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Oracle Fusion Middleware 2日で管理者ガイド
11gリリース1(11.1.1)
B55896-04
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1 Oracle Fusion Middlewareの概要

Oracle Fusion Middlewareは、アプリケーション開発ツールや統合ソリューションから、ID管理、コラボレーションおよびビジネス・インテリジェンス・レポートに至るまでの幅広い製品群を含む包括的なファミリです。

この章では、Oracle Fusion Middlewareの概要について説明します。この章の内容は次のとおりです。

1.1 この本について

この本は、Oracle Fusion Middlewareにおいて日常的な管理作業を行う方法について説明する管理用クイック・スタート・ガイドです。この本の目的は、Oracle Fusion Middlewareの概念の理解を助けることです。また、アプリケーション・サーバーの稼働を維持するために必要な一般的管理作業を行う方法について説明します。これには、基本的なトラブルシューティングやパフォーマンス監視を行う方法も含まれます。

この本で最も頻繁に使用する管理インタフェースは、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlです。

1.1.1 この本に記載されていないこと

この本では作業を中心に説明します。この本の目的は、管理作業の実行が必要になる理由とタイミングについて説明することです。Oracle Fusion Middlewareやアプリケーション・サーバーに関する予備知識が読者にない場合を想定して、作業の理解と実施に必要な概念について必要に応じて説明します。

この本は、すべてのOracle Fusion Middlewareコンセプトや管理タスクについて、完全に説明しているものではありません。このような詳細情報は、Oracle Fusion Middlewareコンセプトおよび『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』を参照してください。

1.1.2 この本と関連資料の使用方法

このドキュメントは、Oracle Fusion Middlewareの管理に関する他のドキュメントやOracle Universityクラス関連のドキュメントなどが含まれる包括的な教材ドキュメントの一部です。

この本の各章の終わりでは、関連情報に関する参照情報が記載されています。

1.2 Oracle Fusion Middlewareについて

Oracle Fusion Middlewareは、Java EEや開発ツールから、統合ソリューション、ID管理、コラボレーションおよびビジネス・インテリジェンス・レポートに至るまでの幅広い製品群を含む包括的なファミリです。Oracle Fusion Middlewareは、開発、デプロイおよび管理において完全なサポートを提供します。

Oracle Fusion Middlewareには、次のようなコンポーネントが用意されています。


注意:

Oracle Fusion MiddlewareをIBM WebSphereとともに使用できます。詳細は、Oracle Fusion Middlewareサード・パーティ・アプリケーション・サーバー・ガイドを参照してください。


1.3 Oracle Fusion Middlewareの主要概念の概要

Oracle Fusion Middlewareには、次の2種類のコンポーネントが用意されています。

Javaコンポーネントおよびシステム・コンポーネントは仲間です。

Oracle Fusion Middlewareをインストールして構成すると、Oracle Fusion Middleware環境には次のようなものが含まれます。

図1-1に、Oracle Fusion Middleware環境を示します。この環境にあるOracle WebLogic Serverドメインには、1つの管理サーバー、2つの管理対象サーバーおよびOracleインスタンスが含まれます。この環境には、メタデータ・リポジトリも含まれています。

図1-1 Oracle Fusion Middleware環境

図1-1の説明が続きます
「図1-1 Oracle Fusion Middleware環境」の説明

環境にはMiddlewareホームも含まれます。このホームは、Oracle WebLogic Serverホーム、およびオプションとしてOracle Commonホームと1つ以上のOracleホームで構成されます。Middlewareホームの詳細は、第1.3.3項を参照してください。

1.3.1 Oracle WebLogic Serverドメインとは

Oracle WebLogic Server管理ドメインは、論理的に関連付けられたJavaコンポーネントのグループです。ドメインには、管理サーバーと呼ばれる特別なWebLogic Serverインスタンスが含まれます。これは、ドメインのすべてのリソースを構成して管理する中核部分です。通常、管理対象サーバーと呼ばれるWebLogic Serverの追加インスタンスを含めて、ドメインを構成します。Webアプリケーション、EJB、Webサービスやその他のリソースなどのJavaコンポーネントを管理対象サーバーにデプロイし、構成および管理の目的にのみ管理サーバーを使用します。

WebLogic Serverドメイン内の管理対象サーバーは、クラスタへのグループ化が可能です。

ドメインのディレクトリ構造は、WebLogic Serverホームのディレクトリ構造とは別個です。どこにでも配置できます。Middlewareホームのディレクトリ内に配置する必要はありません。ドメインの最上位ディレクトリは、ドメイン・ホームと呼ばれます。

Oracle WebLogic ServerドメインはOracleインスタンスの仲間です。両方とも、それらのOracleホームの外部にある特別な構成が含まれます。

図1-2に1つの管理サーバー、3つのスタンドアロン管理対象サーバー、およびクラスタ内に3つの管理対象サーバーが配置されているOracle WebLogic Serverドメインを示します。

図1-2 Oracle WebLogic Serverドメイン

図1-2の説明が続きます
「図1-2 Oracle WebLogic Serverドメイン」の説明


関連項目:

ドメイン構成の詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverドメイン構成の理解を参照してください。


次の項では、ドメインのエンティティについて説明します。

1.3.1.1 管理サーバーとは

管理サーバーは、WebLogic Serverドメイン全体の構成に対して中央制御エンティティとして機能します。ドメインのコンフィギュレーション・ドキュメントを保持し、コンフィギュレーション・ドキュメント内の変更を管理対象サーバーに配布します。管理サーバーは、ドメイン内のすべてのリソースを管理および監視する中央ロケーションとして機能します。

各Oracle WebLogic Serverドメインには、管理サーバーとして機能する1つのサーバー・インスタンスが必要です。

管理サーバーと対話するには、Oracle WebLogic Server管理コンソールやOracle WebLogic Scripting Tool(WLST)を使用するか、独自のJMXクライアントを作成します。さらに、一部のタスクには、Fusion Middleware Controlを使用できます。

Fusion Middleware ControlおよびWebLogic管理コンソールは、管理サーバーで動作します。Fusion Middleware Controlは、Oracle HTTP Server、Oracle SOA Suite、Oracle WebCenterポータル、Oracle Portal、Oracle Identity Managementなどのコンポーネントを含むOracle Fusion Middlewareの管理に使用するWebベース型管理コンソールです。Oracle WebLogic Server管理コンソールは、管理サーバーや管理対象サーバーなど、Oracle WebLogic Serverドメインのリソース管理に使用するWebベース型管理コンソールです。


関連項目:

  • Fusion Middleware Controlの詳細は、第2.2項を参照してください。

  • Oracle WebLogic Server管理コンソールの詳細は、第2.3項、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverの紹介』、およびOracle WebLogic Server管理コンソールのオンライン・ヘルプを参照してください。


1.3.1.2 管理対象サーバーおよび管理対象サーバー・クラスタとは

管理対象サーバーは、ビジネス・アプリケーション、アプリケーション・コンポーネント、Webサービスおよびそれらに関連付けられたリソースをホストします。パフォーマンスを最適化するために、管理対象サーバーは、ドメインのコンフィギュレーション・ドキュメントの読取り専用コピーを保持しています。管理対象サーバーは、起動時にドメインの管理サーバーに接続し、そのコンフィギュレーション・ドキュメントを管理サーバーが保持するドキュメントに同期します。

ドメインの作成は、特定のドメイン・テンプレートを使用して行います。そのテンプレートは、特定のコンポーネントや、Oracle SOA Suiteなどのコンポーネント・グループをサポートしています。ドメイン内の管理対象サーバーは、これらの特定のOracle Fusion Middlewareコンポーネントをホストするために作成されます。

Oracle Fusion MiddlewareのJavaコンポーネント(Oracle SOA Suite、Oracle WebCenter Portal、一部のIdentity Managementコンポーネントなど)、および顧客が開発したアプリケーションがドメイン内の管理対象サーバーにデプロイされます。

別のコンポーネントをサポートするテンプレートを使用して作成されたドメインに、Oracle WebCenterポータルなど、他のコンポーネントを追加する場合には、ドメイン内に追加の管理対象サーバーを作成し、追加するコンポーネント用のドメイン・テンプレートを使用して、ドメインを拡張できます。詳細は、第9.2項を参照してください。

アプリケーション・パフォーマンスとスループットの向上、または高可用性が求められる本番環境では、2つ以上の管理対象サーバーを構成し、クラスタとして動作させることができます。クラスタとは、スケーラビリティや信頼性を向上させるために同時に稼働および連携する、複数のWebLogic Serverインスタンスの集合です。クラスタ内では、ほとんどのリソースおよびサービスは(単一の管理対象サーバーとは対照的に)、各管理対象サーバーに同様にデプロイされ、フェイルオーバーやロード・バランシングが可能になります。1つのドメインには、複数のWebLogic Serverクラスタや、クラスタとして構成されていない複数の管理対象サーバーを配置できます。管理対象サーバーのクラスタ化と非クラスタ化の重要な違いは、フェイルオーバーおよびロード・バランシングのサポートにあります。これらの機能は、管理対象サーバーのクラスタ内でのみ使用可能です。


関連項目:

『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverクラスタの使い方』


1.3.1.3 ノード・マネージャとは

ノード・マネージャは、Oracle WebLogic Serverと別個のプロセスとして実行されるJavaユーティリティです。これにより、管理サーバーとの位置関係にかかわらず、管理対象サーバーの一般的な操作を実行できます。ノード・マネージャの使用はオプションですが、Oracle WebLogic Server環境で高可用性が必要なアプリケーションをホストする場合、メリットがあります。

管理対象サーバーをホストするコンピュータでノード・マネージャを実行する場合、管理コンソールまたはコマンドラインを使用して、管理対象サーバーをリモートで起動または停止できます。ノード・マネージャを使用して、予期しない障害が発生した後に、管理対象サーバーを自動的に再起動することもできます。


関連項目:

『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverノード・マネージャ管理者ガイド』


1.3.2 Oracleインスタンスとは

Oracleインスタンスには、Oracle Web Cache、Oracle HTTP Server、Oracle Internet Directoryなど、1つまたは複数のシステム・コンポーネントが含まれます。Oracleインスタンスのシステム・コンポーネントは、同じコンピュータ内に存在する必要があります。Oracleインスタンスのディレクトリには、構成ファイル、ログ・ファイル、一時ファイルなど、更新可能なファイルが配置されます。

OracleインスタンスはOracle WebLogic Serverドメインの仲間です。両方とも、それらのOracleホームの外部にある特別な構成が含まれます。ただし、複数のホストにまたがることができるドメインと違って、Oracleインスタンスは、単一のホスト上に配置する必要があります。

Oracleインスタンスのディレクトリ構造は、Oracleホームのディレクトリ構造とは異なります。どこにでも配置できます。Middlewareホームのディレクトリ内に配置する必要はありません。

1.3.3 Middlewareホームとは

Middlewareホームは、Oracle WebLogic Serverホーム、およびオプションとしてOracle Commonホームと1つ以上のOracleホームで構成されます。

Middlewareホームは、ローカル・ファイル・システム上、またはNFS経由でアクセス可能なリモート共有ディスク上に配置できます。

WebLogic Serverホームの詳細は、第1.3.4項を参照してください。Oracleホームの詳細は、第1.3.5項を参照してください。

1.3.4 WebLogic Serverホームとは

WebLogic Serverホームには、WebLogic Serverをホストするために必要なファイルがインストールされています。WebLogic ServerホームのディレクトリはOracleホーム・ディレクトリの仲間で、Middlewareホームのディレクトリ構造内に配置されます。

1.3.5 OracleホームおよびOracle Commonホームとは

Oracleホームには、特定のコンポーネントまたはソフトウェア・スイートをホストするために必要なファイルがインストールされています。たとえば、SOA Oracleホームには、Oracle SOA Suiteのバイナリとライブラリ・ファイルを含むディレクトリが配置されます。

Oracleホームは、Middlewareホームのディレクトリ構造内にあります。各Oracleホームは、複数のOracleインスタンスまたはOracle WebLogic Serverドメインに関連付けることができます。各Middlewareホーム内に、複数のOracleホームを配置することができます。

Oracle Commonホームには、Fusion Middleware ControlおよびJava Required Files(JRF)で必要なバイナリ・ファイルおよびライブラリ・ファイルがあります。各Middlewareホーム内に配置できるOracle Commonホームは1つだけです。

1.3.6 Oracle Metadata Repositoryとは

Oracleメタデータ・リポジトリには、Oracle BPEL Process Manager、Oracle B2BおよびOracle PortalなどのOracle Fusion Middlewareコンポーネントのメタデータが格納されます。また、Oracle Fusion Middlewareの構成に関するメタデータおよびアプリケーションのメタデータも格納できます。

メタデータ・リポジトリは、データベース・ベースにも、ファイルベースにもできます。データベース・ベースの場合、リポジトリ作成ユーティリティ(RCU)を使用して既存のデータベースにメタデータ・リポジトリを作成できます。

Oracle Fusion Middlewareは、複数のリポジトリ・タイプをサポートしています。リポジトリ・タイプは、特定のスキーマまたは特定のOracle Fusion Middlewareコンポーネント(たとえば、Oracle SOA SuiteまたはOracle Internet Directory)に属するスキーマ・セットを表します。

Oracle Metadata Services(MDS)リポジトリという特定のリポジトリ・タイプには、Oracle B2BなどのほとんどのOracle Fusion Middlewareコンポーネントや特定のアプリケーション・タイプ用のメタデータが含まれます。


関連項目:

  • メタデータ・リポジトリの作成の詳細は、第3.2.1項を参照してください。

  • メタデータ・リポジトリの管理の詳細は、『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』のメタデータ・リポジトリ・スキーマの管理に関する項を参照してください。


1.4 共通の管理作業

Oracle Fusion Middlewareの管理者は、次の作業の実行が必要になる場合があります。

1.5 Oracle Fusion Middlewareの管理用ツール

Oracle Fusion Middlewareの管理には、次のようなツールおよびユーティリティを使用できます。