Oracle® Fusion Middleware Oracle Data Integratorアプリケーション・アダプタ・ガイド 11g リリース1 (11.1.1) B70181-02 |
|
前 |
次 |
この章では、Oracle Data IntegratorでのOracle E-Business Suiteナレッジ・モジュールの使用方法について説明します。
この章では、次の項目について説明します。
Oracle E-Business Suite (EBS)は、オラクル社の顧客のビジネス・ニーズに最適のソリューションを提供する統合ソフトウェア・アプリケーションのスイートです。
EBSナレッジ・モジュールでは、次の機能がサポートされます。
EBSオブジェクトのリバース・エンジニアリング: RKM E-Business Suiteを使用して、E-Business Suiteデータ構造をリバース・エンジニアリングできます。
EBSからのデータの抽出: 表、ビューおよびキー・フレックスフィールドなどのオブジェクトを使用したE-Business Suiteからのデータの抽出に、標準のOracleまたはSQL LKMを使用できます。
EBSへのデータ統合: オープン・インタフェース表を使用したE-Business Suiteへのデータの統合にIKM E-Business Suiteを使用できます。オープン・インタフェースAPIにより、多くのOracle固有のインタフェースがカプセル化され、データの整合性が保証されます。オープン・インタフェースは次のもので構成されます。
ロードされるいくつかのインタフェース表。これらの表は、E-Business Suiteへの入力データのエントリ・ポイントです。
インタフェース表からE-Business Suiteへのデータの挿入の検証および処理を行ういくつかのプログラム。
Oracle E-Business Suite用のOracle Data Integratorナレッジ・モジュールは、データベース層と対話し、メタデータの抽出およびデータのロードを行います。データのロード時には、アプリケーション層の同時処理サーバーとも対話します。
Oracle Data Integratorには、E-Business Suiteデータを処理するためのナレッジ・モジュールが用意されています。これらのリストを表2-1に示します。これらの特定のEBS KMでは、Oracle Data IntegratorとE-Business Suiteの間に包括的な双方向の接続性が提供されており、データの抽出およびロードが可能です。ナレッジ・モジュールでは、E-Business Suiteのすべてのモジュールがサポートされており、EBSオブジェクト表/ビューおよびインタフェース表によって双方向の接続性が提供されます。
表2-1 EBSナレッジ・モジュール
ナレッジ・モジュール | 説明 |
---|---|
IKM E-Business Suite (オープン・インタフェース) |
IKM E-Business Suiteは、EBSインタフェース表へのデータのロードおよび同時リクエストの発行(これによってインタフェース表からベース表へのロードが行われます)に使用されます。 この統合ナレッジ・モジュールでは、次の処理が行われます。
インタフェース表のロードの他に、次のようなオプションのアクションも提供されます。
インタフェース表のロードには、必ずIKM E-Business Suite (オープン・インタフェース) KMを使用してください。E-Business Suiteの物理表への直接の書込みはサポートされていません。 |
RKM E-Business Suite |
このKMは、E-Business Suiteデータ構造をリバース・エンジニアリングします。表、ビュー、フレックスフィールドおよびE-Business Suiteのインタフェース表構造(列、主キーおよび外部キー)などのEBSオブジェクトがリバースされます。 |
E-Business Suiteデータでの作業を開始する前に、この項の情報を必ず読んでください。
インストールを実行する前に、システム要件および動作要件のドキュメントを読んで、使用する環境がインストールする製品の最低インストール要件を満たすことを確認する必要があります。
サポートされているプラットフォームおよびバージョンのリストには、次のOracle Technical Network (OTN)からアクセスできます。
http://www.oracle.com/technology/products/oracle-data-integrator/index.html
Oracle Data IntegratorでE-Business Suiteデータを使用するためのテクノロジ固有の要件はありません。
Oracle Data IntegratorでE-Business Suiteデータを使用するための接続性要件はありません。
この手順では、データ・サーバーおよび、E-Business Suiteデータを格納するOracle Databaseの物理スキーマと論理スキーマを、Oracle Data Integratorで宣言します。
『Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator接続およびナレッジ・モジュール・ガイド』のOracleデータ・サーバーの作成に関する項に記載されているとおり、Oracleテクノロジ用データ・サーバーを作成します。このデータ・サーバーは、E-Business Suiteデータを格納するOracle Databaseインスタンスを指している必要があります。
『Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator開発者ガイド』の物理スキーマの作成に関する項に記載されている標準の手順で、Oracle物理スキーマを作成します。このスキーマは、E-Business Suite表を指しているシノニムを含むOracleスキーマを指している必要があります。
注意: 物理スキーマは、E-Business Suite表を指しているシノニムを含むOracleスキーマを表す必要があります。このスキーマは通常APPSと呼ばれます。これが、アプリケーションの物理表を含むOracleスキーマを直接指すことはできません。これらの物理表は、通常関連するアプリケーションの名前をとって命名されています。 リバース・エンジニアリングを行うには、物理スキーマが添付されているデータ・サーバーで指定されたOracleユーザーに、APPLSYS表およびOracleデータ・ディクショナリから選択する権限が必要です。 |
『Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator開発者ガイド』の論理スキーマの作成に関する項に記載されている標準の手順で、この物理スキーマ用の論理スキーマを作成し、特定のコンテキストで関連付けます。
注意: E-Business Suite表を含むOracleスキーマおよび、これらの表を指すシノニムを含むOracleスキーマは、物理スキーマ定義で作業スキーマとして定義できません。また、これらのOracleスキーマは、インタフェースのステージング領域として使用しないでください。 |
E-Business Suiteの機能を使用してプロジェクトを設定するには、標準の手順に従います。『Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator開発者ガイド』の統合プロジェクトの作成に関する項を参照してください。
次のKMをOracle Data Integratorプロジェクトにインポートします。
IKM E-Business Suite (オープン・インタフェース)
RKM E-Business Suite
これらの特定のEBS KMに加えて、Oracle Databaseでデータの抽出およびデータの品質チェックを実行する標準Oracle LKMおよびCKMをインポートします。利用できるKMのリストは、『Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator接続およびナレッジ・モジュール・ガイド』のOracle Databaseに関する項を参照してください。
この項の内容は次のとおりです。
『Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator開発者ガイド』のモデルの作成に関する項に記載されているように、Oracleテクノロジ、および標準の手順を使用してE-Business Suite接続を構成したときに作成された論理スキーマに基づいてOracleモデルを作成します。
注意: Oracle Data Integratorで定義されるE-Business Suiteテクノロジはありません。EBSデータをホストするOracle Databaseに対応する論理スキーマ上にデータ・モデルが作成されます。 |
RKM E-Business Suiteでは、インストールされたE-Business Suite表をリバース・エンジニアリングし、E-Business Suite統合リポジトリから取得した情報を付加できます。
リバース・エンジニアリング・プロセスでは、次に示す情報を返します。
インストールされたサブモデルとしてのE-Business Suite (モジュール)
モジュールのサブモデルごとに、表、ビュー、フレックスフィールド、およびインタフェース表のサブモデル
データストア内の表、列、および主キーと外部キー
表のコメント
RKM E-Business Suiteを使用して、EBS表のカスタマイズされたリバース・エンジニアリングを実行するには、『Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator開発者ガイド』のモデルのリバース・エンジニアリングに関する項に記載されている通常の手順を行います。この項では、EBS表固有のフィールドのみについて説明します。
Oracleモデルの「リバース」タブで、RKM E-Business Suiteを選択します。
次のようにRKMのオプションを設定します。
Applications List: アプリケーションの短縮名(INV
など)のリストを入力します。
Only Installed Applications: インストール済アプリケーションと共有アプリケーションのみをリバース・エンジニアリングするには、このオプションをYES
に設定します。このオプションをNO
に設定すると、すべてのアプリケーションがリバース・エンジニアリングされます。
Min Rows: すべての表をリバース・エンジニアリングする場合は、デフォルト値0
のままにします。最小行数の表のみをリバース・エンジニアリングする場合、このオプションでその最小行数を指定します。
Description Mask: E-Business Suiteの摘要に基づいてリバース・エンジニアリングされるオブジェクトをフィルタ処理するための摘要マスクを指定します。
Flexfields: このオプションをYES
に設定すると、アプリケーションのフレックスフィールドがリバース・エンジニアリングされます。
Interface Tables: このオプションをYES
に設定すると、アプリケーションのインタフェース表がリバース・エンジニアリングされます。
リバースする表を選択するには、「マスク」フィールドでリバース・マスクを指定します。「リバース」タブの「マスク」フィールドで、名前に基づいてリバース・エンジニアリングされるオブジェクトがフィルタ処理されます。
注意: 「マスク」フィールドおよびDescription Maskオプションは、SQL Likeを使用して実装されています。選択できるパターンは次のとおりです。
|
リバース・エンジニアリング・プロセスでは、アプリケーションおよび表をサブモデルおよびデータストアとして返します。統合インタフェースのソースまたはターゲットとしてOracle Applicationsを使用できます。
E-Business Suiteのリバース・エンジニアリングの機能
E-Business Suite表のリバース・エンジニアリングには、次の機能があります。
E-Business Suiteモジュールがサブモデルとしてリバースされます。サブモデル名はアプリケーション名に対応しています。
各アプリケーション・サブモデルは、表、ビュー、フレックスフィールド、およびインタフェース表のサブモデルに分類されます。
表/ビュー、列、および主キーと外部キーがデータストアでリバースされます。
<AppName>のフレックスフィールドと呼ばれるサブモデルがアプリケーションごとに作成されます。フレックスフィールド・サブモデルのデータストアは、アプリケーション用に登録されているキー・フレックスフィールドのConcatenated_Segment_Viewsに対応しています。これらのオブジェクトはビューのサブセットです。フレックスフィールド・サブフォルダのデータストアは、フレックスフィールドの名前をとって命名されます。
インタフェース表サブモデルのデータストアは、名前にINTERFACEというパターンを含む表に対応しています。これらのオブジェクトは表のサブセットです。
注意: オープン・インタフェース(EBS統合リポジトリで指定)の一部には、INTERFACEというパターンが名前に含まれていないインタフェース表を持つものがあります。 |
E-Business Suiteリバース・エンジニアリング・プロセスの制限
この項では、E-Business Suite表のリバース・エンジニアリングの制限について説明します。
選択的なリバース・エンジニアリングは、このナレッジ・モジュールでは使用できません。
Min Rowsオプションを使用するには、Oracle統計がすべての表で計算される必要があります。
Oracle Data Integratorデータ・サーバーで定義されているOracleユーザーが、リバース・エンジニアリングする表の所有者ではない場合、これらの表でこのユーザーのシノニムを定義する必要があります。
キー・フレックスフィールドのみがサポートされています。付加フレックスフィールドはサポートされていません。
E-Business Suiteは、統合インタフェースのソースおよびターゲットとして使用できます。
インタフェース用に選択したKMによって、このインタフェースの機能およびパフォーマンスが決まります。この項に示す推奨事項は、EBSデータのロードおよび統合に関連する様々な状況でのKMの選択に役立ちます。
E-Business Suiteをソースとして使用する場合、アプリケーションからデータを抽出して別のシステム(データ・ウェアハウス、他のデータベースなど)に統合します。
E-Business Suiteからのデータの抽出は、Oracle Databaseをソースとする通常の統合インタフェースを使用して行います。このためには、Oracle Databaseテクノロジで機能するナレッジ・モジュールを使用できます。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator接続およびナレッジ・モジュール・ガイド』のOracleからのデータのロードに関する項を参照してください。
Oracle Data Integratorでは、データをE-Business Suiteに統合するためのIKM E-Business Suite (オープン・インタフェース)を提供しています。E-Business Suiteへの統合プロセスは次のとおりです。
一連のオープン・インタフェース表は、特定のトランザクションのバッチでロードされます。このトランザクションは、グループIDで識別されます。グループIDについては、次の点に注意してください。
バッチ内の最初の表でグループIDが存在しない場合は、これを作成します。
バッチ内の後続の表については、バッチで別の表がロードされたら、このグループIDを使用します。
バッチ内で最後の表がロードされたら、このグループIDを削除します。
バッチ内の任意の位置でE-Businessインタフェース・プログラムをコールする必要がある場合、オープン・インタフェース・プログラムを実行して、インタフェース表のデータを検証し、処理する必要があります。バッチは、オープン・インタフェース表からベース表をロードするオープン・インタフェース・プログラム・コールで終了します。
これらの処理は、IKM E-Business Suite (オープン・インタフェース)でサポートされています。このIKMは、IKM Oracle Incremental Updateと同様に使用され、オープン・インタフェース表をロードするための同様のオプションをサポートしています。この項では、オープン・インタフェースに固有のオプションについて説明します。IKM Oracle Incremental Updateの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator接続およびナレッジ・モジュール・ガイド』のOracle Databaseに関する項を参照してください。
グループIDの処理やオープン・インタフェース・プログラムの実行など、E-Business Suiteに固有のアクションのための統合インタフェースの構成については、2.6.2.1項「グループIDの管理」および2.6.2.2項「オープン・インタフェース・プログラムの実行」を参照してください。
データをE-Business Suiteに統合するトランザクションは、グループIDで識別されるバッチです。たとえば、いくつかのインタフェース表をロードしてE-Business Suiteで結果を生成する場合、これらのすべてのロード処理およびプログラムの検証と処理へのコールには、このバッチのグループIDが使用されます。
この項の内容は次のとおりです。
グループIDの作成
1つの単一バッチにおいてインタフェース表のグループをロードする最初の統合インタフェースでは、強制的にグループIDを作成する必要があります。
統合インタフェースでグループIDを作成する手順は次のとおりです。
KMオプションで次を設定します。
OA_CREATE_NEW_GROUP_IDをYES
に設定します。
OA_GROUP_ID_NAMEオプションにグループID名を指定します。
注意: グループID名は、指定のインスタンスで一意である必要があります。バッチ処理の最後にグループIDを削除する場合、OA_REMOVE_GROUP_IDオプションを使用する必要があります。 |
OA_GROUP_ID_EXPRESSIONオプションのグループID値には有効なSQL式を指定します。<SEQUENCE_NAME>.NEXTVAL
などのOracle Database順序値を使用します。
統合インタフェース・マッピングで、グループID値を使用してロードするインタフェース表のすべての列に対してフラグUD1を選択し、マッピング値を0
に設定します。
バッチに属する次の統合インタフェースでは、既存のグループIDを使用する必要があります。
既存のグループIDの使用方法
統合インタフェースで既存のグループIDを使用する手順は次のとおりです。
OA_USE_EXISTING_GROUP_ID IKMオプションをYes
に設定します。
OA_GROUP_ID_NAME IKMオプションにグループID名を指定します。
統合インタフェース・マッピングで、グループID値を使用してロードするすべての列に対してフラグUD1を選択し、マッピング値を0
に設定します。
インタフェース表のバッチをロードする最後の統合インタフェースでは、不要になったグループIDを削除できます。
既存のグループIDの削除
既存のグループIDを削除する手順は次のとおりです。
OA_REMOVE_GROUP_IDオプションを選択します。
OA_GROUP_ID_NAMEオプションにグループID名を指定します。
統合インタフェース・マッピングで、グループID値を使用してロードするインタフェース表のすべての列に対してフラグUD1を選択し、マッピング値を0に設定します。
注意: グループIDは、Oracle Applicationsインタフェース表を指す物理スキーマで指定された作業スキーマで作成されるSNP_OA_GROUP表に格納されます。グループIDは、Oracle Data Integratorでは一意のグループID名で参照されます。 |
Oracle Data Integrator統合インタフェースでは、一連のインタフェース表がロードされる際、E-Business Suiteインタフェース表のデータを検証および処理するため、オープン・インタフェース・プログラムをコールする必要があります。このコールには既存のグループIDを使用できます(「既存のグループIDの使用方法」を参照)。同じ統合インタフェースで、オープン・インタフェースに表が1つしかない場合は、グループIDを作成することもできます(「グループIDの作成」を参照)。オープン・インタフェース・プログラムの実行は、パッケージの最後の統合インタフェースで開始されます。この統合インタフェースでは、一連のオープン・インタフェース表にデータが移入され、通常は、グループIDが必要なくなると、これを削除します。
オープン・インタフェース・プログラムを実行する手順は次のとおりです。
SUBMIT_PROGRAMオプションをYES
に設定します。
OA_PROGRAMオプションでコールするプログラムの名前を指定します。
注意: 使用可能なオープン・インタフェース・プログラムおよびそれらのパラメータのリストは、E-Business SuiteモジュールAPIおよびオープン・インタフェースのドキュメント、またはE-Business Suite統合リポジトリを参照してください。 |
OA_ARGUMENTSオプションでプログラム・パラメータを指定します。パラメータは次の形式で指定します。
argument_name => 'argument value', argument_name => 'argument value' ...
1つの引数がグループIDの値を取る必要がある場合は、argument Name => v_group_id
を指定する必要があります。
次のオプションの値を設定して、プログラムを実行するセッションのコンテキスト・パラメータを指定することも必要です。
OA_USER_NAME: E-Business Suiteのユーザー名
OA_REPONSIBILITY: E-Business Suiteの職責名
OA_LANGUAGE: その職責に使用される言語
OA_APPLICATION: その職責が属するアプリケーション