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Oracle® Communicatorユーザーズ・ガイド
11gリリース1(11.1.1)
B61380-01
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5 Oracle Communicatorの構成

この章では、管理者がOracle Communicatorのカスタマイズされたインストール環境を作成する方法について説明します。この章には次の項が含まれます。

Oracle Communicatorのインストールに対するデフォルト値の設定

管理者は、特定のサイトの構成とトポロジに適したデフォルト設定をユーザー・アカウントに移入するようOracle Communicatorのインストールをカスタマイズできます。たとえば、Communicatorユーザーに対して、デフォルト・アドレスがourproxy.example.comのSIPプロキシを使用するようユーザーのアカウントを設定するインストーラ・ファイルを配布できます。これらのデフォルトを設定するには、customize.xmlというXMLファイルを作成します。その後、RARファイルへのファイルの追加をサポートするプログラムを使用して、Communicatorユーザーに配布されるインストーラ・ファイル(OracleCommunicatorSetup.exeという自己解凍型のRARファイル)にこのファイルをパッケージします。

ユーザーがcustomize.xmlの含まれるセットアップ・ファイルをインストールすると、カスタマイズ・ファイルのプロパティが使用されて、Oracle Communicatorのインストール・ディレクトリにある次の2つのファイルが上書きされます。

defaults.xmlは、アカウント固有のXMLファイルを作成するためのテンプレートです。これらのファイルは、ユーザーがユーザー・インタフェースを通じて構成を変更すると、常に更新されます。そのため、これらのプロパティは、アカウントごとに異なる可能性があります。たとえば、あるユーザーのアカウント固有のXMLファイルでは、プロキシがbeta.testcomany.comと指定され、別のユーザーのXMLファイルではproxy.example.comと指定される可能性があります。

vendor.xmlでは、すべてのCommunicatorユーザーにとって同じプロパティを記述します。

インストーラにcustomize.xmlをパッケージした場合、vendor.xmldefault.xmlに定義されたデフォルト・プロパティは、インストール中にcustomize.xmlに設定されたプロパティで上書きされます。たとえば、customize.xmlにアウトバウンド・プロキシ・アドレスを定義すると、そのアドレスによりdefault.xmlのアウトバウンド・プロキシ・アドレスの値が置換されます。customize.xmlに上書きされないすべてのプロパティでは、デフォルト値(つまり、defaults.xmlvendor.xmlにすでに存在する値、または実行時に生成される値)が使用されます。

インストーラ・ファイルのカスタマイズ

Oracle Communicatorのインストーラには、customize-sample.xmlというcustomize.xmlのテンプレート・ファイルが含まれます。このファイルには、場合によりカスタマイズが必要とされるすべてのプロパティが記述されます。このファイルを修正して名前をcustomize.xmlに変更し、インストーラ・ファイルにパッケージすることで(「カスタマイズされたインストーラ・ファイルの作成」の手順を参照)、Oracle Communicatorのインストールにおいてすべてのユーザーにデフォルト値を設定できます。

customize-sample.xmlファイルは、VendorとAccountという2つのセクションに分かれています。一般的に、Vendorの設定は、特定のCommunicatorインストールのすべてのアカウントに適用され、ユーザーは変更できません。Accountセクションに構成された設定は、ユーザーがCommunicatorアカウントを新規作成したときに、アカウント固有のXMLファイルを作成するのに使用されます。ユーザーのアカウント固有のXMLファイルに含まれる一部のプロパティは、Communicatorの「Preferences」ダイアログ(表5-0)を使用して設定します。

図5-1 Oracle Communicatorの「Preferences」ダイアログ

図5-1の説明が続きます
「図5-1 Oracle Communicatorの「Preferences」ダイアログ」の説明

customize.xmlの構成

customize-sample.xmlには、カスタム・インストーラの作成に必要とされるすべての要素が含まれます。カスタマイズが不要なVendorまたはAccountセクションの要素は、すべて削除できます。XML要素を削除すると、システムではcustomize-sample.xmlに記述されたデフォルト値が使用されます。

例5-1に、customize-sample.xmlの構造を示します。完全なファイルの内容は、付録A「Oracle Communicatorの構成ファイル」を参照してください。

例には、OWLCSインストールのトポロジと構成に適用される要素のみが含まれます。

例5-1 customize-sample.xml

<Customize>
<Vendor>
   <SelfProv>...</SelfProv>
</Vendor>
<Account>
   <UseHttps>...</UseHttps>
   <SavePasswordPreference>...</SavePasswordPreference>
   <UseOutboundProxyAddress>...<UseOutboundProxyAddress>
   <OutboundProxyAddress>...<OutbounProxyAddress>
   <Theme>...</Theme>
   <XDMSSettings>...</XDMSSettings>
   <UseRPortForNatTraversal>...</UseRPortForNatTraversal>
   <UseStun>...</UseStun>
   <StunServerAddress>...</StunServerAddress>
   <StunServerPort>...</StunServerPort>
   <LdapServers>...</LdapServers>
   <Provisioning>...</Provisioning>
   <FileTransfer>...</FileTransfer>
   <Notifications>...</Notifications>
   <FileTransferEnabled>...</FileTransferEnabled>
   <UseServerResourceLists>...</UseServerResourceLists>
</Account>
</Customize>

ユーザー・セルフ・プロビジョニングの有効化

<Vendor>要素は、Oracle Communicatorユーザーに読取り専用の値を提供します。このセクション内に設定されたプロパティは、すべてのユーザーで同じです。<SelfProv>要素の内容を1に設定すると、エンド・ユーザーは「Service Settings」メニュー・オプションを参照できます。これにより、サービス・プロバイダのWebページのURLが開かれます。このURLの構成方法の詳細は、「サービス・プロバイダのWebページの設定」を参照してください。

アウトバウンド・プロキシ・アドレスの設定

アウトバウンド・プロキシの使用を有効化するには、<UseOutboundProxy>の内容として1を入力します。次に、最初のホップですべてのリクエストを送信するアウトバウンド・プロキシ・サーバーのIPアドレスを入力します。たとえば、sip:my.host:5060;transport=tcpと入力します。この値を指定しない場合、かわりにデフォルト・アドレスのoutbound.<host>が使用されます(<host>はOracle CommunicatorユーザーのSIPアドレスから取得されます)。『Oracle Communication and Mobility Server管理者ガイド』のPresenceSupplierWebServiceおよびPresenceConsumerWebService MBeanのSIPOutboundProxy属性も参照してください。

Oracle Communicatorスキンの設定

<Theme>要素では、Oracle Communicatorのユーザー・インタフェースのデフォルト・テーマを設定します。現在のオプションは、Slate、CommunicatorおよびJazzです。

プレゼンスの有効化

<XDMSSettings>要素とその子要素では、XDMサーバーのアドレス、プレゼンス・ルールおよびハード・ステート設定を指定することで、Oracle Communicatorユーザーのプレゼンスを有効化できます。子要素は次のとおりです。

  • <UseHttps>

    HTTPSを使用してアグリゲーション・プロキシに接続する場合、1に設定します。サーバーに対するセキュアな接続を有効化する方法は、『Oracle Communication and Mobility Server管理者ガイド』の「Aggregation ProxyでのXDMSの保護」を参照してください。

  • <Host>

    XDMSのホスト。たとえば、your.xdms.domain.comと入力します。HTTPSの場合、アグリゲーション・プロキシのホストを定義します。

  • <Port>

    XDMSのポート番号。HTTPSの場合、アグリゲーション・プロキシ・ホストのHTTPSポートとしてポートを構成します。たとえば、443と入力します。

  • <RootContext>

    XDMSのルート。デフォルト値はservicesです。HTTPまたはHTTPSでアグリゲーション・プロキシに接続する場合、<RootContext>aggregationproxy(アグリゲーション・プロキシのコンテキスト・ルート)に設定します。HTTPSを使用して(つまり、<UseHttps>1</UseHttps>という設定で)Communicatorからアグリゲーション・プロキシに接続する場合、<RootContext>aggregationproxyとして定義する必要があります。アグリゲーション・プロキシを使用しない場合、<RootContext>はデフォルト値のservicesに設定します。

  • <PresRuleAUID>

    プレゼンス・ルールのアプリケーション使用状況のID。デフォルト値はpres-rulesです。

  • <PresRuleDocName>

    プレゼンス・ルール・ドキュメントの名前。デフォルト値はpresrulesです。

  • <HardStateAUID>

    PIDF(Presence Information Data Format)操作のアプリケーション使用状況のID。デフォルト値はpidf-manipulationです。

  • <HardStateDocName>

    「Presence」および「XCapConfig」も参照してください。

    PIDF操作のアプリケーション使用状況のドキュメント名。ルールが検出されない場合、権限のないユーザーはブロックされます。デフォルト値はhardstateです。

  • <ResourceListAUID>

    リソース・リスト・ドキュメントのアプリケーション使用状況のID(AUID)。デフォルト値はresource-listsです。

  • <ResourceListsDocName>

    リソース・リスト・ドキュメントの名前。デフォルト値はindexです。


    ヒント:

    Oracle CommunicatorでXDMSに存在するユーザーのバディ・リストをリクエストするには、<ResourceListAUID>および<ResourceListsDocName>要素を構成する必要があります。また、<UseServerResourceLists>要素を1に設定する必要があります。

NATトラバーサルおよび検出の有効化

<UseRPortForNatTraversal><UseStun><StunServerAddress>および<StunServerPort>要素は、NATトラバーサル(ユーザーがルーターの内側から接続できるようにする機能)を有効化する際に使用されます。終わりの3つのプロパティは、STUNサーバーが使用可能な場合に、その情報を提供するために使用されます。これらの要素は、次のように構成します。

  • <UseRPortForNatTraversal>

    RFC 3581に指定されているrportパラメータの使用を有効化する場合、1に設定します。Viaヘッダー・フィールドに存在するrportパラメータにより、Communicatorクライアントは、リクエストの送信元であるソースIPアドレスおよびポートにレスポンスを戻すようOWLCSに要求できます。


    注意:

    Oracle Communication and Mobility Serverのクラスタ構成を使用している場合、<UseRPortForNatTraversal>を0に設定する必要があります。

  • <UseStun>

    STUNを有効化する場合、1に設定します。

  • <StunServerAddress>

    STUNサーバーのアドレス。

  • <StunServerPort>

    着信バインド・リクエストをリスニングするためにバインドするプライマリSTUNポート。値は、UDPポートの3478です(RFC 3489に記載されているデフォルトのSTUNポート)。

詳細は、「STUNサービス」を参照してください。

ディレクトリ検索の有効化

<LdapServers>要素内にLDAPサーバーを定義することで、Oracle Communicatorユーザーは、Oracle CommunicatorのLDAPv3サポートを通じて連絡先リストを検索できます。デフォルトでは、Oracle CommunicatorにLDAPサーバーは定義されていません。子の<LdapServer>要素には、Oracle CommunicatorユーザーによりアクセスされるLDAPサーバーを指定するための独自の子要素が含まれます。子要素の内容は次のとおりです。

  • <Name>

    LDAPサーバーの名前。

  • <Ip>

    LDAPサーバーのIPアドレス。

  • <Port>

    LDAPサーバーのポート番号。

  • <BaseObject>

    DN(識別名)構文を使用した検索の開始ポイント。たとえば、oracle.com内で検索する場合、dc=oracle,dc=comと入力します。

  • <Default>

    複数のLDAPサーバーを定義する場合、デフォルトのLDAPサーバーとしてここに設定します。

  • <useTLS>

    LDAPサーバーに対してTLS接続を使用する場合、1に設定します。

  • <UseAuthentication>

    認可用のDNを使用する場合、1に設定します。

  • <AuthenticationAttribute>

    認可用のDNとして使用する属性。たとえば、uidと入力します。

  • <SipUriAttribute>

    LDAPスキーマ属性が存在する場合、どの属性を連絡先のSIPアドレスにマップするかを指定します。

  • <SipUriProtocolPrefix>

    1に設定すると、LDAPサーバーにより、sip:という接頭辞の付いたSIPアドレスが戻されます。

  • <SipUriLowercaseTransform>

    1に設定すると、LDAPサーバーにより戻される連絡先のSIPアドレスが、小文字に変換されます。

サービス・プロバイダのWebページの設定

<Provisioning>要素の子である<Location>を定義することで、Oracle Communicatorユーザーが「Service Settings」メニュー項目から表示できるサービス・プロバイダのWebページを設定できます。<Location>の値は、URLです。

アップグレード・ポリシーの設定

「Oracle Communicatorのアップグレード・ポリシーの設定」を参照してください。

リソース・リスト・ドキュメントの格納

XMDSにリソース・リスト・ドキュメントを格納するには、<UseServerResourceLists>を1に設定します。リソース・リスト・ドキュメントがXDMSに存在する場合の動作は、次のとおりです。

  • リソース・リスト・ドキュメントは、<XDMSSettings>要素によって指定されたアドレスに書き込まれます。

  • ユーザーがバディ・リストを変更すると、OWLCSでは常にXDMSのドキュメントの完全置換が実行されます。

  • SUBSCRIBE/NOTIFYを通じたバディ・リスト・ドキュメントの変更はサポートされないため、Oracle Communicatorの同時セッションのバディ・リストは一致しないことがあります。「バディ・リストの更新」も参照してください。

リソース・リスト・ドキュメントをファイルとしてローカルに格納する場合、<UseServerResourceLists>を0に設定します。


注意:

OWLCSでは、リソース・リスト・ドキュメントの場所をローカル・ファイルからXDMSに切り替えることはできません。たとえば、アップグレード中にこの場所をローカル・ファイルからXDMSに変更すると、リソース・リスト・ドキュメントは失われます。

カスタマイズされたインストーラ・ファイルの作成

カスタマイズされたインストーラ・ファイルを作成するには、次の手順を実行します。

  1. RARへのファイルの追加をサポートするアプリケーションをダウンロードしてインストールします。この説明では、例としてWinRAR(http://www.rarlab.com/)を使用します。

  2. WinRARで自己解凍型のRARファイルOracleCommunicatorSetup.exeを開きます。

    図5-2 Oracle Communicatorのセットアップ・ファイルのオープン

    図5-2の説明が続きます
    「図5-2 Oracle Communicatorのセットアップ・ファイルのオープン」の説明

  3. customize-sample.xmlを抽出し、ファイル名をcustomize.xmlに変更します。

  4. 独自の設定でcustomize.xmlファイルを編集します。通常、デプロイメント環境に一致するようすべてのサーバー設定を編集します。デフォルト値で問題のないプロパティについては、XML要素をコメント・アウトまたは削除できます。

  5. WinRAR(またはRARファイルを管理する他のアプリケーション)を使用して、次のいずれかの方法によりセットアップ・ファイル(OracleCommunicatorSetup.exe)にcustomize.xmlをパッケージします。

    • WinRAR(図5-2)でOracleCommunicatorSetup.exeを開き、OracleCommunicatorSetup.execustomize.xmlをドラッグ・アンド・ドロップします。「Archive Name and Parameters」ダイアログ(図5-3)で、アーカイブとしてOracleCommunicatorSetup.exeを選択し、「OK」をクリックします。

      図5-3 インストーラへのcustomize.xmlの追加

      図5-3の説明が続きます
      「図5-3 インストーラへのcustomize.xmlの追加」の説明

    • WinRAR(図5-2)でOracleCommunicatorSetup.exeを開き、「Commands」をクリックして「Add Files to Archive」を選択します。「Select Files to Add」ダイアログで、「Browse」機能を使用してcustomize.xmlに移動し、customize.xmlを選択します。「Archive Name and Parameters」ダイアログで、アーカイブとしてOracleCommunicatorSetup.exeを選択し、「OK」をクリックします。customize.xmlOracleCommunicatorSetup.exeに再び追加するか、セットアップ・ファイルのコピーの名前を変更してそのファイルにcustomize.xmlを追加します。


      注意:

      .exeファイルの名前も変更できます。このファイルには任意の名前を指定できます。

  6. 必要に応じて、ダウンロードするユーザーが変更済のインストーラのソースを信頼できるように、自己解凍型の新規.exeファイルに署名します。

  7. 変更された自己解凍型の.exeファイルをエンド・ユーザーに配布します。

Oracle Communicatorのアップグレード・ポリシーの設定

この項では、upgrade.xmlを構成して、エンド・ユーザーによりインストールされるすべてのOracle Communicatorインスタンスのアップグレード・ポリシーを指定する方法について説明します。

リリース10.1.3.2または10.1.3.3を11.1.1.1にアップグレードする場合、以前のリリースをユーザーに提供したときにデプロイした既存のupgrade.xmlを変更する必要があります。

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<Upgrade>
<Must>10.1.3.20002</Must>
<Recommend>11.1.1.10001</Recommend>
<Interval>86400</Interval>
<Download>http://example.com/myInstallInstructions.html</Download>
</Upgrade>

リリース10.1.3.4を11.1.1.1にアップグレードする場合、以前のリリース(10.1.3.4)をユーザーに提供したときにデプロイした既存のnotification.xmlを変更する必要があります。サンプルは次のとおりです。

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<Notification>
<Upgrade>
<Must>11.1.1.10001</Must>
<Recommend>11.1.1.10001</Recommend>
<Download>http://www.example.com/myInstallInstructions.html</Download>
</Upgrade>
<BannerMessage> <MessageID></MessageID> <MessageType></MessageType> <MessageContent></MessageContent>
</BannerMessage>
<Interval>86400</Interval>
</Notification>

次に、customize.xml内でこのドキュメントを参照するため、<Account>セクションで<Notifications>要素を定義します。たとえば、アップグレード・ポリシーを参照するよう<Location>要素を構成することで、ユーザーは新しくインストールしたOracle Communicatorにログインする際に、アップグレード・ポリシーを取得および確認できます。さらなるアップグレードでnotification.xmlを使用する方法の詳細は、「customize-sample.xml」を参照してください。

<Notifications>
<!-- 0 disabled, 1 enabled --> <UseNotifications>1</UseNotifications>
<!-- xml document location --> <Location>http://notification.example.com/notification.xml</Location>
</Notifications>

ユーザーのCommunicatorクライアントのリリースがアップグレード・ポリシーの<Must>要素に定義された必須リリース未満の場合、ユーザーにアップグレードが必要であることを通知するダイアログがCommunicatorにより表示されます(図5-4)。

図5-4 「Required Upgrade」ダイアログ

図5-4の説明が続きます
「図5-4 「Required Upgrade」ダイアログ」の説明

ダイアログの「Click Here to Upgrade」ボタンをクリックすると、デフォルトURLのダウンロードURLが表示されます。ユーザーのリリースが、<Must>要素に指定された必須リリースより大きいが、<Recommended>要素に定義されたリリースより小さい場合、ユーザーにダイアログが表示されます。このダイアログで、ユーザーは、デフォルト・ブラウザからダウンロードURLを開くか、このオプションを無視できます。

前述のアップグレード・ポリシーを参照しているCommunicatorのインストールでは、<Must>(10.1.3.20002)および<Recommended>(10.1.3.2003)要素の両方に設定されたリリース以上のCommunicatorへのアップグレードを促すプロンプトは表示されません。Communicatorは、インストール済のリリースが11.1.1.1.*または11.1.1.1+より前のリリースであるかどうかにより、それぞれupgrade.xmlまたはnotification.xmlから情報を取得するまで<Interval>に指定された秒数(86400)を待機します。アップグレード・ポリシーは、次のようにリリース10.1.3.20001、10.1.3.20002、10.1.3.20003および10.1.3.20004のCommunicatorを実行しているユーザーに影響します。

なんらかの理由でupgrade.xmlが使用できない場合(たとえば、サーバーが停止している、<VersionControl>および<Location>要素が正しく指定されていない、またはアップグレード・ドキュメントへのアクセスがファイアウォールにブロックされているなど)、アップグレード・プロセスは、ユーザーに問題として認識されることなく暗黙的に失敗します。ユーザーは、通常どおりログインできます。


注意:

状況によっては、サイトで稼働するすべてのCommunicatorインスタンスが<Must>要素に指定されたリリースと一致しているかどうかを確認できないことがあります。たとえば、パーソナル・ファイアウォールがupgrade.xmlへのアクセスをブロックしているユーザーには、アップグレードを促す通知は表示されません。

Oracle Communicatorでのバナーの設定

管理者は、サーバーの.xmlファイルを変更することで、クライアントにメッセージを公開できます。この変更に使用される.xmlファイルは、バージョン管理ドキュメントに記載されているnotification.xmlです。notification.xmlのサンプルは次のとおりです。

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<Notification>
<Upgrade>
<Must>11.1.1.10001</Must>
<Recommend>11.1.1.10001</Recommend>
<Download>http://www.oracle.com/downloadsample</Download>
</Upgrade>
<BannerMessage>
<MessageID></MessageID>
<MessageType></MessageType>
<MessageContent></MessageContent>
</BannerMessage>
<Interval>86400</Interval>
</Notification>

管理者は、BannerMessage要素内のタグを変更する必要があります。各タグの簡単な説明は、次のとおりです。

リソース・リスト・ドキュメントを取得するためのOracle Communicatorの構成

<UseServerResourceLists><ResourceListsDocName>および<ResourceListAUID>属性を通じて設定されたパラメータにより、Oracle Communicatorの起動時に、XDMSに格納されたリソース・リスト・ドキュメントからユーザーのバディ・リストを取得できます。Oracle Communicatorでは、ユーザーが最初にログインしたときに、一度だけリソース・リスト・ドキュメントが読み取られます。この最初のログイン後にリソース・リスト・ドキュメントが変更されても(たとえば、Oracle Communicatorの別のセッションを通じたサーバーへの書込みなど)、その変更は読み取られず、上書きもされません。

バディ・リストの更新

Oracle Communicatorでは、部分更新はサポートされません。かわりに、次のような変更が行われた後に、バディ・リスト・ドキュメント全体が保存され、XDMSにアップロードされます。

  • バディの追加

  • 新規グループの追加

  • バディの連絡先情報の変更

  • グループ名の変更

  • 別のグループへのバディの移動

OWLCSではNOTIFY操作がサポートされないため(かわりにXCAP PUTが使用されます)、Oracle Communicatorの異なるインスタンスに基づくバディ・リストは、同期しない可能性があります。たとえば、アリスが自宅のコンピュータと会社のコンピュータでOracle Communicatorのインスタンスを2つ実行しているとします。アリスが自宅のコンピュータから連絡先としてボブを追加しても、会社のコンピュータにはその変更が自動的に通知されません。次に、Oracle Communicatorの会社のインスタンスを再起動せずに、アリスが会社のコンピュータから連絡先としてチャーリーを追加します。Oracle Communicatorの会社のインスタンスには、古いXMLドキュメント(ボブを含まないドキュメント)が存在するため、チャーリーはアリスのバディ・リストに追加されますが、ボブは削除されます(ユーザーがなんらかの方法で連絡先リストを変更すると、OWLCSにより常にバディ・リスト・ドキュメント全体が置換されます)。

バディ・リストのアップグレード

Communicator 10.1.3.2では、連絡先はローカルに格納されます。バディは、(通常はDocuments and Settings\<username>\Application Data\Oracle Communicatorに存在する)ユーザーのアカウント・プロパティ・フォルダに含まれる.datテキスト・ファイルにVCARDSとして格納されます。Communicator 10.1.3.3では、ローカル・ファイルまたはXDMSに格納できる新しいXML形式でバディとグループが格納されます。この変更のため、Communicator 10.1.3.2のバディ・リストは、新規形式にアップグレードする必要があります。

XDMS格納型バディ・リストへのアップグレードを促すプロンプトのユーザーへの表示

XDMSへのリソース・リスト・ドキュメントの格納をサポートする<UseServerResourceLists><ResourceListAUID>および<ResourceListsDocName>属性が構成されると、Oracle Communicatorリリース10.1.3.3以上ではこのアップグレードが次のように実行されます。

  1. ユーザーがOracle Communicator 10.1.3.3以上にログインすると、Communicatorにより.datファイルがまだ存在するかどうかが判別されます。.datファイルの存在は、ユーザーがまだ10.1.3.3以上のリソース・リスト・ドキュメントにアップグレードしていないことを示します。

  2. .datファイルが存在する場合、バディ・リストをアップグレードするかどうかを尋ねるメッセージがユーザーに表示されます。複数のCommunicatorインスタンスを保持するユーザー(XDMSにリソース・リスト・ドキュメントを格納するインスタンスを自宅と会社で別々に持っているユーザーなど)には、このメッセージが必要です。OWLCSでは、部分的な変更やドキュメントのマージはサポートされないため、ユーザーは保存する特定のバディ・リストを選択する必要があります。Oracle Communicatorの複数のインスタンスを保持するユーザーは、アップロードするよう選択したインスタンス以外のすべてのインスタンスに関して、アップグレード・メッセージに「No」と回答する必要があります。

  3. ユーザーがバディ・リストのアップグレードを選択した場合、既存の11.1.1.1のバディ・リストはすべて削除されます。ユーザーのバディおよびグループは、リソース・リスト・ドキュメントに移行されます。

    問題がなければ、.datファイルに.bak拡張子が追加されます。.datファイルの読取り時に問題が発生すると、問題が発生したため空のバディ・リストが使用されることがユーザーに通知されます。.datファイルの名前は、.dat.bak拡張子付きに変更されます。このファイルの保存時に問題が発生すると、ファイルの保存時に問題が発生したため、.datファイルの名前を.dat.bak拡張子付きに変更できないことがユーザーに通知されます。これにより、ユーザーは、将来アップグレードを行うことができます。ユーザーがバディ・リストのアップグレードを選択しない場合、既存の.datファイルの名前は、.dat.bak拡張子付きに変更されます。


注意:

このアップグレードは、ユーザーがリリース10.1.3.2以下からアップグレードし、リリース10.1.3.3以上のOracle Communicatorにログインし、最初にXDMSに対する認証を受けるまで実行されません。