この章では、Oracle Fusion Middleware 12c (12.1.2)リリースの相互運用性と互換性に関する特定の考慮事項および問題の概要を示します。
この章の構成は、次のとおりです。
次の項では、Oracle Fusion Middleware 12c (12.1.2)と他のOracle Fusion Middleware製品との互換性および相互運用性に関する一般的な情報を示します。
Oracle Fusion Middleware 12c (12.1.2)は、Oracle Fusion Middleware 12cの最初のリリースです。このリリースには、Oracle Fusion Middleware 12cアプリケーションの開発と計画の開始点として機能する、Oracle Fusion Middleware製品および機能の限定されたセットが含まれています。
Oracle Fusion Middlewareには次のような製品があります。
Oracle JDeveloper
Oracle WebLogic ServerおよびOracle Coherence
Oracle Fusion Middleware Infrastructure
Oracle HTTP Server
これは、Oracle Fusion Middleware 12c (12.1.2)でリリースされている製品の完全なリストではありません。Oracle Fusion Middleware 12c (12.1.2)のすべての製品については、Oracle Fusion Middlewareの理解を参照してください。
JDeveloperは、Java、XML、WebサービスおよびSQLの最新の標準を使用してアプリケーションを構築するための統合開発環境(IDE)です。詳細は、『Oracle JDeveloperによるアプリケーションの開発』のOracle JDeveloperの概要に関する項を参照してください。
Oracle WebLogic Serverは、エンタープライズ対応のスケーラブルなEnterprise Edition (Java EE)アプリケーション・サーバーです。詳細は、『Oracle WebLogic Serverの理解』の概要に関する項を参照してください。
Oracle Fusion Middleware Infrastructureは、Oracle WebLogic Server、Oracle CoherenceおよびOracle JRFの次のようなインフラストラクチャ・サービスを提供する、Oracle Fusion Middlewareディストリビューションです。
Oracle Application Development Framework (Oracle ADF)
Oracle Metadata Service (MDS)
Oracle Platform Security Servers (OPSS)
Oracle Web Services Manager (OWSM)
Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Control
これらのサービスは、Infrastructureのインストーラによって、Oracle Fusion Middleware 12cのOracleホーム内にある、Oracle共通ディレクトリにインストールされます。
Oracle Fusion Middleware 11gから12cで変更されたディレクトリ構造およびその他の概念についての詳細は、Oracle Fusion Middlewareの理解を参照してください。
Oracle Fusion Middleware 11gの同等のインストーラはApplication Developer 11gインストーラで、これにはOracle WebLogic Serverの既存のインストールが必要であることに注意してください。12cでは、Oracle Fusion Middleware InfrastructureディストリビューションはOracle WebLogic ServerとOracle JRFの両方で構成されていて、単一のインストーラが対応します。
Oracle Fusion Middleware 12c (12.1.2)には、Oracle Fusion Middleware 11gで利用可能だった多くのOracle Fusion Middleware製品が含まれていません。かわりに、Oracle Fusion Middleware 12cの最初のリリースとして、Oracle Fusion Middleware 12cアプリケーションの開発と計画の開始点として機能する、Oracle Fusion Middleware製品および機能の限定されたセットを提供します。
そのため、既存のOracle Fusion Middleware 11g環境にOracle Fusion Middleware 12c (12.1.2)をインストールして構成する場合には、固有の考慮事項があります。
詳細は、第2.3項を参照してください。
Oracle WebLogic Server 11g製品が現在稼働している場合は、次の点に注意してください。
Oracle WebLogic Server 12c (12.1.2)を、以前のOracle Fusion Middleware 11gまたはOracle WebLogic Server 11g製品と同じMiddlewareホームまたはOracleホームにインストールしないでください。これにはOracle WebLogic Server 10.3も含まれます。
Oracle Fusion Middleware 11g製品を、Oracle WebLogic Server 12c (12.1.2)と同じOracleホームにインストールしないでください。
同様に、既存のOracle Fusion Middleware 11gまたはOracle WebLogic Server 11gドメインを、Oracle WebLogic Server 12c (12.1.2)によって拡張することもできません。
Oracle Fusion Middleware 11g製品が現在稼働している場合は、次の点に注意してください。
Oracle Fusion Middleware 12c (12.1.2) Infrastructureを、以前のOracle Fusion Middleware 11g製品と同じMiddlewareホームまたはOracleホームにインストールしないでください。
Oracle Fusion Middleware 11g製品を、Oracle Fusion Middleware Infrastructure 12c (12.1.2)と同じOracleホームにインストールしないでください。
同様に、既存のOracle Fusion Middleware 11gまたはOracle WebLogic Server 11gドメインを、Oracle Fusion Middleware Infrastructure 12c (12.1.2)によって拡張することもできません。
ただし、既存のOracle Fusion Middleware 11g製品とOracle Fusion Middleware Infrastructureが別のOracle Fusion Middleware 11g Middlewareホームにインストールされていれば、これらを使用できます。たとえば、既存のOracle Identity Management 11gインストールを、Oracle Fusion Middleware Infrastructure 12c (12.1.2)アプリケーションをサポートするLDAPディレクトリ・サービスに使用できます。
表2-1では、Oracle HTTP Serverと他のOracle Fusion Middlewareコンポーネントとの、最も一般的な相互運用性シナリオについて説明します。この表の情報は、このドキュメントの発行時点のものです。
Oracle HTTP Serverの相互運用性の詳細は、Oracle Technology Network (OTN)で入手できる動作保証情報を参照してください。詳細は、第1.4.2項「Oracle動作保証マトリクスの使用方法」を参照してください。
この表を確認するときは、以下の点を考慮してください。
バージョン間の相互運用性(Oracle HTTP Server 11gとOracle Fusion Middleware 12cとの相互運用性など)は、製品が個別のOracleホームにインストールされている場合にのみサポートされます。一般的に、Oracleでは、バージョンが異なる製品の同じOracleホームへのインストールはサポートされていません。詳細は、第2.8項を参照してください。
Oracle HTTP Server 12c (12.1.2)にはWebGate 12c (12.1.2)が含まれています。この製品は、Oracle WebLogic ServerまたはOracle Fusion Middleware Infrastructureを、Oracle Access Managerに統合するために使用できます。詳細は、第2.6.1項を参照してください。
表2-1 Oracle HTTP ServerのOracle Fusion Middleware 12cとの相互運用性
Oracle HTTP Server 11g (11.1.1.6.0)より前のバージョン | Oracle HTTP Server 11g (11.1.1.6.0)以降 | Oracle HTTP Server 12c (12.1.2) | |
---|---|---|---|
Oracle WebLogic ServerおよびOracle Coherence 12c (12.1.2) |
|||
Oracle Fusion Middleware Infrastructure 12c (12.1.2) |
|||
Oracle Fusion Middleware 11gリリース1 (11.1.1.6.0) |
|
|
|
Oracle Fusion Middleware 11gリリース1 (11.1.1.7.0) |
|
|
|
Oracle Fusion Middleware 12c (12.1.2)は、必要なOracle Fusion Middleware製品およびコンポーネントのスキーマをホストするため、またその他の特定の製品機能のために、特定のデータベース・バージョンをサポートします。
Oracle Technology Network (OTN)の動作保証情報は、Oracle Fusion Middlewareでサポートされる特定のデータベース・バージョンについての情報を提供します。動作保証情報の使用方法の詳細は、第1.4.2項「Oracle動作保証マトリクスの使用方法」を参照してください。
ただし、場合によっては、Oracle Fusion Middlewareの機能またはコンポーネントが、さらに具体的なデータベース・バージョンや、特定のデータベース・リリースで使用可能な固有のデータベース機能を必要とすることがあります。
次の項では、このような特定の機能およびデータベース要件のいくつかについて説明します。
Oracle Technology Network (OTN)の動作保証情報で参照できる情報に加えて、表2-2では、特定のOracle Database機能を使用する場合の追加の考慮事項を示します。
表2-2 選択した製品および機能のデータベース・バージョン要件
製品または機能 | データベース要件 | 制限事項 | 詳細の参照先 |
---|---|---|---|
GridLinkデータ・ソースでのSCANアドレスの使用 |
Oracle Database 11.2以降で、Single Client Access Name (SCAN)を有効化 |
なし |
『Oracle WebLogic Server JDBCデータ・ソースの管理』のSCANアドレスに関する項 |
JDBC複数データ・ソース |
Oracle Fusion MiddlewareでサポートされるすべてのOracle Databaseバージョン |
なし |
『Oracle WebLogic Server JDBCデータ・ソースの管理』のJDBCマルチ・データ・ソースの構成に関する項 |
Oracle Databaseでスキーマを作成するときのエディションベースの再定義(EBR)の使用 |
Oracle Database 11.2以上 |
特に明記されていないかぎり、EBRはすべてのOracle Fusion Middlewareスキーマでサポートされます。 |
|
プラガブル・データベース(PDB)のサポート |
Oracle Database 12.1以上 |
PDBはOracle Fusion Middlewareスキーマでサポートされます。 リポジトリ作成ユーティリティからマルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)への接続は、サポートされません。 |
『Oracle Database管理者ガイド』のプラガブル・データベースの管理に関する項 |
動作保証情報に記載されているように、Oracleでは、Oracle WebLogic Serverドメイン構成の限定されたセットで、必要なOracle Fusion MiddlewareスキーマのリポジトリとしてJava DBの使用をサポートしています。
具体的には、評価または開発のためにのみ、Java DBを使用してOracle Fusion Middleware Infrastructureドメインの必要なスキーマをホストできます。
たとえば、必要なOracle Fusion MiddlewareスキーマをJava DBデータベースにインストールして、このJava DBデータ・ソースをOracle Fusion Middleware Infrastructureドメインの構成中に参照できます。
Java DBについての詳細は、次のURLでJava DBのドキュメントを参照してください。
http://docs.oracle.com/javadb
動作保証されたデータベースの詳細は、第1.4.2項「Oracle動作保証マトリクスの使用方法」を参照してください。
この項では、Oracle Identity ManagementのOracle Fusion Middleware 12cとの相互運用性に関する情報を示します。
表2-3は、Oracle Fusion Middleware 12c (12.1.2)とOracle Identity and Access Managementの使用可能なバージョンとの相互運用性を示しています。
Oracle Identity and Access ManagementとOracle Fusion Middleware 12cとの相互運用性を確認するときは、次の点を考慮してください。
多くの場合、Oracle Identity and Access Managementの現在使用できるバージョンは、Oracle Fusion Middleware 12cとともに使用できます。Oracle Identity and Access Management製品は別のOracleホームにインストールされ、別のOracle WebLogic Serverドメインに構成されるためです。
詳細は、第2.8項「Oracleホームとドメイン拡張時の相互運用性」を参照してください。
表2-3の情報は、このドキュメントの発行時点のものです。必ずOracle Technology Network (OTN)の動作保証情報を参照して、最新の動作保証について確認してください。
Oracle HTTP Server 12c (12.1.2)にはWebGate 12c (12.1.2)が含まれています。この製品は、Oracle WebLogic ServerまたはOracle Fusion Middleware Infrastructureを、Oracle Access Manager 11g (11.1.1.5.0)以降に統合するために使用できます。詳細は、第2.4項を参照してください。
表2-3 Oracle Identity and Access ManagementのOracle Fusion Middleware 12cとの相互運用性
Oracle Identity and Access Management 11.1.1.5.0より前のバージョン | Oracle Identity and Access Management 11.1.1.5以降 | Oracle Identity and Access Management 11gリリース2 (11.1.2) | |
---|---|---|---|
Oracle WebLogic ServerおよびOracle Coherence 12c (12.1.2) |
|||
Oracle Fusion Middleware Infrastructure 12c (12.1.2) |
表2-3は、Oracle Fusion Middleware 12c (12.1.2)とOracle Identity Managementディレクトリ・サービスの使用可能なバージョンとの相互運用性を示しています。
Oracle Identity ManagementとOracle Fusion Middleware 12cとの相互運用性を確認するときは、次の点を考慮してください。
多くの場合、Oracle Identity and Access Managementの現在使用できるバージョンは、Oracle Fusion Middleware 12cとともに使用できます。Oracle Identity and Access Management製品は別のOracleホームにインストールされ、別のOracle WebLogic Serverドメインに構成されるためです。
詳細は、第2.8項「Oracleホームとドメイン拡張時の相互運用性」を参照してください。
表2-4の情報は、このドキュメントの発行時点のものです。必ずOracle Technology Network (OTN)の動作保証情報を参照して、最新の動作保証について確認してください。
表2-4 Oracle Identity Managementディレクトリ・サービスのOracle Fusion Middleware 12cとの相互運用性
Oracle Internet DirectoryおよびOracle Virtual Directory 11.1.1.5.0より前のバージョン | Oracle Internet DirectoryおよびOracle Virtual Directory 11.1.1.5以降 | Oracle Unified Directory 11g (11.1.2) | |
---|---|---|---|
Oracle WebLogic ServerおよびOracle Coherence 12c (12.1.2) |
|||
Oracle Fusion Middleware Infrastructure 12c (12.1.2) |
Webサービスは、オープンなXMLベースの標準規格およびトランスポート・プロトコルを使用して、クライアントとデータを交換するWebベースのアプリケーションです。Webサービスは、統合されたWebサービス・カテゴリによって提供されるJava Technology APIとツールを使用して開発します。
Oracleは、いくつかのWebサービス・カテゴリをサポートします。これらのWebサービス・カテゴリは、特定のOracle Fusion Middleware製品やコンポーネントに関連付けられています。詳細は、『Webサービスの理解』を参照してください。
これらのOracle Webサービスのカテゴリは、Webサービスの様々なメッセージ形式、メッセージ機能およびセキュリティ機能をサポートします。このサポートはカテゴリによって異なりますが、Oracle Webサービスのすべてのカテゴリは、送受信する通信メッセージで次の標準機能をサポートしています。
標準SOAP
WS-Security、SSLの使用あり
WS-Security、SSLの使用なし
そのため、これらのタイプのWebサービス・メッセージをサポートするWebサービス・アプリケーションを開発すると、作成するサービスはOracle Webサービスのいずれのセキュリティ・カテゴリとも相互運用可能な状態で使用できます。
カテゴリ間でサポートされるWS-Securityシナリオの詳細およびWebサービス・エンドポイントの構成方法については、『Oracle Web Services Manager相互運用性ソリューション・ガイド』を参照してください。
次の項では、Middlewareホームに製品をインストールする際と既存のOracle WebLogic Serverドメインを拡張する際のOracle Fusion Middleware製品の相互運用性について説明します。
Oracle Fusion Middleware製品をインストールする際は、必ず作成する各Oracleホームに、同じバージョンまたはパッチ・セットの製品のみが含まれるようにしてください。各製品にはそれぞれの保守スケジュールがあり、今後相互運用性の問題が起こる可能性があります。
たとえば、特に明記されていないかぎり、Oracle SOA Suite 11gリリース1 (11.1.1.6.0)を、Oracle Fusion Middleware Infrastructure 12cと同じOracleホームにインストールすることはできません。
このルールは、新しい製品をインストールする場合と、パッチを適用する場合に適用されます。
バージョン番号またはパッチ・セットが同じであれば、別のOracle Fusion Middleware製品をサポートするように既存のOracle Fusion Middleware製品のドメインを拡張できます。
たとえば、既存のSOA Suite 11gリリース1 (11.1.1.5.0)ドメインがある場合は、Oracle Fusion Middleware 12cを使用してそのドメインを拡張したりパッチを適用したりしないでください。想定される相互運用性の問題を回避するには、両方のスイートが同等のバージョンで使用できるようになるまで待ってください。
Oracle Application Server 10gからOracle Fusion Middleware 11gにアップグレードする場合、または既存のOracle Fusion Middleware 11g環境にパッチを適用する場合、次の定義に該当するカスタム・アプリケーションへの影響を考慮する必要があります。
JDeveloperを使用して作成されたアプリケーション
その他のIDEを使用して作成されたアプリケーションで、Oracle Fusion MiddlewareのPublic Java APIのいずれかを使用しているもの
具体的に、この項の内容は次のような場合に該当します。
カスタム・アプリケーションを作成して、Oracle Application Server 10gまたはOracle Fusion Middleware 11gにデプロイしている場合
Oracle Application Server 10gまたはOracle Fusion Middleware 11gにデプロイされているアプリケーションと相互作用するクライアント・アプリケーションを作成した、または保守する場合
Oracleは、Fusion Middlewareの現行バージョンとそのバージョンに適用するパッチ・セット更新との互換性をバイナリレベルおよびソースレベルでサポートしようとしています。パブリック・インタフェースで非互換性の問題が生じる場合については、Oracle Fusion Middleware 12cで利用できるAPIリファレンス・ガイドに記載されています。
新しいバージョンまたはアップグレードを導入しているビジネス・アプリケーションは、必ず通常のリリース・プロセスでテストを行い、リグレッションがないようにすることをお薦めします。
Oracle Fusion Middleware 12cにアップグレードするとき、または既存のOracle Fusion Middlewareにパッチを適用するときは、使用している次のようなカスタム・アプリケーションへの影響を考慮する必要があります。
JDeveloperを使用して作成されたアプリケーション
その他のIDEを使用して作成されたアプリケーションで、Oracle Fusion MiddlewareのPublic Java APIのいずれかを使用しているもの
具体的に、この項の内容は次のような場合に該当します。
カスタム・アプリケーションを作成して、Oracle Application Server 10gまたはOracle Fusion Middleware 11gにデプロイしている場合
Oracle Application Server 10gまたはOracle Fusion Middleware 11gにデプロイされているアプリケーションと相互作用するクライアント・アプリケーションを作成した、または保守する場合
Oracleは、Fusion Middlewareの現行バージョンとそのバージョンに適用するパッチ・セット更新との互換性をバイナリレベルおよびソースレベルでサポートしようとしています。パブリック・インタフェースで非互換性の問題が生じる場合については、Oracle Fusion Middleware 12cのドキュメント・ライブラリにあるAPIリファレンス・ガイドに記載されています。
新しいバージョンまたはアップグレードを導入しているビジネス・アプリケーションは、必ず通常のリリース・プロセスでテストを行い、リグレッションがないようにすることをお薦めします。
通常、Oracle Fusion Middlewareパッチ・セットの適用では、カスタム・アプリケーションまたはクライアント・アプリケーションに追加の変更を加える必要はありません。ただし、アップグレード時には、いくつかの変更を加える必要があります。
WebLogic Serverの互換性の詳細は、『Oracle WebLogic Serverのアップグレード』のWebLogic Server 12.1.2と以前のリリースとの互換性に関する項を参照してください。