Oracle® Fusion Middleware Oracle Virtual Assembly Builderアプリケーションおよびイントロスペクション・プラグインの開発 12c (12.1.2) E47992-01 |
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次の項では、WebサービスAPIおよびその開発プロセスについて説明します。
Oracle Virtual Assembly Builderデプロイヤは、アセンブリ・アーカイブのリポジトリをメンテナンスし、そこに含まれるソフトウェア・システムのデプロイメントの側面を管理するJ2EEアプリケーションです。Oracle Virtual Assembly Builder Studioでアセンブリ・アーカイブを作成します。
デプロイヤによって、Oracle VMのような仮想化されたシステムにアセンブリ・アーカイブを登録するための操作、およびアセンブリ・アーカイブによって定義されているソフトウェア・システムのデプロイメントを編成するための操作が提供されます。
Oracle Virtual Assembly Builder Studioによって作成されたアセンブリ・アーカイブには、アプリケーションの形成のために連携して動作する、複数の関連するソフトウェア・スタックから構成されるソフトウェア・システムに関する情報が含まれます。このシステムをアセンブリと呼びます。アセンブリ・アーカイブには、アセンブリと、仮想化環境におけるアセンブリのインスタンスをインスタンス化するために使用される仮想マシン・テンプレートに関するメタデータが含まれます。
Oracle Virtual Assembly Builderデプロイヤへのインタフェースは、アセンブリ・アーカイブをそのリポジトリにアップロードする操作、仮想化システムにアセンブリ・アーカイブを登録する操作、およびアセンブリ・アーカイブで定義されたシステムのデプロイメント・インスタンスを管理する操作を行うWebサービスです。
Oracle Virtual Assembly Builderによって、総合的な製品ソリューションの一部としての追加インタフェースが提供されます。特に、Oracle Virtual Assembly Builder Studioおよびabctl
コマンドライン・インタフェースが、Webサービスと統合されます。
第1.4項「ターゲット」に示すとおり、Oracle Virtual Assembly Builderデプロイヤは、Oracle VM内のターゲットにデプロイできます。このような環境間における、機能面でのわずかな差異については、ドキュメント全体をとおして説明しています。
この項では、デプロイヤのリポジトリへのアセンブリ・アーカイブのアップロードを含む、デプロイメントのライフサイクルと、アセンブリ・インスタンスのデプロイメント・フェーズについて説明します。
Oracle Virtual Assembly Builderデプロイヤは、アセンブリ・アーカイブをリポジトリにアップロードする操作を行うWebサービスです。
アセンブリ・インスタンスは、デプロイ可能なアーティファクトです。アセンブリ、そのデプロイメント計画の1つ、およびデプロイされる必要があるターゲットを選択して、アセンブリ・インスタンスを作成する必要があります。CreateAssemblyInstance
を使用して、アセンブリ・インスタンスを作成できます。
デプロイ時に、デプロイ対象のアセンブリ・インスタンスを選択します。アセンブリ・インスタンスのデプロイメントは、様々なフェーズを通って遷移します(図1-1)。このフェーズには、ステージング済、デプロイ済および失敗が含まれます。それぞれの状態で、操作のサブセットが実行されます。
アプライアンス・インスタンスは、ターゲットの仮想環境で実行中または作成された(あるいはその両方の)アプライアンスのインスタンスです。アセンブリ・インスタンスがデプロイされると、アプライアンス・インスタンスを起動および停止でき、あるいはデプロイされたアセンブリ・インスタンスに関連付けられたアプライアンス・インスタンスの番号を増減できます。Oracle Virtual Assembly Builderがデプロイされたアプリケーションの状態を監視することはなく、デプロイメント関連操作が成功したか失敗したかと、アセンブリがデプロイ済かステージング済かの通知のみを行います。
次に、アセンブリ・インスタンス・フェーズのサマリーを示します。
デプロイ済: アセンブリ・インスタンスがデプロイされ、操作が正常に完了した場合、デプロイ済の状態になります。デプロイ済アセンブリ・インスタンスで実行できる操作は次のとおりです。
StopAssemblyInstance: この操作では、アセンブリ・インスタンスの実行中のすべてのアプライアンス・インスタンスを停止します。この操作の完了後に、アセンブリ・インスタンスはステージング済フェーズに遷移します。アプライアンス・インスタンスは仮想化環境に残り、後で再起動することが可能です。
UndeployAssemblyInstance: この操作では、実行中のすべてのアプライアンス・インスタンスを停止して、これらを環境から削除します。この操作の完了後、アセンブリ・インスタンスはシステムに残るため、再度デプロイすることが可能です。
RestartAssemblyInstance: この操作では、アセンブリ・インスタンスの実行中のすべてのアプライアンス・インスタンスを再開します。アセンブリ・インスタンスは、ステージング済に遷移してからデプロイ済に戻ります。
RedeployAssemblyInstance: この操作では、アセンブリ・インスタンスを再デプロイします。この操作の一部として、すべてのアプライアンス・インスタンスが停止され、ターゲット環境から削除されます。新しいアプライアンス・インスタンスが作成され、起動されます。
スケール: アセンブリ・インスタンス内のスケーリング・グループをスケールします。スケーリングは、アセンブリ・インスタンスでスケーリング・グループをスケール・アップまたはスケール・ダウンするために実行可能です。スケーリング・グループに対して実行可能なアプライアンス・インスタンス数は、構成済の最小インスタンス数と最大インスタンス数の間である必要があります。デプロイメントはデプロイ済状態のままとなります。
失敗: デプロイまたはアンデプロイ操作に失敗した際に、アセンブリ・インスタンスはこのフェーズになります。デプロイメント操作は、リソース不足などの様々な理由で失敗する可能性があります。失敗したデプロイメントに対して実行可能な操作は次のとおりです。
DeleteAssemblyInstance: この操作では、必要なクリーンアップが行われます(アプライアンス・インスタンスの停止および削除など)。この操作が完了すると、アセンブリ・インスタンスは存在しなくなります。
ステージング済: アセンブリ・インスタンスを停止すると、ステージング済のフェーズになります。このフェーズでは、すべてのアプライアンス・インスタンスは停止されています。このフェーズから実行可能な操作は次のとおりです。
StartAssemblyInstance: この操作では、停止されているすべてのアプライアンス・インスタンスを起動します。この操作の完了後、アセンブリ・インスタンスはデプロイ済状態に戻ります。
UndeployAssemblyInstance: この操作では、停止されているすべてのアプライアンス・インスタンスを仮想化環境から削除します。この操作の完了後、アセンブリ・インスタンスは残るため、再度デプロイすることが可能です。
Oracle Virtual Assembly Builderデプロイヤは、WebLogic ServerドメインにWebアプリケーションとして構成されます。
図1-2は、Oracle Virtual Assembly Builderデプロイヤの最上位コンポーネントを示しています。デプロイヤ・リポジトリには、アセンブリ・アーカイブと、Webクライアントによってデプロイヤにアップロードされる任意のデプロイメント計画が含まれます。アセンブリ・アーカイブおよびデプロイメント計画はOracle Virtual Assembly Builder Studioで作成されますが、デプロイヤによってメンテナンスされるリポジトリは、Oracle Virtual Assembly Builder Studioカタログとは別のものです。Oracle Virtual Assembly Builder Studioで作成された計画は、WebサービスAPI経由でデプロイヤにアップロードされます。デプロイヤのランタイムおよび構成の状態は、存続しているCoherenceの分散キャッシュで維持されるため、単一インスタンス・インストールが失敗した場合でもリカバリ可能です(つまり、デプロイヤのプロセスが存在します)。デプロイヤは1つ以上の仮想化システムと対話し、これらのシステムにアセンブリ・アーカイブのデプロイメントを編成します。
仮想化システムが異なると、異なる方法でリソースが構成され、リソースに対する参照およびアクセスには異なる情報が必要となります。異なるシステム間で共通の操作性を実現するために、Oracle Virtual Assembly Builderデプロイヤによってターゲットの概念が定義されています。ターゲットは、このドキュメントで後述する管理インタフェースを使用して構成され、仮想化システムにおけるリソースまたはリソースのプールを参照するために使用されます。各ターゲットに提供される構成情報は、ターゲットを含む仮想化システムに固有のものです。
Oracle Virtual Assembly Builderデプロイヤでは、Oracle VMのターゲットへのアセンブリ・インスタンスのデプロイがサポートされます。
一部の仮想化システムでは、システムと対話するツールによって問合せ可能なテンプレートやVMインスタンスなどのアーティファクトと関連付けられたタグによって、アーティファクトの検索や、またはアーティファクト間の関係の検索(特定のデプロイメントに関連付けられたアーティファクトの検索など)が可能です。
タグ付けをサポートするシステムでは、Oracle Virtual Assembly Builderデプロイヤによって、作成される特定のアーティファクトには自動的にタグが追加されます。表1-1で、これらのタグについて説明します。タグの値は常に文字列ですが、別の型として解釈されるものもあります。データ型列は、これらの型を示しています。たとえばデータ型が整数の場合、値が123のような文字列であると、数値の123として解釈される可能性があります。Oracle VMアーティファクトの列は、特定のタグが関連付けられるアーティファクトの種類を示しています。
表1-1 Oracle Virtual Assembly Builderデプロイヤのタグ
キー名 | データ型 | Oracle VMアーティファクト | 説明 | 例 |
---|---|---|---|---|
ovab:AssemblyArchiveName |
文字列 |
インスタンス、 テンプレート |
インスタンスのソースであるテンプレートを作成するために使用されるアセンブリ・アーカイブ名。 |
MySite.ova |
ovab:TemplateId |
文字列 |
インスタンス |
インスタンスのソースであるテンプレートのOracle VM名。 |
234jlk234jj3lkj43 |
ovab:TemplateRepositoryName |
文字列 |
インスタンス |
インスタンスのソースであるテンプレートを含むリポジトリ名。 |
MyRepository |
ovab:AppliancePath |
文字列 |
インスタンス |
Oracle Virtual Assembly Builderアセンブリ内のアプライアンスへのパス。これを使用して、元のアセンブリ構造におけるインスタンスの場所を決定します。 |
/MyWls/EjbCluster |
ovab:ApplianceInstanceIndex |
整数 |
インスタンス |
アプライアンス・インスタンス索引。 |
2 |
ovab:ComponentType |
文字列 |
インスタンス |
Oracle Virtual Assembly Builderイントロスペクションによって決定されるアプライアンスのタイプ。 |
WLS |
ovab:DeployerId |
文字列 |
インスタンス、 アセンブリ・アーカイブ、 テンプレート |
アーティファクトを作成したデプロイヤ・インスタンス識別子。 |
|
ovab:AssemblyInstanceId |
文字列 |
インスタンス |
デプロイヤ・インスタンスの有効範囲内で一意のアセンブリ・インスタンスの識別子。 |
Lkj234lk32j4lkj34 |
ovab:DeploymentPlan |
文字列 |
インスタンス |
インスタンスが含まれるデプロイメントに使用されるデプロイメント計画の名前。 |
MyPlan |
ovab:UserName |
文字列 |
テンプレート、 アセンブリ・アーカイブ、 インスタンス |
アーティファクトの作成に進むデプロイメント操作を開始したユーザー名。 |
John |
ovab:InitialTargetCount |
整数 |
インスタンス |
デプロイメント時のインスタンス数の初期ターゲット。 |
5 |
ovab:ScalabilityMin |
整数 |
インスタンス |
アプライアンスに許可されるインスタンスの最小数。 |
1 |
ovab:ScalabilityMax |
整数 |
インスタンス |
アプライアンスに許可されるインスタンスの最大数。 |
10 |
デプロイメント編成に関する詳細情報は、アプリケーションを表示するアセンブリ・アーカイブに埋め込まれているOVFメタデータ、およびデプロイメントの作成時に提供するデプロイメント計画に保存される情報によって決定します。