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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Server診断フレームワークの構成と使用
11g リリース1(10.3.6)
B60994-04
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6 診断アーカイブの構成

WebLogic診断フレームワーク(WLDF)のアーカイブ・コンポーネントは、サーバー・インスタンスおよびそのサーバー・インスタンスで実行されているアプリケーションからWLDFによって収集されたすべてのデータ・イベント、ログ・レコード、およびメトリックをキャプチャし、永続化します。オンライン・モードで(つまり実行中のサーバーで)アーカイブされた診断データにアクセスできます。また、オフライン・モードでも、WebLogic Scripting Tool (WLST)を使用して、アーカイブされたデータにアクセスできます。

次の項で説明するように、ファイル・ストアまたはJava Database Connectivity (JDBC)データ・ソースに診断データをアーカイブするようにWLDFを構成できます。

また、次の項で説明するように、古いデータをアーカイブから削除する時期や条件を指定することもできます。

アーカイブの構成

診断アーカイブをサーバーごとに構成します。構成はドメインのconfig.xmlファイルで永続化されます(サーバーの<server-diagnostic-config>要素内)。ファイルベースのストアの構成の例を例6-1、JDBCベースのストアの例を例6-3に示します。


注意:

診断データがアーカイブに書き込まれている際にシステム・クロックをリセットすると、予期しない結果が生じることがあります。詳細は、「システム・クロックのリセットによるデータのアーカイブおよび取得への影響」を参照してください。

ファイル・ベースのストアの構成

ファイル・ベースのストアの場合、WLDFではアーカイブされた情報を格納するためのファイルが作成されます。WLDFのファイル・ベースのアーカイブで指定可能な構成オプションは、このテキスト・ファイルを作成および保持するディレクトリのみです。デフォルトのディレクトリはDOMAIN_NAME/servers/SERVER_NAME/data/store/diagnosticsです。DOMAIN_NAMEはドメインのホーム・ディレクトリ、SERVER_NAMEはサーバー・インスタンスのホーム・ディレクトリです。

ファイルベースのストアに保存する場合、WLDFはWebLogic Server永続ストアを使用します。詳細は、『Oracle WebLogic Serverサーバー環境の構成』のWebLogic永続ストアの使い方に関する項を参照してください。

例6-1に、ファイルベースのストアの構成の例を示します。

例6-1 ファイル・ベースの診断アーカイブの構成のサンプル(config.xml内)

<domain>
  <!-- Other domain configuration elements -->
  <server>
    <name>myserver</name>
    <server-diagnostic-config>
      <diagnostic-store-dir>data/store/diagnostics</diagnostic-store-dir>
      <diagnostic-data-archive-type>FileStoreArchive
      </diagnostic-data-archive-type>
    </server-diagnostic-config>
  </server>
  <!-- Other server configurations in this domain -->
</domain>

JDBCベースのストアの構成

JDBCストアを使用するには、データベースに適切な表があり、そのデータベースに接続するようにJDBCが構成されている必要があります。管理コンソールを使用してJDBCを構成する方法の詳細は、Oracle WebLogic Server管理コンソール・ヘルプデータベース接続の構成に関する項を参照してください。JDBCの構成の詳細は、『Oracle WebLogic Server JDBCの構成と管理』を参照してください。

データベースでのWLDF表の作成

WLDFで使用するデータベース表がない場合は、JDBCベースのストアにデータを保存する表を作成する必要があります。2つの表が必要です。

  • wls_events表には、WLDFインストゥルメンテーション・イベントから生成されるデータが格納されます。

  • wls_hvst表には、WLDFハーベスタ・コンポーネントから生成されるデータが格納されます。

表の作成に使用するSQLのデータ定義言語(Data Definition Language: DDL)は、データベースでサポートされているSQLの種類によって、データベースごとに異なる可能性があります。例6-2では、Apache DerbyデータベースにWLDF表を作成する場合に使用可能なDDLを示します。

例6-2 Apache DerbyにWLDF表を作成するためのDDL

-- WLDF Instrumentation and Harvester archive DDLs using Derby
 
AUTOCOMMIT OFF;
 
-- DDL for creating wls_events table for instrumentation events
 
DROP TABLE wls_events;
 
CREATE TABLE wls_events (
  RECORDID INTEGER NOT NULL GENERATED ALWAYS AS IDENTITY (START WITH 1, INCREMENT BY 1),
  TIMESTAMP BIGINT default NULL,
  CONTEXTID varchar(128) default NULL,
  TXID varchar(32) default NULL,
  USERID varchar(32) default NULL,
  TYPE varchar(64) default NULL,
  DOMAIN varchar(64) default NULL,
  SERVER varchar(64) default NULL,
  SCOPE varchar(64) default NULL,
  MODULE varchar(64) default NULL,
  MONITOR varchar(64) default NULL,
  FILENAME varchar(64) default NULL,
  LINENUM INTEGER default NULL,
  CLASSNAME varchar(250) default NULL,
  METHODNAME varchar(64) default NULL,
  METHODDSC varchar(4000) default NULL,
  ARGUMENTS clob(100000) default NULL,
  RETVAL varchar(4000) default NULL,
  PAYLOAD blob(100000),
  CTXPAYLOAD VARCHAR(4000),
  DYES BIGINT default NULL,
  THREADNAME varchar(128) default NULL
);
 
-- DDL for creating wls_events table for instrumentation events
 
DROP TABLE wls_hvst;
 
CREATE TABLE wls_hvst (
  RECORDID INTEGER NOT NULL GENERATED ALWAYS AS IDENTITY (START WITH 1, INCREMENT BY 1),
  TIMESTAMP BIGINT default NULL,
  DOMAIN varchar(64) default NULL,
  SERVER varchar(64) default NULL,
  TYPE varchar(64) default NULL,
  NAME varchar(250) default NULL,
  ATTRNAME varchar(64) default NULL,
  ATTRTYPE INTEGER default NULL,
  ATTRVALUE VARCHAR(4000)
);
 
COMMIT;

実際に使用しているデータベース用にこれらの表を作成する具体的な手順については、データベースのドキュメントを参照するか、データベース管理者に問い合わせてください。

WLDF用のJDBCリソースの構成

データベースに表を作成したら、その表にアクセスするようにJDBCを構成する必要があります(『Oracle WebLogic Server JDBCの構成と管理』を参照してください)。次に、サーバー構成の中で、サーバーのアーカイブに使用するデータ・ストアとしてそのJDBCリソースを指定します。

例6-3に、JDBCベースのストアの構成の例を示します。

例6-3 JDBCベースの診断アーカイブの構成のサンプル(config.xml内)

<domain>
  <!-- Other domain configuration elements -->
  <server>
    <name>myserver</name>
    <server-diagnostic-config>
      <diagnostic-data-archive-type>JDBCArchive
      </diagnostic-data-archive-type>
      <diagnostic-jdbc-resource>JDBCResource</diagnostic-jdbc-resource>
    <server-diagnostic-config>
  </server>
  <!-- Other server configurations in this domain -->
</domain>

JDBCリソースを指定していて、その構成が正しくない場合、または、必要な表がデータベースに存在しない場合、WLDFはデフォルトのファイル・ベースの永続ストアを使用します。

アーカイブのデータの廃棄

WLDFにはデータ廃棄機能があります。構成を行うことによって、アーカイブから古い診断データを定期的に削除できます。以下の節で説明するように、サーバー・レベルではサイズに基づいたデータ廃棄を、個々のアーカイブ・レベルでは期間に基づいたデータ廃棄を構成できます。

サーバー・レベルでのデータ廃棄の構成

サーバー・インスタンスに対して、以下のデータ廃棄オプションを設定できます。

  • サーバー・インスタンスのデータ・ストアの望ましい最大サイズ(<preferred-store-size-limit>)と、そのサイズを超過しているかどうかを正時にチェックする間隔(<store-size-check-period>)。

    ストア・サイズが最大サイズを超過していることが検出されると、適切な数のレコードが古いものから削除され、指定されたしきい値を下回るようにサイズが縮小されます。これを「サイズに基づいたデータ廃棄」と呼びます。


    注意:

    サイズに基づいたデータ廃棄は、ファイル・ベースのストアに対してのみ使用できます。上記のオプションは、データベース・ベースのストアでは無視されます。

  • サーバー・インスタンスでのデータ廃棄の有効化または無効化。

    ファイル・ベースの診断ストアの場合は、この設定により、前述のサイズに基づいたデータ廃棄のオプションが有効化または無効化されます。ファイル・ベースのストアとデータベース・ベースのストアが混在している場合は、この設定により、ストア内の個々のアーカイブに対する期間に基づいたデータ廃棄ポリシーも有効化または無効化されます。「診断アーカイブに対する期間に基づいたデータ廃棄ポリシーの構成」を参照してください。

診断アーカイブに対する期間に基づいたデータ廃棄ポリシーの構成

サーバー・インスタンスのデータ・ストアには、以下のタイプの診断データ・アーカイブを格納できます(それらのアーカイブのレコードはデータ廃棄機能を使用して廃棄できます)。

  • 収集された メトリック・データ(論理名: HarvestedDataArchive)

  • インストゥルメンテーション・イベント・データ(論理名: EventsDataArchive)

  • カスタム・データ(ユーザー定義の名前)


    注意:

    WebLogic Serverログ・ファイルは、サーバー・レベルとドメイン・レベルの両方で保持されます。データは、ログ・ローテーション機能に基づく現在のログから廃棄されます。詳細は、『Oracle WebLogic Serverログ・ファイルの構成とログ・メッセージのフィルタ処理』のWebLogicロギング・サービスの構成に関する項を参照してください。

期間に基づいたポリシーは、個々のアーカイブに適用されます。サーバー・インスタンスのデータ・ストアでは、期間に基づいたポリシーを、HarvestedDataArchive、EventsDataArchive、および各カスタム・アーカイブに対して1つずつ指定できます。

指定された期間が経過すると、アーカイブのレコードは削除されます。

サンプル構成

データ廃棄の構成設定は、サーバーのドメインのconfig.xml構成ファイルに保持されます。例6-4を参照してください。

例6-4 config.xmlのデータ廃棄の構成設定

<domain>
<!-- other domain configuration settings -->
   <server>
   <name>MedRecServer</name>
   <!-- other server configuration settings -->
   <server-diagnostic-config>
      <diagnostic-store-dir>data/store/diagnostics</diagnostic-store-dir>
      <diagnostic-data-archive-type>FileStoreArchive
         </diagnostic-data-archive-type>
      <data-retirement-enabled>true</data-retirement-enabled>
      <preferred-store-size-limit>120</preferred-store-size-limit>
      <store-size-check-period>1</store-size-check-period>
      <wldf-data-retirement-by-age>
         <name>HarvestedDataRetirementPolicy</name>
         <enabled>true</enabled>
         <archive-name>HarvestedDataArchive</archive-name>
         <retirement-time>1</retirement-time>
         <retirement-period>24</retirement-period>
         <retirement-age>45</retirement-age>
      </wldf-data-retirement-by-age>
      <wldf-data-retirement-by-age>
         <name>EventsDataRetirementPolicy</name>
         <enabled>true</enabled>
         <archive-name>EventsDataArchive</archive-name>
         <retirement-time>10</retirement-time>
         <retirement-period>24</retirement-period>
         <retirement-age>72</retirement-age>
      </wldf-data-retirement-by-age>
   </server-diagnostic-config>
   </server>
</domain>