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Oracle® Fusion Middleware Oracle Fusion Middlewareの管理
12c (12.1.2)
E47968-02
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19 環境のスケール・アップ

次の各項では、管理対象サーバーの追加、他の製品の組込みによるドメインの拡張、管理対象サーバーのクラスタの作成、既存のOracleホームまたはOracle HTTP Serverなどの既存のOracle Fusion Middlewareコンポーネントのコピーによって環境を拡張する方法について説明します。

19.1 環境のスケール・アップの概要

スケーラビリティとはスループットを提供するシステムの能力で、使用可能なハードウェア・リソースに比例し、またこのリソースによってのみ制限されます。スケーラブルなシステムとは、リクエストが増加してもレスポンス時間およびスループットに悪影響をもたらすことなく処理できるシステムです。

1つの操作環境において計算力を増加することを、垂直スケーリングといいます。水平スケーリングとは、複数のシステムを連動させて共通の問題をパラレル処理することです。

Oracle Fusion Middlewareは、垂直および水平の両方のスケーリングを行います。

Oracle Fusion Middlewareでは、管理対象サーバーまたはコンポーネントを同一ホストに追加でき、垂直的なスケーラビリティも優れています。これは、スケール・アップと呼ばれます。

水平方向では、Oracle Fusion Middlewareには別のホスト・コンピュータへのフェイルオーバー機能が用意されています。これにより、あるコンピュータが停止しても、環境はデプロイ済アプリケーションのコンシューマに、サービス提供を続けることができます。これはスケールアウト、またはマシンのスケールアウトとも呼ばれます。スケールアウトの詳細は、『高可用性ガイド』のトポロジのスケールアウトに関する説明を参照してください。

高可用性システムのデプロイによって、システムのダウン(使用不可の時間)を最小限に抑え、実行(使用可能な時間)を最大化できます。Oracle Fusion Middlewareは、ロード・バランシングや基本的なクラスタ化から、ハードウェアおよびソフトウェアの壊滅的な障害発生時にシステムの可用性を最大限にすることまで、非常に広範囲な高可用性ソリューションを提供するように設計されています。

高可用性ソリューションは、ローカルの高可用性と障害時リカバリの2つの基本的なカテゴリに分類できます。


関連項目:

  • 高可用性の詳細は、『高可用性ガイド』を参照してください。

  • Oracle Fusion Middlewareディザスタ・リカバリ・ガイド


19.2 ドメインの拡張による追加コンポーネントのサポート

Oracle WebLogic Serverドメインを作成する場合、特定のドメイン・テンプレートを使用します。そのテンプレートは、特定のコンポーネントや、Oracle WebLogic Serverなどのコンポーネント・グループをサポートしています。そのドメインにOracle HTTP Serverなどの他のコンポーネントを追加する場合、そのコンポーネントのドメイン・テンプレートを使用して追加の管理対象サーバーをドメインに作成することで、そのドメインを拡張します。

ドメインを拡張する際は、ドメインをオフラインにする必要があります。

ドメインを拡張するには、目的のコンポーネントがインストールされているOracleホームからOracle WebLogic Server構成ウィザードを使用します。そこで、拡張するドメインと追加するコンポーネントを選択します。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Infrastructureのインストールと構成』のWebLogicドメインの構成に関する説明を参照してください。

たとえば、最初にOracle Application Development Frameworkをサポートするように作成されたドメインを拡張し、Oracle HTTP Serverもサポートできるようにする手順は次のとおりです。

  1. コンポーネントの必須スキーマを追加するには、『Repository Creation Utilityによるスキーマの作成』の説明に従ってRCUを使用します。

  2. 『Oracle HTTP Serverのインストールと構成』の説明に従って、Oracle HTTP Serverをインストールします。

  3. Oracleホームから、次のコマンドを使用して構成ウィザードを起動します。

    (UNIX) ORACLE_HOME/oracle_common/common/bin/config.sh
    (Windows) ORACLE_HOME\oracle_common\common\bin\config.cmd
    

    構成ウィザードの「ようこそ」画面が表示されます。

  4. 「既存ドメインの更新」を選択します。

  5. 「ドメインの場所」でドメインの場所を指定します。

  6. 次へ」をクリックします。

  7. 製品テンプレートを使用してドメインを更新」を選択します。

  8. Oracle HTTP Server (コロケート)を選択します。

  9. 次へ」をクリックします。

  10. 以下の追加製品をサポートするために、自動的にドメインを拡張する」を選択して、このドメインを拡張する元になるソースを選択します。たとえば、「Oracle HTTP Server」を選択します。

  11. 次へ」をクリックします。

  12. RCUデータまたは「手動構成」のいずれかを選択します。RCUデータを選択した場合、情報は自動的に移入されます。「手動構成」を選択した場合は、「次へ」をクリックします。

    次の情報を入力して、追加した新しいコンポーネントのスキーマを選択します。

    • ベンダー」で、「Oracle」を選択します。

    • ドライバ」で、「*Oracleのサービス接続用ドライバ(Thin)、バージョン:9.0.1、9.2.0、10、11」を選択します。

    • スキーマ所有者」には何も入力しません。各データ・ソースで、表で指定されているユーザー名が使用されます。

    • 各スキーマの作成時に同一のパスワードを使用した場合は、すべてのスキーマを選択し、「スキーマ・パスワード」にパスワードを入力します。

      または、各スキーマを個別に選択し、パスワードを入力することによって、データ・ソースごとに異なるパスワードを指定することができます。

    • すべてのスキーマを選択した状態で、「DBMS/サービス」に、データベースのSIDを入力します。

    • すべてのスキーマを選択した状態で、「ホスト名」に、データベースのホスト名を入力します。

    • すべてのスキーマを選択した状態で、「ポート」に、データベースのリスニング・ポートを入力します。

  13. 次へ」をクリックします。

    「JDBCコンポーネント・スキーマ・テスト」画面が表示されます。

  14. テストが成功したら、「次へ」をクリックします。

    「拡張構成」画面が表示されます。

  15. システム・コンポーネント」を選択します。

  16. 次へ」をクリックします。

  17. 追加」をクリックして、新しいOracle HTTP Serverインスタンスを作成します。

  18. インスタンスの名前を入力し、コンポーネント・タイプとして「OHS」を選択します。

  19. 次へ」をクリックします。

  20. 「OHSサーバー」ページの各フィールドは、事前に移入されています。

  21. 次へ」をクリックします。

  22. 新しいマシンを作成しない場合は、「マシン」ページで「次へ」をクリックします。

  23. システム・コンポーネントの割当ページでサーバーをダブルクリックし、これをマシンの下に移動します。

  24. この画面に表示されている情報を確認して、正しければ「更新」をクリックします。

  25. 操作が完了したら、「完了」をクリックします。

19.3 ドメインへの管理対象サーバーの追加

ドメインに管理対象サーバーを追加して、システムの容量を拡大できます。管理対象サーバーは、クラスタに追加することができます。

管理対象サーバーをクラスタに追加すると、管理対象サーバーは、そのクラスタが対象となっているアプリケーションおよびサービスを継承されます。管理対象サーバーをクラスタの一部として追加するのではない場合、管理対象サーバーは、テンプレートからアプリケーションとサービスを自動的には継承しません。

管理対象サーバーをドメインに追加するには、Fusion Middleware Control、Oracle WebLogic Server管理コンソールまたはWLSTを使用できます。


関連項目:

管理対象サーバーの追加の詳細は、Oracle WebLogic Server管理コンソール・オンライン・ヘルプおよび『WebLogic Server WLSTコマンド・リファレンス』を参照してください。


Fusion Middleware Controlを使用して、管理対象サーバーを追加する手順は次のとおりです。

  1. 「WebLogicドメイン」メニューで「管理」、「コンポーネントの作成/削除」を選択します。

    「コンポーネントの作成」ページが表示されます。

  2. 作成」をクリックし、「WebLogic Server」を選択します。

    「WebLogic Serverの作成」ページが表示されます。

  3. 名前」に、サーバーの名前を入力します。

    ドメイン内の各サーバーには、ドメイン内のすべての構成オブジェクトに対して一意の名前が必要です。ドメイン内では、各サーバー、コンピュータ、クラスタ、JDBC接続プール、仮想ホストおよびその他すべてのリソース・タイプに、一意の名前を付ける必要があり、ドメインと同じ名前を使用することはできません。

  4. リスニング・ポート」に、サーバー・インスタンスへのアクセス元のポート番号を入力します。

    1つのコンピュータで複数のサーバー・インスタンスを実行している場合は、各サーバーで固有のリスニング・ポートを使用する必要があります。

  5. 新規WebLogicマシンの作成」または「既存のWebLogicマシンの選択」のいずれかを選択します。「既存のWebLogicマシンの選択」を選択した場合は、表からマシンを選択します。

  6. このサーバーをスタンドアロン・サーバーにするのか、それとも既存のクラスタのメンバーにするのかを指定します。

    • このサーバーが既存のクラスタの一部である場合は、そのクラスタを選択します。

    • このサーバーをスタンドアロン・サーバーにする場合は、クラスタを選択しません。

  7. 作成」をクリックします。

  8. サーバーまたはクラスタにOracle JRFが適用されていない場合は、第19.3.1項の説明に従って、JRFを適用します。

19.3.1 管理対象サーバーまたはクラスタへのOracle JRFテンプレートの適用

Oracle JRF (Java Required Files)は、Oracle WebLogic Serverインストールに含まれておらず、Oracleビジネス・アプリケーションおよびアプリケーション・フレームワークに共通の機能を提供するコンポーネントで構成されています。

JRFには、共通の場所にデプロイされる、いくつかの個別に開発されたライブラリおよびアプリケーションが含まれています。Java Required Filesの一部と見なされるコンポーネントには、Oracle Application Development Framework共有ライブラリやODLロギング・ハンドラがあります。

特定の状況では、JRFテンプレートを管理対象サーバーまたはクラスタに適用する必要があります。JRFが構成されているドメイン内の管理対象サーバーにのみJRFを適用できます。つまり、ドメインを作成または拡張した場合は、構成ウィザードでOracle JRFを選択しておく必要があります。

JRFの適用については、次の点に注意してください。

  • すでにJRFで構成されている既存のクラスタに管理対象サーバーを追加する場合は、その管理対象サーバーにJRFを適用する必要はありません。

  • 管理対象サーバーをドメインに追加する際、その管理対象サーバーにJRFサービスが必要だが、管理対象サービスがクラスタに属していない場合、その管理対象サーバーにJRFを適用する必要があります。

  • クラスタを新規作成し、そのクラスタにJRFが必要な場合、クラスタにJRFを適用する必要があります。

  • テンプレート拡張プロセスで製品テンプレートによって追加される管理対象サーバーにJRFを適用する必要はありません(ただし、構成ウィザードでJRFを選択する必要があります)。

  • JRFの適用後は、サーバーまたはクラスタを再起動する必要があります。

    ノード・マネージャを使用してサーバーまたはクラスタを起動する場合は(たとえば、ノード・マネージャを使用する管理コンソールを通して)、ノード・マネージャのプロパティstartScriptEnabledtrueに設定する必要があります。詳細は、第2.8.1項を参照してください。

  • Fusion Middleware Controlを使用してサーバーを作成すると、JRFテンプレートが自動的に適用されます。

管理対象サーバーまたはクラスタにJRFを構成するには、カスタムWLSTコマンドapplyJRFを使用します。カスタムWLSTコマンドを使用するには、Oracle共通ホームからWLSTスクリプトを起動する必要があります。詳細は、第2.4.2項を参照してください。

applyJRFコマンドの形式は次のとおりです。

applyJRF(target={server_name | cluster_name | *}, domainDir=domain_path,
        [shouldUpdateDomain= {true | false}])

applyJRFコマンドは、オンラインまたはオフラインで使用できます。

  • オンライン・モードでは、shouldUpdateDomainオプションを値true(デフォルト)で使用した場合、JRFの変更は暗黙的にアクティブになります。オンライン・モードでは、このオプションによって、オンラインWLST save()コマンドおよびactivate()コマンドがコールされます。

  • オフライン・モードでは、管理サーバーおよび管理対象サーバーまたはクラスタを再起動する必要があります(オフライン・モードでは、shouldUpdateDomainオプションを値trueで指定した場合、このオプションによってWLST updateDomain()コマンドがコールされます)。

たとえば、JRFで管理対象サーバーserver1を構成するには、次のコマンドを使用します。

applyJRF(target='server1', domainDir='DOMAIN_HOME')

ドメイン内のすべての管理対象サーバーをJRFで構成するには、targetオプションの値としてアスタリスク(*)を指定します。

クラスタをJRFで構成するには、次のコマンドを使用します。

applyJRF(target='cluster1', domainDir='DOMAIN_HOME')

関連項目:

  • 『インフラストラクチャ・コンポーネントのためのWLSTコマンド・リファレンス』のJava Required FilesのカスタムWLSTコマンドに関する説明

  • 第H.2.2項(JRFとともに提供されるものとは別のバージョンのSpringを使用する場合)


19.4 クラスタの作成

WebLogic Serverクラスタは、同時に動作し、連携して高度なスケーラビリティと信頼性を実現する複数のWebLogic Serverサーバー・インスタンスで構成されます。クライアントでは、1つのクラスタが、1つのWebLogic Serverインスタンスのように認識されます。1つのクラスタを構成するサーバー・インスタンスを同一のコンピュータで実行することも、複数のコンピュータに配置することもできます。既存のコンピュータ上のクラスタにサーバー・インスタンスを追加して、クラスタの容量を拡大したり、クラスタにコンピュータを追加して、追加のサーバー・インスタンスをホストしたりできます。クラスタ内の各サーバー・インスタンスでは、同一バージョンのWebLogic Serverを実行する必要があります。

WLST、Oracle WebLogic Server管理コンソールまたはFusion Middleware Controlを使用して、管理対象サーバーのクラスタを作成できます。この項では、Fusion Middleware Controlを使用してクラスタを作成する方法について説明します。

wls_server1およびwls_server2の、2つの管理対象サーバーのクラスタを作成する手順は次のとおりです。

  1. 「WebLogicドメイン」メニューで「管理」、「コンポーネントの作成/削除」を選択します。

    「Fusion Middlewareコンポーネント」ページが表示されます。

  2. 作成」→「WebLogicクラスタ」を選択します。

    「WebLogicクラスタの作成」ページが表示されます。

  3. 名前」に、クラスタの名前を入力します。

  4. 「クラスタ・メッセージング・モード」セクションで、次のいずれかを選択します。

    • ユニキャスト。ユニキャスト・ブロードキャスト・チャネル」にチャネルを入力します。このチャネルは、クラスタ内でのメッセージの伝送に使用されます。

    • マルチキャスト。マルチキャスト・ブロードキャスト・チャネルにチャネルを入力します。マルチキャスト・アドレスは、224.0.0.0から239.255.255.255の範囲内のIPアドレスです。「マルチキャスト・ポート」にポート番号を入力します。


      注意:

      入力するマルチキャスト・アドレスが使用されていないことを確認する必要があります。


  5. 「サーバー」セクションで、クラスタに追加する1つ以上のサーバーを選択します。このシナリオでは、wls_server1およびwls_server2を選択します。

  6. 作成」をクリックします。

これで、wls_server1およびwls_server2の、2台のメンバーを持つクラスタができました。


関連項目:

クラスタの詳細は、『Oracle WebLogic Serverクラスタの管理』を参照


19.5 Oracleホームまたはコンポーネントのコピー

Oracleホームまたは複数のOracle Fusion Middlewareコンポーネントは、その構成を維持しながら、別の場所にコピーできます。Oracle Fusion Middlewareのコピーは、次のような場合に有用です。

Oracleホームまたはコンポーネントのコピーで実行する手順の詳細は、第20章を参照してください。