この章では、Coherence for C++を使用するためのC++アプリケーション・ビルドの設定手順を説明します。
この章の内容は次のとおりです。
アプリケーションのビルド・プロセスにCoherence for C++を統合する場合は、コンパイラとリンカーのいくつかの設定を有効にすることが重要です。これらの設定の中にはオプションのものもありますが、それらも含め、有効にすることを強くお薦めします。
*MSVC (Visual Studio)*
表6-1 MSVC (Visual Studio)向けのコンパイラの設定
設定 | ビルド・タイプ | 必須? | 説明 |
---|---|---|---|
/EHsc |
すべて |
はい |
C++の例外のサポートを有効化 |
/GR |
すべて |
はい |
C++のRTTIを有効化 |
/O2 |
リリース |
いいえ |
スピードの最適化を有効化 |
/MD |
リリース |
はい |
マルチスレッド化したDLLに対してリンク |
/MDd |
デバッグ |
はい |
マルチスレッド化したデバッグDLLに対してリンク |
g++ / SunPro
Coherenceには、Coherence APIを使用し、アプリケーションとともにコンパイルする必要のある一連のヘッダー・ファイルが付属しています。このヘッダー・ファイルは、インストール先のinclude
ディレクトリにあります。使用しているコンパイラのinclude検索パスで、このinclude
ディレクトリを指定する必要があります。
Coherence for C++には、Coherenceライブラリのリリース・バージョンが付属しています。アプリケーション・コードのデバッグ・バージョンとのリンクでも、このライブラリが適しています。このライブラリは、インストール先のlib
ディレクトリにあります。リンクの際、リンカーのライブラリ・パスでこのディレクトリを指定する必要があります。
Coherence対応アプリケーションを実行しているときは、そのアプリケーションのライブラリ検索パスからCoherence for C++の共有ライブラリを利用できる必要があります。そのためには、この共有ライブラリが含まれているディレクトリを、オペレーティング・システム固有の環境変数に追加します。各ライブラリは、インストール先のlibサブディレクトリに格納されます。
表6-4 Coherence for C++のライブラリ名と環境変数
オペレーティング・システム | 環境変数 |
---|---|
Windows |
PATH |
Solaris |
LD_LIBRARY_PATH |
Linux |
LD_LIBRARY_PATH |
Apple (Mac) OS X |
DYLD_LIBRARY_PATH |
たとえば、WindowsでPATH環境変数を設定するには、次を実行します。
c:\coherence\coherence-cpp\examples> set PATH=%PATH%;c:\coherence\coherence-cpp\lib
JavaバージョンのCoherence同様、C++バージョンでも、構成のデフォルト設定より優先するシステム・プロパティの概念がサポートされています。C++で使用するシステム・プロパティは、オペレーティング・システムの標準的な環境変数を使用して設定します。使用するプロパティの名前は、Javaバージョンと同じです。tangosol.coherence.cacheconfig
システム・プロパティは、キャッシュ構成ファイルの場所を指定します。この構成ファイルの場所は、アプリケーション・コードでのプログラム処理(>CacheFactory
::configure()
)でも設定できますが、この例ではその方法は採用していません。
表6-5 様々なオペレーティング・システム向けのキャッシュ構成のシステム・プロパティの値
オペレーティング・システム | システム・プロパティ |
---|---|
Windows |
tangosol.coherence.cacheconfig |
Linux |
TangosolCoherenceCacheConfig |
Solaris |
TangosolCoherenceCacheConfig |
Apple (Mac) OS X |
TangosolCoherenceCacheConfig |
注意: UNIXの |
たとえば、Windowsでこの構成ファイルの場所を設定するには、次のコマンドを実行します。
c:\coherence\coherence-cpp\examples> set tangosol.coherence.cacheconfig=config\extend-cache-config.xml
Coherence for C++には、専用のデプロイメント構成は必要ありません。アプリケーションをCoherenceライブラリとリンクするのみです。サンプル・ビルド・スクリプトおよび構成の例に関しては、Coherence例に含まれているC++の例を参照してください。例はCoherence for Javaディストリビューションの一部として含まれています。
注意: Microsoft Windowsにデプロイする場合は、 Visual Studio 2005 SP1 C++ランタイム・ライブラリが必要です。このサンプルをビルドするには、Visual Studio 2005 SP1以降が必要です。 |