Oracle® Fusion Middleware Oracle Business Process Management Business Process Composerユーザーズ・ガイド 11g リリース1(11.1.1.7) B61410-07 |
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この章ではビジネス・プロセス設計について説明します。この章にはBusiness Process Management Notation (BPMN)の基本的な概要を示します。この概要では、主に、このガイドで使用されるBPMN固有の用語について説明します。
OracleでのBPMN 2.0の実装の詳細は、付録A「BPMNフロー・オブジェクト・リファレンス」を参照してください。
また、この章では、営業見積サンプル・プロジェクトについても説明します。このプロジェクトはOracle BPMドキュメント・セット内の例全体で使用されています。
この章の内容は次のとおりです。
この項では、Business Process Management Notation (BPMN)の概要について説明します。ここでは、主に、このガイド全体で使用されるBPMN用語について説明します。
Business Process Management Notation (BPMN)は、ビジネス・プロセスの定義に関する業界標準の表記です。Oracle BPMでは、BPMN 2.0がサポートされています。
BPMNに関する一般的な情報については、http://www.bpmn.org
を参照してください。Oracle BPMでサポートされているBPMN機能仕様については、http://www.omg.org/spec/BPMN/2.0/
を参照してください。
ビジネス・プロセスは一般に、実行後に明確な出力を生成する一連のタスクとして定義できます。ビジネス・プロセスという用語が示すように、通常、ビジネス・プロセスは会社または組織のコンテキスト内で実行される作業を表します。
営業見積プロジェクトは、ビジネス・プロセスの例を示しています。このプロジェクトにはタスクのシーケンスが含まれており、このシーケンスを実行すると、営業見積の承認または却下という結果が発生します。
また、Oracle BPMのコンテキストにおいては、ビジネス・プロセスはソフトウェアを使用して管理できる対象でもあります。Oracle BPMを使用すると、実際のビジネス・プロセスを営業見積サンプルのようにモデリングしてIT環境に統合できます。
プロセス・インスタンスは、ビジネス・プロセスの特定のインスタンスを表します。通常、ビジネス・プロセスには組織における作業の実行方法を定義するのに対し、プロセス・インスタンスではその組織内の特定の担当者の作業を表します。Oracle BPMでは、この担当者はプロセス参加者と呼ばれます。
たとえば、営業見積サンプルでは、ビジネス・プロセスの全体的な定義またはモデルを示しています。ここには、作業の実行を担当するプロセス参加者のロールが含まれています。このサンプルでは、営業見積を作成および承認する方法、およびその作業を実行する担当者のタイプが定義されます。
対照的に、プロセス・インスタンスは、特定の営業見積およびその承認を担当する特定の担当者を表します。
Oracle BPMを使用すると、ビジネス・プロセスをモデリングして実行可能なビジネス・アプリケーションに変換し、これらのアプリケーション内で作成されたプロセス・インスタンスを管理できるため、プロセスとプロセス・インスタンスの間のこのような区別が重要になります。
フロー・オブジェクトは、プロセス内で実行される作業を表すBPMNコンポーネントです。次の各項では、BPMNで使用できるフロー・オブジェクトのタイプについて説明します。
タスク: プロセスによって実行される作業を表します。
イベント: プロセスにおいて発生する事柄を定義します。
ゲートウェイ: プロセスのフローを決定します。
シーケンス・フロー: フロー・オブジェクトを接続し、プロセスの論理フローを定義します。
営業見積プロジェクトでは、様々なOracle BPM機能の現実的な例を示します。このプロジェクトは、このドキュメントで説明されている機能の例を示すために、Oracle BPMドキュメント・セット内部で使用されています。
図F-1は、営業見積サンプルを示しています。
次の各項では、営業見積サンプル・プロセスがどのように動作するかについて説明します。この例は、次に示す、より高いレベルのタスクに細分化できます。
営業見積の開始
ビジネス実行確認の決定
見積の承認
承認結果
これらの高いレベルのタスクについては、次の項で説明します。各項では、それぞれのタスクの実行に必要となる特定のフロー・オブジェクトの詳細が示されています。
営業見積プロジェクト内の最初のフロー・オブジェクトは、図F-2に示すように、データ・オブジェクトの初期値を設定し、プロセス・インスタンスを開始するために使用されます。
営業見積の開始の部分では、次の処理を実行します。
プロセスの開始点の定義(None開始イベント)
データ・オブジェクトの開始(スクリプト・タスク)
プロセス・インスタンスの開始(イニシエータ・パターンを使用したユーザー・タスク)
ビジネス・インジケータ・データ・オブジェクトの値の設定(スクリプト・タスク)
営業見積サンプルのフロー・オブジェクトの次のセットでは、企業のビジネス実行の確認が必要かどうかを決定します。確認が必要な場合、プロセスは、プロセス・フロー内の確認を実行する部分に進みます。確認が必要でない場合、プロセスは直接承認ステージに進みます。
図F-3は、ビジネス実行確認を実行するためのBPMNフロー・オブジェクトを示しています。
プロセス・インスタンスは、次のようにビジネス実行確認を進みます。
承認フローの決定(ビジネス・ルール・タスク)
このステージは、ビジネス・ルール・タスクで開始します。このタスクには、ビジネス実行確認が必要かどうかを決定するために、Oracle Business Rulesが実装されています。
承認フローを確認します(排他ゲートウェイ)。
はいの場合は、ビジネス実行確認(ユーザー・タスク)を実行します。
いいえの場合は、プロセス・フローは直接見積承認ステージに進みます。
承認(パラレル・ゲートウェイ)。
営業見積サンプルのフロー・オブジェクトの次のセットでは、営業見積の承認方法を定義します。図F-4に示すように、ビジネス実行確認が完了した後、見積は承認フェーズに移動します。
この例では、承認プロセスは、同時に実行される2つの個別のフロー によって定義されています。それらは次のとおりです。
営業見積を承認します。
また、このプロセス・パスも2つのパスにスプリットされています。この例では、見積が自動承認、つまり、一定の条件に従って承認される場合があります。それ以外の場合は、プロセス参加者が明示的に見積を承認することが必要となります。
営業見積に関連する契約条件を承認します。
このプロセス・パスでは、プロセス参加者が売買契約の条件を承認する必要があります。
これらのパラレル・プロセス・パスは、完了後にマージされます。次に、プロセス・パスは承認結果ステージに進みます。
プロセス・インスタンスは、次のようにプロセスの見積承認セクションを進みます。
承認(パラレル・ゲートウェイ-スプリット)
自動承認の確認(ゲートウェイ)
見積の承認
見積の承認結果の設定
条件の承認
見積の承認のマージ(パラレル・ゲートウェイ-マージ)
承認結果ステージは、営業見積サンプルの最終ステージを表します。このステージの最初に、営業見積が承認されたかどうかを確認します。
営業見積が承認されている場合は、プロセスは最終プロセス・フローに進みます。最終プロセス・フローは終了イベントに進みます。
営業見積が承認されていない場合は、プロセスは見積入力タスクに戻ります。このタスクでは見積を再度入力する必要があり、プロセスが繰り返されます。
プロセス・インスタンスは、次のようにプロセスの承認結果セクションを進みます。
承認結果(排他ゲートウェイ)
承認結果は排他ゲートウェイを使用して実装されています。このゲートウェイには2つの送信シーケンス・フローが含まれており、これらのフローによってプロセスが排他ゲートウェイから外に出るパスが決定されます。
承認
この処理はデフォルト・シーケンス・フローを使用して実装されています。
見積の完成
見積の保存
終了イベント
却下: プロセス・フローが見積入力に戻ります。
この処理は、条件シーケンス・フローを使用して実装されています。この条件シーケンス・フローに使用される式によって、プロセス・パスが続行するかどうかが決定されます。