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Oracle® Fusion Middleware Oracle Application Development Frameworkの理解
12c (12.1.2)
E48094-02
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7 ADFモバイル・ブラウザ

この章では、モバイル・デバイスのWebブラウザ内で実行できるユーザー・インタフェースを開発できる、ADFモバイル・ブラウザのテクノロジについて概説します。

この章には次の項が含まれます:

7.1 ADFモバイル・ブラウザについて

Oracle Application Development Frameworkモバイル(ADFモバイル)・ブラウザは、ブラウザベースのエンタープライズ・モバイル・アプリケーションの迅速な開発を可能にする標準ベースのフレームワークです。そのモバイル固有の機能がJSFに拡張されたことで、デスクトップ用JSFアプリケーションを開発するのと同じ方法を使用してモバイル・アプリケーションを開発できるようになりました。

図7-1に示すように、ADFモバイル・ブラウザは、ADF Controller、ADFモデル、ADFビジネス・コンポーネントなど、ADFテクノロジ・スタックの他の部分とともに使用できます。

図7-1 ADFモバイル・ブラウザでのADFアーキテクチャ

ADFモバイルが強調表示されたダイアグラム

7.2 ADFモバイル・ブラウザのコアな利点

ADFモバイル・ブラウザには次のコアな利点が用意されています。

7.3 ADFモバイル・ブラウザの主要概念

この項では、ADFモバイル・ブラウザの重要事項の概要、およびそれらがモバイル・デバイス上でどのように機能するかについて説明します。

7.3.1 ADFモバイル・ブラウザ・アプリケーションの開発

ADFモバイル・ブラウザを使用すると、デスクトップ・ブラウザ・アプリケーションの開発で使用するプログラミング・モデルと同じものが使用できます。開発方法はADF Webアプリケーションの開発方法とほぼ同じですが、ADFモバイル・ブラウザ・アプリケーションの開発ではApache MyFaces Trinidadコンポーネントで構成されるモバイルJSFページのみを使用する点が異なります。これらのコンポーネントは小画面のモバイル・デバイス用に適切にレンダリングされます。


注意:

モバイル・ブラウザに適合するページの有効化は、Oracleのモバイル戦略の一部に過ぎません。デバイス上でネイティブに稼働するモバイル・アプリケーションの作成は、Oracle Technology Network (http://www.oracle.com/technetwork/developer-tools/adf/adf-mobile-browser-1864237.html)でOracle ADFモバイル・ブラウザのページを参照してください。


7.3.2 ADFモバイル・ブラウザ・コンポーネントのレンダリング

ADFモバイル・ブラウザの開発では、マークアップではなく、コンポーネントに重点が置かれます。ユーザーがページにアクセスすると、ユーザーのデバイスで指定されたレンダー・キットが使用され、適切な出力に対するマークアップがエンコードされます。たとえば、ユーザーのデバイスでデスクトップ・ブラウザに対しHTMLを指定すると、レンダーキットのマークアップ・エンコーディングがHTMLページになります。または、ユーザーのデバイスがBlackBerry 4.6デバイスに対してHTMLを指定した場合、レンダー・キットのマークアップ・コーディングの結果はそのデバイスに適切に表示するページを表示します。

AJAXがサポートされているモバイル・ブラウザの場合、ADFモバイル・ブラウザでは特定のコンポーネントに対する部分ページ・レンダリング(PPR)がサポートされています。これによりサーバーからリクエストされるデータ量が最小化され、アプリケーションの応答性が向上します。PPRを使用すると、モバイル・デバイス画面の更新に完全リフレッシュが不要になります。

ADFモバイル・ブラウザのレンダラにより、確実にターゲット・ブラウザがコンテンツを正しく使用できるようになります。このレンダラでは、HTML、JavaScript、CSS、DOM、XMLHttpRequestに関するブラウザ実装の差異、およびシステム・パフォーマンスの違いが処理されます。たとえば、ブラウザでXMLHttpRequestがサポートされていないためサーバーに部分的なページ・リクエストを送信できない場合、ADFモバイル・ブラウザのAjax (Asynchronous JavaScript and XML)のサポートにより、アプリケーションで自動的にページ全体の送信に戻してページを機能させることができます。

7.3.3 ADFモバイル・ブラウザ・アプリケーションのスキニング

ADFモバイル・ブラウザには、アプリケーションのスキニングのサポートが備わっています。スキニングを使用すると、デバイスに依存したスタイルシートの自動配信を通じて、各種のデバイスで一貫したページを表示できるようになります。これらのスタイルシートにより、様々なモバイル・ブラウザで同じページ定義を共有しながら、ページを最適に表示できます。アプリケーションのルック・アンド・フィールの設定が可能なこれらのスタイルシート内では、コンポーネントのサイズ、位置および外観を設定することによってそのコンポーネントを特定のブラウザ向けに調整することに加え、ブラウザのタイプごとにコンポーネントを表示するか非表示にするかを指定します。

7.3.4 サポートされているモバイル・ブラウザ

次に示すのは、サポートされているモバイル・ブラウザの一部です。

  • BlackBerry 4.2以上

  • Microsoft Windows Mobile 5および6

  • Apple iPhone Safari

  • Nokia s60シリーズ

  • プレーンHTML (Opera Mini、Opera Mobile、Skyfireなど)

7.4 ADFモバイル・ブラウザの主要コンポーネント

次の各項では、ADFモバイル・ブラウザ・テクノロジの主要な要素を紹介します。

7.4.1 ADFモバイル・ブラウザ・コンポーネント

ADFモバイル・ブラウザの機能を使用すると、各種のモバイル・ブラウザで適切に機能するアプリケーションを開発できます。ADFモバイル・ブラウザ・コンポーネントは、Java Server Faces (JSF)のコンポーネント・モデルに基づいていますが、モバイル固有の拡張により、デスクトップWebブラウザ用のJSFアプリケーションの開発と同じ方法を使用してモバイル・アプリケーションを開発できます。特に、ADFモバイル・ブラウザではApache MyFaces Trinidadコンポーネントが使用されます。

使用可能なADFモバイル・ブラウザ・コンポーネントのタイプは、次のとおりです。

  • 入力および出力

  • レイアウト

  • ナビゲーション

  • データの視覚化(DVT)

  • 表およびツリー

7.4.2 ADFモバイル・ブラウザ・レンダラ

ADFモバイルには、ADFモバイル・ブラウザ・コンポーネント・コンポーネントのレンダリングをHTMLブラウザでサポートするレンダラと、AJAXテクノロジを使用したアプリケーション用の機能豊富なレンダーキットが用意されています。

7.5 ADFモバイル・ブラウザのプロセス・フローの概要

ADFモバイル・ブラウザ・アプリケーションの作成は、次の基本的な手順で構成されます。

  1. JDeveloperで、Fusion Webアプリケーションを作成します。

    別の方法として、モバイル・ブラウザ・アプリケーションで使用するビジネス・サービスをカプセル化するモデル・プロジェクトが含まれた既存のアプリケーション・ワークスペースを開きます。

  2. アプリケーション・ワークスペースで、新規カスタム・プロジェクトを作成してADFモバイル・ブラウザの機能を追加します。

  3. JDeveloperの「新規ギャラリ」でウィザードを使用し、タスク・フローやADFモバイル・ブラウザ・コンポーネントなどの高度のコンポーネントを作成します。

  4. データ・コントロール、宣言的バインディング、タスク・フローおよびバッキングJavaコードのような要素を使用して、コンポーネントの動作を設計します。

  5. アプリケーションをビルトイン・アプリケーション・サーバーにデプロイし、関連するデバイスとエミュレータでテストします。

7.6 ADFモバイル・ブラウザの詳細について

次のリソースには、アプリケーションでのADFモバイル・ブラウザの使用に関する詳細が記載されています。