この章では、Oracle Virtual Assembly Builderのアーキテクチャについて説明します。内容は次のとおりです。
この項では、Oracle Virtual Assembly Builderの主要コンポーネントについて説明します。
Oracle Virtual Assembly Builder Studioは、ユーザーがアセンブリを作成できるようにするコンポーネントで、インタフェースとしてOracle Virtual Assembly Builder Studio GUIとabctl
コマンドライン・インタフェースの2つがあります。
Oracle Virtual Assembly Builder Studioおよびabctl
は、図2-2に示すように、Oracle Virtual Assembly Builder DeployerとWebクライアントとしてやり取りします。Oracle Virtual Assembly Builder Studioには、Oracle Virtual Assembly Builder Studioからデプロイメントを開始したり、デプロイメントでOracle Virtual Assembly Builder Deployerを利用したりできるデプロイヤ・ユーザー・インタフェースが用意されています。
Oracle Virtual Assembly Builder Studioカタログには、イントロスペクションの結果であるアプライアンスおよびアセンブリのメタデータ定義が含まれます。これらのアプライアンスおよびアセンブリの取得されたファイル・セット、仮想マシン・テンプレートおよびデプロイメント・プランもカタログに格納されます。
図2-1に、Oracle Virtual Assembly Builder Studioとカタログとの関係およびデプロイヤとEnterprise Grid Controlソフトウェア・ライブラリとの関係を示します。
図2-1 Oracle Virtual Assembly Builder Studioとデプロイヤ
Oracle Virtual Assembly Builder Deployerは、Oracle Virtual Assembly Builder Studioによって作成されたアセンブリ・アーカイブを保守するJ2EEアプリケーションで、Oracle VMなどの仮想化されたシステムにアセンブリ・アーカイブを登録するための操作と、アセンブリ・アーカイブによって定義されるソフトウェア・システムのデプロイメントを編成するための操作を提供します。
Oracle Virtual Assembly Builder Studioによって作成されたアセンブリ・アーカイブには、互いに連携してアプリケーションを形成する複数の関連ソフトウェア・スタックで構成されるソフトウェア・システムに関する情報が含まれます。この仕組みはアセンブリと呼ばれます。アセンブリ・アーカイブには、仮想化された環境でアセンブリのインスタンスをインスタンス化するのに使用されるアセンブリおよび仮想マシン・テンプレートに関するメタデータが含まれます。
デプロイヤは、Oracle WebLogic Server管理サーバーのOracle WebLogic Serverサーブレット・コンテナ内で稼働します。図2-2に、Oracle Virtual Assembly Builder Deployerの最上位コンポーネントを示します。
Oracle Virtual Assembly Builder Deployerへのインタフェースは、アセンブリ・アーカイブのアップロード、仮想化システムへのアセンブリ・アーカイブの登録、およびアセンブリ・アーカイブに定義されるシステムのデプロイメント・インスタンスの管理のための操作を提供するWebサービスです。
Webサービスに対する操作は、HTTPリクエストをOracle Virtual Assembly Builder Deployerのコンテキスト・パスにポストすることによって実行されます。リクエストには、アクションを定義するリクエスト・パラメータに続いて、操作の引数を定義するゼロ以上のリクエスト・パラメータが含まれます。レスポンスは通常、実行される操作に関連するXML文書です。ただし、アセンブリ・アーカイブ、デプロイメント・プラン、メタデータ・ファイルなどのアーティファクトがデプロイヤからクライアントにダウンロードされる場合を除きます。サンプルのリクエストおよびレスポンスは、『Oracle Virtual Assembly Builder開発者ガイド』を参照してください。
操作によっては、非同期アクションを定義できます。
デプロイヤの「デプロイメント」ナビゲータは、特殊なWebクライアントであるOracle Virtual Assembly Builder Studioの機能です。このナビゲータには、Webクライアントからデプロイヤにアップロードされたアセンブリ・アーカイブおよびデプロイメント・プランが表示されます。Oracle Virtual Assembly Builder Studioを使用してアセンブリ・アーカイブおよびデプロイメント・プランを作成しますが、デプロイヤが保持するリポジトリは、Oracle Virtual Assembly Builder Studioカタログとは別個のものです。デプロイヤのランタイム状態は、障害時にデプロイヤ・インスタンスをリカバリできるようにディスク上に維持されます(デプロイヤ・プロセスは終了します)。
Oracle VMの場合、デプロイヤは1つ以上の仮想化システムとやり取りし、これらのシステムへのアセンブリ・アーカイブのデプロイメントを編成します。Oracle Exalogicの場合、デプロイヤは事前構成済のターゲットを1つ保持し、そのシステムへのアセンブリ・アーカイブのデプロイメントを編成します。
この項では、Oracle Virtual Assembly Builderを設定できる様々な方法について説明します。
Oracle Virtual Assembly Builder Studioなしで、Oracle Virtual Assembly Builder Deployerを単独で設定できます。このインストール・シナリオでは、デプロイメント・ターゲットの構成、デプロイヤへのアセンブリ・アーカイブのアップロード、アセンブリ・インスタンスの作成、アセンブリ・インスタンスのデプロイ、アンデプロイ、起動、停止、およびアプライアンス・インスタンスのスケーリングが可能になります。
この構成には、次のインタフェースが含まれます。
PaaS操作を実行するには、WebサービスAPIを使用できます。
PaaS操作または管理操作のWebサービスAPIとやり取りするには、abctlを使用できます。
デプロイヤで管理操作を実行するには、WebサービスAPIを使用できます。
Oracle Virtual Assembly Builder Deployerなしで、Oracle Virtual Assembly Builder Studioを単独で設定できます。このインストール・シナリオでは、アプライアンスとアセンブリの作成、アプライアンス・テンプレートとアセンブリ・アーカイブの作成、およびデプロイメント・プランの作成が可能になります。
この構成には、次のインタフェースが含まれます。
Oracle Virtual Assembly Builder Studioグラフィカル・ユーザー・インタフェース
abctl
CLI (アセンブリを作成およびデプロイするための全機能)
注意: このシナリオは、追加インストールなしのOracle Exalogicには適用されません。 |
同じマシンのOracle Virtual Assembly Builder Studioと同じ場所に配置されるOracle Virtual Assembly Builder Deployerを異なるプロセスで設定できます。この構成には、Oracle Virtual Assembly Builder DeployerとOracle Virtual Assembly Builder Studioの前述のインタフェースが含まれており、「デプロイヤのみインストールするシナリオ」で説明した全操作と、「Studioのみインストールするシナリオ」で説明した全操作の実行が可能になります。
Oracle Virtual Assembly Builder Deployerとリモートでやり取りするように、Oracle Virtual Assembly Builder Studioを設定できます。Oracle Virtual Assembly Builder Studioは、Oracle VMデプロイヤとOracle Exalogic内で実行されているデプロイヤの両方とリモートでやり取りできます。Oracle Virtual Assembly Builder Studioのグラフィック・ユーザー・インタフェースとabctl
コマンドライン・インタフェースの両方を使用して、いずれのデプロイヤともインタフェースをとることができます。
この構成には、Oracle Virtual Assembly Builder DeployerとOracle Virtual Assembly Builder Studioの前述のインタフェースが含まれており、「デプロイヤのみインストールするシナリオ」で説明した全操作と、「Studioのみインストールするシナリオ」で説明した全操作の実行が可能になります。