この章では、Coherence C++および.NETのクライアント・ディストリビューションのインストール手順について説明します。Javaクライアント用の別個のディストリビューションはありません。Java Extendクライアントは、Coherence for Javaを使用して作成されます。
この章には次の項が含まれます:
Coherence for Javaディストリビューションは、JavaベースのExtendクライアントの構築および使用の際に使用します。Coherence for Javaをインストールするには、『Oracle Coherenceでのアプリケーションの開発』のOracle Coherence for Javaのインストールに関する項を参照してください。
Oracle Coherence for C++ディストリビューションは、C++ Extendクライアントの開発および実行の際に使用します。ディストリビューションの最新バージョンは、Oracle Technology NetworkのCoherence製品に関するページからダウンロードできます。
http://www.oracle.com/technology/software/products/ias/htdocs/coherence.html
この項は次のトピックで構成されています。
表2-1は、Coherence for C++がサポートされているプラットフォームおよびオペレーティング・システムのリストです。
表2-1 Coherence for C++がサポートされているプラットフォームとオペレーティング・システム
| オペレーティング・システム | コンパイラ | アーキテクチャ |
|---|---|---|
|
Microsoft Windows Server 2003以降 |
MSVC 2010、MSVC 2012 |
x86、x64 |
|
Sun Solaris 10+ |
SPARC、x86、x64 |
|
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Linux |
GCC 4.1.2以降、GNU libc 2.5以降 |
x86、x64 |
|
Apple OS X 10.7以降脚注 3 |
GCC 3.4以降 |
x64 |
脚注 1 具体的には、Sun C++ 5.9 SPARCパッチ124863-14以降がサポートされています。
脚注 2 具体的には、Sun C++ 5.9 x86/x64パッチ124864-14以降がサポートされています。
脚注 3 OS X Lion (10.7)とMountain Lion (10.8)が含まれます。
Microsoft Windowsにデプロイする場合は、MSVCベースのアプリケーションの場合と同様に、対応するMSVCランタイム・ライブラリをデプロイメント・コンピュータにインストールする必要があります。
Visual Studio 2012: x86またはx64向けの再配布可能なランタイム・ライブラリ。
http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=30679
Visual Studio 2010: x86またはx64向けの再配布可能なランタイム・ライブラリ。
x86:
http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=5555
x64:
http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=14632
Coherence for C++はZIPファイルとして配布されます。ZIPユーティリティまたはunzipコマンドライン・ユーティリティを使用して、ターゲット・コンピュータの任意の場所にZIPファイルを解凍します。抽出されたファイルは、coherence-cppという単一のディレクトリ内にまとめられています。
次の例では、unzipユーティリティを使用して、/optディレクトリ(UNIXベースのオペレーティング・システムで推奨されるインストール・ディレクトリ)にディストリビューションを抽出します。unzipユーティリティが使用できない場合は、ターゲットのオペレーティング・システムで提供されているZIPユーティリティを使用します。
unzip /path_to_zip/coherence-cpp-version_number-platform-architecture-compiler.zip -d /opt
次の例では、unzipユーティリティを使用して、Windowsオペレーティング・システムのC:\ディレクトリにディストリビューションを抽出します。
unzip C:\path_to_zip\coherence-cpp-version_number-platform-architecture-compiler.zip -d C:\
インストール・ディレクトリに含まれているディレクトリの説明は、次のとおりです。
bin – このディレクトリに含まれるsanka.exeは、共有ライブラリ内に埋め込まれている実行可能クラスを起動するアプリケーション・ランチャです。
doc – このディレクトリには、Coherence for C++に関するドキュメント(APIドキュメントを含む)が含まれています。
include - このディレクトリには、Coherence APIを使用し、アプリケーションとともにコンパイルする必要があるヘッダー・ファイルが含まれています。
lib – このディレクトリにはCoherence for C++ライブラリが含まれています。coherence.dllファイルは、開発およびランタイム用のメイン・ライブラリです。これについては、このドキュメント全体で詳細に説明します。
Oracle Coherence for .NETディストリビューションは、.NET Extendクライアントの開発および使用の際に使用します。ディストリビューションの最新バージョンは、Oracle Technology NetworkのCoherence製品に関するページからダウンロードできます。
http://www.oracle.com/technology/software/products/ias/htdocs/coherence.html
この項は次のトピックで構成されています。
Coherence for .NETを使用するには、次のものが必要です。
Microsoft .NET 2.0以上のランタイムとSDK:
サポートされているMicrosoft Windowsオペレーティング・システム(前述の該当する.NETランタイムのシステム要件を参照)
MSHelp 2.xランタイム。これは、Visual Studio 200x、および次のリストにあるMicrosoft製品に含まれています。
Coherence for Javaディストリビューションの一部として提供されているexample.zipファイル内の例を構築および実行するには、Microsoft Visual Studio 2008以上が必要です。
Coherence for .NETは、インストーラを含むZIPファイルとして配布されています。ZIPユーティリティまたはunzipコマンドライン・ユーティリティを使用して、ターゲット・コンピュータの任意の場所にインストーラを抽出します。次の例では、unzipユーティリティを使用して、C:\ディレクトリにインストーラを抽出します。
unzip C:\path_to_zip\coherence-net-version_number.zip -d C:\
インストーラを実行する手順は、次のとおりです。
ZIPファイルの抽出先のディレクトリで、coherence-net-version.msiファイルをダブルクリックします。
インストーラの指示に従ってインストールを完了します。
|
注意: インストーラの実行中に、インストールをロールバックすると表示された場合は、実行モードのレベルを上げてインストーラを実行します。たとえば、管理者の権限でコマンド・プロンプトからMSIファイルを実行すれば、インストール・プロセスを完了できます。Windows 7の場合は、コマンド・プロンプトを右クリックして「管理者として実行」を選択します。 |
インストール・ディレクトリに含まれているディレクトリの説明は、次のとおりです。
bin – このディレクトリにはCoherence for .NETライブラリが含まれています。Coherence.dllファイルは、開発およびランタイム用のメイン・ライブラリです。これについては、このドキュメント全体で詳細に説明します。
config – このディレクトリには、Coherenceクライアント構成ファイル用のXMLスキーマと、Coherenceで定義したユーザー定義型に対するPOF構成ファイルが含まれています。
doc – このディレクトリには、Coherence for .NETに関するAPIドキュメントが含まれています。APIドキュメントは、HTMLヘルプ(Coherence.chm)、MSHelp 2.0およびMS Help Viewerです。
Coherenceアセンブリは、カスタム・バージョン番号マッピングを使用します。Oracleバージョン番号は5桁 (N.N.N.N.N)を使用しますが、.NETバージョン番号は4桁(N.N.N.N)までしか使用できません。.NETのバージョン規則をサポートするために、.NETのバージョンの4桁目にOracleの4桁目および5桁目を組み合せます。
.NETのバージョンの4桁目の作成には次の計算が使用されます:
.NET4桁目= Oracle4桁目 * 1000 + Oracle5桁目
.NETのバージョンの4桁目をOracleのバージョンの5桁目に変換するには次の計算が使用されます:
Oracle4桁目= int(.NET4桁目 / 1000)
Oracle5桁目= .NET4桁目 - (Oracle4桁目 * 1000)
例:
| .NETバージョン番号 | Oracleバージョン番号 |
|---|---|
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12.1.2.0 |
12.1.2.0.0 |
|
12.1.2.1 |
12.1.2.0.1 |
|
12.1.2.1000 |
12.1.2.1.0 |
|
12.1.2.1001 |
12.1.2.1.1 |
|
12.1.2.2010 |
12.1.2.2.10 |
|
12.1.2.10010 |
12.1.2.10.10 |
|
注意: ロギングでは.NETの4桁目がOracleの4桁目および5桁目に変換されるため、JavaおよびC++のログ・メッセージと同じようにロギング・メッセージが表示されます。 |
Coherence for .NETには、専用のデプロイメント構成は必要ありません。bin\フォルダにあるCoherence.dllへの参照を、Microsoft.NETアプリケーションに追加するのみです。
ExtendプロトコルとPOFの互換性はポイント・リリース間では維持されますが(3.5、3.6など)、メジャー・リリース間では維持されません(2.0、3.0など)。さらに、ポイント・リリース間でもExtendクライアントからクラスタ・プロキシへの前方互換のみが維持されます。つまり、Extendクライアントは、同じバージョン番号以上のクラスタ・プロキシと接続可能です。Extendクライアントから、以前のバージョンのクラスタ・プロキシに接続を試行しないでください。
|
注意: POFでは、下位互換のシリアライズ変更がサポート可能なため、POFを使用する場合は互換性が要求されます。 |
Coherence 12.1.2の後方互換性の例外
Coherence 12.1.2.*クラスタ・プロキシは、Extendクライアント・バージョン3.*と後方互換性があります。つまり、3.*クライアントは、12.1.2.*のクラスタ・プロキシと接続可能です。12.1.2.*の後方互換性は、前述のCoherence*Extendのバージョン互換性原則における例外の1つです。クラスタ・プロキシの12.1.2より後のバージョンには、現在の例外が含まれず、後方互換性が維持されません。