Oracle® Fusion Middleware Oracle Business Process Managementモデリングおよび実装ガイド 11g リリース1 (11.1.1.7) B61409-09 |
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この章では、Oracle BPM Studioの概略を紹介し、Oracle BPM Suite内部でのOracle BPM Studioの使用方法について説明します。
この章の内容は次のとおりです。
Oracle BPM StudioはOracle BPM Suiteのコンポーネントの1つです。Oracle BPM Studioを使用すると、プロセス開発者はプロセスベースのアプリケーションを作成できます。またプロセス・アナリストおよびプロセス開発者はビジネス・プロセスをモデリングできます。
Oracle BPM StudioはOracle JDeveloper IDEの一部であり、Oracle SOA Suiteで使用されるJDeveloperユーザー・インタフェース要素の多くを共有しています。
Oracle BPM Studioの一般的なユース・ケースは次の3つです。
Oracle BPA SuiteまたはOracle Business Process Composerを使用して作成されたプロセス・モデルに基づいて、プロセスベースのビジネス・アプリケーションを開発します。
プロセス・モデルを作成し、プロセスベースのビジネス・アプリケーションとして実装します。
Business Process Composerで使用されるプロジェクト・テンプレートを作成して、実行可能なビジネス・アプリケーションを作成します。
これらのユース・ケースがアプリケーション開発ライフサイクルの一般的なワークフローにどのように組み込まれているかの詳細は、1.2項を参照してください。
JDeveloper環境は、ユーザーが選択したロールに基づいて調整できます。修正した環境では、メニュー、設定、新規ギャラリおよびダイアログの個別フィールドなどの不要項目をJDeveloperから削除します。選択するJDeveloperロールによって、JDeveloperで作業を行う際に使用可能なテクノロジとオプションが決定されます。Oracle BPMには、ビジネス・アナリストが使用できるプロセス設計要素のみを含むアナリスト・ロールが含まれています。Oracle BPMおよびSOA Suites の機能全部にアクセスする必要のあるプロセス開発者は、デフォルト・ロールを使用する必要があります。
この項では、Oracle BPM Studioのプロセス開発者から見たアプリケーション開発ライフサイクルについて説明します。
以降の項で説明するアプリケーション開発サイクルの各ワークフローは、次のステージに分けられます。
モデリング
実装
デプロイ
実際のアプリケーション開発環境においては、これらのステージの区別が明確に定義されていないこともあります。プロセス開発者は、アプリケーションの作成時にプロセスに追加や変更を行う必要があることがあります。
最終的な本番アプリケーションは、モデリングと実装を何度も繰り返した後で稼働アプリケーションとしてデプロイされる場合があります。また、テストのためにデプロイされたアプリケーションが再びモデリングおよび実装のステージに渡され、その後で本番環境にデプロイされる場合もあります。
図1-1は、Oracle BPM Studioを使用してアプリケーション設計のすべてのステージを実行する一般的なワークフローを示しています。
次の手順は、このワークフローの各ステージを説明しています。
Oracle BPM Studioを使用してプロセス・モデルを作成します(プロセス・アナリストまたはプロセス開発者)。
必要なサービスおよびアプリケーション・リソースを実装します(プロセス開発者)。
アプリケーションをコンパイルします(プロセス開発者)。
Oracle BPMランタイムにデプロイします(プロセス開発者またはプロセス管理者)。
図1-1は、Business Process Composerを使用してアプリケーション開発ライフサイクルの初期の各ステージを実行する一般的なワークフローを示しています。
図1-2 Oracle Business Process Composerを使用したプロジェクト・ブループリントの作成
次の手順は、このワークフローの各ステージを説明しています。
Business Process Composerを使用してブループリントを作成します(プロセス・アナリスト)
プロセス・ブループリントを含むプロジェクトをMDSに公開します(プロセス・アナリスト)。
Oracle BPM Studioでプロジェクトを開きます(プロセス開発者)。
プロジェクトをプロセスベースのビジネス・アプリケーションの一部として実装します(プロセス開発者)。
プロジェクトをランタイムにデプロイするか、プロジェクト・テンプレートとして保存します。
プロセスをランタイムにデプロイします(プロセス開発者、ビジネス管理者)。または
アプリケーションをプロジェクト・テンプレートとして保存します(プロセス開発者)。
プロジェクトをSARファイルとしてエクスポートします(プロセス・アナリスト)。このファイルをOracle BPMランタイムにデプロイします(ビジネス管理者)。
図1-1は、開発サイクルの最初にOracle BPM Studioを使用してプロジェクト・テンプレートを作成する一般的なワークフローを示しています。ここで作成したテンプレートは、プロセス・アナリストがBusiness Process Composerを使用して編集します。
次の手順は、このワークフローの各ステージを説明しています。
Oracle BPM Studioを使用してプロジェクト・テンプレートを作成します(プロセス開発者)。
テンプレートをMDSに公開します(プロセス開発者)。
Business Process Composerを使用して、プロジェクト・テンプレートに基づいて新規のプロジェクトを作成します(プロセス・アナリスト)。
テンプレートで定義されている編集ポリシーに基づいて、プロジェクト内のプロセスを編集します(プロセス・アナリスト)。
プロジェクトを検証します(プロセス・アナリスト)。
プロジェクトをデプロイするか、MDSに再公開してプロセス開発者に戻します。
プロセスを直接Oracle BPMランタイムにデプロイします(プロセス・アナリスト、ビジネス管理者)。これには承認ワークフローが必要な場合があります。
プロジェクトをOracle BPM MDSパーティションに再公開します(プロセス・アナリスト)。プロジェクトを再公開すると、ビジネス・プロセスをアプリケーション全体に実装する他のプロセス・アナリストまたはプロセス開発者とプロジェクトを共有できます。
プロジェクトをSARファイルとしてエクスポートします(プロセス・アナリスト)。このファイルは、Oracle BPMランタイムにデプロイできます(プロセス管理者)。
図1-4は、Oracle BPA Suiteを使用してプロセス・モデルを作成してから、Oracle BPM Studioを使用してプロセスベースのビジネス・アプリケーションを作成およびデプロイする一般的なワークフローを示しています。
次の手順は、このワークフローの各ステージを説明しています。
Oracle BPA Suiteを使用してプロセス・モデルを作成します(プロセス・アナリスト)。
プロセス・モデルをOracle BPM Studioにインポートします(プロセス開発者)。
実装します(プロセス開発者)
コンパイルします(プロセス開発者)
Oracle BPMランタイムにデプロイします(プロセス開発者またはプロセス管理者)。
MDSを使用してOracle BPM Studioから直接デプロイします。
プロジェクトをSARファイルとしてエクスポートします。このファイルは、Oracle Enterprise Managerを使用してBPMランタイムにインポートできます。
Oracle BPM StudioはOracle JDeveloperの統合部分なので、ユーザー・インタフェースで他のOracle製品と同じコンポーネントを多く使用しています。この項では、Oracle BPM Studioで使用される様々なUIコンポーネントについて説明します。
図1-5は、見積要求サンプル・プロセスが表示されたOracle BPM Studioのレイアウトを示しています。
Oracle BPMのプロジェクト・ナビゲータには、Oracle BPMプロジェクトのコンポーネントの階層ビューが表示されます。ナビゲータに表示されるコンポーネントは、ビジネス・プロセスのモデリングと実装に関連したものです。
詳細は、第2章「プロジェクトおよびプロジェクト・テンプレートの使用」を参照してください。
表1-1 Oracle BPMのプロジェクト・コンポーネント
コンポーネント | 説明 |
---|---|
プロセス |
このプロジェクトのビジネス・プロセスが含まれます。BPMNプロセスとBPELプロセスの両方が含まれることもあります。 |
アクティビティ・ガイド |
このプロジェクトに定義されているマイルストンが含まれます。 |
組織 |
このプロジェクトに定義されている組織要素が含まれます。 |
ビジネス・カタログ |
このプロジェクトに定義されているビジネス・カタログ要素が含まれます。 |
シミュレーション |
このプロジェクトに定義されているプロセスおよびプロジェクト・シミュレーション・モデルが含まれます。 |
リソース |
プロジェクトのXSLT変換が含まれます。 |
図1-6は、見積要求デモ・プロセスの内容が表示されたBPMプロジェクト・ナビゲータを示しています。
アプリケーション・ナビゲータにも、プロジェクト・ナビゲータと同様にプロジェクトのコンポーネントの階層ビューが表示されます。ただしこれらは、SOAコンポジット・アプリケーションで使用される基礎となる構成ファイル、XMLファイル、Javaクラスおよびその他のリソースを含む下位レベルのコンポーネントです。
図1-7は、アプリケーション・ナビゲータに表示される営業見積サンプルのファイルのいくつかを示しています。
SOAコンポジット・アプリケーションの内容の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suite開発者ガイド』を参照してください。
プロセス・エディタを使用すると、コンポーネント・パレットからフロー・オブジェクトと呼ばれるBPMNコンポーネントをドラッグ・アンド・ドロップすることにより、ビジネス・プロセスをモデリングできます。図1-8は、プロセス・エディタで開かれる見積要求サンプル・プロセスを示しています。ツールバーのフロー・オブジェクトのドロップダウン・メニューを使用してオブジェクトを挿入することもできます。
BPMコンポーネント・パレットには、Oracle BPMでサポートされるBPMNフロー・オブジェクトのリストが含まれています。BPMコンポーネント・パレットからこれらのフロー・オブジェクトをプロセス・エディタにドラッグ・アンド・ドロップすることにより、ビジネス・プロセスをモデリングできます。
BPMNフロー・プロジェクトは、「アクティビティ」、「イベント」、「ゲートウェイ」などのタイプに応じて、コンポーネント・パレットでグループ化されます。グループは、さらにサブタイプに分けられることがあります。図1-9では、BPMコンポーネント・パレットで「アクティビティ」グループが展開され、「デフォルト」および「対話型」の2つのアクティビティ・タイプが表示されています。
プロパティ・インスペクタを使用すると、プロセス・エディタで現在のプロセスのプロパティを表示および編集したり、オブジェクトがプロパティ調査に参加している場合はプロセスの選択されたフロー・オブジェクトのプロパティを表示および編集できます。調査できるフロー・オブジェクトには、アクティビティ、ビジネス・ルール、コール・アクティビティ、手動タスク、受信タスク、スクリプト・タスク、送信タスクおよびサービス・タスクが含まれます。
図1-10は、プロパティ・インスペクタの見積入力ユーザー・タスクのプロパティを示しています。プロパティ・インスペクタのメイン・エリアには、プロパティのグループが、「+」または「-」アイコンをクリックすると開閉できる名前の付いたセクションに構成されています。選択されたプロセスまたはオブジェクトに関連するセクションのみがプロパティ・インスペクタに表示されます(プロセスの「一般」、「拡張」、「シミュレーション」、ユーザー・タスク・フロー・オブジェクトの「一般」、「実装」、「データ・アソシエーション」、「シミュレーション」など)。
Oracle BPM MDSブラウザを使用すると、Oracle BPM MDSリポジトリに格納されているプロジェクトとプロジェクト・テンプレートを表示および使用できます。MDSリポジトリの詳細は、2.5項「Oracle BPM Metadata Service (MDS)リポジトリの使用」を参照してください。
「構造」ウィンドウには、その構造内のダイアグラム、ナビゲータ、エディタとビューア、および「プロパティ・インスペクタ」のウィンドウのうちアクティブなウィンドウ内で現在選択されているコンポーネント内のデータが構造的に表示されます。
「構造」ウィンドウに表示される構造コンポーネントは、通常、プロジェクト・ナビゲータまたはアプリケーション・ナビゲータで選択されたコンポーネントです。
「構造」ウィンドウから、次のような様々なタスクを実行できます。
プロセス・プロパティの編集
アクティビティ・ガイドの構成および新規マイルストンの作成
BPMNプロセスからBPELプロセスへの変換
ビジネス・オブジェクト、モジュールおよびビジネス例外の作成
新規のシミュレーション・モデルの作成。
図1-12は、BPMプロジェクト・ナビゲータでBPMNプロセスを選択したときの「構造」ウィンドウを示しています。
プロセスの構造は、「構造」ウィンドウで、「アクティビティ」、「ビジネス・インジケータ」、「会話」、「相関」、「測定」、「プロセス・データ・オブジェクト」、「プロジェクト・データ・オブジェクト」のカテゴリに分けられます。プロセスが再利用可能なプロセスの場合、2つの追加カテゴリ(「プロセス入力引数」および「プロセス出力引数」)が表示されます。カテゴリにはサブカテゴリがある場合があり、たとえば、「アクティビティ」はさらに「アクティビティ」、「ゲートウェイ」および「イベント」に分けられます。Oracle BPMでサポートされているBPMNフロー・オブジェクトの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Business Process Management Business Process Composerユーザーズ・ガイド』を参照してください。
「サムネイル」ウィンドウを使用すると、プロセス・エディタで開いているアクティブなビジネス・プロセスのサムネイル表現を表示できます。「サムネイル」ビューはプロセス・エディタと同期されているため、プロセス・エディタのウィンドウに適さない大きなプロセスのナビゲートに役立ちます。
デフォルトでは、「サムネイル」ウィンドウは、図1-13に示すように「構造」ウィンドウの隣にあります。「サムネイル」ビューの白い長方形は、プロセス・エディタのビューに現在表示されているプロセスのセクションを示します。「サムネイル」ビューで白い長方形をドラッグすると、プロセス・エディタのプロセスをパンして、プロセス・エディタに表示するプロセスのセクションを変更し、プロセスの指定のオブジェクトにすばやくナビゲートできます。
「シミュレーション」ビューでは、プロジェクトのシミュレーション・モデルを実行し、その結果を表示できます。図1-14には、シミュレーションの結果が棒グラフで表示されています。
「ドキュメント」ウィンドウでは、プロセスのエンド・ユーザーおよびユース・ケースのドキュメントを作成できます。プロセス全部に対するドキュメントを追加することも、プロセス内の各フロー・オブジェクトに対するドキュメントを追加することもできます。図1-15は、「ドキュメント」ウィンドウを示しています。