このドキュメントでは、Oracle Data Integrator 12c (12.1.2)で導入された新機能および拡張機能について説明します。
Oracle Data Integrator 12c (12.1.2)では、次の機能が強化されています。
宣言的なフローベースのユーザー・インタフェース
新しい宣言的なフローベースのユーザー・インタフェースは、宣言的アプローチの単純さおよび使いやすさと、構成可能なフローの柔軟性および拡張性をあわせ持っています。マッピング(Oracle Data Integrator 11gの概念であるインタフェースの後継概念)により、結合、フィルタ、集計、設定、分割などのコンポーネントのフロー全体で、ソースがターゲットに関連付けられます。
再使用可能マッピング
再使用可能マッピングを使用して、複数のマッピングで再使用できるフロー・セクションをカプセル化できます。再使用可能マッピングには、包含フローに接続する入力および出力シグネチャを設定でき、再使用可能マッピング内にカプセル化されるソースとターゲットを含めることもできます。
複数ターゲットのサポート
マッピングにより、単一フローの一部として複数のターゲットをロードできます。ターゲットのロード順を指定でき、オプションで分割コンポーネントを使用して行を1つ以上の条件に基づいて異なるターゲットにルーティングできます。
段階的なデバッガ
マッピング、パッケージ、プロシージャおよびシナリオを段階的なデバッガでデバッグできます。ユーザーはこれらのオブジェクト内のタスク実行を手動で横断し、事前に定義された位置で実行を中断するようにブレークポイントを設定できます。デバッグ・セッション中に変数の値をイントロスペクトおよび変更でき、コミットされていないトランザクションのコンテンツなど、基礎となるソースおよびターゲットのデータを問合せできます。
ランタイム・パフォーマンスの向上
パフォーマンスを向上させるためにランタイム実行が改善されました。セッションのキャッシュされた実行計画であるブループリントの導入など、セッション実行のオーバーヘッドを削減するために様々な変更が行われました。ソースをステージング領域に並列してロードすることで、パフォーマンスが向上します。ロードの並列化は、マップの物理ビューでカスタマイズできます。一時データベース・オブジェクトに一意の名前を使用して、同じマッピングを並列して実行することもできます。
Oracle GoldenGateの統合の改善
チェンジ・データ・キャプチャ(CDC)フレームワークのソースとしてのOracle GoldenGateの統合が次の領域で改善されました。
Oracle GoldenGateのソースおよびターゲット・システムは、トポロジのデータ・サーバーとして構成されるようになりました。抽出およびレプリケート・プロセスは、物理スキーマと論理スキーマによって表現されます。トポロジにおけるこのような表現により、一般的なコンテキスト方針に従って複数のコンテキストを個別に構成できます。
ほとんどのOracle GoldenGateパラメータを物理スキーマ構成の抽出およびレプリケート・プロセスに追加できるようになりました。UIでは、リストからのパラメータの選択がサポートされます。これにより、Oracle GoldenGateパラメータ・ファイルを生成後に変更する必要性が最小限に抑えられます。
1つのマッピングをターゲットのジャーナル化されたCDCロードとバルク・ロードに使用できるようになりました。これを有効にするには、Oracle GoldenGateレプリケーション・ターゲットではなくソース・モデルを使用したOracle GoldenGate JKMを使用し、デプロイメント仕様の一部としてマッピングでジャーナル化を構成します。複数のデプロイメント仕様をジャーナル化されたロードおよびバルク・ロード用に1つのマッピングで使用できます。
JAgentテクノロジを使用して、Oracle GoldenGateパラメータ・ファイルをソースおよびターゲットのOracle GoldenGateインスタンスに自動的にデプロイし、開始できるようになりました。
WebLogic Management Frameworkを使用したスタンドアロン・エージェント管理
Oracle Data Integratorのスタンドアロン・エージェントがWebLogic Management Frameworkから管理されるようになりました。これには、次のような利点があります。
構成ウィザードを使用したUI駆動の構成
複数の構成を個別のドメインで保守可能
ノード・マネージャを使用した、エージェントの管理および自動再起動
OPSSエンタープライズ・ロールとの統合
Oracle Data IntegratorでOracle Platform Security Services (OPSS)を使用してリソースへのアクセスを制御できるようになりました。エンタープライズ・ロールをOracle Data Integratorロールにマッピングして、様々なツールにわたってエンタープライズ・ユーザーに権限を与えることができます。
XMLの改善
次のXMLスキーマ構造がサポートされるようになりました。
リストおよび和集合: リストまたは和集合ベースの要素はVARCHAR列にマッピングされます。
substitutionGroup: 置換グループに基づく要素によって、置換グループのすべてのタイプそれぞれに表が作成されます。
複合コンテンツ: 複合コンテンツを含む要素は、要素のテキストとマークアップ・コンテンツを含むVARCHAR列にマッピングされます。
注釈: XMLスキーマの注釈のコンテンツは、表メタデータに格納されます。
Oracle Warehouse Builderとの統合
Oracle Warehouse Builder (OWB)ジョブは、OdiStartOwbJob
ツールを使用してOracle Data Integratorで実行できるようになりました。OWBリポジトリは、トポロジのデータ・サーバーとして構成されます。OWBジョブ実行のすべての詳細がオペレータ・ツリーにセッションとして表示されます。この機能の詳細は、「OdiStartOwbJob」を参照してください。
一意のリポジトリID
マスター・リポジトリおよび作業リポジトリでは、GUIDの規則に従って一意のIDが使用されるようになりました。これにより、アーティファクトのインポート時の衝突が回避され、組織内の複数のリポジトリを容易に管理および統合できます。
Oracle Warehouse BuilderからOracle Data Integratorへの移行ユーティリティ
ODI 12cは、Oracle Warehouse Builder 11gR2 (11.2.0.4)の概念および対象と、ODI 12c (12.1.2)の同等のものとの、より簡単なマッピングをサポートします。多くのOWBオブジェクトおよびマッピングを、それと等価のODI対象に自動的に変換する移行ユーティリティが提供されています。
この移行ユーティリティには、ODIパッチ17053768およびODI 12.1.2.0.1バンドル・パッチ(パッチ番号17836908)と、OWBパッチ17830453が必要です。移行ユーティリティの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Warehouse BuilderからOracle Data Integratorへの移行』を参照してください。