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Oracle® Fusion Middlewareパフォーマンスおよびチューニング・ガイド
11g リリース1 (11.1.1)
B61006-10
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14 Oracle Business Activity Monitoringのパフォーマンス・チューニング

この章では、Oracle Business Activity Monitoring (BAM)ダッシュボード・アプリケーションをチューニングして最適なパフォーマンスを得る方法について説明します。Oracle BAMは、企業のビジネス・サービスおよびビジネス・プロセスを監視するツールを提供します。

この章では、変更するとBAMの全体的なパフォーマンスを強化できる便利なパラメータについて説明します。

14.1 Oracle Business Activity Monitoringについて

Oracle Business Activity Monitoring (BAM)は、企業のビジネス・サービスおよびプロセスを監視するためのツールを備えています。これにより、市場の指標を実際のビジネス・プロセスと相関させることや、ビジネス・プロセスをすばやく変更したり、ビジネス環境の変化に応じて修正を加えたりすることが可能になります。Oracle BAMは、ダッシュボード(リアルタイムのデータ流入を表示し、特定の状況でアラートを送信するためのルールを定義する場所)の作成に必要なツールとランタイム・サービスも提供します。

詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle Business Activity Monitoringのユーザーズ・ガイドを参照してください。

14.2 チューニングに関する基本的な考慮事項

この後の項では、Oracle BAMのチューニングに関する考慮事項を示します。これらはパフォーマンスの問題を解決するのに役立ちます。

14.2.1 BAMサーバーのチューニング

次のチューニング構成を使用することで、BAMサーバーのパフォーマンスを改善できます。

14.2.1.1 ViewSetSharingパラメータおよびElementCountLimitパラメータの設定

ViewSetSharingパラメータは、BAMサーバー構成ファイルでTRUEまたはFALSEに設定できます。このパラメータを使用すると、ビューセットを共有できます(可能な場合)。一般に、特定のビューセットを他のユーザーと共有できるのは、他のユーザーが同じダッシュボードにアクセスしようとしているときに、行レベルのセキュリティやフィルタに設定されたプロンプト、パラメータなどが原因でビューセットが異なってはいない場合です。

アクティブ・データ・キャッシュ(ADC)がビューセットを追加作成せずに、同じビューセットおよびスナップショットを再利用できるよう、ViewSetSharingパラメータをTRUEに設定することを検討してください。そうすることで、BAMサーバーのリソース使用率が低下し、ユーザーのレスポンス時間が短縮されます。

このパラメータをオンにしても、ADCによる既存のビューセットの再利用が常に保証されるわけではありません。既存のビューセットの基礎となるスナップショットに加えられた変更が多すぎる場合、ADCは新しいビューセットを作成することがあります。

変更が多すぎるかどうかを判断するのに使用されるReportCacheパラメータはElementsCountLimitです。これには、レポート・キャッシュで判断のために使用されるスナップショットの変更の数を定義します。アクティブ・データが頻繁に発生する場合は、このパラメータを大きな数に設定してください。そうすることで、サーバーのCPU使用量は増えますが、ADCがビューの共有機能を使用できるようになります。ElementsCountLimitのデフォルト値は50です。

14.2.1.2 非同期サーブレットの有効化

アクティブ・データの発生率が高い期間は、ブラウザのメモリー使用量が増えます。パフォーマンスへの影響を防止するため、クライアント・マシンのメモリーを増やすことを検討してください。その場合は、BAMダッシュボード・アプリケーションに対してUseAsynchServlet=TRUEと設定します。

BAMダッシュボード・アプリケーションは、BAMサーバーが特定のスレッドを特定のユーザー・リクエストにバインドしないよう、非同期サーブレット機能を使用します。これにより、サーバー側でのシステム・リソースの使用状況が改善されます。

このパラメータは、サーバー構成ファイルにUseAsynchServlet=FALSEを追加することでオフにできます。デバッグ中はオフにして、プロセスの負荷を減らすことを検討してください。

それ以外の場合は、常にオン(デフォルト)にします。

Oracle Fusion Middleware Oracle Business Activity Monitoringのユーザーズ・ガイドのダッシュボード・ビューの作成に関する項を参照してください。

14.2.2 BAMダッシュボードのチューニング

この項では、パフォーマンスを考慮したBAMダッシュボードのチューニングについて説明します。

14.2.2.1 アクティブ・データ取得間隔のチューニング

アクティブ・データ取得間隔パラメータは、Oracle BAMアクティブ・データ・キャッシュ(ADC)がOracle BAMレポート・サーバーにイベントをプッシュする頻度(ミリ秒)を制御します。これは、アクティブなイベントがダッシュボード・ページに表示される頻度に影響を与える要因の1つです。この間隔を長くすると、Oracle BAMサーバーの負荷が軽減されます。間隔が長いと、ダッシュボードの複数の更新が単一の更新にまとめられる可能性が高くなりますので注意してください。

ADCPushIntervalのデフォルト値は1秒です。アクティブ・スタジオでアクティブ・データ取得間隔プロパティを使用して、特定のレポート内でADCPushIntervalのデフォルト値をオーバーライドできます。

アクティブ・スタジオの使用の詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle Business Activity Monitoringのユーザーズ・ガイドのOracle BAMアクティブ・スタジオのスタート・ガイドを参照してください。

14.2.3 BAMデータベースのチューニング

Oracle Business Activity Monitoringのパフォーマンスを最適化するには、Oracle Business Activity Monitoringシステム専用のハードウェアでデータベースを管理することを検討してください。『Oracle Databaseパフォーマンス・チューニング・ガイド』に記載されている一般的なデータベース管理手法は、Oracle Business Activity Monitoring専用のデータベースにも当てはまります。

一般的なデータベース構成の詳細は、第2.6項「データベース・パラメータのチューニング」を参照してください。

14.2.4 インターネット・ブラウザのチューニング

この項では、インターネット・ブラウザのパフォーマンス・チューニング構成について説明します。

14.2.4.1 iActiveDataScriptsCleanupFactorの設定

BAMは、アクティブ・データを<script>ブロックに入れて、永続的な接続を介してブラウザに送信します。この<script>ブロックによって使用されるメモリーをブラウザが解放しないことがあります。その場合、ダッシュボードのパフォーマンスに徐々に影響が現れます。

iActiveDataScriptsCleanupFactorパラメータは、このようなメモリーの問題の解決策となります。指定した数の文字を受信するたびに、ブラウザの定期的なリフレッシュが強制的に実行されます。この問題が顕著になるのは、アクティブ・データが速いペースでダッシュボードに送信されている場合です。アクティブ・データが毎秒25イベント以上の間隔でダッシュボードに到達している場合など、データの頻度が特に高いときは、この値をさらに大きくする必要があります。結局、設定する値はデータ、ビューの数、ビューセットの数、ADCPushintervalなどの要因によって異なります)。ブラウザのメモリー消費量を監視して、適切な値の決定に役立ててください。

パフォーマンスの問題が解消されないときは、このパラメータの値を大きくすることを検討してください。たとえば、アクティブ・データの増加が予想される場合は、デフォルト値の2倍から3倍の値に設定します。このパラメータのデフォルト値は1048576バイトです。通常は、このデフォルト値のままでも、再接続が頻繁に発生したり、クライアント・マシンのCPU/メモリー使用率が高くなりすぎたりするのを防止できます。

14.2.4.2 ブラウザのキャッシュ設定

Microsoft Internet Explorerを使用している場合は、閲覧履歴設定を自動に設定することを検討してください。詳細は、Microsoft Internet Explorerオンライン・ヘルプを参照してください。

14.2.5 エンタープライズ・メッセージ・ソースのチューニング

BAMエンタープライズ・メッセージ・ソース(EMS)は、BAMへのインバウンドJMS接続を可能にします。設定後、BAM EMSインスタンスはJMSキュー/トピックを監視して、JMSキュー/トピックからデータを読み取ります。各EMSインスタンスは、データをBAMサーバーの単一データ・オブジェクトにパブリッシュするよう構成されています。エンタープライズ・メッセージ・ソースは、挿入、更新、アップサート、削除の4種類の操作をサポートしています。JMSメッセージは、MapMessageとTextMessageの2種類がサポートされています。

14.2.5.1 メッセージのバッチ処理

EMSバッチ・プロセスは、複数のメッセージを単一のメッセージにまとめてからBAM EMSへ送信します。この機能を使用することで、送信側はすべてのメッセージをひとまとめにしてJMS経由で送信できます。バッチ・プロセスを使用すると、送信側からJMSサーバーへ、さらにはBAM EMSへのラウンドトリップの回数を抑えられるため、ネットワークのパフォーマンスが向上します。