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Oracle® Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Enterprise Editionシステム管理者ガイド
11g リリース1 (11.1.1)
B63029-05
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13 マッピングおよび空間情報の構成

この章では、Oracle Business Intelligenceでマップ・ビューのマッピングおよび空間情報を構成する方法について説明します。Oracle Business Intelligenceをインストールするときに、データを表示するマップをユーザーが利用するための機能をインストールします。分析でマップを利用したり、ダッシュボードにマップを表示できるようにするには、この章の説明に従って、事前にシステム要件を理解し、レイヤーおよびマップを指定して、メタデータを構成する必要があります。

この章の内容は次のとおりです。

マップの拡張構成オプションの詳細は、第21章「マッピングおよび空間情報の高度なオプションの構成」を参照してください。

13.1 マップ・ビューのシステム要件

ダッシュボードにマップ・ビューを表示するには、システムに次のコンポーネントが必要です。

図13-1は、Oracle BI EEをインストールしたときのマップ・ビューのデフォルトのアーキテクチャを示しています。データは、Oracle Database、またはOracle BI EEがサポートする他のデータベースに格納できます。マップ・ビューの推奨されるアーキテクチャ図については、図21-1を参照してください。

図13-1 マップ・ビューのデフォルトのアーキテクチャ

図13-1の説明が続きます
「図13-1 マップ・ビューのデフォルトのアーキテクチャ」の説明

これらが配置されている場合は、第13.3項「マップの管理」の説明に従い、「Oracle BIプレゼンテーション・サービス管理」ページを使用してマップを管理します。

13.2 ハードウェアのサイズ設定およびマップのデプロイメント戦略

次の要件により、マップ・ビューのレンダリングは表ビューのレンダリングよりもコンピュータに負荷がかかります。

マップ・ビューを使用するユーザー数、マップ・ビューに表示するデータ量、(「都市の境界線のみ」や「番地レベルの詳細」など)表示する空間データの量など、組織で予想されるマップ・ビューの使用範囲を評価します。この評価に基づいて、適切なハードウェアのサイズおよびデプロイメント戦略を決定します。また、Oracle MapViewerのデプロイメントにおいて最適なパフォーマンスおよびスケーラビリティを実現するためのベスト・プラクティスについて、入手可能なドキュメントで確認します。

13.3 マップの管理

コンテンツ・デザイナがマップ・ビューを作成できるようにするには、Oracle BI管理者として、事前にレイヤーおよびマップを指定し、メタデータを構成する必要があります。この項の内容は次のとおりです。

13.3.1 マップおよびレイヤーの使用

最初の手順は、マップで使用するレイヤーを選択することです。管理者は、Oracle SpatialのMap Builderツールを使用してレイヤーを構成しています。その後、管理者がOracle SpatialのMap Builderツールを使用して構成したマップのリストから、少なくとも1つのマップを選択します。このマップは、レイヤーが適用される背景になります。オプションで、マップ・フォーマットで使用するイメージを指定できます。この項では、マップおよびレイヤーに関する次の情報を提供します。

13.3.1.1 レイヤーと列の関連付け

レイヤーおよびマップを選択した後、特定のレイヤーをOracle Business Intelligenceのサブジェクト・エリア・フォルダ内の列に関連付けることができます。列とレイヤーの関連付けが正しくないと、レイヤーをマップに正しく表示できません。この関連付けにより、マップのレンダリング時に、列値に対する図形定義をデータベースで見つけられるようになります。各列値に対する図形のジオメトリ定義がデータベースに存在している必要があります。特定の列値に対して図形のジオメトリ定義が存在しない場合、その図形がマップに表示されず、ユーザー操作を実行できないことがあります。

図形の参照は列値に基づいており、列対レイヤーのマッピングはロケールまたは言語に依存しません。したがって、レイヤーに関連付けられる空間列自体が、ロケールまたは言語に影響される値を持たないようにする必要があります。この関連付けを確実にするには、次のいずれかを実行します。

  • ビジネス・モデリング・レイヤーで、空間列を二重列としてモデリングします(推奨)。

  • ロケール間または言語間で変更されない値を持つ特別な空間列を作成します。コンテンツ・デザイナが分析を使用するとき、サブジェクト・エリアでこの特別な列を参照して混乱しないようにする必要があります。

二重列を使用する場合の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Enterprise Editionメタデータ・リポジトリ作成者ガイド』を参照してください。二重列を使用した場合の利点を次に示します。

  • 図形定義ごとにコード値(ディスクリプタID)を提供でき、同時にロケールまたは言語に応じた表示値(ディスクリプタの値)を示すことができます。

  • コード値は、参照用のレイヤー・キー値としてのみ渡されます。

  • 図形を一意に特定するために、各種列を複雑に結合する必要がなくなります。たとえば、レイヤー・ジオメトリ表に、Londonという名前を含む複数の市があるとします。これらの市を一意に区別するために、US_Kansas_LondonやCanada_Ontario_Londonなど、Country_State_Cityというパターンを使用する場合があります。この方法の問題点は、場合によって、3つの個別列をグループ化し、区切り記号(アンダースコアなど)で結合して、レイヤーに関連付ける必要があることです。この関連付けでは、コンテンツ・デザイナは、単一レイヤーを作成する条件に従い、3つの列(Country、State、City)を選択する必要があります。

BIレイヤーは、複数のサブジェクト・エリアの複数の列に関連付けることができます。レイヤーは少なくとも1つの空間列に関連付ける必要があります。レイヤーの関連付けが失われると、ユーザーがマップされているBI列にドリルダウンしても、マップが更新されないことがあります。機能レイヤーも使用できます。これは、BI列に関連付けられていないレイヤーです。

13.3.1.2 マップ上のレイヤーの順序付け

マップ・レイヤーの順序付けは非常に重要です。ユーザーがマップを移動するとき(つまり、ドリル操作およびズーム操作を行うとき)、シームレスに操作できるように細心の注意を払う必要があります。「背景マップの編集」ダイアログで、各レイヤーに最小および最大のズーム範囲を割り当てます。マップ・ズーム・スライダを垂直方向にのみスライドできる場合、最小ズーム・レベルが低いレイヤーはスライダの下に配置されます。ダイアログの「インタラクティブなBIレイヤー」セクションのレイヤー・グリッドが同様のパターンに従っていることを確認してください。これにより、最小ズーム・レベルの低いレイヤーがリストの下に配置されるようになります。次の項目を必ず実行してください。

  • ダイアログを閉じる前に、「ソート」アイコンをクリックしてレイヤーをソートします。

  • BIレイヤーは、非BIレイヤーより上位の順序にします。非BIレイヤーがBIレイヤーより上位の順序になっていると、マップでは、下位のBIレイヤーの上に非BIレイヤーが表示されるので、BIレイヤーがインタラクティブでなくなります。

レイヤーのズーム範囲がスケールに関係しない場合、レイヤーの順序付けは重要ではありません。レイヤーに一般的な最小ズーム範囲および最大ズーム範囲が設定されている場合、順序付けは非常に重要になります。ドリル操作またはズーム操作時に、重なるレイヤーによって詳細レイヤーが隠されないように注意してください。

例 13-1 3つのレイヤーが設定された世界地図

3つのレイヤー(Country、StateおよびCity)が設定された世界地図があり、15のズーム・レベルが定義されているとします。Countryレイヤーの最小および最大ズーム範囲は0 - 5、Stateレイヤーの範囲は6 - 10、Cityレイヤーの範囲は11 - 15です。ユーザーがマップで最小ズーム・レベルから最大ズーム・レベルにナビゲートすると、レイヤーがCountry、StateおよびCityの順(表示順)で表示されます。

図13-2は、この例について指定された「インタラクティブなBIレイヤー」セクションを含む「背景マップの編集」ダイアログを示しています。このセクションでは、下から上に向かって、レイヤー順がCountry、StateおよびCityであることを確認できます。

図13-2 共通部分のない「背景マップの編集」ダイアログ

図13-2の説明が続きます
「図13-2 共通部分のない「背景マップの編集」ダイアログ」の説明

例13-2 共通レベルの設定された世界地図

共通のズーム範囲が設定されたレイヤーを持つ同じ世界地図を考えてみます。図13-3に示す「背景マップの編集」ダイアログに対応するマップで、ユーザーがレベル4にズームしたとします。3つすべてのレイヤーにズーム・レベル4が設定されていることに注意してください。

図13-3 共通部分のある「背景マップの編集」ダイアログ

図13-3の説明が続きます
「図13-3 共通部分のある「背景マップの編集」ダイアログ」の説明

複数のレイヤーが表示可能であるため、ズーム・レベル4ではレイヤーの順序は明確ではありません。ダイアログの「インタラクティブなBIレイヤー」セクションで指定されているレイヤー順により、ズーム・レベル4では、マップは下位から上位に、Country、State、Cityの順でレンダリングされます。

ダイアログでレイヤーが正しい順序で表示されない場合は、ダイアログのズーム・グリッドにある「下に移動」ボタンおよび「上に移動」ボタンをクリックするか、「ズーム・レベルによるレイヤーのソート」ボタンをクリックすることでレイヤーの順番を変更できます。

レイヤーの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Enterprise Editionユーザーズ・ガイド』を参照してください。

13.3.1.3 再起動を必要とする空間メタデータの変更

管理者は、Oracle Databaseに格納されMapViewerによってアクセスされる空間メタデータを編集できます。たとえば、新しいレイヤーを追加できます。これらの編集内容は、MapViewerを再起動して最新データで更新するまで、マップを管理する「Oracle BIプレゼンテーション・サービス管理」ページには表示されません。

13.3.2 管理ページの機能

「Oracle BIプレゼンテーション・サービス管理」ページには「マップ・データの管理」リンクがあります。このリンクをクリックすると、各種物理データ・ソースのデータの論理バージョンおよび表示バージョンを管理できる「マップ・データの管理」ページが表示されます。ここで、コンテンツ・デザイナがマップ・ビューを作成する際に使用するレイヤーを定義します。マップおよびデータを管理するために使用できるデータは、MapViewerの一部としてOracle Databaseに格納されます。

このページでは、次の項目を指定できます。

  • 論理名。物理データまたはデータ・ソースの変更に起因して既存のBI列マッピングおよびマップ分析が破損しないようにできます。

  • 表示名。地理データをユーザーにわかりやすく表示できます。

13.3.3 管理ページを使用したマップの管理

この項は、Oracle BI Enterprise Editionがインストールされ、Oracle MapViewerが自動的に構成およびデプロイされていることを前提としています。MapViewerの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle MapViewerユーザーズ・ガイド』を参照してください。

管理ページを使用してマップを管理するには:

  1. Oracle Business Intelligenceにサイン・インします。

    「管理へのアクセス」および「マップ・データの管理」の権限が付与されていることを確認してください。

  2. グローバル・ヘッダーで「管理」をクリックします。

  3. マップ・データの管理」リンクをクリックして、「マップ・データの管理」ページを表示します。

  4. 「レイヤー」タブをクリックします。

  5. レイヤーのインポート」ボタンをクリックして、「レイヤーのインポート」ダイアログを表示します。

  6. ダイアログで、ズーム操作およびドリル操作に必要な接続およびレイヤーを選択します(このタブには、管理ページでの他の選択は事前移入されません。マップでは任意のレイヤーまたはイメージを使用できます)。

    使用するサブジェクト・エリアに適したレイヤーの選択が完了したら、「OK」をクリックします。

  7. 「レイヤー」タブに戻ってレイヤーを選択し、「レイヤーの編集」ボタンをクリックして、「レイヤーの編集」ダイアログを表示します。ここで、レイヤーを属性列に関連付けて、マップ・ビューにBIデータを表示できるようにします。

    レイヤーの編集が完了したら、「OK」をクリックします。

    このタブを使用してレイヤーをBIデータに関連付けます。複数のサブジェクト・エリアでCity列を使用する場合、各サブジェクト・エリアのレイヤーにCity列を関連付ける必要があります。

  8. 「背景マップ」タブをクリックし、「背景マップのインポート」ボタンをクリックして、「背景マップのインポート」ダイアログを表示します。

  9. ダイアログで、使用する接続およびメイン・マップを選択します。

    メイン・マップ用の接続には、レイヤーまたはイメージ用とは異なる接続を選択できます。

    メイン・マップの選択が完了したら、「OK」をクリックします。

  10. 「背景マップ」タブに戻ってマップを選択し、「背景マップの編集」ボタンをクリックして、「背景マップの編集」ダイアログを表示します。ここで、マップに名前を付け、レイヤーの順序とそれらのズーム・レベルを指定します。

    マップの編集が完了したら、「OK」をクリックします。

  11. オプションで、「イメージ」タブをクリックし、「イメージのインポート」ボタンをクリックして、「イメージのインポート」ダイアログを表示します。マップでイメージをフォーマットとして使用する場合は、イメージをインポートできます。

  12. ダイアログで、使用する接続およびイメージを選択します。

    イメージの選択が完了したら、「OK」をクリックします。

  13. 「管理」ページでの作業が完了したら、「戻る」をクリックします。変更が自動的に保存されます。

背景マップ、レイヤーおよびズーム・レベルを指定すると、この情報を使用してマップの静的イメージがMapViewerで作成されます。その後、マップ・ビューでコンテンツ・デザイナおよびエンド・ユーザーが使用するためにブラウザでレンダリングするため、そのイメージがMapViewerから送信されます。

13.3.4 マップ内のレイヤーの翻訳処理

MapViewerの機能を使用すると、テーマの機能(Oracle BI EEではマップのレイヤーと呼ばれます)に特定の言語およびロケールを使用してラベルを付けることができます。マップに対してこれらの翻訳済ラベルを構成するには、『Oracle Fusion Middleware Oracle MapViewerユーザーズ・ガイド』に記載されている情報を参照してください。