Oracle® Fusion Middleware Oracle WebCenter Contentエンタープライズ・デプロイメント・ガイド 11g リリース1 (11.1.1) B66703-04 |
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この章では、エンタープライズ・デプロイメント用にサーバー移行を構成する手順を説明します。
この章は次の項で構成されています:
Oracle WebLogic Serverの管理対象サーバーではサーバー移行を構成できます。サーバー移行が構成された状態で障害が発生した場合は、各管理対象サーバーを別のホスト・マシン上で再起動できます。管理対象サーバーは、WebLogic Serverによってフェイルオーバーされた特定の浮動IPをリスニングします。
注意: サーバー移行を使用するかどうかまたはサーバー移行が必要かどうかの詳細は、各コンポーネントの章を参照してください。 |
この章で説明される手順は、第2.1.1項「このガイドに記載されている参照用トポロジ」で概略を説明したエンタープライズ・デプロイメント・トポロジの各種コンポーネントで実行される必要があります。この章では、コンポーネント固有のアイテム間で識別するために変数を使用しています。
WLS_SERVER1およびWLS_SERVER2は、エンタープライズ・デプロイメント・コンポーネントのWebLogic Server管理対象サーバーを指します。
HOST1およびHOST2は、エンタープライズ・デプロイメント・コンポーネントのホスト・マシンを指します。
CLUSTERは、エンタープライズ・デプロイメント・コンポーネントと関連付けされたクラスタを指します。
これらの変数に使用する値は、このEDGのコンポーネント固有の章に記載されています。
このエンタープライズ・トポロジでは、WLS_SERVER1およびWLS_SERVER2の管理対象サーバーに対してサーバー移行を構成する必要があります。WLS_SERVER1の管理対象サーバーは、障害発生時にHOST2で再起動するように構成されています。WLS_SERVER2の管理対象サーバーは、障害発生時にHOST1で再起動するように構成されています。この構成では、WLS_SERVER1サーバーとWLS_SERVER2サーバーは、WebLogic Serverの移行によりフェイルオーバーされた特定の浮動IPアドレスをリスニングしています。
表14-1は、WebLogic Server管理対象サーバー用のサーバー移行を構成する手順を説明しています。
表14-1 サーバー移行の構成手順
手順 | 説明 | 詳細 |
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ユーザー、表領域および移行表を設定します。 |
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第14.2項「サーバー移行leasing表のユーザーと表領域の設定」 |
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Oracle RACデータベースの各インスタンスにデータ・ソースを作成するほか、管理コンソールでグローバルな |
第14.3項「管理コンソールを使用したleasingのGridLinkデータ・ソースの作成」 |
ノード・マネージャのプロパティに、移行用の値を指定します。 |
各ホストでnodemanager.propertiesファイルのプロパティの値を編集し、その値を検証します。 |
第14.4項「ノード・マネージャのプロパティ・ファイルの編集」 |
環境を設定し、oracleユーザーにスーパー・ユーザー権限を指定します。 |
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第14.5項「wlsifconfig.shスクリプトの環境とスーパーユーザー権限の設定」 |
クラスタの移行を構成します。 |
移行ターゲットとして利用可能なノードを割り当て、各サーバーに候補となるマシンを指定します。 |
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サーバー移行のテストを実行します。 |
ノード・マネージャまたは管理コンソールからホスト間のサーバー移行を検証します。 |
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create tablespace Leasing
コマンドを使用して、サーバー移行leasing
表のユーザーおよび表領域を設定します。
注意: 同じドメイン内の他のサーバーがすでにサーバー移行で構成されている場合、同じ表領域とデータ・ソースを使用できます。その場合、データベース表 |
サーバー移行リース・テーブルのユーザーおよび表領域を設定する手順は次のとおりです。
leasing
という表領域を作成します。たとえば、sysdba
ユーザーとしてSQL*Plusにログインし、次のコマンドを実行します。
SQL> create tablespace leasing
logging datafile 'DB_HOME/oradata/orcl/leasing.dbf'
size 32m autoextend on next 32m maxsize 2048m extent management local;
注意: データベース・ファイルの場所は、データベースに使用されるストレージの種類とデータ・ファイルの場所によって異なります。 |
leasing
という名前のユーザーを作成し、leasing
表領域に割り当てます。
SQL> create user leasing identified by password;
SQL> grant create table to leasing;
SQL> grant create session to leasing;
SQL> alter user leasing default tablespace leasing;
SQL> alter user leasing quota unlimited on leasing;
leasing.ddl
スクリプトを使用してleasing
表を作成します。
次のいずれかのディレクトリにあるleasing.ddl
ファイルを、データベース・ノードにコピーします。
WL_HOME/server/db/oracle/817/ WL_HOME/server/db/oracle/920/
leasing
ユーザーとしてデータベースに接続します。
leasing.ddl
をSQL*Plusで実行します。
SQL> @copy_location/leasing.ddl;
Oracle WebLogic Server管理コンソールでleasing
表のGridLinkデータ・ソースを作成します。
GridLinkデータ・ソースを作成する手順は次のとおりです。
WebLogicサーバーの管理コンソールにログインします。
「チェンジ・センター」の「ロックして編集」をまだクリックしていない場合はこれをクリックし、「次へ」をクリックします。
「ドメイン構造」ツリーで「サービス」を開き、「データ・ソース」を選択します。
データ・ソースの概要ページで、「新規」をクリックして「GridLinkデータ・ソース」を選択し、次を実行します。
「名前」フィールドに、データ・ソースの論理名を入力します。たとえば、leasing
と入力します。
JNDIの名前を入力します。たとえば、jdbc/leasing
と入力します。
「データベース・ドライバ」では、OracleのGridLink接続用ドライバ(Thin)、バージョン11以降を選択します。
「次へ」をクリックします。
「トランザクション・オプション」ページで、「グローバル・トランザクションのサポート」を選択解除して「次へ」をクリックします。
「GridLinkデータ・ソース接続プロパティのオプション」画面で、「個別のリスナー情報の入力」を選択し、「次へ」をクリックします。
次の接続プロパティを入力します。
サービス名: データベースのサービス名を小文字で入力します。GridLinkデータ・ソースの場合は、Oracle RACサービス名を入力する必要があります。次に例を示します。
wccedg.mycompany.com
ホスト名とポート: 使用するRACデータベースのSCANアドレスとポートを入力します。このアドレスは、TCPプロトコルを使用してデータベース内の該当のパラメータを問い合せることによって特定できます。
SQL>show parameter remote_listener; NAME TYPE VALUE -------------------------------------------------- remote_listener string db-scan.mycompany.com
注意: Oracle Database 11gリリース1 (11.1)の場合は、各データベース・インスタンス・リスナーの仮想IPとポートを使用します。次に例を示します。 custdbhost1-vip.mycompany.com (port 1521) および custdbhost2-vip.mycompany.com (1521) Oracle Database 10gの場合は、マルチ・データ・ソースを使用してOracle RACデータベースに接続します。マルチ・データ・ソースの構成の詳細は、付録A「Oracle RACでのマルチ・データソースの使用」を参照してください。 |
ポート - データベース・サーバーが接続リクエストをリスニングするポート。
データベース・ユーザー名: leasing
パスワード: leasing
ユーザーのパスワードを入力します。
パスワードの確認: パスワードを再入力し、「次へ」をクリックします。
「GridLinkデータベース接続のテスト」ページで、接続パラメータを確認して、「すべてのリスナーのテスト」をクリックします。接続に成功した場合の通知の例を次に示します。
Connection test for jdbc:oracle:thin:@(DESCRIPTION=(ADDRESS_LIST=(ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=db-scan.mycompany.com) (PORT=1521)))(CONNECT_DATA=(SERVICE_NAME=wccedg.mycompany.com))) succeeded.
「次へ」をクリックします。
「ONSクライアント構成」ページで、次の手順を実行します。
「FANの有効化」を選択してOracle FANイベントに登録し、それらのイベントを処理できるようにします。
データベースによって報告されるRACデータベースのSCANアドレスとONSリモート・ポート(次の例を参照)をここにも入力し、「追加」をクリックします。
[orcl@db-scan1 ~]$ srvctl config nodeapps -s ONS exists: Local port 6100, remote port 6200, EM port 2016
「次へ」をクリックします。
注意: Oracle Database 11gリリース1 (11.1)の場合は、各データベースのONSサービスのホスト名とポートを使用します。次に例を示します。 custdbhost1.mycompany.com (port 6200) および custdbhost2.mycompany.com (6200) |
「ONSクライアント構成のテスト」ページで、接続パラメータを確認して、「すべてのONSノードのテスト」をクリックします。
接続に成功した場合の通知の例を次に示します。
Connection test for db-scan.mycompany.com:6200 succeeded.
「次へ」をクリックします。
「ターゲットの選択」ページで、サーバーを移行中のIMG_ClusterおよびSOA_Clusterをターゲットとして選択し、「クラスタのすべてのサーバー」を選択します。
「終了」をクリックします。
「変更のアクティブ化」をクリックします。
3番目の手順は、ノード・マネージャのプロパティ・ファイルを編集することです。これは、サーバーの移行を構成する両方のノードのノード・マネージャに対して実行する必要があります。
Interface=eth0 NetMask=255.255.255.0 UseMACBroadcast=true
Interface: このプロパティは浮動IP(eth0など)のインタフェース名を指定します。
eth0:1
やeth0:2
などのサブインタフェースを指定しないでください。このインスタンスは、:0
や:1
なしに使用されます。ノード・マネージャのスクリプトでは、異なる:
X対応IPを横断して、追加または削除の対象を特定します。たとえば、Linux環境で有効な値は、構成するインタフェースの数に応じて、eth0、eth1、eth2、eth3、ethnになります。
NetMask: このプロパティは浮動IP用インタフェースのネット・マスクを指定します。ネット・マスクは、インタフェース上のネット・マスクと同じである必要があります。このドキュメントの例では、255.255.255.0が使用されています。
UseMACBroadcast: このプロパティはARPパケットを送信する際にノードのMACアドレスを使用するかどうかを指定します。つまり、arping
コマンドで-b
フラグを使用するかどうかを指定します。
これらのプロパティが使用されているか、または移行中に問題が発生していないかを、ノード・マネージャの出力(ノード・マネージャが起動されているシェル)で確認します。ノード・マネージャの出力は、次のように表示されます。
... StateCheckInterval=500 Interface=eth0 NetMask=255.255.255.0 ...
注意: サーバーのプロパティ(起動プロパティ)が適切に設定されており、ノード・マネージャがサーバーをリモートで起動できる場合には、次の手順は必要ありません。 |
nodemanager.properties
ファイルで次のプロパティを設定します。
StartScriptEnabled: このプロパティをtrue
に設定します。これは、ノード・マネージャが起動スクリプトを使用して管理対象サーバーを起動するために必要です。
注意: 共有記憶域のインストールからノード・マネージャを実行すると、同じnodemanager.propertiesファイルを使用して複数のノードが起動します。ただし、ノードごとに異なるNetMaskプロパティまたはInterfaceプロパティが必要な場合があります。この場合、環境変数を使用して、ノードごとに個別にパラメータを指定します。たとえば、 |
4番目の手順では、(oracle
ユーザーに対して)wlsifconfig.shスクリプトの環境とスーパーユーザー権限を設定します。
表14-2に一覧表示されているファイルがPATH
環境変数に含まれていることを確認します。
wlsifconfig.sh
スクリプトに対するsudo
構成権限を付与します。
パスワード・プロンプトを使用しないで機能するsudo
を構成します。
セキュリティ上の理由から、sudo
を、wlsifconfig.sh
スクリプトの実行に必要なコマンドのサブセットに限定する必要があります。たとえば、wlsifconfig.sh
スクリプトのenvironment
とsuperuser
権限を設定するには、次の手順を実行します。
WebLogic Serverユーザー(oracle
)に、パスワード制限のないsudo
権限を付与し、さらに/sbin/ifconfig
と/sbin/arping
バイナリのexecute
権限を付与します。
WebLogic Serverユーザー(oracle
)がこのスクリプトを実行できることを確認します。/etc/sudoers
内の次のエントリ例では、oracle
のsudo
実行権限を、ifconfig
とarping
に対しても付与しています。
oracle ALL=NOPASSWD: /sbin/ifconfig,/sbin/arping
注意: この手順に必要な |
WL_HOME
/server/bin/
ディレクトリにあるstartNodeManager.sh
スクリプトを実行して、HOST1
およびHOST2
のノード・マネージャを起動します。
5番目の手順は、サーバー移行ターゲットを構成することです。まず、クラスタのメンバーに対して使用可能なすべてのノードを割り当て、サーバー移行で構成される各サーバー用の候補サーバーを(適切な順に)指定します。次の手順に従って、クラスタ内の移行でクラスタ移行を構成します。
WebLogic Server管理コンソール(http://
Host
:Admin_Port
/console
)にログインします。通常、Admin_Port
は7001
(デフォルト)です。
左側の「ドメイン構造」ツリーで「環境」を開き、「クラスタ」を選択します。
「クラスタのサマリー」ページで、表の「名前」列内から移行を構成するクラスタ(CLUSTER
)をクリックします。
注意: このドキュメントの手順では、Oracle SOA SuiteおよびImagingクラスタのサーバー移行を構成します。 |
「移行」タブを開きます。
「ロックして編集」をクリックします。
「使用可能」フィールドで、移行を許可する移行先マシンを選択し、右矢印ボタンをクリックします。この場合は、「HOST1」
と「HOST2」
を選択します。
自動移行に使用するデータ・ソースを選択します。この場合は、leasing
データ・ソースを選択します。
「保存」をクリックします。
「変更のアクティブ化」をクリックします。
「ロックして編集」をクリックします。
サーバー移行の候補となるマシンを設定します。管理対象サーバーすべてについてこのタスクを次のように実行する必要があります。
WebLogic Server管理コンソールの左側の「ドメイン構造」ツリーで、「環境」ノードを開き、「サーバー」を選択します。
移行を構成するサーバーを選択します。
注意: このドキュメントの手順では、Oracle SOA SuiteおよびImagingサーバーのサーバー移行を構成します。 |
「移行」タブを開きます。
「移行の構成」セクションにある「使用可能」フィールドで、移行先のマシンを選択し、右向き矢印をクリックします。WLS_SERVER1
には「HOST2」
を選択します。WLS_SERVER2
には「HOST1」
を選択します。
「サーバーの自動移行を有効化」を選択します。これにより、ノード・マネージャはターゲット・ノード上で障害発生サーバーを自動的に起動できます。
「保存」をクリックします。
「変更のアクティブ化」をクリックします。
管理サーバー、ノード・マネージャ、サーバー移行が構成されたサーバーを再起動します。
6番目と最後の手順として、サーバー移行のテストを実行します。サーバー移行が適切に機能していることを確認する手順は次のとおりです。
HOST1から:
WLS_SERVER1管理対象サーバーを停止します。これには、HOST1
で次のコマンドを実行します。
kill -9 pid
pid
は、その管理対象サーバーのプロセスID (PID)を指定します。次のコマンドを実行すると、ノードのプロセスIDを識別できます。
ps -ef | grep WLS_SERVER1
ノード・マネージャのコンソールを確認します。WLS_SERVER1
の浮動IPアドレスが無効化されたことを示すメッセージが表示されます。
ノード・マネージャがWLS_SERVER1
の2回目の再起動を試行するまで待ちます。この再起動を試行するまでに30秒間待機します。
ノード・マネージャでサーバーを再起動したら、再び停止します。サーバーが再びローカルに再起動しないことを示すメッセージがノード・マネージャによってログに記録されます。
HOST2から:
ローカルのノード・マネージャのコンソールを確認します。ノード1で最後にWLS_SERVER1
の再起動が試行されてから30秒経過した後、ノード2のノード・マネージャによって、WLS_SERVER1
の浮動IPが有効になっていること、またこのノードでサーバーが再起動されていることが表示されます。
同じIPでサーバーのコンソールにアクセスします。
管理コンソールからの確認
移行は管理コンソールで確認することもできます。
管理コンソールにログインします。
左側の「ドメイン」をクリックします。
「監視」タブをクリックし、「移行」サブタブをクリックします。
「移行の状態」表に、移行の状態に関する情報が表示されます(図10-1)。
注意: サーバーの移行後、そのサーバーを元のノードまたはマシンにフェイルオーバーするには、WebLogic Server管理コンソールから管理対象サーバーを停止し、再起動します。管理対象サーバーは、適切なノード・マネージャによって以前に割り当てられていたマシン上で起動されます。 |