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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Server Tuxedo Connector管理ガイド
11gリリース1 (10.3.6)
B55553-04
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2 Oracle WebLogic Tuxedo Connectorの構成

この章では、Oracle WebLogic Tuxedo Connectorの構成方法について説明します。

環境の変更と考慮事項の概要

この節では、Oracle WebLogic Tuxedo Connectorを使用する前に、Oracle TuxedoおよびOracle WebLogic Server環境に行う必要のある変更の概要を示します。

Oracle Tuxedoの変更

Tuxedoユーザーは、次のような環境の変更を行う必要があります。

  • 既存のTuxedoアプリケーションがすでにTuxedo /T DOMAINSを使用している場合、Oracle WebLogic Tuxedo Connectorインスタンス化への接続ごとに、ドメイン構成ファイルへ新しいドメインを追加する必要があります。

  • 既存のTuxedoアプリケーションがドメインを使用していない場合、アプリケーションのTUXCONFIGにドメイン・サーバーを追加する必要があります。Oracle WebLogic Tuxedo Connectorインスタンス化に対応するTuxedo /T Domainエントリを使用して、新しいDMCONFIGを作成する必要があります。

  • Oracle WebLogic Tuxedo Connectorは、Oracle Tuxedoドメインで常にエンコーディングが有効になっていることを要求します。DMCONFIGファイルのDM_LOCAL_DOMAINSセクションには、MTYPEを常に設定しないか、NULLに設定するか、またはMTYPEとは異なる値を設定する必要があります。

Oracle Tuxedoドメインの詳細は、Tuxedo Domainsコンポーネントの使用に関する項を参照してください。

WebLogic Serverの変更

以下の節では、Oracle WebLogic Tuxedo Connectorを使用するために必要なWebLogic Serverの変更について説明します。

管理とプログラミング

WebLogic Serverユーザーは、次のような環境の変更を行う必要があります。

  • Javaクライアントまたはサーバーを作成します。Oracle WebLogic Tuxedo Connectorクライアントまたはサーバーの作成の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server Tuxedo Connectorプログラマーズ・ガイド』を参照してください。

  • WebLogic Serverコンソール、コマンド・ライン・インタフェース、またはWLSTを使って、Oracle WebLogic Tuxedo Connectorを構成します。Oracle WebLogic Tuxedo Connectorの構成方法の詳細は、「アプリケーション用のOracle WebLogic Tuxedo Connectorの構成」を参照してください。

  • Oracle WebLogic Tuxedo ConnectorのACLポリシーが「Local」に設定されている場合、ローカル・サービスへのアクセスは、CredentialPolicyには依存しません。Tuxedoリモート・ドメインのDOMAINIDは、ローカルなWebLogic Serverユーザーとして認証される必要があります。詳細は、「ユーザー認証」を参照してください。

WebLogic Serverのスレッド

ゲートウェイからサービスをディスパッチするときに利用可能なクライアント・スレッド数によって、同時に実行しているサービス数が制限される場合があります。このリリースのOracle WebLogic Tuxedo Connectorでは、利用可能なスレッドの数を増やすためのOracle WebLogic Tuxedo Connector属性はありません。サービスEJBを呼び出すときは、適切なスレッド・モデルを使用します。場合によっては、利用可能なWebLogic Serverスレッドの数を大きな値に増やす必要があります。


注意:

WTCサーバーでは、3つのスレッドに加えて、定義されているローカル・アクセス・ポイントごとに1つのスレッドが使用されます。

アプリケーション用のOracle WebLogic Tuxedo Connectorの構成

この節では、WebLogic ServerアプリケーションとTuxedoアプリケーションの相互運用を可能にするためにOracle WebLogic Tuxedo Connectorを構成する方法について説明します。

Oracle WebLogic Tuxedo Connector MBeanクラス

Oracle WebLogic Tuxedo Connectorは、MBeanを使用して、WebLogic ServerとTuxedoとの間のサービス・リクエストを処理するための接続情報とセキュリティ・プロトコルを記述します。これらの構成パラメータは、Tuxedoドメイン間の通信に必要な相互運用属性に似ています。構成パラメータは、WebLogic Serverのconfig.xmlファイルに格納されます。表2-1に、Oracle WebLogic Tuxedo Connectorの構成に使用されるMBeanのタイプを示します。

表2-1 Oracle WebLogic Tuxedo Connectorの構成に使用されるMBeanのタイプ

MBeanのタイプ 説明
WTCServer

WebLogic ServerとTuxedoとの間の接続に必要な相互運用属性を持つ親MBean。管理コンソールを使用して構成する場合に、WTCサービスを定義します。

WTCLocalTuxDom

使用可能なリモートTuxedoドメインをWTCサービスに接続するための構成情報を提供します。最低1つのローカルTuxedoアクセス・ポイントを構成する必要があります。管理コンソールを使用して構成する場合に、ローカルTuxedoアクセス・ポイントを定義します。

注意:動的な構成のため、空のWTCサービスを作成してデプロイできます。

WTCRemoteTuxDom

使用可能なTuxedoリモート・ドメインにWTCサービスを接続するための構成情報を提供します。複数のリモート・ドメインを構成してもよい。管理コンソールを使用して構成する場合に、Tuxedoリモート・アクセス・ポイントを定義します。

WTCExport

ローカルTuxedoアクセス・ポイントによってエクスポートされるサービス情報を提供します。管理コンソールを使用して構成する場合に、エクスポートされるサービスを定義します。

WTCImport

インポートされたサービスおよびリモート・ドメインで使用可能なサービスに関する情報を提供します。管理コンソールを使用して構成する場合に、インポートされるサービスを定義します。

WTCResources

ドメインのグローバル・フィールド表クラス、ビュー表クラスおよびアプリケーション・パスワードを指定します。管理コンソールを使用して構成する場合に、リソースを定義します。

MBSTRINGのサポートは、RemoteMBEncoding属性およびMBEncodingMapFile属性を使用して提供されます。

WTCPassword

相互ドメイン認証に構成情報を指定します。管理コンソールを使用して構成する場合に、パスワードを定義します。

WTCtBridgeGlobal

WebLogic ServerとTuxedoの間のメッセージ転送に関するグローバル構成情報を指定します。管理コンソールを使用して構成する場合に、Tuxedoキュー・ブリッジを定義します。

WTCtBridgeRedirect

WebLogic ServerとTuxedoの間のメッセージのソース、ターゲット、方向および転送を指定します。管理コンソールを使用して構成する場合に、Tuxedoキュー・ブリッジ・リダイレクトを定義します。


Oracle WebLogic Server管理とconfig.xmlファイルの詳細は、Oracle WebLogic Server MBeanリファレンスを参照してください。

管理コンソールを使用したOracle WebLogic Tuxedo Connectorの構成

管理コンソールにより、Oracle WebLogic Tuxedo Connector接続の構成、管理、モニターを行うことができます。これらのタスクに使用するタブを表示するには、次の操作を行います。

  1. 管理コンソールを起動します。

  2. 左ペインで「相互運用性」ノードを選択し、「WTCサービス」を展開します。

  3. 構成するWTCサーバーを作成または変更します。

  4. オンライン・ヘルプの指示に従います。オンライン・ヘルプへのリンクについては、表2-2を参照してください。

表2-2では、接続タスクを一般的な実行順序で示します。この順序は変更してもかまいません。ただし、オブジェクトは関連付けおよび割当ての前に構成する必要があります。

表2-2 Oracle WebLogic Tuxedo Connector構成タスク

タスク番号 タスク 説明

1

WTCサービスの作成

右ペインの「全般」タブで、「名前」および「デプロイ順序」の属性を設定します。

2

ローカルTuxedoアクセス・ポイントの作成

「全般」、「接続」、「セキュリティ」の各タブで、ローカルTuxedoアクセス・ポイントを記述する属性を設定します。最低1つのローカルTuxedoアクセス・ポイントを構成する必要があります。

注意:動的な構成のため、空のWTCサービスを作成してデプロイできます。

3

リモートTuxedoアクセス・ポイントの作成

「リモートAP」タブで、リモートTuxedoドメインを記述する属性を設定します。

4

エクスポートされたサービスの作成

「エクスポート済み」タブで、エクスポートされたWebLogic Serverサービスを記述する属性を設定します。

5

インポートされたサービスの作成

「インポート済み」タブで、インポートされたTuxedoサービスを記述する属性を設定します。

6

パスワード構成の作成

「パスワード」タブで、パスワードを記述する属性を設定します。

7

リソースの作成

「リソース」タブで、WebLogic Tuxedo Connectorのリソースを記述する属性を設定します。

8

キュー・ブリッジの優先度マッピングの構成

WebLogic ServerとTuxedoの間のメッセージ転送に関するグローバル構成情報を設定します。

9

tBridgeリダイレクトの作成

WebLogic ServerとTuxedoの間のメッセージのソース、ターゲット、方向、および転送の指定に使われる属性を設定します。

10

WTCサービスの割当て

WTCサービスの対象サーバーを選択します。


コマンド・ライン・インタフェースを使用したOracle WebLogic Tuxedo Connectorの構成

コマンド・ライン・インタフェースは、Oracle WebLogic Tuxedo Connector接続を作成し管理する方法を提供します。コマンド・ライン・インタフェースの使用方法については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Scripting Toolガイド』を参照してください。

WebLogic Server環境の設定

WL_HOME\samples\domains\examplesにあるsetExamplesEnvスクリプトを実行して、WebLogic Serverアプリケーションの環境を設定する必要があります。

  • Windowsユーザーの場合は、setExamplesEnv.cmdを実行します。

  • UNIXユーザーの場合は、setExamplesEnv.shを実行します。

環境を初めて設定する場合は、スクリプトの設定をチェックする必要があります。必要に応じて、次の手順に従ってアプリケーション環境の設定を修正します。

  1. コマンド・ラインで、WebLogic Serverアプリケーションの場所にディレクトリを変更します。WL_HOME\samples\domains\examplesにあるsetExamplesEnvスクリプトをアプリケーション・ディレクトリにコピーします。

  2. viなどのテキスト・エディタを使用して、setExamplesEnvスクリプトを編集します。

    • Windowsユーザーの場合は、setExamplesEnv.cmdを編集します。

    • UNIXユーザーの場合は、setExamplesEnv.shを編集します。

  3. ファイルを保存します。

Oracle WebLogic Tuxedo Connectorプロパティの設定方法

WebLogic Serverのプロパティを設定する必要がある場合、サーバー起動スクリプトの中のJAVA_OPTIONS変数を更新します。例:

JAVA_OPTIONS=-Dweblogic.wtc.PasswordKey=mykey 

PasswordKeyの設定

PasswordKeyを使って、weblogic.wtc.gwt.genpasswdユーティリティがパスワードの暗号化に使用するキーを指定します。

JAVA_OPTIONS=-Dweblogic.wtc.PasswordKey=mykey 

ここで、mykeyはキー値です。

PasswordKeyの詳細は、「パスワード構成の構成」を参照してください。

encodingの設定

WebLogic ServerアプリケーションとTuxedoアプリケーションの間で非ASCII (マルチバイト)文字列を転送する場合、文字セットを変換できるようOracle WebLogic Tuxedo Connectorを構成する必要があります。Oracle WebLogic Tuxedo Connectorでは、Oracle WebLogic Serverのプロパティを使用して、Oracle WebLogic Tuxedo Connectorサービスで指定したすべてのTuxedoリモート・ドメインで使用されるエンコーディングを一致させます。複数のコーディング・セットを同時に実行する必要がある場合、WebLogic ServerインスタンスごとにOracle WebLogic Tuxedo Connectorサービスを実行する必要があります。

文字セット変換を有効にするには、サーバー起動スクリプトにあるJAVA_OPTIONS変数を更新します。例:

JAVA_OPTIONS=-Dweblogic.wtc.encoding=codesetname 

ここで、codesetnameは、リモートTuxedoドメインでサポートされており、使用されるコード・セットの名前です。サポートされている基本コーディング・セットおよび拡張コーディング・セットについては、『Supported Encodings』(http://download.oracle.com/javase/1.3/docs/guide/intl/encoding.doc.html)を参照してください。

リモート・ドメインで使用されるエンコーディングと一致する正確なエンコーディング名を選択することができない場合があります。このような場合、リモート・ドメインと同等のエンコーディング名を選択する必要があります。

例:

  • サポートされているエンコーディングのリストにはEUC_JPがあります。

  • リモート・ドメインではSolarisオペレーティング・システムが動作し、eucJPがサポートされています。

名前は完全には一致していませんが、EUC_JPeucJPはエンコーディング・セットとして等価なので、WebLogic Serverとリモート・ドメイン間で文字列変換が正しく行われます。したがって、この場合はEUC_JPのエンコーディング・プロパティを次のように設定します。

JAVA_OPTIONS=-Dweblogic.wtc.encoding=EUC_JP

ユーザー・データのダンプの設定

ユーザー・データのダンプを有効化するには、java.weblogic.Serverコマンドに次の行を追加します。

JAVA_OPTIONS=-Dweblogic.debug.DebugWTCUData=true

ダンプを有効化すると、接続の確立後にユーザー・データがダンプされます。他のデバッグ・プロパティが有効化されていない場合、通常のWTCエラー・メッセージと情報メッセージ以外では、このデータが唯一のダンプされるWTC情報になります。ダンプはWLSのサーバー・ログ・ファイルで使用できます。

ダンプのフォーマットは次のとおりです。

  • 発信メッセージの場合

    Outbound UDATA: buffer type (<type>, <subtype>)
    +++++ User Data(size) +++++
    ......
    
  • 着信メッセージの場合

    Inbound UDATA: buffer type (<type>, <subtype>)
    +++++ User Data(size) +++++
    ......
    

たとえば、WLSクライアントがSTRING型のバッファのデータ「strings」を送信すると、Tuxedo TOUPPERサービスが「STRINGS」に変換します。WLSサーバー・ログは、次のダンプを示します。

Outbound UDATA: buffer type (STRING, null)
+++++ User Data(16) +++++
00 00 00 07 73 74 72 69 6E 67 73 00 00 00 00 00 ....strings.....
+++++ END +++++

Outbound UDATA: buffer type (String, null)
+++++ User Data(12) +++++
00 00 00 07 53 54 52 49 4E 47 53 00 ....STRINGS.
+++++ END +++++

SDPトランスポートでのIPv4の有効化

ソケット・ダイレクト・プロトコル(SDP)を使用するには、システム・プロパティ-Djava.net.preferIPv4Stack=trueをサーバー起動スクリプトのJAVA_OPTIONS変数に設定します。

SDPを使用してTuxedoと相互運用するようにWTCを構成する方法の詳細は、『Oracle Tuxedo/Oracle Exalogic環境デプロイメント・ガイド』を参照してください。

システム・レベルのデバッグ設定

TraceLevelが非推奨になったため、システム・デバッグを使用してください。デフォルトではすべてのデバッグ・トレースは無効になっています。デバッグ・トレースを有効にするには、以下の設定を使用します。

  • WTC-CORBA実行時トレースを行う場合

    -Dweblogic.debug.DebugWTCCorbaEx=true
    
  • WTC-GWT実行時トレースを行う場合

    -Dweblogic.debug.DebugWTCGwtEx=true
    
  • WTC-JATMI実行時トレースを行う場合

    -Dweblogic.debug.DebugWTCJatmiEx=true
    
  • WTC-tBridge実行時トレースを行う場合

    -Dweblogic.debug.DebugWTCtBridgeEx=true
    
  • WTC構成実行時トレースを行う場合

    -Dweblogic.debug.DebugWTCConfig=true
    

Oracle WebLogic Tuxedo Connectorの構成ガイドライン

Oracle WebLogic Tuxedo Connectorの構成を行う際には、以下のガイドラインに従ってください。

  • 構成には複数のWTCサービスを設定できます。

  • 2つ以上のWTCサービスを同じサーバーに割り当てることはできません。1つのサーバーは、1つのWTCサービスの対象にしかなれません。

  • ターゲット・サーバーが選択された後で、WTCサービスに実装された構成の変更の中には、そのターゲット・サーバー・インスタンス内では更新されないものもあります。サーバーからWTCサービスを削除した後に、更新後のWTCサービスをターゲット・サーバーに追加する必要があります。たとえば、tBridgeを変更した場合は、WTCサーバーをアンデプロイしてからデプロイして、構成の変更を有効にする必要があります。ただし、KeepAliveKeepAliveWaitRetryIntervalなどの一部の構成の変更は、変更をアクティブ化すると有効になります。ターゲット・サーバーの選択の詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server管理コンソール・オンライン・ヘルプ「WTCサービスの割当て」を参照してください。