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Oracle® Fusion Middleware Oracle Coherence*WebでのHTTPセッション・マネージメントの管理
12c (12.1.2)
B70746-02
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10 WebLogic PortalでのCoherence*Webの使用方法

この章では、Coherence*WebをWebLogic Portal環境で使用してCoherenceに基づくセッション状態管理を実現する方法を説明します。Coherence*Webを使用すると、クラスタ環境でより高度なデプロイメント・モデル、セッション・モデル、およびロック・モードが可能になります。これらの機能の詳細は、第5章「Coherence*Webセッション管理機能」を参照してください。

この章には次の項が含まれます:

10.1 必要なパッチのダウンロード(オプション)


注意:

Oracle WebLogic Serverリリース10.3.1以降では、パッチは不要です。リリース10.3.1以降を使用している場合、この項はスキップできます。


WebLogic Server 10.3以前を使用している場合、適切なソフトウェア・パッチを、Coherence*Webを使用するWebアプリケーションをホストしているすべてのWebLogic Serverインスタンスに適用します。表10-1は、WebLogic Serverの各バージョンに対応するパッチとCoherenceリリース・レベルを示しています。

表10-1 WebLogic Serverと必要なCoherenceパッチ・リリース・レベル


WebLogic Server 9.2 MP1 WebLogic Server 10.3 WebLogic Server 10.3.1以降

WebLogic Smart Update

パッチID: AJQB

パッチID: 6W2W

パッチは不要です。


パッチはMy Oracle SupportのWebサイト、またはWebLogic ServerのSmart Updateユーティリティを使用してダウンロードできます。

My Oracle Supportからダウンロードする手順は次のとおりです。 

  1. 次のMy Oracle SupportのWebサイトにアクセスし、パッチを探します。

    http://support.oracle.com/

  2. 「パッチ」タブを選択し、「単純検索」リンクをクリックします。後続の画面で、適切な値(たとえば、11399293)を使用してパッチ番号/名前の検索を実行します。

  3. 表示された検索結果からパッチのzipファイルをダウンロードします。

  4. パッチのzipファイルに含まれるREADME.txtを開き、Coherenceパッチの適用手順を確認します。

Smart Updateを使用してダウンロードする手順は次のとおりです。 

  1. Smart UpdateのガイドでSmart Updateを使用してWebLogic Serverのパッチをインストールする手順を確認してください。

    本番環境では、Smart Updateの本番インストールを確認することをお薦めします。

    Smart Updateのガイドは次のURLで入手できます。

    http://download.oracle.com/docs/cd/E14759_01/doc.32/e14143/toc.htm

  2. 「スタート」→「すべてのプログラム」→「Oracle WebLogic」→「Smart Update」を選択し、ログイン・ダイアログ・ボックスを開きます。各自のサポートIDとパスワードを使用してログインします。

    図10-1 Oracle Smart Updateにログインするためのダイアログ・ボックス

    WebLogic Smart Updateにログインするためのダイアログ・ボックス
    「図10-1 Oracle Smart Updateにログインするためのダイアログ・ボックス」の説明

  3. お使いのWebLogic Serverのリリースに対応するパッチをダウンロードし、適用します。図10-2は、Oracle Smart Updateのブラウザを示しています。

    図10-2 Oracle Smart Updateのブラウザ

    WebLogic Smart Updateのツリー形式ブラウザ
    「図10-2 Oracle Smart Updateのブラウザ」の説明

10.2 WebLogic PortalでのCoherence*Webの使用方法: 主な手順

WebLogic PortalでCoherence*Webを使用するには、次の手順を実行します。

  1. キャッシュ・サーバーの起動

  2. セッション構成の変更(オプション)

  3. P13N(パーソナライゼーション)キャッシュ・プロバイダの有効化(オプション)

  4. Coherence JARファイルの配置

  5. ポータル・アプリケーションでのSPIの参照

  6. Coherence*Webセッションの有効化

  7. アプリケーションの作成およびデプロイ

10.2.1 キャッシュ・サーバーの起動

キャッシュ・サーバーJVMは、キャッシュしたすべてのデータ(この場合はHTTPセッション状態)の保存と管理専用のCoherence JVMです。WebLogic ServerまたはWebLogic PortalのJVMを起動する前に、1つ以上のキャッシュ・サーバーJVMを起動しておく必要があります。キャッシュ・サーバーを起動するには、次の手順を実行します。

  1. キャッシュ・サーバーJVMを起動するためのスクリプトを作成します。Coherence*Webで使用する記憶域対応キャッシュ・サーバーを起動するスクリプトの例を次に示します。特定のJVMのチューニングの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Coherenceでのアプリケーションの開発』JVMチューニングに関する項を参照してください。

    java -server -Xms512m -Xmx512m -cp <Coherence installation dir>/lib/coherence.jar:<Coherence installation dir>/lib/coherence-web-spi.war -Dtangosol.coherence.management.remote=true -Dtangosol.coherence.cacheconfig=C:\Coherence1212\coherence\default-session-cache-config.xml -Dtangosol.coherence.session.localstorage=true com.tangosol.net.DefaultCacheServer
    

    このコマンドは、default-session-cache-config.xmlファイルをcoherence-web.jarファイルから抽出してC:\Coherence1212\coherence\ディレクトリに保存していることを前提としています。

  2. 前述の手順で説明したスクリプトを使用して、キャッシュ・サーバーJVMを1つ以上起動します。

10.2.2 セッション構成の変更(オプション)

Coherence*Webのキャッシュ・トポロジをカスタマイズするには、(必要に応じて) default-session-cache-config.xmlファイルを変更します。ファイルをsession-cache-config.xmlという名前で保存します。

default-session-cache-config.xmlファイルのデフォルト構成の説明については、付録C「セッション・キャッシュ構成ファイル」を参照してください。

10.2.3 P13N(パーソナライゼーション)キャッシュ・プロバイダの有効化(オプション)

Coherence P13N (パーソナライゼーション)キャッシュ・プロバイダを使用する場合、coherence-wlp.jarファイルをポータル・エンタープライズ・アプリケーションのAPP-INF\libディレクトリにコピーします。

P13N CacheProvider SPI実装およびWeb Services for Remote Portlets (WSRP)フェデレーテッド・ポータルの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Coherenceの統合』を参照してください。

Coherence P13Nキャッシュをデフォルトのキャッシュ・プロバイダとして使用する場合は、ポータル・エンタープライズ・アプリケーションのMETA-INF\p13n-cache-config.xmlファイルで、最初の<cache>要素の前に次の行を追加します。

<default-provider-id>com.tangosol.coherence.weblogic</default-provider-id>

10.2.4 Coherence JARファイルの配置

ポータル・エンタープライズ・アプリケーションのAPP-INF\libディレクトリにcoherence.jarファイルをコピーします。

10.2.5 ポータル・アプリケーションでのSPIの参照

ポータルWebアプリケーションのWEB-INF\weblogic.xmlファイルで、次のようにライブラリ・リファレンス(library-ref)を使用してcoherence-web-spi.warファイルを参照します。

<wls:library-ref>
   <wls:library-name>coherence-web-spi</wls:library-name>
</wls:library-ref>

10.2.6 Coherence*Webセッションの有効化

Coherence*Webセッションを有効にするには、ポータルWebアプリケーションのWEB-INF\web.xmlファイルで、アプリケーション・パラメータcoherence-web-sessions-enabledtrueに設定します。

      <context-param>
          <param-name>coherence-web-sessions-enabled</param-name>
          <param-value>true</param-value>
      </context-param>

10.2.7 アプリケーションの作成およびデプロイ

  1. ポータル・ドメインで、coherence-web-spi.warファイルをライブラリとしてクラスタにデプロイします。

  2. アプリケーションのEARファイルを作成します。

  3. ポータル・ドメインで、アプリケーションのEARファイルをクラスタにデプロイします。

10.3 WebLogic PortalでのCoherenceキャッシュ・プロバイダの使用方法

WebLogic Portalで実行するエンタープライズ・アプリケーションにキャッシュ・サービスを提供するように、Coherenceキャッシュ・プロバイダを構成できます。このためには、キャッシュ・プロバイダとWebLogicポータル・サーバーをアウトオブプロセス・デプロイメント・トポロジで実行するように設定する必要があります。

アウトオブプロセス・トポロジでは、WebLogicポータル・サーバー(つまりWebLogic Portalサーバー)はローカル記憶域が無効なキャッシュ・クライアントとして構成され(つまり、tangosol.coherence.weblogic.localstoragetangosol.coherence.distributed.localstorageおよびtangosol.coherence.session.localstorageシステム・プロパティをfalseに設定)、クラスタ化データを物理的に保存および管理してキャッシュ・サーバーとして動作する専用のJVMを配置します。

このアプローチには次のようなメリットがあります。

アウトオブプロセス・トポロジは、その柔軟性によって、Oracle Coherenceのデフォルトの推奨トポロジになっています。図10-3に、アウトオブプロセス・トポロジを示します。ポータル層の各WebLogic Portalサーバーが、それぞれのニア・キャッシュを管理します。これらのニア・キャッシュは、別のキャッシュ・サーバー層で実行されるセッション・データ・キャッシュと通信します。

このトポロジの構成手順については、「アウトオブプロセス・トポロジのCoherenceキャッシュ・プロバイダのデプロイ」を参照してください。

図10-3 WebLogic Portalのアウトオブプロセス・デプロイメント・トポロジ

図10-3の説明が続きます
「図10-3 WebLogic Portalのアウトオブプロセス・デプロイメント・トポロジ」の説明

10.3.1 アウトオブプロセス・トポロジのCoherenceキャッシュ・プロバイダのデプロイ

  1. セッション・キャッシュとポータル・キャッシュの構成ファイルを取得します。

    • coherence-web.jarファイルからdefault-session-cache-config.xmlファイルを抽出します。

    • coherence-wlp.jarファイルからportal-cache-config.xmlファイルを抽出します。

  2. default-session-cache-config.xmlファイルとportal-cache-config.xmlファイルの内容をマージし、Coherenceグリッド・ノードのセットがセッションおよびP13Nキャッシュの両方のタイプのオブジェクトをサポートできるようにします。

    このファイルのコピーが2セット必要となります。1つはCoherenceキャッシュ・サーバー用、もう1つはWebLogic Portal管理対象サーバー用です。この2つのファイルの内容は、ポータル・キャッシュ・セクションとセッション・キャッシュ・セクションのlocal-storageプロパティの値以外、すべて同じです。

    付録Fの例F-1「WebLogic PortalおよびOracle Coherenceのキャッシュ構成」には、WebLogic Portal管理対象サーバーで使用可能な、マージされた構成ファイルが示されています。セッション・キャッシュとポータル・キャッシュのlocal-storage値はfalseに設定されます。Coherenceキャッシュ・サーバーの構成ファイルは、セッション・キャッシュ構成セクションとポータル・キャッシュ構成セクションのlocal-storageシステム・プロパティの値をtrueに設定する必要があることを除き、例F-1と同様にできます。

  3. WebLogic Portal管理対象サーバーのマージされた構成ファイルを、そのサーバーのキャッシュ構成ファイルとして使用します。WebLogic Portal管理対象サーバーで実行されるアプリケーションごとに、そのアプリケーションのAPP-INF/classesディレクトリにこのファイルをコピーします。

  4. Coherenceキャッシュのマージされた構成ファイルをCoherenceグリッドJVMのキャッシュ構成として設定します。たとえばキャッシュ構成ファイルを配置する次のシステム・プロパティで、portal-session-cache-config.xmlはマージされたファイルを表します。

    -Dtangosol.coherence.cacheconfig=D:\Coherence1212\coherence\temp\portal-session-cache-config.xml
    
  5. WebLogic Portal管理対象サーバーに対してローカル記憶域を無効にするシステム・プロパティを追加します。たとえば、次のプロパティをCoherenceキャッシュ・サーバーの起動スクリプトに追加できます。

    -Dtangosol.coherence.weblogic.localstorage=false -Dtangosol.coherence.distributed.localstorage=false -Dtangosol.coherence.session.localstorage=false
    
  6. EARファイルのAPP-INF/libディレクトリにcoherence.jarcoherence-wlp.jarファイルをコピーします。

    デプロイ手順は、「WebLogic PortalでのCoherence*Webの使用方法: 主な手順」を参照してください。

  7. WebLogic Portal管理対象サーバーを起動します。