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Oracle® Fusion Middleware Oracle Data Integratorアプリケーション・アダプタ・ガイド
11g リリース1 (11.1.1)
B70181-02
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6 Oracle Siebel CRM

この章では、Oracle Data IntegratorでのOracle Siebel CRMナレッジ・モジュールの使用方法について説明します。

この章では、次の項目について説明します。

6.1 概要

Oracle Data Integratorでは、Oracle Siebel CRMアプリケーションを統合できます。これは、Siebelメタデータのリバース・エンジニアリング、Siebelビジネス・コンポーネント表でのデータ抽出およびEIM表を使用した統合をサポートします。

6.1.1 概念

Oracle Data IntegratorのSiebelナレッジ・モジュール(KM)は、次のような目的で、Siebelの成熟した統合方法を使用しています。

  • Siebelデータ構造(ビジネス・コンポーネントおよびビジネス・オブジェクト)のリバース・エンジニアリング

  • EIM (Enterprise Integration Manager)表のリバース・エンジニアリング

  • データレベルでの統合を使用したSiebelからのデータの読取り

  • EIM表を使用したSiebelデータの読取りおよび書込み

これらの機能は、Siebelのバックエンド・データベースとして使用されるOracleデータベースおよびMicrosoft SQL Server (MSSQL)データベースでサポートされています。この章では、<database>は、これらのテクノロジのいずれかを意味します。

6.1.2 Siebelからのデータ抽出の概要

Oracle Data Integratorでは、Siebelからデータを抽出する次の2つの方法を提供しています。

データレベルでの統合

データの抽出は、Siebelビジネス・コンポーネント表で直接実行されます。Siebelデータベースからデータを抽出してSiebelデータ・モデルを統合インタフェースのソースとして使用し、これらを別のシステムに統合できます。この状況でSiebelをソースとして使用することは、統合インタフェースのソースとして通常の表を使用することと同じです。この統合方法は読取り専用です。

  • リバース・エンジニアリング: Siebelビジネス・コンポーネントをリバース・エンジニアリングするには、RKM Siebel <database> (<database>はSiebel表をホストするデータベースの名前)を使用します。このRKMによって、Siebelデータ構造をリバース・エンジニアリングし、Siebelディレクトリから取得した情報を付加できます。

  • 抽出: SiebelからSiebelデータを抽出する様々なナレッジ・モジュールにアクセスできます。汎用SQL、Oracle DatabaseまたはMicrosoft SQL ServerのKMをこの目的で使用できます。

EIM表を使用した統合

EIM表を使用してSiebelからデータを抽出し、Siebelにデータをロードします。EIM表は、Siebelアプリケーションとその他のアプリケーション(別のSiebelもこれらアプリケーションの1つに該当します)との間のステージング領域として機能します。この方法では、読取りおよび書込みがサポートされます。

  • リバース・エンジニアリング: Siebel EIM表をリバース・エンジニアリングするには、RKM Siebel EIM <database>を使用します。このRKMでは、Siebel EIM表をリバース・エンジニアリングし、Siebelディレクトリから取得した情報を付加できます。

  • 抽出: Siebelアプリケーション表からEIM表をロードするエクスポート・スクリプトを自動実行した後に、EIM表でデータの抽出が行われます。Siebel EIM表からデータを抽出し、任意のSQLステージング領域にロードするには、LKM Siebel to SQL (EIM)を使用します。

    このLKMではまず、適切なEIM構成ファイル(.ifb - インタフェース・ビルダー・ファイル)が生成され、サーバー・マネージャを使用してエクスポート・プロセスが実行されます。その後、EIM Siebel表から選択されたデータがステージング領域に抽出されます。

  • 統合: EIM表へのデータの統合が実行された後、インポート・スクリプトが生成および実行され、EIM表からSiebelアプリケーション表にデータがインポートされます。この統合を実行するには、ステージング領域から、IKM SQL to Siebel Append (EIM)を使用します。

    このIKMではまず、ステージング領域からEIM表にデータがロードされます。次に、EIM構成ファイル(.ifb)が生成され、サーバー・マネージャを使用してインポート・プロセスが実行されます。


    注意:

    Siebelへの書込みには、必ずEIM表を使用してください。Siebel物理表に直接書き込むことは推奨されません。


6.1.3 ナレッジ・モジュール

Oracle Data Integratorには、Siebel CRMデータを処理するためのナレッジ・モジュールが用意されています。これらのリストを表6-1に示します。Oracle Siebel CRMに固有のこれらのナレッジ・モジュールでは、Oracle Data IntegratorとOracle Siebel CRMプラットフォームとの間の統合および接続性が提供されています。

表6-1 Siebel CRMナレッジ・モジュール

ナレッジ・モジュール 説明

IKM SQL to Siebel Append (EIM)

ANSI-SQL92準拠の任意のステージング領域からSiebel EIM (Enterprise Integration Manager)表にデータを統合して、適切なEIM構成ファイル(.ifb)を生成し、Siebelサーバー・マネージャを使用してインポート・プロセスを実行します。ターゲット表は、切捨て/挿入モードで移入されます。

LKM Siebel to SQL (EIM)

Siebel EIM (Enterprise Integration Manager)表からANSI-SQL92準拠の任意のステージング領域にデータをロードします。このモジュールでは、ランタイム・エージェントを使用してEIM (Enterprise Integration Manager)表からステージング領域にデータが抽出されます。適切なEIM構成ファイル(.ifb)を生成し、Siebelサーバー・マネージャを使用してエクスポート・プロセスを実行できます。

RKM Siebel Oracle

Siebel用のリバース・エンジニアリング・ナレッジ・モジュール。

ビジネス・オブジェクトはサブモデルとしてリバースされ、ビジネス・コンポーネントは、列および制約(主キーおよび外部キー)を持つデータストアとしてリバースされます。

RKM Siebel EIM Oracle

Siebel EIM (Enterprise Integration Manager)表用のリバース・エンジニアリング・ナレッジ・モジュール。

Siebelプロジェクトはサブモデルとしてリバースされ、EIM表は、列と主キーを持つデータストアとしてリバースされます。

RKM Siebel MSSQL

このRKMは、Microsoft SQL Serverデータベースの上にインストールされたSiebelにRKM Siebel Oracleと同じ機能を提供します。

RKM Siebel EIM MSSQL

このRKMは、Microsoft SQL Serverデータベースの上にインストールされたSiebelにRKM Siebel EIM Oracleと同じ機能を提供します。


6.2 インストールおよび構成

Siebel CRMデータでの作業を開始する前に、この項の情報を必ず読んでください。

6.2.1 システム要件および動作要件

インストールを実行する前に、システム要件および動作要件のドキュメントを読んで、使用する環境がインストールする製品の最低インストール要件を満たすことを確認する必要があります。

サポートされているプラットフォームおよびバージョンのリストには、次のOracle Technical Network (OTN)からアクセスできます。

http://www.oracle.com/technology/products/oracle-data-integrator/index.html

6.2.2 テクノロジ固有の要件

Siebel EIM KMSを使用するには、ランタイム・エージェントをホストするマシンにSrvrmgr Siebelユーティリティをインストールする必要があります。

6.2.3 接続性要件

Oracle Data Integratorは、JDBC接続を使用して、Siebel CRMデータをホストするデータベースに接続します。OracleデータベースおよびMicrosoft SQL ServerデータベースとのJDBC接続性の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator接続およびナレッジ・モジュール・ガイド』のOracle Databaseの接続性要件に関する項およびMicrosoft SQL Serverの接続性要件に関する項を参照してください。

6.3 トポロジの設定

この手順では、データ・サーバーおよび、Siebel CRMデータの格納に使用される物理スキーマと論理スキーマを、Oracle Data Integratorで宣言します。

6.3.1 データ・サーバーの作成

Siebel CRM表は、OracleスキーマまたはMicrosoft SQL Serverデータベースに格納できます。

OracleまたはMicrosoft SQL Serverのいずれかのテクノロジのデータ・サーバーを作成します。『Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator接性およびナレッジ・モジュール・ガイド』のOracleデータ・サーバーの作成に関する項またはMicrosoft SQL Serverデータ・サーバーの作成に関する項を参照してください。

このデータ・サーバーは、Siebel CRMデータを格納するデータベース・インスタンスを表します。

6.3.2 物理スキーマの作成

6.3.1項「データ・サーバーの作成」で作成したデータ・サーバーの下に物理スキーマを作成します。『Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator開発者ガイド』の物理スキーマの作成に関する項に記載されている標準の手順に従います。

このスキーマは、リバース・エンジニアリングするSiebel表またはEIMデータ構造を含むOracleスキーマまたはMicrosoft SQL Serverデータベースを指している必要があります。


注意:

Siebel CRM表を格納するOracleスキーマまたはMicrosoft SQL Serverデータベースは、物理スキーマ定義で作業スキーマとして定義しないでください。また、このスキーマまたはデータベースは、インタフェースのステージング領域として使用しないでください。


『Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator開発者ガイド』の論理スキーマの作成に関する項に記載されている標準の手順で、この物理スキーマ用の論理スキーマを作成し、特定のコンテキストで関連付けます。

6.4 プロジェクトの設定

Siebel CRMの機能を使用してプロジェクトを設定するには、標準の手順に従います。『Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator開発者ガイド』の統合プロジェクトの作成に関する項を参照してください。

次のKMをOracle Data Integratorプロジェクトにインポートします。

これらの特定のSiebel CRM KMに加えて、OracleテクノロジまたはMicrosoft SQL Serverテクノロジの標準LKMをインポートします。利用できるKMのリストは、『Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator接続およびナレッジ・モジュール・ガイド』のOracle Databaseのナレッジ・モジュールに関する項とMicrosoft SQL Serverのナレッジ・モジュールに関する項を参照してください。

6.5 モデルの作成およびリバース・エンジニアリング

この項の内容は次のとおりです。

6.5.1 モデルの作成

『Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator開発者ガイド』のモデルの作成に関する項の説明に従って、OracleテクノロジまたはMicrosoft SQL Serverテクノロジ、および標準の手順を使用したトポロジの設定時に作成された論理スキーマに基づいてモデルを作成します。

6.5.2 Siebel CRM表のリバース・エンジニアリング

Siebel RKMでは、Siebelビジネス・コンポーネントまたはSiebel EIM表をリバース・エンジニアリングし、Siebelディレクトリから取得した情報を付加できます。

RKM Siebel <database>を使用したリバース・エンジニアリング・プロセスでは、次のものを返します。

  • インストールされたサブモデルとしてのビジネス・オブジェクト

  • 列および制約(主キーおよび外部キー)を持つデータストアとしてのビジネス・コンポーネント

  • リバースされた表および列のコメント

RKM Siebel <database> EIMを使用したリバース・エンジニアリング・プロセスでは、次のものを返します。

  • サブモデルとしてのプロジェクト

  • 列および制約(主キーおよび外部キー)を持つデータストアとしてのEIM表

Siebel CRM RKMを使用して、Siebel CRM表のカスタマイズされたリバース・エンジニアリングを実行するには、『Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator開発者ガイド』のモデルのリバース・エンジニアリングに関する項に記載されている通常の手順を使用します。この項では、Siebel CRM表固有のフィールドのみについて説明します。

  1. モデルの「リバース」タブで、使用する統合メソッドに応じて、RKM Siebel <database>またはRKM Siebel EIM <database>を選択します。

  2. RKMオプションは、手順1で選択したRKMによって異なります。次のように使用します。

    1. RKM Siebel to OracleまたはRKM Siebel MSSQLの場合

      ビジネス・オブジェクトのオプションで、リバース・エンジニアリングするビジネス・オブジェクトをフィルタ処理するためのマスクを指定します。

      たとえば、AccountAcc%CustomerEmployee%mpl%などです。

      パーセント記号(%)では、すべてのビジネス・オブジェクトが返されます。

    2. RKM Siebel EIM OracleまたはRKM Siebel EIM MSSQLの場合: 表6-2に示されるオプションを設定します。

      表6-2 Siebel EIMナレッジ・モジュールのKMオプション

      オプション 説明

      USE_PROJECT

      Oracle Data Integratorでサブモデルとしてプロジェクトをリバース・エンジニアリングするには、このオプションをYESに設定します。

      REPOSITORY

      Siebelリポジトリ名を指定します。デフォルトはSiebel Repositoryです。

      PROJECT_NAME

      リバース・エンジニアリングするSiebelプロジェクトをフィルタ処理するマスクを指定します。

      たとえば、EIM AccountsおよびQuotes、EIM Activity、EIM A%などです。パーセント記号(%)ではすべてのSiebelプロジェクトが返されます。


  3. リバースする表を選択するには、「マスク」フィールドにリバース・エンジニアリング・マスクを指定します。「リバース」タブの「マスク」フィールドで、名前に基づいてリバース・エンジニアリングされるオブジェクトがフィルタ処理されます。「マスク」フィールドは空にしないでください。少なくともパーセント記号(%)を含める必要があります。

リバース・エンジニアリング・プロセスでは、アプリケーションおよび表をサブモデルおよびデータストアとして返します。これらのSiebel CRMデータストアは統合インタフェースのソースとして使用できます。

6.6 インタフェースの設計

Siebelビジネス・コンポーネント表は、インタフェースのソースとして使用できます。EIM表はソースまたはターゲットとして使用できます。

インタフェース用に選択したKMによって、このインタフェースの機能およびパフォーマンスが決まります。この項に示す推奨事項は、Siebel CRMデータのロードおよび統合に関連する様々な状況でのKMの選択に役立ちます。

6.6.1 Siebelからのデータのロード

RKM Siebel <database>を使用してリバース・エンジニアリングを実行した後は、Siebelデータ表を統合インタフェースのソースとして使用できます。

この状況でSiebel CRMをソースとして使用することは、統合インタフェースのソースとしてOracleデータストアまたはMicrosoft SQL Serverデータストアを使用することと同じです。汎用SQL、Oracle DatabaseまたはMicrosoft SQL ServerのKMをこの目的で使用できます。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator接続およびナレッジ・モジュール・ガイド』の次の章を参照してください。

  • 「Oracle Database」

  • 「汎用SQL」

  • 「Microsoft SQL Server」

6.6.2 EIM表を使用したSiebelからのデータのロード

EIM表を使用してSiebelからデータを抽出するには、EIM表をソースとして、統合インタフェースを作成します。LKM Siebel to SQL (EIM)を選択して、KMオプションを次のように設定します。

  • IFB_PATH: EIM構成ファイル(.ifb)を作成するパスを指定します。

  • SRVRMGR_PATH: Siebel srvrmgrバイナリの場所を指定します。このパラメータは必須です。

  • SIEBEL_GATEWAY: ゲートウェイ・サーバー・マシンのネットワーク・アドレスを指定します。

  • SIEBEL_ENTERPRISE: エンタープライズ・サーバーの名前を示します。

  • SIEBEL_SERVER: Siebelサーバーの名前を示します。

  • SERVER_USER: サーバー管理者のユーザー名を示します。

  • SERVER_USER_PWD: サーバー管理者のパスワードを示します。

LKM Siebel to SQL (EIM)では次の処理が自動実行されます。

  1. EIM表へのエクスポート・プロセスが記述されたEIM構成ファイルが生成されます。

  2. Siebel srvrmgrコマンドラインなどを使用してEIMプロセスが実行されます。

  3. EIM表から他のアプリケーションにデータを抽出、変換およびロードします。

6.6.3 EIM表を使用したSiebelのデータの統合

EIM表を使用してSiebelにデータを挿入するには、EIM表をターゲットとして統合インタフェースを作成します。IKM SQL to Siebel Append (EIM)を選択し、次のようにKMオプションを設定します。

  • IFB_PATH: EIM構成ファイル(.ifb)を作成するパスを指定します。

  • SRVRMGR_PATH: Siebel srvrmgrバイナリの場所を指定します。このパラメータは必須です。

  • SIEBEL_GATEWAY: ゲートウェイ・サーバー・マシンのネットワーク・アドレスを指定します。

  • SIEBEL_ENTERPRISE: エンタープライズ・サーバーの名前を示します。

  • SIEBEL_SERVER: Siebelサーバーの名前を示します。

  • SERVER_USER: サーバー管理者のユーザー名を示します。

  • SERVER_USER_PWD: サーバー管理者のパスワードを示します。

IKM SQL to Siebel Append (EIM)では次の処理が自動実行されます。

  1. 適切なEIM表がロードされます。

  2. EIM表からのインポート・プロセスが記述されたEIM構成ファイルが生成されます。

  3. Siebel srvrmgrコマンドラインなどを使用してEIMプロセスが実行されます。