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Oracle® Fusion Middleware Oracle Reports ServicesレポートWeb公開ガイド
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9.5 フォントのタイプ

この項では、Oracle Reportsに関係のあるフォントおよびキャラクタ・セットについて説明します。

9.5.1 キャラクタ・セット

NLS環境変数のキャラクタ・セット・コンポーネントでは、各自の環境でデータを表す際に使用されるキャラクタ・セットを指定します。あるキャラクタ・セットを使用するシステムから別のキャラクタ・セットを使用するシステムにデータが転送されると、転送先のシステムでそのデータが処理され、正しく表示されます。ただし、一部の文字がキャラクタ・セットの別のバイナリ値で表される場合があります。

単一言語対応アプリケーションであっても複数のキャラクタ・セットを使用するアプリケーションや多言語対応アプリケーションを設計する場合、実行時に最も広く使用されるキャラクタ・セットを決定し、NLS環境変数(NLS_LANG)をそのキャラクタ・セットに設定してアプリケーションを生成する必要があります。

あるキャラクタ・セットで設計および生成されたアプリケーションを別のキャラクタ・セットで実行すると、パフォーマンスに問題が生じる可能性があります。さらに、生成時のキャラクタ・セットの文字の一部が実行時のキャラクタ・セットに含まれていない場合は、認識されない文字の部分に疑問符が表示されます。Portable Document Format (PDF)は、マルチバイト・キャラクタ・セットをサポートします。特定のフォントを使用してアプリケーションを作成しても、実行してみると別のフォントが使用されている場合があります。この問題は、多くの場合、西ヨーロッパ圏以外の言語環境で英語フォント(MS Sans SerifやArialなど)を使用すると発生します。この問題が発生する原因は、フォントに関連付けられているキャラクタ・セットが言語環境変数(NLS_LANG)によって指定されたキャラクタ・セットと一致していることをOracle Reportsでチェックするためです。2つのキャラクタ・セットが一致しない場合、言語環境変数で指定されたキャラクタ・セットと一致するキャラクタ・セットが関連付けられている別のフォントにOracle Reportsにより自動的に置換されます。この自動置換によって、データベースから返されるデータがアプリケーション内で正しく表示されます。注意: 英語フォントを使用して各国語の文字を入力すると、Windowsでは暗黙的に別のフォントへの関連付けが行われます。ただし、このような自動置換が行われないようにする場合もあります。自動置換が行われないようにするには、希望するすべてのフォントを、フォント・エイリアス・ファイル(uifont.ali)内のWE8ISO8859P1キャラクタ・セットにマッピングします。

9.5.2 Unicode

Unicodeは、1つのアプリケーションで多言語テキストを表示できるようにするグローバルなキャラクタ・セットです。これによって多国籍企業では、1つの多言語アプリケーションを開発し、それを世界各国に配布できます。多言語アプリケーションにおいてUnicodeを使用する方法の詳細は、第23.5項「Unicode」を参照してください。

9.5.3 Type1フォント

PostScriptフォントのフォーマットであるAdobe Type1フォントの保存形式には、.pfa (PostScript Font ASCII)と.pfb (PostScript Font Binary)の2種類があります。これらのファイルには文字の形状に関する記述が含まれます。個々の文字は小さなプログラムによって生成されますが、このプログラムはさらに別の小さなプログラムをコールして、フォント内の文字の共通部分を計算します。どちらの場合も、文字の記述内容は暗号化されます。このようなフォントを利用できるようにするには、PostScriptインタプリタ、またはAdobe Type Managerなどの専用のレンダリング・エンジンを使用して、ビットマップのドットにレンダリングする必要があります。Adobe Type Managerは、Apple MacintoshおよびMicrosoft Windowsのシステム上で、低解像度のスクリーン・フォントを生成する場合に使用されます。

Type1バイナリ・ファイル(.pfa.pfb)には文字情報が含まれますが、メトリック・ファイル(.afm (Adobe Font Metric)または.pfm (Printer Font Metric))には文字を形成するためのメトリック情報が含まれます。これらのメトリック・ファイルはテキスト・ファイルであり、明確かつ解析しやすい構造で記述されています。

9.5.4 TrueTypeフォント

パーソナル・コンピュータの出現によって拡張性に優れたフォント・テクノロジの必要性が高まり、それ以降のあらゆるオペレーティング・システムにおいて不可欠であることが予想されていました。TrueTypeはまさに拡張性に優れたフォント・テクノロジであり、ビットマップ・フォントを使用する際に顕著な、文字の拡大によるギザギザのない出力結果が得られます。

このテクノロジは次の2つの部分から成り立ちます。

  • ラスタライザ

  • TrueTypeフォント

ラスタライザは、WindowsとMacintoshの両方のオペレーティング・システムに組み込まれているアプリケーションです。これはインタプリタとして機能し、フォント情報を、ビデオ・ディスプレイでレンダリング可能な形式へ変換します。

TrueTypeフォントは、それ自身にタイプフェースの各文字のアウトラインを表す情報が含まれます。より高品質なフォントには、ヒンティング・コードも含まれています。ヒンティングとは、縮小されたフォントの形状を最適化する処理です。ベクター・アウトラインにのみ依存するのではなく、文字の線がピクセルに揃うようにするため、フォントの形状がスムーズになり、読みやすさも最大になります。

Adobe社は、この機能を実現する自社のPostScriptコードのライセンス供与をAppleとMicrosoftの両社に対して提案しましたが、両社はいずれも、自社のオペレーティング・システムの中核部分に他社の支配力が及ぶということに懸念を抱いていました。Apple社とMicrosoft社は特許の相互使用と製品開発協定について合意し、Microsoft社はPostScriptスタイルのグラフィック・エンジンを開発し、Apple社はフォント・システムを開発しました。Apple社が開発したものは後にTrueTypeとなり、パフォーマンスとレンダリング品質において最高のテクノロジであることを証明しました。Apple社とMicrosoft社は、Adobe社に対抗する戦略的業務提携を発表しました。これは、Apple社がフォント・システム、Microsoft社が印刷用エンジンの開発を担当するというものでした。Apple社は、1991年3月にTrueTypeを発表しました。最初のTrueTypeフォントは次のものでした。

  • Times Roman

  • Helvetica

  • Courier

Microsoft社は、1992年初めにWindowsバージョン3.1にTrueTypeを導入しました。次のフォントのコア・セットを作成しました。

  • Times New Roman

  • Arial

  • Courier

Apple社とMicrosoft社のどちらのTrueTypeフォントも、スケーラブル・フォントからビットマップを生成する際に、あたかも人間が設計したかのような高い品質をフォントの各サイズで実現しています。

9.5.5 TrueType Collection

TrueType Collection (TTC)は、文字情報や絵文字などの共通するフォント・データを共有する効率的な方法です。こうしたデータの共有化によって、共通の絵文字などが各フォントではなく単一のファイル構造に格納されるため、ファイル・サイズが最適化されます。最も効率的なのは、複数のフォントを組み合せた1つのファイルです。たとえば、同じフォント・ファミリに属する複数の日本語フォントは、共通の漢字文字セットを共有できます。これらの漢字文字は、TTCファイルに保持されます。

たとえば、TTCファイルmsgothic.ttcは3つのフォントから構成される収集ファイルです。MS Gothic、MS PGothicおよびMS UI Gothicから構成されます。

9.5.6 バーコード・フォント

バーコード・フォントという用語が表すものは1つではありません。業種によっては、特定のバーコード・タイプが選定されていることがあります。このような場合は、適切なバーコード・フォントを使用できるようにする必要があります。たとえば、商品パッケージや書籍にバーコードを印刷する場合のバーコードの選択は簡単です。北米では、商品パッケージのバーコードにUPC-Aを使用します。ヨーロッパでは、商品のバーコードにはEANを使用します。

書籍のISBN番号のバーコードには、Bookland (EAN 13バーコードに5桁を付加したもの)を使用します。フォントはバーコードを印刷する方法の1つですが、唯一の方法ではありません。Oracle Reportsではこの方法以外にも、バーコード用Java Beanを使用してバーコードを生成する方法もあります。このJava Beanを使用すれば、一般的に使用されているバーコード・タイプに基づいてバーコードを生成することができます。

9.5.7 CIDフォント

CID (Character IDentifier)フォントは、コンポジット(マルチバイト) Type1フォントの一種で、東アジア言語圏の要求に応えて開発されたものです。Adobe社が開発したCID-Keyedフォント・ファイル・フォーマットは、PostScriptで使用される幅広いキャラクタ・セット・フォントに対応します。中国語、日本語および韓国語のフォントに最適なフォーマットですが、このほかにも様々なキャラクタ・セットのローマン体フォントに使用できます。CID-Keyedとは、文字識別子(CID)番号を使用してフォント内の文字に索引を付け、アクセスすることです。CIDフォントはそれぞれ、すべての文字のアウトラインが格納された1つの大きなフォント・ファイルと、文字、エンコードおよび文字識別子のリストが格納された1つの小さなCMapファイルから構成されています。フォント・ファイルとCMapファイルを組み合せることにより、特定のキャラクタ・セットとエンコード情報からなるフォントを作成することができます。CIDフォントはそれぞれ、多数のキャラクタ・セットとエンコードの組合せをサポートできます。