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Oracle® Fail Safe概要および管理ガイド
リリース4.1 for Microsoft Windows
B72446-01
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5 FSCMDコマンドライン・インタフェース

Oracle Fail Safeでは、クラスタ内のリソースを管理する手段として、Oracle Fail Safe Managerに加えて、コマンドライン・インタフェースが提供されます。たとえば、「コマンド プロンプト」でFSCMDコマンドを使用して、Oracleリソースをオフライン化、またはオンライン化できます。FSCMDコマンドは、バッチ・プログラムやスクリプトからOracleリソースを管理する場合に便利です。


注意:

FSCMDインタフェースは、将来のリリースでは廃止になる予定です。第6章で説明しているPowerShellコマンドレットに現在置き換えられています。


FSCMD

Oracle Fail Safe Managerを使用して実行する操作のうちの多くは、FSCMDコマンドによって実行できます。FSCMDコマンドを実行するには、Oracle_Home\Failsafe\Client\fscmd.exeのように、Oracle Fail Safe Managerがインストールされている場所から始まるフルパスを指定してください。

このパスを使用しない場合、Windowsオペレーティング・システムではFSCMDコマンドを検出できません。

書式

FSCMDコマンドを使用するときは、「コマンド プロンプト」ウィンドウを開いて、次の構文を使用したFSCMDコマンドラインを入力します。

FSCMD action name /CLUSTER=cluster-name [qualifier]

注意:

わかりやすくするために、この章では構文および例からFSCMDへのフルパス表記を省略します。

説明

Oracle Fail Safeには、Oracle Fail Safe Managerで実行可能な機能の多くをスクリプトで使用できるFSCMDコマンドがあります。たとえば、FSCMDコマンドを使用して、夜間バックアップを実行する前にクラスタ・リソースをオフライン化し、バックアップの完了後にリソースを再びオンライン化できます。

FSCMDコマンドは、Oracle Fail Safe Managerがインストールされているシステムで実行できます。(FSCMDソフトウェアはOracle Fail Safe Managerのコンポーネントです。)

FSCMDコマンドを実行する場合、長時間実行する操作の結果を取得するログ・ファイルの名前を指定できます。

コマンド・パラメータ

次に、コマンド・パラメータの一部を示します。

action

グループ、リソースまたはクラスタに適用できるアクションを指定します。次の表で説明するアクションのいずれかを使用します。

アクション 説明
DISABLEISALIVE 次のいずれかの操作を行うまで、指定したデータベース・インスタンスのIs AliveポーリングおよびLooks Aliveポーリングを使用不可にします。
  • FSCMD ENABLEISALIVEコマンドを使用してIs Aliveポーリングを明示的に使用可能にすること。

  • インスタンスをオンライン化すること。

「グループの検証」コマンドでは、あるインスタンスに対してIs Aliveポーリングが使用不可にされていると警告が発行されますが、Is Aliveポーリングを再度使用可能にはできません。

Is Aliveポーリングが使用不可の場合、データベース・ポーリングが使用不可であることを示す警告イベントが、リソースDLLによってWindowsイベント ログに書き込まれます。

DUMPCLUSTER クラスタ構成情報の出力。この操作による出力は、/LOGFILE修飾子によって指定したファイル名のファイルに書き込まれます。
ENABLEISALIVE 指定したデータベース・インスタンスのIs AliveポーリングおよびLooks AliveポーリングがFSCMD DISABLEISALIVEコマンドにより使用不可にされている場合、それらを使用可能にします。
MOVEGROUP リソースのグループを/NODEコマンド修飾子によって指定したノードに移動。この操作による出力は、/LOGFILE修飾子によって指定したファイル名のファイルに書き込まれます。
ONLINEGROUP グループのオンライン化。
ONLINERESOURCE リソースのオンライン化。
OFFLINEGROUP グループのオフライン化。
OFFLINERESOURCE リソースのオフライン化。Oracle Databaseリソースでは、この操作には/OFFLINEコマンド修飾子が必要です。
VERIFYGROUP Oracle Fail Safeによって構成された単一グループの検証。この操作による出力は、/LOGFILE修飾子によって指定されるファイル名のファイルに書き込まれます。
VERIFYALLGROUPS Oracle Fail Safeによって構成されたすべてのグループの検証。この操作による出力は、/LOGFILE修飾子によって指定されるファイル名のファイルに書き込まれます。
VERIFYCLUSTER クラスタ構成の検証。この操作による出力は、/LOGFILE修飾子によって指定されるファイル名のファイルに書き込まれます。

actionパラメータは、FSCMDコマンドに対する第1引数としてください。

name

FSCMDコマンドで処理するリソースまたはグループの名前です。たとえば、PERSONNEL.worldは、シングルインスタンス・データベースのリソースとして有効な名前です。

このパラメータは、actionパラメータの次に指定します。nameパラメータは、DUMPCLUSTERVERIFYALLGROUPSおよびVERIFYCLUSTERを除くすべてのFSCMDコマンド・アクションに必要です。

コマンド修飾子

次に、コマンド修飾子の一部を示します。

/CLUSTER=cluster-name

FSCMDコマンドを実行するクラスタの名前を指定します。

この修飾子は必須です。

/LOGFILE=file-name

DUMPCLUSTERMOVEGROUPVERIFYCLUSTERVERIFYGROUPまたはVERIFYALLGROUPSアクションの実行時に、長時間実行する操作によって作成されるログ・ファイルの場所を指定します。LOGFILE修飾子を指定しない場合、ログ・ファイルは現行の出力デバイス(一般的にはシステム・コンソール)に書き込まれます。

この修飾子はオプションです。

/NODE=node-name

この修飾子は、MOVEGROUPアクションでのグループの移動先ノード名を指定するときにかぎり使用します。

この修飾子は、MOVEGROUPアクションを指定する場合に必要となります。

/OFFLINE=offline-option

この修飾子は、OFFLINERESOURCEアクションを指定して、Oracleリソースをオフラインにする場合にかぎり使用します。Oracle Databaseでは、次の表にあげたオフライン・オプション・モードの1つを指定しないと、そのリソースはimmediateモード(デフォルト)でオフライン化されます。

モード 説明
abort データベース・インスタンスを強制終了することにより、データベースを即時に停止します。abortモードによる停止は、次の場合を除いてできるだけ使用を避けてください。
  • データベース、もしくはそのアプリケーションの1つが不適切に機能していて、かつimmediate、normalのいずれの停止ノードも作動しない場合。

  • データベースをただちに停止する必要がある(たとえば、電源遮断が1分以内に発生することがわかっている)場合。

データベースの再起動時に、データベース・リカバリ・プロシージャが実行されます。

immediate 処理中のSQL文を終了し、コミットされていないトランザクションをロールバックし、ユーザーとのデータベース接続を切断して、データベースを即時に停止します。immediateモードは、リソースをオフライン化するときのデフォルトのモードです。immediateモードの選択は、次の場合を除いてできるだけ避けてください。
  • 電源遮断がまもなく発生する場合。

  • データベースまたはアプリケーションの1つが不適切に機能している場合。

  • データベースのバックアップ処理を実行する場合。

normal 次のようにしてデータベースを停止します。
  • データベースの停止コマンド入力後に新規に接続できないようにします。

  • データベースを実際に停止する前に、接続中のすべてのユーザーが切断するまで待機します。

transactional 現行のトランザクションがすべて完了した後で、データベースを停止します。

/DOMAIN=domain-name

(/USER修飾子で指定した)ユーザー・アカウントが存在するドメインを指定します。

/PWD=password

/USER修飾子で指定したアカウントのパスワードを指定します。

/USER=username

すべてのクラスタ・ノードで管理者権限を持つドメイン・アカウントのユーザー名を指定します。

使用上の注意

次に、FSCMDコマンドの使用上の注意の一部を示します。

コマンドの例

次に、コマンド例の一部を示します。

例1

次のコマンドでは、salesdb.worldというOracle Databaseをオンライン化します。

FSCMD onlineresource salesdb.world /CLUSTER=ntclu-160 /USER=smith /PWD=smithpwd /DOMAIN=newengland
例2

次のコマンドでは、クラスタNTCLU-160上のすべてのグループが検証され、検証操作の出力がログ・ファイルC:\temp\fsverify.logに書き込まれます。

FSCMD verifyallgroups /LOGFILE=c:\temp\fsverify.log /CLUSTER=ntclu-160
 /USER=smith /PWD=smithpwd /DOMAIN=ORANT 
例3

次のコマンドでは、Oracle Databaseを即時にオフライン化します。

FSCMD offlineresource salesdb.world /CLUSTER=NTCLU-160 /USER=smith
 /PWD=smithpwd /DOMAIN=ORANT /OFFLINE=immediate
例4

次のコマンドでは、Disk Group 1というグループをオフライン化します。

FSCMD offlinegroup "Disk Group 1" /CLUSTER=ntclu-160 /USER=smith /PWD=smithpwd /DOMAIN=ORANT

スクリプトの例

次のスクリプトでは、db.worldというデータベースのオンライン・バックアップを実行します。この例では、db.worldデータベースがFS Group1というグループに含まれ、NTCLU-141ノード上のNTCLU-140というクラスタで稼働しているものとします。(データベースのクローズ状態のバックアップを実行する場合、Is Aliveポーリングを使用不可にしてから使用可能にするのではなく、FSCMD offlineresourceコマンドを使用して手順2でデータベース・リソースをオフライン化し、FSCMD onlineresourceコマンドを使用して手順6でオンライン化します。)

REM   This script shows an example of performing an online backup operation
REM   on an Oracle Fail Safe database. 
REM    
REM   1. Move the group FS Group1 that contains the database to the node on 
REM   which the backup operation will run. Alternatively, you can create file
REM   share resources for each cluster disk to let the backup software 
REM   access the drives through a virtual server address regardless of which 
REM   cluster node currently owns them.

fscmd movegroup "FS Group1" /node=NTCLU-141 /cluster=NTCLU-140 /USER=smith
 /PWD=smithpwd /DOMAIN=ORANT

REM   2. Disable Is Alive polling for the database resource. This step allows
REM      you to keep the database online during the backup operation, but 
REM      prevents Oracle Fail Safe from attempting to fail over the database
REM      during the online backup operation.

fscmd disableisalive db.world /cluster=NTCLU-140 /USER=smith /PWD=smithpwd /DOMAIN=ORANT

REM   3. Mark the beginning of the online tablespace backup operation for each
REM      database tablespace. In this example there are two tablespaces, users
REM      and indx. The database must be in ARCHIVELOG mode to back up the 
REM      tablespaces. (If you use Recovery Manager (RMAN) for the online 
REM      backup operation, you are not required to mark the beginning
REM      and end of the tablespace backup operations, nor would you copy the 
REM      database files, as described in steps 3, 4, and 5.)

SQL> ALTER TABLESPACE users BEGIN BACKUP;
SQL> ALTER TABLESPACE indx BEGIN BACKUP;

REM   4. When you are certain the previous operations have completed, begin the
REM      backup operation. As an example, the following lines
REM      copy files using the copy function of the operating system.

copy e:\ofsdb\ofs1\data\*.ora e:\backup\data
copy e:\ofsdb\ofs1\log\*.ora e:\backup\log
copy e:\ofsdb\ofs1\param\*.ora e:\backup\param

REM   5. Indicate the end of the online backup operation of each tablespace.

SQL> ALTER TABLESPACE users END BACKUP;
SQL> ALTER TABLESPACE indx END BACKUP;

REM   6. Reenable Is Alive polling for the database resource.

fscmd enableisalive db.world /cluster=ntclu-140 /USER=smith /PWD=smithpwd /DOMAIN=ORANT

REM   The backup operation is complete.