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StorageTek Virtual Library Extension 計画ガイド

E51984-01
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1 Virtual Library Extension とは

Oracle の StorageTek Virtual Library Extension (VLE) は VTSS 用のバックエンドディスクストレージです。VLE は次を提供します。


注:

VLE 1.1 以上では、「VLE」はプライベートネットワークと相互接続されたノードの集まりです。

VLE は、VTCS からはテープライブラリと同じように見えますが、ディスク上の仮想マルチボリュームカートリッジ (VMVC) に VTV が格納される点が異なります。VLE を使用すると、VLE とテープ、または VLE のみ (Tapeless VSM 構成を使用するなど) のバックエンド VTV ストレージソリューションのいずれかを構成できます。VTSS は実際のテープライブラリの場合とまったく同様に、VLE との間で VTV の移行やリコールを行えます。


注意:

  • VLE システムがある場合、HSC/VTCS は SMC 通信サービスを使用して、VLE と通信することに注意してください。これらのサービスを VTCS の起動時に使用できるようにするため、Oracle ではまず HSC の起動コマンドを発行してから、HSC の初期化中にすぐに SMC の起動コマンドを発行することをお勧めします。

  • SMC を停止すると VTCS が VLE にメッセージを送信しなくなり、結果的にデータ転送が停止する点にも注意してください。したがって、SMC を停止する前に、VTCS のアクティビティーが休止状態になっているか VTCS が終了していることを確認すべきです。

  • VLE を使用する場合、SMC HTTP サーバーで AT-TLS を使用することはできません。

  • Tapeless VSM 構成では、ある特定の VTSS に単一ノードの VLE しか接続されていない場合に、その VLE がオフラインになると、その VLE がふたたびオンラインになるまで、その VLE に移行された VTV のうちで、VTSS 内に存在していないものには一切アクセスできなくなる点に注意してください。


VLE ソリューションは次から構成されます。

VLE ハードウェアおよびソフトウェア

VLE は Sun Rack II Model 1242 に収められた出荷時組み立てユニットであり、次のハードウェアから構成されます。

  • Sun Server X2-4 プラットフォーム上に構築されたサーバー。

  • SMC UUI 接続とサービス接続の組み合わせで使用する 4 つの 1GigE ポート。

  • サービス (ILOM) ポート。

  • 4 枚の 4 ポート 1GigE カード。データ転送用の Ethernet ポートを 16 個提供します。

  • ZFS RAID アレイ内にディスク (HDD) を格納する 1 台または複数の Oracle Storage Drive Enclosure DE2-24C (DE2-24C) で、単一の JBOD VLE に対し 200T バイトから始まる実効容量で拡張可能です (VLE へのデータ移行を行う際の圧縮率を 4 対 1 と仮定)。

  • 1 台のサーバーにつき 2 枚のデュアルポート 10GigE ネットワークアダプター (NIC) カード。2 つ以上のノードを備えた VLE の内部ネットワーク接続に必要です (3 つ以上のノードの場合は Oracle スイッチを使用します)。

  • DVD ドライブ。

VLE ソフトウェアは次から構成されます。

  • Oracle Solaris 11 オペレーティングシステム。

  • ZFS ファイルシステムと MySQL データベース。

  • VLE アプリケーションソフトウェア。

図 1-1 に VLE サブシステムのアーキテクチャーを示します。

図 1-1 VLE サブシステムのアーキテクチャー

図 1-1 については周囲の文で説明しています。

図 1-1 に示すように、VLE アプリケーションソフトウェアは次から構成されます。

  • HTTP/XML は、ホストと VLE との間の通信のためのデータプロトコルです。

  • ユニバーサルユーザーインタフェース (UUI) リクエストハンドラ。ストレージ管理コンポーネント (SMC) および仮想テープ制御ソフトウェア (VTCS) からの UUI リクエストの処理、およびそれらへの応答の生成を行います。UUI リクエストハンドラは、どの VLE コンポーネントを使ってリクエストを処理するかを決定します。

    UUI リクエストハンドラから次のものが呼び出されます。

    • VTV の移行やリコールのスケジューリングを行う PathGroup マネージャー。PathGroup マネージャーによってすべてのパスグループが管理され、各パスグループによって、VTSS と VLE との間の単一の VTV データ転送が管理されます。

    • すべてのレポート生成のスケジューリングを行うストレージマネージャー。

  • VLE ストレージマネージャーコンポーネントは、VLE 上の VMVC/VTV データおよびメタデータを管理します。VLE ストレージマネージャーは、JBOD アレイ上の ZFS に対して VTV データの格納や取得を行います。

  • TCP/IP/IFF がホストと VLE との間の通信のためのデータプロトコルであるのに対し、IP/IFF/ECAM コンポーネントは VTSS と VLE との間の通信を処理します。

単一ノードの VLE 構成

図 1-2 に、単一ノードの VLE 構成を示します。

図 1-2 VSM システム内の単一ノードの VLE

図 1-2 については周囲の文で説明しています。

図 1-2 に示すように (1 は MVS ホストで 2 はライブラリです):

  • 複数の TCP/IP 接続 (VTSS の IP ポートと VLE の IP ポートとの間) が次のようにサポートされています。

    • 1 台の VLE を最大 8 台の VTSS に接続できるため、VTSS 間で VLE を共有できます。

    • 1 台の VTSS を最大 4 台の VLE に接続できるため、バッファー領域を増やして高いワークロードに対応できます。

  • 単一の VTSS は次に接続できます。

    • RTD のみ

    • (クラスタ化された) ほかの VTSS のみ

    • VLE のみ

    • 上記の任意の組み合わせ。

  • VLE と VTSS との間の接続、および SMC と VTCS が実行されているホストと VLE との間の接続でサポートされるプロトコルは、TCP/IP のみです。

マルチノードの VLE システム

  • マルチノードの VLE システムにより、VLE ストレージシステムの大規模なスケーリングが可能になります。1 ノードから 64 ノードで構成でき、複数のノードがプライベートネットワークによって相互接続されたマルチノードシステムを構築できます。マルチノード VLE は、SMC/VTCS には単一の VLE のように見えます。Version 1.4 では、VLE に 4T バイトの JBOD が付属するようになりました。そのため、単一の VLE は 200T バイト (1 台の JBOD システムの場合) から 100P バイト (フル装備の 64 ノード VLE の場合) まで拡張できます。


注:

これらは、圧縮率を 4:1 と仮定した場合の実効容量です。VLE は最大 64 ノードとして設計されていますが、最大 7 ノードに対してのみ検証されていることにも注意してください。

図 1-3 に、VLE マルチノードコンプレックスを示します。ここでは、ノードが専用の 10GE スイッチに相互接続され、各ノードがコンプレックス内のほかのノードにアクセスできるようになっています。ここでは:

1 - MVS ホスト

2 - リモート VLE

3 - パブリックネットワーク

4 - プライベートネットワーク

5 - VLE マルチノードグリッド

6 - 仮想テープストレージシステム

図 1-3 VLE マルチノードコンプレックス

図 1-3 については周囲の文で説明しています。

VLE と VLE 間のデータ転送

VLE ストレージシステムでは、VTSS と無関係にデータ転送を管理できます。これにより、フロントエンド (ホスト) のワークロードに使われる VTSS リソースが解放されるため、VTSS 全体のスループットが向上します。次に例を示します。

  • 移行ポリシーで、(同じまたは別々の VLE に) VTV の 2 つの VLE コピーが必要であると指定している場合、VLE への最初の移行によって、データが VTSS から転送され、VTV に対する後続のすべての VLE の移行が VLE と VLE 間のコピーによって実現できます。これによって、VTV のすべてのコピーの移行に必要な VTSS サイクル時間が短縮されます。

  • 環境で次を実行している場合:

    • VLE 1.2 以上、および

    • VTCS 7.1 (サポートする PTF を含む) または VTCS 7.2

      VTCS を使用して、CONFIG STORMNGR VLEDEV パラメータによって、VTSS と VLE 間のパスにあるより多くの VLE デバイスを定義できます。このアドレス指定スキームを使用した場合、VTSS から VLE 宛てのデータ転送が行われる場合にのみ、VTSS からターゲットの VLE へのパスが予約されるため、すべての VTV コピーを VLE に移行するために使用される VTSS リソースがさらに少なくなります。すべての VLE VRTD アクションで、VTSS データ転送が必要な場合にのみ、VTSS からのパスが予約されます。

VTV 暗号化

暗号化機能により、VLE システムに書き込まれた VMVC の暗号化が可能になります。暗号化は、ノードに格納され、USB デバイスにバックアップされている暗号化鍵によって、ノード単位で有効にします。暗号化は、VLE GUI によって完全に管理されます。VLE が VTSS にリコールされた VTV を暗号化解除するため、ホストソフトウェアは暗号化を認識しません。

VTV の複製解除

複製解除は、VLE コンプレックスの冗長データを除去します。複製解除は STORCLAS ステートメント DEDUP パラメータによって制御され、VLE の実効容量を増やし、VTV が VMVC に書き込まれる前に、VLE によって実行されます。

複製解除結果を評価するには、複製解除を有効にし、SCRPT レポートによって結果をモニターして、必要に応じて複製解除を微調整します。SCRPT レポートは、非圧縮 G バイトを使用中の G バイトで割った、複製解除されたデータのおよその「削減率」を示します。そのため、削減率には VTSS の圧縮 VLE の複製解除の両方が含まれます。削減率が大きいことは、圧縮と複製解除の効果が大きいことを示します。

たとえば、VTSS は 16M バイトのデータを受け取り、それを 4M バイトに圧縮して、圧縮されたデータを VTV に書き込みます。VLE は続いて VTV を 2M バイトに複製解除し、それを VMVC に書き込みます。したがって、削減率は 16M バイトを 2M バイトで割ると 8.0:1 になります。

Early Time To First Byte (ETTFB)

Early Time To First Byte (ETTFB) (並行テープリコール/マウント機能とも呼ばれる) では、データが VLE からリコールされるときに VTSS が VTD を使用して、データを読み取ることができます。

  • ETTFB は CONFIG GLOBAL FASTRECL によってグローバルに設定されます。

  • CONFIG GLOBAL FASTRECL=YES の場合、CONFIG VTSS NOERLYMNT によって、VTSS 単位で ETTFB を無効にできます。

CONFIG GLOBAL CONFIG VTSS は RTD の ETTFB と VLE の ETTFB の両方に適用されます。

フレームサイズコントロール

フレームサイズコントロールは、各コピーリンクでのジャンボフレームの使用を指定します。

  • TCP/IP ネットワークでジャンボフレームをサポートしている場合、このオプションによってネットワークパフォーマンスが向上する可能性があります。

  • ジャンボフレームを有効にするには、「Port Card Configuration」タブの「Jumbo Frames」チェックボックスをオンにします。このボックスをオンにすると、ポートの MTU (Maximum Transmission Unit) 値が 9000 に設定されます。