Oracle Fusion Middlewareには、サーバーとアプリケーションのパフォーマンスの監視に使用できる各種テクノロジおよびツールが用意されています。監視はパフォーマンス・チューニングにおける重要なステップです。監視を行うことで、サーバー・アクティビティの評価、傾向の観察、システムのボトルネックの診断、パフォーマンスに問題のあるアプリケーションのデバッグ、およびシステムのチューニングに役立つデータの収集が可能になります。
この章の内容は次のとおりです。
注意: このガイドの製品固有の章には、ほとんどの製品を対象とした追加の監視情報が含まれます。 |
Oracle Fusion Middlewareをインストールして構成した後、グラフィカル・ユーザー・インタフェースまたはコマンドライン・ツールを使用して環境を管理できます。
各ツールは『Oracle Fusion Middlewareの管理』の「Oracle Fusion Middleware管理ツールの概要」に説明されています。
注意: Oracle Process ManagerおよびNotification Server (OPMN)はOracle Fusion Middlewareで使用されなくなりました。かわりに、システム・コンポーネントはWLST、ノード・マネージャおよび圧縮と圧縮解除などのWebLogic管理フレームワークにより管理されます。『Oracle Fusion Middlewareコンセプトの理解』の「WebLogic管理フレームワークとは」を参照してください。 |
メトリックは、シナリオをパフォーマンス目標と比較評価するための基準です。パフォーマンス・メトリックを使用すると、ボトルネックの特定やリソースの可用性に関する問題の検出が可能になります。また、コンポーネントをチューニングしてスループットおよびレスポンス時間を改善することもできます。パフォーマンス基準を決定したら、パフォーマンス目標を定量化するためのメトリックを測定します。
たとえば、レスポンス時間、スループットおよびリソース使用率をメトリックとして使用するとします。各メトリックのパフォーマンス目標となるのは、許容される値です。メトリックの実際の値を目標と照合し、パフォーマンス目標に達しているのか、あるいはパフォーマンス目標を上回っているのか、下回っているのかを確認します。
Oracle Fusion MiddlewareのコンポーネントやアプリケーションをFusion Middleware Controlで管理または監視する場合は、そのコンポーネントまたはアプリケーションの現在のパフォーマンスを詳しく分析するパフォーマンス・メトリックが使用されます。多くの場合、これらのメトリックは対話型グラフの形式で表示されますが、表形式で表示されることもあります。パフォーマンス・メトリックの使用や対比は、監視対象となるコンポーネントまたはアプリケーションの「パフォーマンス・サマリー」ページから行うことをお薦めします。
この後の項では、サーバーおよびアプリケーションのパフォーマンスの監視に使用できるOracle Fusion Middlewareのテクノロジおよびツールについて概説します。
Oracle Fusion Middlewareを初めて使用する場合や、「パフォーマンス・サマリー」ページを使用した環境の監視について詳しい情報が必要な場合は、『Oracle Fusion Middlewareの管理』のOracle Fusion Middlewareのパフォーマンスの表示に関する項を参照してください。また、Fusion Middleware Controlオンライン・ヘルプには、管理および監視のページで使用できる個々のパフォーマンス・メトリックの定義とその他の情報が記載されています。
Fusion Middleware Controlは、ドメインの監視および管理に使用できるWebブラウザベースのグラフィカル・ユーザー・インタフェースです。これは、1つのOracle WebLogic Serverドメインとその管理サーバー、1つ以上の管理対象サーバーの他に、クラスタ、ドメインにインストールされ、構成および実行されている複数のOracleミドルウェア・コンポーネント、およびデプロイするアプリケーションを管理します。
詳細は、『Oracle Fusion Middlewareの管理』のOracle Enterprise Manager Fusion Middleware Control使用の概要を参照してください。
Oracle WebLogic Server管理コンソールは、Oracle WebLogic Serverドメインの管理に使用する、Webブラウザ・ベースのグラフィカル・ユーザー・インタフェースです。これは、管理サーバーへのネットワーク・アクセスでサポートされるWebブラウザからアクセスできます。
WebLogic Serverコンソールの使用法の詳細は、『Oracle Fusion Middlewareの管理』のOracle WebLogic Server管理コンソール使用の概要に関する項を参照してください。
WebLogic Serverコンソールに関するその他のリソースを次に示します。
各サマリー表の内容の詳細は、WebLogic管理コンソール・オンライン・ヘルプの「サーバーの監視」を参照してください。
WebLogic Serverを使用したドメインの監視の詳細は、『Oracle WebLogic Serverのパフォーマンスのチューニング』を参照してください。
WebLogic診断フレームワーク(WLDF)は、サーバーやアプリケーションで生成された診断データの収集が可能な監視および診断用のフレームワークです。WLDFは、データを収集して、ログ・レコード、データ・イベント、取得したメトリックなどの各種ソースに格納するように構成できます。
詳細は、『Oracle Fusion Middlewareの管理』の診断フレームワークの理解に関する項を参照してください。
注意: WebLogic診断フレームワーク、およびOracle Fusion Middlewareコンポーネントの監視におけるWebLogic診断フレームワークの利用方法の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server診断フレームワークの構成と使用』を参照してください。 |
Oracle WebLogic Scripting Tool (WLST)は、Oracle WebLogic Serverドメインの作成、管理および監視に使用するコマンドライン・スクリプト環境です。これは、Javaのスクリプト・インタープリタであるJythonがベースとなっています。ローカル変数、条件変数、フロー制御文などのJythonの標準機能のサポートのほかに、WLSTには、Oracle WebLogic Serverに固有のスクリプト関数(コマンド)セットが用意されています。Jythonの言語構文に従うことで、必要に応じてWebLogicのスクリプト言語を拡張できます。
詳細は、『Oracle Fusion Middlewareの管理』のOracle WebLogic Scripting Tool (WLST)使用の概要に関する項を参照してください。
DMSスパイ・サーブレットを使用すると、WebブラウザからDMSメトリック・データにアクセスできます。DMS対応のアプリケーションやコンポーネントで作成および更新されるデータは、DMSスパイ・サーブレットを通じてアクセス可能です。
DMSスパイ・サーブレットはDMS Webアプリケーションの一部です。DMS WebアプリケーションのWebアーカイブ・ファイルはdms.warで、dms.jar
と同じディレクトリ/modules/oracle.dms_12.1.2/dms.war
にあります。
デフォルトでは、DMS WebアプリケーションはJRF対応のサーバー・インスタンスの一部としてデプロイされます。URLはhttp://host:port/dms/Spy
です。
管理者ロールのアクセス権限を持つユーザーのみがこのURLを表示できます。これは、web.xml
の標準的なJava EE要素によってアクセスが制限されているためです。
図4-1に、スパイ・サーブレットの初期ページを示します。両側に同じメトリック表のリストが表示されています。
スパイ・サーブレットには、WebLogic Serverのメトリック表に加えて、デプロイされる非Java EEコンポーネントのメトリック表も表示されます。
メトリック表がスパイ・サーブレットに表示されるためには、その表の作成および更新を行うコンポーネントがインストールされ、稼働していることが必要です。稼働していないコンポーネントのメトリック表は表示されません。名前に:を含むメトリック表(weblogic_j2eeserver:app_overviewなど)は、メトリック・ルールによって生成された集計メトリック表です。
メトリック表の内容を表示するには、表の名前をクリックします。たとえば、図4-2はMDS_Partition表を示しています。
メトリック表のフィールドの説明を参照するには、表の下の「メトリック定義」リンクをクリックします。
各オペレーティング・システムには、監視用の便利なネイティブ・ツールおよびユーティリティが用意されています。オペレーティング・システムのネイティブ・コマンドを使用すれば、CPU使用率、ページング・アクティビティ、スワッピング、その他のシステム・アクティビティ情報などを収集して監視することができます。
オペレーティング・システム・コマンドの詳細は、オペレーティング・システム・ベンダー提供のドキュメントを参照してください。
オペレーティング・システムのネットワーク・モニタリング・ツールを使用すると、使用率の監視、ネットワークがボトルネックになっていないかどうかの確認、またはパケット損失やその他のネットワーク・パフォーマンスの問題の検出を行うことができます。ネットワーク・パフォーマンス監視の詳細は、オペレーティング・システムのドキュメントを参照してください。