Oracle Fusion Middleware Oracle Service Busコンセプトおよびアーキテクチャ 11g リリース1 (11.1.1.7) B61433-07 |
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この章では、Oracle Service Busのサービス・モニターとサービス管理機能について説明します。Oracle Service Busの管理とモニターに携わるシステム管理者およびオペレータを対象としています。
この章の内容は以下のとおりです。
サービスのルーティングや変換といったEnterprise Service Busの機能に加えて、Oracle Service Busには、サービス・モニターとサービス管理機能が用意されており、この機能によってIT組織が期待する適切なオペレーションが確実に行われるようになります。以下のトピックでは、Oracle Service Busのサービス管理とサービス・モニターの機能について説明します。
Oracle Service Busは、実行時統計を集計してカスタマイズ可能なダッシュボードにリアルタイムに表示し、システム運用のヘルス状態をモニターしてメッセージング・サービスでの問題にフラグを付け、問題発生時にこれを迅速に隔離して診断できます。また、Oracle Service Bus管理コンソールを使用してシステムのパフォーマンスに応じたサービス・レベル・アグリーメント(SLA)を確立でき、SLAに違反した場合に自動的にレスポンスするアラートをトリガーするためのルールを構成できます。
システムのオペレーションについてのヘルス情報は、サーバーとサービスによって編成されます。ドメイン全体のステータス、またはドメイン内の個別のサーバーのステータスを色分けされた円グラフで表示することができます。サービスの概要も表示され、アラートの数や、定義されたアラートが発生しモニターが有効になっているすべてのサービスで対応する重大度が表示されます。
ダッシュボードに加えて、Oracle Service Busには個別のサービス・レベルでオペレーションとパフォーマンスの統計を表示する機能もあります。これらの統計値は、ドメイン内にある個別のサービス、または指定したサーバーのものになります。より詳細な分析のために、オペレーション・レベルでのサービスのパフォーマンス統計も表示されます。
Oracle Service Bus管理コンソール・ダッシュボードの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Service Bus管理者ガイド』のモニタリングに関する項を参照してください。
ダッシュボードに表示される情報は、システム処理時に収集されるデータの非同期集約に基づきます。Oracle Service Bus本番クラスタ・ドメインでは、Oracle Service Busデータ集約機能はクラスタ内のいずれかの管理対象サーバー上でシングルトン・サービスとして実行されます。サーバー固有のデータ集約は、ドメインの各管理対象サーバーで実行されます。集約機能は、一定間隔(構成可能)ですべての管理対象サーバーからデータを収集および集約します。
サービスごとにダッシュボードに表示できるメトリックを次の表に示します。
表6-1 Oracle Service Busサービスのメトリック
メトリック | 説明 |
---|---|
平均実行時間 |
プロキシ・サービスの場合、トランスポートにおけるメッセージの受信時から例外処理時またはレスポンス送信時までの時間の平均を示します。 ビジネス・サービスの場合、アウトバウンド・トランスポートにおけるメッセージの送信時から例外受信時またはレスポンス受信時までの時間の平均を示します。 |
メッセージの総数 |
サービスに送信されたメッセージの数です。JMSプロキシ・サービスで、例外によってトランザクションが中断され、メッセージが失われないようにキューに戻された場合、デキューが再試行されるたびに別々のメッセージとしてカウントされます。同様に、アウトバウンド・トランザクションの場合、再試行またはフェイルオーバーのたびに別々のメッセージとしてカウントされます。 |
エラーによるメッセージ |
エラー・レスポンスを伴うメッセージの数です。 プロキシ・サービスの場合、システム・エラー・ハンドラまたは返信失敗アクションによって終了される原因となったメッセージの数を示します。エラーがサービス内で処理され、返信が成功するか再開アクションが行われる場合、エラーとして扱われません。 ビジネス・サービスの場合、トランスポート・エラーまたはタイムアウトの原因となったメッセージの数を示します。再試行およびフェイルオーバーは別々のメッセージとして扱われます。 |
成功/失敗比率 |
(メッセージの総数 - エラーが発生したメッセージの数)/エラーが発生したメッセージの数 |
セキュリティ |
WS-Securityエラーを伴うメッセージの数です。このメトリックは、プロキシ・サービスおよびビジネス・サービスの両方で計算されます。 |
検証 |
フロー内の検証アクションで失敗した数です。このメトリックは、プロキシ・サービスにのみ適用されます。 |
これらのメトリックは、構成された集約時間ごとに、クラスタ全体で集約されます。ダッシュボードにはシステム全体のヘルス情報が表示され、一定間隔で表示が更新されます。
Oracle Service Busには、ビジネス・サービスおよびプロキシ・サービスにサービス・レベル・アグリーメント(SLA)を設定する機能が用意されています。これらのSLAは、ビジネス・サービスおよびプロキシ・サービスで期待されているサービスの正確なレベルと品質を定義します。SLAの測定に基づいてアラートをトリガーするルールを構成できます。アラートには、通常、警告、軽度、重要、重大、致命的という複数のレベルの重大度を構成できます。ビジネス・サービスまたはプロキシ・サービスに対して、複数のアラート条件を組み合せることができます。各アラートは、次のパラメータに基づいています。
成功割合、成功率、失敗率
メッセージ数
エラー数
フェイルオーバー/再試行回数
検証エラー数
WSSエラー数
レスポンス時間、最小レスポンス時間、最大レスポンス時間
SLAアラートは、オペレーション・チームに対してビジネスおよびプロキシ・サービスのヘルスに関する問題や、示されたサービスの品質に関する問題を通知するために設定されます。
Oracle Service Busにはサービス・レベル・アグリーメント(SLA)が実装されており、許容できないサービス・パフォーマンス状態と、そのような状態において必要なシステム・レスポンスを指定する「ルール」を使用することにより、SLAに違反した場合のレスポンスを自動化できます。ルールは、Oracle Service Bus管理コンソールを使用して定義および作成されます。Oracle Service Busで集約されたメトリック・データが更新されるたびに、そのデータに対してルールが評価されます。
ルールの評価がTrue
の場合は、アラートが発生します。Oracle Service Bus管理コンソール・ダッシュボードでアラートに関する情報を表示する以外に、Oracle Service Busは、ルールの評価がTrue
の場合に指定されたアクションを実行します。ルールには次の任意のタイプのアクションを割り当てることができます。
電子メール通知の送信
JMSメッセージの送信
Oracle WebLogic Serverロガーへのアラートの送信
アラートには、処理時間帯を構成することもできます。ルールとアラートの処理は、Oracle Service Bus アラート・マネージャが行います。アラート・マネージャは、システムのメトリック集約機能と同じ管理対象サーバー上で稼働します。
Oracle Service Busを使用すると、SLAアラートの他に、メッセージ・フロー内からアラート・アクションを構成することもできます(パイプライン・アラート)。これらのパイプライン・アラート・アクションは、パイプラインのメッセージ・コンテキストに基づいてアラートを生成し、アラート宛先に送信します。アラート・アクションには、アラート名、説明($orderなどのメッセージ要素を含めることができる)、アラート宛先、またはアラート重大度を構成できます。
Oracle Service Busアラートの構成方法の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Service Bus管理者ガイド』のモニタリングに関する項を参照してください。
Oracle Service Busでは、メッセージがプロキシ・サービスを介して渡すメッセージ・データについてレポートできます。レポートは、レポート・アクションによって行われます。レポート・アクションは、リクエスト/レスポンス・パイプラインまたはエラー・パイプライン・ステージの任意の場所に配置できます。レポート・アクションは、メッセージがプロキシを通過するときのメッセージ情報のフィルタとして使用できます。レポート・アクションによって取得されたデータは、レポート・プロバイダを経由してアクセスできます。レポート・アクションは、問題がメッセージの変換前と変換後のどちらにあるのか、ルーティング中にあるのかなどを判断する場合に役立ちます。
レポート・アクションでは、Oracle Service Busのレポート・データ・ストリームに書き込む必要がある各メッセージについての情報を指定できます。次の図に、レポート・アクションの例を示します。
Oracle Service BusにはJMSレポート・プロバイダが組み込まれています。それによって、レポートされたデータが取得され、レポート・データ・ストアの役割を果たすメッセージ・レポート・データベースに格納されます。Oracle Service Busには、独自のレポート・プロバイダの使用を予定する顧客のためにJava APIも用意されています。
Oracle Service Bus管理コンソールのメッセージ・レポート・モジュールには、概要情報も含めて、レポート・データ・ストアの情報が表示されます。メッセージ・レポート画面では、特定のメッセージに関する概要情報を表示できるほか、詳細情報も表示できます。
図6-3 Oracle Service Busダッシュボードでのメッセージ・レポートの概要の例
特定のレポート要件を満たすようにデータをフィルタおよびソートすることで、表示されるメッセージ・レポートの情報をカスタマイズすることが可能です。レポート・アクションの構成方法の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Service Bus管理者ガイド』のメッセージ・フローでのアクションの追加と編集に関する項を参照してください。
注意: メッセージ・レポート画面に表示される情報は、レポート・アクションを含むパイプラインを通過するメッセージに限定されます。 |
Oracle Service Bus管理コンソールには、メッセージ・データの管理に便利なパージ機能が備わっています。その他のデータ管理機能については、レポート・データ・ストアのホストに使用しているデータベースに対して標準的なデータベース管理手続きを適用できます。レポート・データ・ストア用にサポートされるデータベース・プラットフォームの一覧については、次の場所にあるOracle Fusion Middlewareのサポートされるシステム構成を参照してください: http://www.oracle.com/technetwork/middleware/ias/downloads/fusion-certification-100350.html
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Oracle Service Busのモニター、SLAアラート、およびレポート機能を使用すると、ITオペレーション部門はリアル・タイムでサービス・インフラストラクチャのヘルスと可用性を管理することができ、SLAの遵守を計測して、効果的で効率のよい報告を管理チームや経営者に行うことができます。