFベースのテンプレート(サブ・テンプレートおよびスタイル・テンプレートを含む)または単一のBI Publisherレイアウト・テンプレート(.xptファイル)から翻訳可能文字列を抽出するBI Publisherの機能です。

このオプションは、翻訳された最終版のレポート・ドキュメントが必要な場合にのみ使用します。たとえば、ドイツと日本の顧客に送信する翻訳済請求書を生成する必要がある場合などです。

15.1.3 サポートされる言語について

BI Publisherでは、Unicodeでサポートされるすべての言語をサポートし、レンダリングに特別なアルゴリズムは必要ありません。言語がAlbanyフォントでサポートされていない場合は、ユーザーの責任で適切なフォントを用意してください。

BI Publisherでは、アラビア語とヒンディー語はサポートしていません。

15.2 翻訳ファイルの操作

カタログまたはテンプレートの翻訳のために翻訳可能文字列を抽出するときは、BI Publisherによって文字列を含むXLIFFファイルが作成されます。

これらの文字列は、社内で翻訳するか、ローカライゼーション・プロバイダに送信できます。次にXLIFFファイルをカタログまたは個別のレイアウトに戻すためにアップロードし、該当するロケールを割り当てます。

この項では、XLIFFファイルの操作方法について説明します。内容は次のとおりです。

15.2.1 XLIFFについて

XLIFFとは、XML Localization Interchange File Formatのことです。これはローカライゼーション・プロバイダによって使用される標準的なフォーマットです。XLIFF仕様の詳細は、http://www.oasis-open.org/committees/xliff/documents/xliff-specification.htmを参照してください。

15.2.2 XLIFFファイルの構造

生成されるXLIFFファイルの構造は次のとおりです。

<xliff>
  <file>
    <header>
      <body>
        <trans-unit>
          <source>
          <target>
          <note>

図15-1に、未翻訳のXLIFFファイルの一部を示します。

図15-1 未翻訳のXLIFFファイル

図15-1の説明が続きます
「図15-1 未翻訳のXLIFFファイル」の説明

15.2.2.1 source-languageおよびtarget-language属性

<file>要素には、source-languageおよびtarget-language属性が含まれています。source-languageおよびtarget-languageの有効な値は、次のような言語コードと国コードの組合せです。

  • 2文字のISO 639言語コード

  • 2文字のISO 3166国コード


注意:

International Organization for Standardization(ISO)およびコード・リストの詳細は、International Organization for StandardizationのWebサイト(http://www.iso.org/iso/home.html)を参照してください。


たとえば、英語-米国の値はen-USです。この組合せはロケールとも呼ばれます。

エクスポートしたXLIFFファイルを編集するときに、target-language属性をターゲット言語の適切なロケール値に変更する必要があります。表15-1に、特定の翻訳に適したsource-languageおよびtarget-language属性値の例を示します。

表15-1 source-languageおよびtarget-languageの属性値

翻訳(言語/地域) source-language値 target-language値

翻訳元: 英語/米国翻訳先: 英語/カナダ

en-US

en-CA

翻訳元: 英語/米国翻訳先: 中国語/中国

en-US

zh-CN

翻訳元: 日本語/日本翻訳先: フランス語/フランス

ja-JP

fr-FR


15.2.2.2 埋込みデータ・フィールド

テンプレートによっては、データ・フィールドに対するプレースホルダがレポートのテキスト表示文字列に埋め込まれている場合があります。たとえば、サンプル・レポートのタイトルは、次のとおりです。

Italian Purchase VAT Register - (year)

この例で、(year)はRTFテンプレート内のプレースホルダで、実行時にXML要素のデータが移入されます。このようなフィールドは、実行時にデータから値が設定されるため翻訳できません。

埋込みデータ・フィールドを識別するために、XLIFFファイルでは次のトークンが使用されます。

[&amp;n]

ここで、nはテンプレート内のデータ・フィールドの出現順番号を示します。

たとえば、前述のXLIFFサンプルでは、最初の翻訳可能文字列は次のように表されます。

<source>Italian Purchase VAT Register - [&amp;1]<source>

注意:

埋込みデータ・フィールドのトークンは編集または削除しないでください。編集または削除すると、XMLデータとテンプレートのマージに影響を与えます。


15.2.2.3 <source>要素と<target>要素

各<source>要素には、テンプレートの翻訳可能文字列がテンプレートのソース言語で記述されています。例:

<source>Total</source>

翻訳用のXLIFFファイルを最初にエクスポートしたときは、ソース要素とターゲット要素はすべて同じです。このテンプレートの翻訳を作成するには、各ソース要素の文字列に対する適切な翻訳をその対応する<target>要素に入力します。

したがって、サンプル・テンプレートをドイツ語に翻訳する場合は、Totalの文字列に対して次のように入力します。

<source>Total</source>
<target>Gesamtbetrag</target>

図15-2に、中国語の翻訳で更新された前述の図のサンプルXLIFFファイルを示します。

図15-2 中国語の翻訳で更新されたサンプルXLIFFファイル

図15-2の説明が続きます
「図15-2 中国語の翻訳で更新されたサンプルXLIFFファイル」の説明

15.3 ロケール選択ロジック

BI Publisherでは、ユーザーが選択したレポート・ロケールに基づいて翻訳が適用されます。BI Publisherでは、最初にロケールに対応する名前のRTFテンプレートが照合され、次にロケールに対応する名前のXLIFFファイルが照合されます。言語-地域で完全に一致するものが見つからない場合は、言語のみで照合されます。

たとえば、基本テンプレートの名前がEmployeeTemplate.rtfのレポートがあり、選択されたロケールがフランス語(フランス)の場合、BI Publisherでは、次の階層に従って適用する翻訳が選択されます。

EmployeeTemplate.rtf(fr_FR)

EmployeeTemplate.xlf(fr_FR)

EmployeeTemplate.rtf(fr)

EmployeeTemplate.xlf(fr)

EmployeeTemplate.rtf(デフォルト)

この同じ翻訳セットで、選択されたロケールがフランス語(スイス)の場合は、EmployeeTemplate.rtf(fr)が適用されます。ここで、使用可能な翻訳が次のセットに限定されている場合を考えてみます。

EmployeeTemplate.rtf(fr_FR)

EmployeeTemplate.xlf(fr_FR)

EmployeeTemplate.rtf(デフォルト)

選択されたロケールがフランス(スイス)の場合は、EmployeeTemplate.rtf(デフォルト)が適用されます。言語が一致していても、ロケールが異なる場合は照合されません。

したがって、選択ロケールに関係なく、フランス語が選択言語のときにフランス語の翻訳が使用されることを保証するには、言語にのみ対応する名前を付けたrtfまたはxlfファイル(つまりEmployeeTemplate_fr.rtfまたはEmployeeTemplate_fr.xlf)を組み込む必要があります。