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Oracle® Fusion Middleware Oracle Data Integratorアプリケーション・アダプタ・ガイド
11g リリース1 (11.1.1)
B70181-02
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7 SAP ABAP BW

この章では、Oracle Data IntegratorでのSAP BWナレッジ・モジュールの使用方法について説明します。

この章では、次の項目について説明します。

7.1 概要

SAP BWナレッジ・モジュールにより、Oracle Data IntegratorはSAP Java Connector (SAP JCo)ライブラリを使用してSAP-BWシステムに接続できます。これらのアダプタでは、SAP-BWシステムから大量のデータを抽出できます。

SAP BWアダプタを初めて使用する場合は、次のOracle Technical Network (OTN)にある、Oracle Data Integrator SAP ABAP BWアダプタ・スタート・ガイドを確認することをお薦めします。

http://www.oracle.com/technetwork/middleware/data-integrator/learnmore/index.html

これには、完全な前提条件のリストとSAP接続テストを含む手順を追った説明が含まれています。

7.1.1 概念

Oracle Data IntegratorのSAP BWナレッジ・モジュールは、次のような目的で、SAP-BWシステムの成熟したな統合方法を使用しています。

  • SAP BWメタデータのリバース・エンジニアリング

  • SAP BWシステム(ソース)からOracleステージング領域またはOracle以外のステージング領域へのデータの抽出およびロード

リバース・エンジニアリング・プロセスでは、ODIモデル内の次のSAP BWオブジェクトを返します。

  • 各ODS/DSOオブジェクトは、ODIデータストアとして表されます。

  • 各InfoObjectは、ODIでデータストアを最大3つまで含むサブモデルとして表されます。

    • マスター・データを持つInfoObjectsには、すべてのInfoObject属性を含むマスター・データ・データストアがあります。

    • テキスト・データが添付されているInfoObjectsには、すべてのテキスト関連の列を含むテキスト・データストアがあります。

    • 定義された階層を持つInfoObjectsには、すべての階層関連の列を含む階層データストアがあります。

  • 各InfoCubeは、単一のODIデータストアとして表されます。このデータストアには、すべてのディメンションのすべての特性に関する列とすべてのキー数値に関する列が含まれます。

  • 各OpenHubDestinationは、ODIデータストアとして表されます。

7.1.2 ナレッジ・モジュール

Oracle Data Integratorには、SAP BWデータを処理するためのナレッジ・モジュールが用意されています。これらのリストを表7-1に示します。

Oracle Data Integrator SAP BWナレッジ・モジュールでは、SAP JCoライブラリを使用したSAP BWシステムからの統合が可能です。このKMのセットには、次の機能があります。

  • SAP BWシステムからSAP BWデータを読み取ります。

  • Oracleステージング領域またはOracle以外のステージング領域にこのデータをロードします。

  • SAPメタデータをリバース・エンジニアリングし、必要なメタデータのみを選択するようツリー・ブラウザに指示します。

  • フレックスフィールドを使用してSAP BWデータ・ターゲット・タイプ(InfoCube、InfoObject、ODS/DSO、OpenHubおよびテキスト表)およびその列をマップします。

表7-1 SAP BWナレッジ・モジュール

ナレッジ・モジュール 説明

LKM SAP BW to Oracle (SQLLDR)

SQL*LOADERコマンドライン・ユーティリティを使用して、SAP BWシステムからフラット・ファイルにデータを抽出し、これをOracleステージング領域にロードします。

RKM SAP ERP接続テスト

このRKMは、Oracle Data IntegratorからのSAP接続のテストに使用します。詳細は、付録B「SAP ABAP ERPアダプタの追加情報」を参照してください。

RKM SAP BW

InfoCubes、InfoObjects (テキストおよび階層を含む)、ODS/DSOおよびOpenHubDestinationsのSAP固有のメタデータを取得するリバース・エンジニアリング・ナレッジ・モジュール。

LKM SAP ERP to SQL

JDBC接続を使用して、SAP BWからフラット・ファイルにデータを抽出し、これをステージング領域にロードします。


7.1.3 SAP BW統合プロセスの概要

RKM SAP BWにより、Oracle Data Integrator (ODI)ではSAP JCoライブラリを使用してSAP BWシステムに接続し、SAP BWメタデータのカスタマイズされたリバース・エンジニアリングを実行できます。

LKM SAP BW to Oracle (SQLLDR)およびLKM SAP ERP to SQLは、SAP BWシステム(ソース)からOracleステージング領域またはOracle以外のステージング領域にデータを抽出およびロードする役割を果たします。


注意:

SAP BWへのアクセスはABAPを使用して行われます。その結果、接続に使用されるテクノロジはSAP ABAPで、テクノロジ要素およびモデルはSAP ABAPテクノロジに基づきます。ODIにSAP BWテクノロジは存在しませんが、SAP ABAPテクノロジに基づいたSAP BW固有のKMが存在します。


7.1.3.1 リバース・エンジニアリング・プロセス

リバース・エンジニアリングではRKM SAP BWを使用します。

このナレッジ・モジュールでは、SAP BWメタデータを取得するための専用RFCプログラムを自動インストールします。また、SAP BWデータ・オブジェクトのリストを抽出し、オプションでメタデータ・ブラウザのグラフィック・インタフェースにこのリストを表示します。ユーザーは、リバース・エンジニアリングするSAP BWオブジェクトをこのリストから選択します。

リバース・エンジニアリング・プロセスでは、データ・ターゲット、主キー、外部キーおよびインデックスがOracle Data Integratorモデルにリバース・エンジニアリングされます。

7.1.3.2 統合プロセス

SAPからのデータ統合は、LKM SAP BW to Oracle (SQLLDR)およびLKM SAP BW to SQLによって管理されます。

LKM SAP BW to Oracle (SQLLDR)は、ABAPを経由したSAPからのインタフェース・ソーシングと、Oracle Databaseへのステージング領域の配置に使用され、LKM SAP BW to SQLは、Oracle以外のステージング領域用に使用されます。

KMではまず、指定されたインタフェースに必要な抽出プロセスに対応する、最適化されたABAPコードを生成します。このコードには、ソースのSAP BWサーバー内で直接処理できるフィルタおよび結合が含まれます。このABAPプログラムは、自動的にアップロードされ、OdiSAPAbapExecuteツールを使用して実行されて、SAP内に抽出ファイルが生成されます。

その後、KMは、この抽出ファイルを事前に構成されたFTPサーバーまたは共有ディレクトリのいずれかに転送します。さらに、このファイルは、このサーバーからODIエージェントがあるマシンに、FTP、SFTPまたはSCPを使用してダウンロードされるか、またはコピーされ、最後にSQL*LoaderまたはJDBC接続を使用してそのステージング領域にロードされます。また、このエージェントが、FTPサーバーのディスク上にある抽出ファイルを直接読み取ることもできます。詳細は、7.7.1項「ファイル転送の構成」を参照してください。

他の統合プロセス(データの整合性チェックおよび統合)は、他のOracle Data Integration KMで管理されます。

7.2 インストールおよび構成

SAP BWデータでの作業を開始する前に、この項の情報を必ず読んでください。

7.2.1 システム要件および動作要件

インストールを実行する前に、システム要件および動作要件のドキュメントを読んで、使用する環境がインストールする製品の最低インストール要件を満たすことを確認する必要があります。

サポートされているプラットフォームおよびバージョンのリストには、次のOracle Technical Network (OTN)からアクセスできます。

http://www.oracle.com/technology/products/oracle-data-integrator/index.html

7.2.2 テクノロジ固有の要件

SAP BWの一部のナレッジ・モジュールでは、SAP-BWシステムおよびOracleデータベースに固有の機能を使用します。この項では、これらの機能に関連する要件をリストします。

  • アダプタとの互換性があるJCoバージョンを使用する必要があります。サポートされるJCoバージョンのリストはOracle Technology Network (OTN)で入手できます。詳細は、7.2.1項「システム要件および動作要件」を参照してください。

  • Oracle Data IntegratorおよびJCoの両方と互換性があるJVMバージョンを使用する必要があります。

  • このアダプタは、SAPシステムからODIエージェントにデータを転送するための転送モードとして、共有ディレクトリを使用したデータ転送とFTPを経由するデータ転送の2つをサポートしています。詳細および制約については、7.7.1項「ファイル転送の構成」を参照してください。

    ファイル転送モードの選択に応じて、次の要件を満たす必要があります。

    • 共有ディレクトリを使用したデータ転送(推奨される転送方式)

      LKM SAP BW to Oracle (SQLLDR)には、SAPシステムとODIエージェントとの間で共有されるフォルダが必要です。SAPアプリケーション・サーバーでは、SAPシステムとODIエージェント・マシンからアクセス可能なフォルダにデータを書き込むことでデータを転送します。これは通常、ODIエージェント・マシンのフォルダをSAPシステムと共有することで行われます。共有フォルダは、必ずしもODIエージェント・マシン上に置く必要はないことに注意してください。共有フォルダがODIエージェント・マシンとSAPシステムの両方からアクセス可能であるかぎりは、サード・マシン上に共有フォルダを置くこともできます。


      注意:

      セキュリティ上の理由から、SAPサーバー上にあるフォルダは共有しないでください。そのかわりに、ODIエージェント・マシンのフォルダをSAPシステムと共有するか、または共有ファイル・サーバーとしてサード・マシンを使用します。


      共有フォルダは、SAPシステムにアクセスできる必要があります。基盤となるオペレーティング・システムのみへのアクセスでは不十分です。つまり、フォルダはSAPトランザクションAL11内で宣言される必要があり、その結果、フォルダはAL11内で正常に開かれます。

    • FTP経由のデータ転送

      LKM SAP BW to Oracle (SQLLDR)では、SAP BWシステムからのデータのアップロードにFTPサーバーが必要になります。このデータの読取りは、インタフェースを実行するエージェントによって(このエージェントがFTPサーバー・マシン上で実行されている場合)ローカルで実行されるか、またはリモートで(このエージェントがFTPサーバーとは異なるマシン上にある場合)実行されます。このFTPサーバーは、SAP BWマシンとエージェント・マシンの両方からネットワーク経由でアクセスできる必要があります。

  • 「LKM SAP BW to Oracle (SQLLDR)」のみ: LKM SAP BW to Oracle (SQLLDR)を使用したインタフェースの実行時には、エージェントを実行するマシン上にSQL*Loaderが必要です。SQL*Loaderは、SAPからOracleステージング領域に抽出されたデータのロードに使用されます。

7.2.3 接続性要件

Oracle Data Integratorは、JCoを使用してSAP BWデータをホストするSAP BWシステムに接続します。また、SAPシステムから抽出されたデータのホストには、FTPサーバーまたは共有ディレクトリを使用します。

この項では、次の必要な接続情報について説明します。

7.2.3.1 JCoのインストールと構成

SAPアダプタでは、JCoを使用してSAPシステムに接続します。プロジェクトを続行する前にJCoを構成する必要があります。

JCoをインストールおよび構成する手順は次のとおりです。

  1. http://service.sap.com/connectorsから構成でサポートされるJCoバージョンをダウンロードします。Oracle Technology Networkから入手できる互換性マトリックスでサポートされるJCoバージョンを確認します。

    http://www.oracle.com/technology/products/oracle-data-integrator/10.1.3/htdocs/documentation/odi_certification.xls


    注意:

    • JCo 3.0.2以降のバージョンが必要です

    • 使用中のオペレーティング・システムおよびシステム・アーキテクチャ(32ビットまたは64ビット)と一致するSAP JCoパッケージを選択します。たとえば、ODIを32ビットのJVMで実行している場合、CPUおよびOSが64ビットでも、32ビットのSAP JCoをダウンロードする必要があります。32ビットと64ビットのアーキテクチャを組み合せると、SAP JCoで必要なネイティブ・ライブラリで接続失敗が発生するため、この組合せは不可能です。

    • odi.confには、ODI Studio用に使用するJDKパスが含まれています。


  2. 適切な配布パッケージを任意のディレクトリ<sapjco-install-path>に解凍します。

  3. プラットフォームに対応するJCoドキュメント(<sapjco-install-path>/javadoc/installation.html)に記載されているインストール手順に従います。

  4. 必要なファイル(sapjco3.jarおよびsapjco3.dll/.so)<ODI_HOME>/odi_miscディレクトリ(Studio)および<ODI_HOME>/oracledi/agent/drivers(スタンドアロン・エージェント)にコピーします。

  5. SAPを使用してODIコンポーネント(ODI Studio、スタンドアロン・エージェント)を再起動します。

  6. JCoインストールをチェックします。


注意:

注意: SAP JCoソフトウェアは、librfc32ライブラリまたはlibrfc64ライブラリを必要としますが、これは付属していません。これは、たとえばSAP GUIソフトウェアに含まれています。このライブラリがまだインストールされていない場合、付録C「librfc32ライブラリまたはlibrfc64ライブラリのインストール」で説明されている手順に従ってダウンロードしてインストールする必要があります。


7.2.3.2 SAP接続情報の収集

SAP BWシステムに接続するには、SAP管理者に次の情報を要求する必要があります。

  • SAP BWシステムのIPアドレスまたはホスト名: SAPが実行されているホストのIPアドレスまたはホスト名。

  • SAPユーザー: SAPシステムにログオンするためにユーザーに指定される一意のユーザー名。

  • SAPパスワード: ユーザーのログインに使用される、大文字と小文字を区別するパスワード。

  • SAP言語: 英語はEN、ドイツ語はDEなど、ログイン時に使用される言語コード。

  • SAPクライアント番号: SAPでクライアントと呼ばれる自己完結型の単位に割り当てられた3桁の番号。クライアントは、トレーニング、開発、テスト、本番クライアントなどです。また、大企業の個々の部門を表す場合もあります。

  • SAPシステム番号: Web Application Server (WAS)とも呼ばれるSAPインスタンスに割り当てられた2桁の番号。

  • SAPシステムID: ランドスケープにおける3文字で一意のSAPシステムの識別子。

  • SAP SNC接続プロパティ(オプション)/SAPルーター文字列(オプション): SAPでは、SNCおよびSAPルーターを使用してセキュリティを強化しています。これは、これらのセキュリティの実装時に使用されます。

  • SAPトランスポート・レイヤー名: SAPランドスケープ内のトランスポート・レイヤーを一意に識別する文字列。これにより、ODIは、SAPでの後のデプロイメントでトランスポート・リクエストを作成できます。ここにデフォルト値がある場合でも、このトランスポート・レイヤー名は、SAP Basisチームからの提供を受ける必要があります。これを行わない場合、インストールの際、大幅な遅れにつながる可能性があります。

  • SAP BWバージョン: 3.5または7.0

  • SAPキャラクタ・セット: このキャラクタ・セットは、SAPシステムがUNICODEシステムではない場合にのみ必要となります。キャラクタ・セットの完全なリストは、『Oracle Databaseグローバリゼーション・サポート・ガイド』のロケール・データに関する項を参照してください。たとえば、クロアチア語のデータの場合はEE8ISO8859P2です。UNICODEシステムの場合はUTF8を使用します。


注意:

前述の接続データ(SAP SNC接続プロパティおよびSAPルーター文字列を除く)はすべて必須であり、SAP管理者から要求されます。接続設定時には、SAP管理者にサポートを依頼することを検討することもできます。


7.2.3.3 FTP接続情報の収集

SAP BWシステムでは、FTPプロトコルを使用してデータをサーバーにプッシュします。システム管理者から次の情報を収集します。

  • FTPサーバー名またはIPアドレス

  • FTPログインID

  • FTPログイン・パスワード

  • 一時データ・ファイルを格納するためのディレクトリ・パス

FTPサーバーがSAPシステムとODIエージェント・マシンの両方からアクセスできることを検証してください。

7.2.3.4 共有ディレクトリ情報の収集

共有ディレクトリ情報の収集は、共有ディレクトリを使用したデータ転送を計画する場合にのみ適用されます。SAPシステムでは、共有フォルダにデータをプッシュします。後述の設定のため、システム管理者から次の情報を収集します。

  • 共有フォルダの(UNC)パス名

共有フォルダがSAPシステムとODIエージェント・マシンの両方からアクセスできることおよび、アクセスに対話型認証が必要ないことを確認します。

共有フォルダは、<sid>admユーザーを使用してSAPシステムからアクセスできる必要があること、およびODIエージェントを起動するオペレーティング・システム・ユーザーからアクセスできる必要があることに注意してください。

7.2.4 権限の取得

SAPアダプタでは、設定および実行処理を行う権限が必要です。付録A「SAP ABAP BWアダプタの追加情報」に示されている権限のリストを管理者に提供してください。

これらの権限は、SAPユーザーがODIを使用してSAPシステムにログインする際に必要です。このユーザーは、SAPデータ・サーバーの作成時に指定されます。

7.3 トポロジの定義

SAP統合に使用する2つのデータ・サーバーを定義する必要があります。定義するのは、SAP ABAPデータ・サーバーとFTPデータ・サーバーです。

  1. ファイル・データ・サーバーの作成

  2. SAP ABAPデータ・サーバーの作成

7.3.1 ファイル・データ・サーバーの作成

このデータ・サーバーはFTPサーバーまたはファイル・サーバーに相当し、抽出ファイルはSAPからここにプッシュされ、SQL*LoaderまたはJDBCドライバ用に取得されます。

7.3.1.1 ファイル・データ・サーバーの作成

『Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator接続およびナレッジ・モジュール・ガイド』のファイル・データ・サーバーの作成に関する項の説明に従って、ファイル・データ・サーバーを作成します。この項では、SAP BWに固有のパラメータについて説明します。

データ転送モードの選択に応じて、このデータ・サーバーは次のいずれかを指す必要があります。

  • 既存のFTPサーバー。抽出ファイルがSAPからここにプッシュされ、ロード用に取得されます。

  • 共有フォルダ。SAPシステムにより抽出ファイルがここに書き込まれ、SQL*LoaderまたはODIフラット・ファイル・ドライバからそのファイルが取得されます。このスキーマは、抽出ファイルがプッシュされるFTPホスト内のフォルダを表します。

データ・サーバーのパラメータはデータ転送モードによって異なることに注意してください。

  • FTPを使用してデータを転送する場合は、次のようにパラメータを設定します。

    • ホスト(データ・サーバー): FTPサーバーのIPホスト名またはIPアドレス

    • ユーザー: FTPサーバーにログインするためのユーザー名

    • パスワード: ユーザーのパスワード

  • 共有ディレクトリを使用してデータを転送する場合は、次のようにパラメータを設定します。

    • ホスト(データ・サーバー): 該当なし

    • ユーザー: 該当なし

    • パスワード: 該当なし

  • 「LKM SAP ERP to SQL」で使用する場合、これらの追加のパラメータを構成する必要があります。

    • JDBCドライバ・クラス: com.sunopsis.jdbc.driver.file.FileDriver

    • JDBC URL: jdbc:snps:dbfile?ENCODING=UTF8

      前述のURLはSAP UNICODEシステム用です。UNICODEシステム以外の場合、『Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator接続およびナレッジ・モジュール・ガイド』のファイル・データ・サーバーの作成に関する項のENCODINGパラメータの詳細を参照してください。このURLで選択するエンコーディングは、SAPアプリケーション・サーバーで使用するコード・ページと一致する必要があります。

詳細は、7.7.1項「ファイル転送の構成」を参照してください。

7.3.1.2 ファイル・スキーマの作成

このファイル・データ・サーバーでは、『Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator接続およびナレッジ・モジュール・ガイド』のファイル物理スキーマの作成に関する項の説明に従って、物理スキーマを作成します。

このスキーマは、FTPホストまたはファイル・サーバーのいずれかにあるフォルダを表します。これは、抽出ファイルがプッシュされるフォルダであることに注意してください。データ転送モードに応じて、データおよび作業スキーマを次のように指定します。

  • FTPファイル転送の場合:

    • ディレクトリ(スキーマ): リモートの場所から抽出ファイルをアップロードまたはダウンロードするためのFTPサーバー上のパス。このパスは、SAP BWシステムからFTPサーバーに抽出ファイルをアップロードする際に使用されます。また、抽出ファイルをダウンロードするリモート・エージェントによって使用されます。このパスにはスラッシュを使用する必要があり、スラッシュ文字で終了する必要があります。

    • ディレクトリ(作業スキーマ): FTPサーバー・マシン上のローカル・パス。このパスは、FTPを経由することなく抽出ファイルにアクセスするため、このマシン上にインストールされたエージェントによって使用されます。このアクセス方法は、LKM SAP BW to Oracle (SQLLDR)またはLKM SAP BW to SQLのFTP_TRANSFER_METHODパラメータがNONEに設定されている場合に使用されます。作業スキーマはローカル・ディレクトリの場所です。そのため、スラッシュまたはバックスラッシュは、オペレーティング・システムに応じて使用する必要があります。このパスは、スラッシュまたはバックスラッシュで終了する必要があります。

      データ・スキーマと作業スキーマで指定されたパス名は必ずしも同じ名前ある必要はありません。FTPサーバーが、/sapfiles (ディレクトリ(スキーマ)の値)という名前のFTPディレクトリにアクセスできる一方、ローカルでは、c:\inetpub\ftproot\sapfiles (ディレクトリ(作業スキーマ)の値)にあるファイルがアクセスされます。

  • 共有ディレクトリ転送の場合:

    • ディレクトリ(スキーマ): 抽出ファイルの書込みおよび読取りを行う共有フォルダのパス(UNC)。SAPシステムによってこのフォルダに抽出ファイルが書き込まれます。また、リモート・エージェントによって、抽出ファイルをODIエージェント・マシンにコピーする場合にも使用されます。このパスには、SAPアプリケーション・サーバーのオペレーティング・システムに応じてスラッシュまたはバックスラッシュを使用し、その終わりにはスラッシュ文字またはバックスラッシュ文字を使用する必要があります。

    • ディレクトリ(作業スキーマ): 共有フォルダをホストするサーバー・マシン上のローカル・パス。このパスは、共有フォルダを経由することなく抽出ファイルにアクセスするため、このマシン上にインストールされたエージェントによって使用されます。このアクセス方法は、LKM SAP BW to Oracle (SQLLDR)またはLKM SAP BW to SQLのFTP_TRANSFER_METHODパラメータがFSMOUNT_DIRECTに設定されている場合に使用されます。作業スキーマはローカル・ディレクトリの場所です。そのため、スラッシュまたはバックスラッシュは、オペレーティング・システムに応じて使用する必要があります。このパスは、スラッシュまたはバックスラッシュで終了する必要があります。

    詳細は、7.7.1項「ファイル転送の構成」を参照してください。

File Server for SAP ABAPと呼ばれるファイル論理スキーマを作成して、物理スキーマにマップします。この論理スキーマ名はあらかじめ定義されており、SAP ABAPのファイル・サーバーにする必要があります。

7.3.2 SAP ABAPデータ・サーバーの作成

このSAP ABAPデータ・サーバーはSAPサーバーに相当し、ここからデータが抽出されます。

7.3.2.1 SAP ABAPデータ・サーバーの作成

SAP ABAPデータ・サーバーを構成する手順は次のとおりです。

  1. 『Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator開発者ガイド』のデータ・サーバーの作成に関する項に記載されている標準の手順で、SAP ABAPテクノロジ用のデータ・サーバーを作成します。このデータ・サーバーではSAP接続情報を使用します。

  2. このデータ・サーバーのパラメータを次のように設定します。

    • 名前: SAP_BW。ODIに表示されるデータ・サーバーの名前です。

    • ホスト(データ・サーバー): SAP BWシステムのIPアドレスまたはホスト名。

    • ユーザー: SAP管理者から提供されたSAP BWユーザー。

    • パスワード: このユーザーのSAP BWパスワード。このパスワードでは大文字と小文字が区別されます。

  3. 「フレックスフィールド」タブに、このデータ・サーバーのフレックスフィールド値を設定します。

    • SAP言語: ログイン時に使用される言語コード。たとえば、英語の場合はEN、ドイツ語の場合はDEです。

    • SAPクライアント番号: SAPでクライアントと呼ばれる自己完結型の単位に割り当てられた3桁の番号。クライアントは、トレーニング、開発、テスト、本番クライアントなどです。また、大企業の個々の部門を表す場合もあります。

    • SAPシステム番号: Web Application Server (WAS)とも呼ばれるSAPインスタンスに割り当てられた2桁の番号。

    • SAPシステムID: ランドスケープにおける3文字で一意のSAPシステムの識別子。

    • SAP SNC接続プロパティ: SNC接続プロパティ。このパラメータはオプションで、空のままにすることもできます。

    • SAPルーター文字列: ルーター文字列。このパラメータはオプションで、空のままにすることもできます。

    • SAPキャラクタ・セット: このキャラクタ・セットは、SAPシステムがUNICODEシステムではない場合にのみ必要となります。キャラクタ・セットの完全なリストは、『Oracle Databaseグローバリゼーション・サポート・ガイド』のロケール・データに関する項を参照してください。たとえば、クロアチア語のデータの場合はEE8ISO8859P2です。UNICODEシステムの場合はUTF8を使用します。

    • SAP BWバージョン: SAP BWバージョンを次のように入力します。

      • SAP BW 7.0以降のシステムの場合、700と入力します。

      • SAP BI 3.5システムの場合、350と入力します。

    • SAP ERPバージョン& SAP ABAPバージョン: SAP BWコネクタでは使用しません。

    • SAP Allow ABAP Upload: ABAPコードをこのSAPシステムでアップロードできる場合、1に設定します。通常、任意の開発以外のシステム用に0に設定します。詳細は、7.7.2項「本番環境でのABAPのアップロードおよびABAPコードの制御」を参照してください。

    • SAP Allow ABAP Execute: ABAPコードをこのSAPシステムで実行できる場合、1に設定します。詳細は、7.7.2項「本番環境でのABAPのアップロードおよびABAPコードの制御」を参照してください。


注意:

SAP接続およびFTP接続定義を検証するためのテスト・ボタンはサポートされていません。


データ・サーバー名を除いて、SAPデータ・サーバーの定義の際に指定するすべてのパラメータはSAP管理者によって提供される必要があります。これらのパラメータの詳細は、「SAP接続情報の収集」を参照してください。

7.3.2.2 SAP ABAPスキーマの作成

SAP ABAPスキーマを構成する手順は次のとおりです。

  1. 『Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator開発者ガイド』の物理スキーマの作成に関する項の説明に従って、SAP ABAPデータ・サーバーの下に物理スキーマを作成します。このスキーマには、特定の構成は必要ありません。SAP ABAPデータ・サーバーの下に物理スキーマが1つのみ必要となります。

  2. 適切なコンテキスト内で、『Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator開発者ガイド』の論理スキーマの作成に関する項の説明に従って、この物理スキーマ用の論理スキーマを作成します。

7.4 プロジェクトの設定

SAP BWの機能を使用してプロジェクトを設定するには、標準の手順に従います。『Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator開発者ガイド』の統合プロジェクトの作成に関する項を参照してください。

次のKMをOracle Data Integratorプロジェクトにインポートします。

これらの特定のSAP BW KMに加えて、Oracle Databaseでデータの抽出およびデータの品質チェックを実行する標準Oracle LKM、IKMおよびCKMをインポートします。利用できるKMのリストは、『Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator接続およびナレッジ・モジュール・ガイド』のOracle Databaseに関する項を参照してください。

7.5 モデルの作成およびリバース・エンジニアリング

この項の内容は次のとおりです。

7.5.1 SAP BWモデルの作成

『Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator開発者ガイド』のモデルの作成に関する項に記載されている標準の手順を使用して、SAP ABAPテクノロジおよびSAP ABAP論理スキーマに基づくSAP BWモデルを作成します。

7.5.2 SAP BWモデルのリバース・エンジニアリング

RKM SAP BWを使用して、カスタマイズされたリバース・エンジニアリングを実行するには、『Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator開発者ガイド』のモデルのリバース・エンジニアリングに関する項に記載されている通常の手順を使用します。この項では、SAP BW固有のフィールドのみについて説明します。

  1. SAP BWモデルの「リバース」タブで、RKM SAP BWを選択します。

  2. RKM SAP BWでは、USE_GUI KMオプションをtrueに設定します。

  3. RKMを初めて使用する場合のみ: SAP_TRANSPORT_LAYER_NAMEをSAP Basisの管理者が提供したトランスポート・レイヤーの名前に設定します。


    注意:

    不正なまたは無効なトランスポート・レイヤー名を使用すると、インストール・プロセス時に重大な遅れが生じます。SAP Basisの管理者により提供された値のみを使用してください。


  4. RKMを初めて使用する場合のみ: UPLOAD_ABAP_CODEをYesに設定します。

    初回の実行後は、この値をNoに戻す必要があります。

  5. モデルを保存します。

  6. モデル・エディタ・ツールバーで、「リバースエンジニアリング」をクリックします。

  7. UPLOAD_ABAP_CODEの設定をNoに戻します。

  8. RKMを初めて使用する場合のみ: オペレータで、現在のセッションの状態が「実行中」であることを確認します。

    セッションに失敗した場合は、設定を確認してください。すべてのインストール手順が正常に完了するまでは次に進まないでください。

  9. セッションが開始されると、ツリー・メタデータ・ブラウザが表示されます。リバースするデータ・ストア・オブジェクト(複数も可)を選択します。

  10. ツリー・メタデータ・ブラウザ・ウィンドウで、「リバースエンジニアリング」をクリックします。

リバース・エンジニアリング・プロセスでは、選択されたデータ・ストア・オブジェクトをデータストアとして返します。


注意:

ランタイム・エージェント上でリバース・エンジニアリングを実行する場合は、USE_GUIオプションをfalseに設定する必要があります。このオプションは、Studioに組み込まれたエージェントを使用して、カスタマイズされたリバース・エンジニアリングを開始する場合にのみ使用されます。


7.6 インタフェースの設計

Oracleステージング領域にSAP BWデータをロードするインタフェースを作成する手順は次のとおりです。

  1. SAP BWモデルからソース・データストアを使用してンタフェースを作成します。このインタフェースは、Oracleターゲットを持つか、またはステージング領域としてOracleスキーマを使用する必要があります。

  2. インタフェースに結合、フィルタおよびマッピングを作成します。

  3. インタフェースの「フロー」タブで、SAP BWソース・データ・オブジェクト(複数も可)を含むソース・セットを選択して、LKM SAP BW to Oracle (SQLLDR)を選択します。

7.7 SAP BW統合の考慮事項

この項の内容は次のとおりです。

7.7.1 ファイル転送の構成

ODI SAPアダプタは、ABAPプログラムを使用してデータを抽出します。SAPシステムからODIエージェントにデータを転送するため、アダプタでは2つの転送モードと各種の構成がサポートされます。

7.7.1.1 共有ディレクトリを使用した転送(推奨)

抽出プロセスの間に、ABAPプログラムによって共有フォルダのデータ・ファイルにデータのチャンクが書き込まれます。パフォーマンスを向上させるには、この共有フォルダをODIエージェント・マシンに置く必要があります。この設定でLKM SAP BW to Oracle (SQLLDR)の場合: SQL*Loaderによって、そのデータ・ファイルをローカルに読み込み、そのデータをOracleステージング領域にロードします。LKM SAP BW to SQLの場合: ODIファイル・ドライバによって、そのデータ・ファイルをローカルに読み込み、JDBCを使用してそのデータをOracle以外のステージング領域に挿入します。

フォルダがODIエージェント・マシン上にない場合、ODIエージェントではまず、共有フォルダからエージェントにファイルをコピーする必要があります。そして、次の手順でそのデータをSQL*LoaderまたはJDBC接続を使用してロードします。

構成1: 共有フォルダがODIエージェント・マシンに物理的に配置される場合(推奨)

FTP_TRANSFER_METHOD = FSMOUNT_DIRECTの場合にこの構成を使用します。この構成では、次のデータの移動が行われます。

  1. ABAPプログラムによって、FETCH_ BATCH SIZEレコードのチャンクが抽出され、そのレコードが共有フォルダ内のファイルに書き込まれます。

  2. LKM SAP BW to Oracle (SQLLDR)の場合: SQL*Loaderによって、このTEMP_DIRからデータ・ファイルが読み込まれ、そのデータがOracleステージング領域にロードされます。LKM SAP BW to SQLの場合: ODIファイル・ドライバによって、そのデータ・ファイルをこのTEMP_DIRから読み込み、JDBCを使用してそのデータをOracle以外のステージング領域に挿入します。

この構成では、次のトポロジの設定が必要です。

  1. ファイル・サーバー/ODIエージェント・マシンを指すファイル・データ・サーバーを作成します。

    • ホスト(データ・サーバー): 該当なし

    • ユーザー: 該当なし

    • パスワード: 該当なし

  2. このファイル・データ・サーバーの下に、ファイル・ホスト・サーバー内の共有フォルダを表す物理スキーマを作成します。データおよび作業スキーマを次のように指定します。

    • データ・スキーマ: 抽出ファイルを書き込むABAPプログラムによって使用される共有フォルダのパス(UNC)。

    • ディレクトリ(作業スキーマ): 共有フォルダをホストするサーバー・マシン上のローカル・パス。このパスは、共有フォルダを経由することなく抽出ファイルにアクセスするため、このマシン上にインストールされたエージェントおよびSQL*Loaderによって使用されます。


    注意:

    ctl、bad、dscなどの一時ファイルは、ランタイム・エージェントのローカルの一時フォルダに作成されます。デフォルトの一時ディレクトリは、システムの一時ディレクトリです。UNIXでは通常/tmpとなり、Windowsではc:\Documents and Settings\<user>\Local Settings\Tempとなります。KMオプションのTEMP_DIRを使用してこのディレクトリを変更できます。


構成2: 共有フォルダがODIエージェント・マシン上に物理的に配置されていない場合

FTP_TRANSFER_METHOD = FSMOUNTの場合にこの構成を使用します。この構成では、次のデータの移動が行われます。

  1. ABAPプログラムによって、FETCH_ BATCH SIZEレコードのチャンクが抽出され、そのレコードが共有フォルダ内のファイルに書き込まれます。

  2. ランタイム・エージェントによって、KMのTEMP_DIRオプションで指定されたディレクトリにファイルがコピーされます。

  3. LKM SAP BW to Oracle (SQLLDR)の場合: SQL*Loaderによって、このTEMP_DIRからデータ・ファイルが読み込まれ、そのデータがOracleステージング領域にロードされます。LKM SAP BW to SQLの場合: ODIファイル・ドライバによって、そのデータ・ファイルをこのTEMP_DIRから読み込み、JDBCを使用してそのデータをOracle以外のステージング領域に挿入します。

この構成では、次のトポロジの設定が必要です。

  1. 抽出ファイルがSAPからプッシュされ、SQL*Loader用に取得されるファイル・サーバーを指すファイル・データ・サーバーを作成します。

    このデータ・サーバーのパラメータを次のように設定します。

    • ホスト(データ・サーバー): 該当なし

    • ユーザー: 該当なし

    • パスワード: 該当なし

  2. このファイル・データ・サーバーで、共有フォルダを表す物理スキーマを作成します。データおよび作業スキーマを次のように指定します。

    • ディレクトリ(スキーマ): 抽出ファイルを書き込むABAPプログラムとそのファイルをコピーするエージェントによって使用される共有フォルダのパス(UNC)。

    • ディレクトリ(作業スキーマ): <未定義>。データ・ファイルがファイル・サーバーのファイル・システムから直接アクセスされることはないため、このパスは空白のままにします。

データ・ファイルは、ローカルの一時フォルダにある共有フォルダからランタイム・エージェントにコピーされます。デフォルトの一時ディレクトリは、システムの一時ディレクトリです。UNIXでは通常/tmpとなり、Windowsではc:\Documents and Settings\<user>\Local Settings\Tempとなります。KMオプションのTEMP_DIRを使用してこのディレクトリを変更できます。

7.7.1.2 FTPベースの転送

抽出プロセスの最後に、ABAPプログラムによってFTPサーバーにデータ・ファイルがアップロードされます。パフォーマンスを向上させるには、このFTPサーバーをランタイム・エージェントと同じマシン上に置く必要があります。

エージェントがFTPサーバーと同じマシン上にない場合は、FTPサーバーからファイルをダウンロードした後に、SQL*LoaderまたはJDBC接続を使用してそのファイルをステージング領域にロードします。このダウンロード処理は、FTP、SFTPまたはSCPを使用して実行されます。

図7-3 構成1: FTPサーバーがODIエージェント・マシンにインストールされている場合

図7-3の説明が続きます。
「図7-3 構成1: FTPサーバーがODIエージェント・マシンにインストールされている場合」の説明

図7-3に示される構成は、FTP_TRANSFER_METHOD = NONEの際に使用されます。この構成では、次のデータの移動が行われます。

  1. ABAPプログラムでは、データを抽出し、そのデータ・ファイルをFTPサーバーにアップロードします。

  2. LKM SAP BW to Oracle (SQLLDR)の場合: SQL*Loaderによって、そのデータ・ファイルをローカルに読み込み、そのデータをOracleステージング領域にロードします。LKM SAP BW to SQLの場合: ODIファイル・ドライバによって、そのデータ・ファイルをローカルに読み込み、JDBCを使用してそのデータをOracle以外のステージング領域に挿入します。

この構成では、次のトポロジの設定が必要です。

  1. FTPサーバーを指すファイル・データ・サーバーを作成します。

    • ホスト(データ・サーバー): FTPサーバーのホスト名またはIPアドレス

    • ユーザー: FTPサーバーにログインするためのユーザー名

    • パスワード: ユーザーのパスワード

  2. このファイル・データ・サーバーに、抽出ファイルがプッシュされるFTPホスト内のフォルダを表す物理スキーマを作成します。データおよび作業スキーマを次のように指定します。

    • ディレクトリ(スキーマ): SAP抽出ファイルをアップロードするためのFTPサーバー上のパス。

    • ディレクトリ(作業スキーマ): SAP抽出ファイルを含むFTPサーバー・マシン上のローカル・パス。エージェントおよびSQL*LoaderまたはODIフラット・ファイル・ドライバによって、この場所から抽出ファイルを読み込みます。

図7-4 構成2: FTPサーバーがODIエージェント・マシンにインストールされていない場合

図7-4の説明が続きます。
「図7-4 構成2: FTPサーバーがODIエージェント・マシンにインストールされていない場合」の説明

図7-4に示される構成は、FTP_TRANSFER_METHODFTPSFTPまたはSCPの際に使用されます。この構成では、次のデータの移動が行われます。

  1. ABAPプログラムでは、データを抽出し、そのデータ・ファイルをFTPサーバーにアップロードします。

  2. ODIエージェントによって、FTPサーバーからKMオプションのTEMP_DIRで指定するディレクトリにそのファイルがダウンロードされます。

  3. LKM SAP BW to Oracle (SQLLDR)の場合: SQL*Loaderによって、このTEMP_DIRからデータ・ファイルが読み込まれ、そのデータがOracleステージング領域にロードされます。LKM SAP BW to SQLの場合: ODIファイル・ドライバによって、そのデータ・ファイルをこのTEMP_DIRから読み込み、JDBCを使用してそのデータをOracle以外のステージング領域に挿入します。

この構成では、次のトポロジの設定が必要です。

  1. FTPサーバーを指すファイル・データ・サーバーを作成します。

    • ホスト(データ・サーバー): FTPサーバーのホスト名またはIPアドレス

    • ユーザー: FTPサーバーにログインするためのユーザー名

    • パスワード: ユーザーのパスワード

  2. このファイル・データ・サーバーに、抽出ファイルがプッシュされるFTPホスト内のフォルダを表す物理スキーマを作成します。データおよび作業スキーマを次のように指定します。

    • ディレクトリ(スキーマ): SAP抽出ファイルをアップロードするためのFTPサーバー上のパス。

    • ディレクトリ(作業スキーマ): <未定義>。データ・ファイルがFTPサーバーのファイル・システムから直接アクセスされることはないため、このパスは空白のままにします。

考慮点および制限:

FTPベースのデータ転送では、広範囲にわたる(S)FTPファイル転送を使用し、転送前にすべてのデータをSAPのアプリケーション・サーバー・メモリー内に保持する必要があります。したがって、SAPセッションごとに必要なメモリー量は、抽出されるデータ量に応じて増加するため、データ量の上限を設定することになります。この上限は、SAP内でのセッション・メモリーの設定を増やすことてある程度調節できます。

共有フォルダ・ベースの構成に必要な設定は多少複雑になりますが、すべてのデータをSAP ASのメモリーに格納する必要がなくなるため、推奨される抽出方法です。

7.7.2 本番環境でのABAPのアップロードおよびABAPコードの制御

開発の際には、ODIはABAPコードを生成し、インタフェースを実行するたびに、これがSAP開発システムにアップロードされます。この自動的なコードのアップロードによって開発サイクルが早くなります。

インタフェースまたはパッケージがユニット・テストされ、開発環境から移行する準備が整うと、他のSAP ABAPコードと同様にSAPのCTS(Change and Transport System)を使用して生成されたSAP ABAPコードをそれぞれのSAPシステムに転送する必要があります。これはSAPの標準的な動作です。このタスクを簡略化するために、開発環境へのアップロードの際にSAPトランスポート・リクエストが自動的に作成されます。生成されたODI SAP ABAPプログラムのトランスポートについては、SAP管理者に確認してください。

開発、テストおよび本番で異なるODIリポジトリを使用している場合、ODIシナリオがそれぞれのSAPシステムのODI ABAPコードと一致していることを確認してください。つまり、SAP CTSを使用してSAP ABAPコードをSAP開発システムからSAP QAシステムにトランスポートし、(トランスポートされるABAPコードを生成した)ODIシナリオをODI開発リポジトリからODI QAリポジトリにトランスポートする必要があります。ODIシナリオをトランスポートする方法の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator開発者ガイド』の第13章「シナリオの処理」を参照してください。

開発以外のODIでABAPコードをアップロードする必要がなくなると、ABAPコードはSAPのCTSによってトランスポートされるため、このような開発以外のシステムではABAPのアップロードができなくなります。

LKMオプションのUPLOAD_ABAP_CODENoに設定することによってアップロードを明示的に無効にできますが、通常、ODIトポロジ内のSAPデータ・サーバー上で定義された「SAP Allow ABAP Upload」フレックスフィールドを使用して無効にされます。つまり、ABAPコードのアップロードは、LKMオプションのUPLOAD_ABAP_CODEおよびSAP Allow ABAP Uploadフレックスフィールドの両方をYesに設定した場合にかぎり実行されます。本番システムへのアップロードを無効にするには、トポロジ内の「SAP Allow ABAP Upload」フレックスフィールドを0に設定するのみで十分です。


ヒント:

開発環境ではABAPコードをアップロードし、QAまたは本番環境ではそのアップロードをスキップするインタフェースを構成する手順は次のとおりです。

  1. すべてのインタフェースにおいて、KMオプションのUPLOAD_ABAP_CODEYesに設定します。

  2. トポロジ内のSAPデータ・サーバーを次のように構成します。

    • すべてのSAP開発システムで、SAP Allow ABAP Uploadフレックスフィールドを1に設定します。

    • 他のすべてのSAPシステムで、SAP Allow ABAP Uploadフレックスフィールドを0に設定します。



注意:

抽出プロセスを開始する前に、ODIは、インタフェースおよびシナリオがSAPにインストールされているコードと一致することを確認します。シナリオが変更されたがABAPコードは再アップロードされていないなどの不一致がある場合は、例外がスローされます。


場合によっては、インタフェースのABAP抽出コードのインストールのみを行い、データを抽出しないことが望ましい場合があります(自動インストールの場合など)。この場合、すべてのインタフェースをパッケージ内でリンクし、各インタフェースのKMオプションのEXECUTE_ABAP_CODEFalseに設定できます。このパッケージを実行すると、ずべてのABAPコードがインストールされますが、どれも実行されません。

すべてのインタフェースの変更を回避(前述のようにEXECUTE_ABAP_CODEFalseに設定)するために、かわりにODI DataServerのSAP Allow ABAP Executeフレックスフィールドを使用して、すべてのSAP ABAPの実行を無効にできます。このフレックスフィールドが無効の場合、KMオプションのEXECUTE_ABAP_CODETrueに設定されていてもABAPコードは実行されません。

7.7.3 ODI SAPのトランスポート・リクエストの管理

開発の際には、インタフェースを実行するたびに、ABAPコードがSAPシステムにアップロードされます。より正確には、次のようになります。

SAPデータを抽出するODIインタフェースは、1つ以上のABAP抽出プログラムを生成します(たとえば、結合場所がステージングに設定されると、2つの抽出ジョブが作成されます)。デフォルトでは、1つのインタフェースのすべてのABAP抽出プログラムが1つのSAP機能グループに割り当てられます。別のインタフェースのABAP抽出プログラムは、別のSAP機能グループに割り当てられます。デフォルトの機能グループ名は、ZODI_FGR_<Interface Id>のような名前です。

アップロード中、各ODIインタフェース(各SAP機能グループ)に対してSAP CTSトランスポート・リクエストが作成されます。このため、SAP CTSを介して生成されたODI ABAP抽出プログラムの詳細な開発が可能になります。

複数のODIインタフェースのABAPコードをより大まかな開発制御のための単一のトランスポート・リクエストにグループ化する必要がある場合、これらのインタフェースのすべてのLKMのKMオプションのSAP_FUNCTION_GROUP_NAMEをユーザー定義の値(ZODI_FGR_DWH_SALESなど)に設定できます。こうすることによって、ODIはすべてのABAP抽出プログラムを同じSAP機能グループに生成し、このグループは単一のトランスポート・リクエストに結合されます。サイトの有効な機能グループ名は、SAP管理者に確認してください。


ヒント:

生成されたABAP抽出プログラムの名前は、デフォルトではZODI_<Interface Id>_<SourceSet Id>のような名前です。このことによって、一意のプログラム名による便利な開発を行えます。InterfaceIdは変更されませんが、ODIインタフェースの特定の変更によって、SourceSetIdが変更され、結果としてそれぞれの抽出プログラム名が変更されます。したがって、開発が安定した後にはユーザー定義のプログラム名を使用することをお薦めします。ABAPプログラム名は、LKMオプションのABAP_PROGRAM_NAMEの値を定義することによって設定できます(ZODI_DWH_SALES_DATA01など)。該当する命名規則については、SAP管理者に確認してください。


7.7.4 ログ・ファイル

RKMおよびLKMの実行中に複数のログ・ファイルが作成されます。これらのログ・ファイルには、有用なトラブルシューティングの詳細が含まれていることもあります。表7-2には、各種ログ・ファイルとその使用方法が示されています。

表7-2 ログ・ファイル

デフォルトのログ・ファイル名 KM /フェーズ コンテンツ

<System Temp Dir>/sap_rkm_bw_<ODI Session Number>.log

RKM

メタデータ取得の実行ログ

<System Temp Dir>/sap_rkm_bw_<ODI Session Number>.log.opentool.log

RKM

RKM用SAP RFCの初回インストールに関する情報

<System Temp Dir>/ODI_BW_Log/ODI_<Interface Id>_<SrcSet>.genlog

LKM - 生成時

ABAPエクストラクタのコード生成に関する情報

<System Temp Dir>/ODI_BW_Log/SAPAbapExecuteOpenTool_<Interface Id>_<SrcSet>.log

LKM - 実行時

ABAPエクストラクタのインストールに関する情報

<System Temp Dir>/ODI_BW_Log/SAPAbapExecuteOpenTool_<Interface Id>_<SrcSet>.log

LKM - 実行時

デルタ抽出に関する情報

<System Temp Dir or local FTP dir>/ ZODI_<Interface Id>_<SrcSet>_<Context>.log

LKM - 実行時

SQL*Loaderログ・ファイル

<System Temp Dir or local FTP dir>/ ZODI_<Interface Id>_<SrcSet>_<Context>.out

LKM - 実行時

SQL*Loader実行時のOS標準出力には、SQL*Loaderがインストールされていない場合などの情報を含めることができます。

<System Temp Dir or local FTP dir>/ ZODI_<Interface Id>_<SrcSet>_<Context>.err

LKM - 実行時

SQL*Loader実行時のOSエラー出力には、SQL*Loaderがインストールされていない場合などの情報を含めることができます。


7.7.5 SAP BWアダプタの制限

SAP ABAP BWアダプタには次の制限があります。

  • ODIトポロジ・マネージャ内のSAP接続定義を検証する「テスト」ボタンはサポートされていません。

  • 表のリバース・エンジニアリング後は、SAP BWデータ・ストア・タイプ(InfoCube、InfoObject、ODS/DSO、OpenHub、階層およびテキスト表)を変更できません。

  • SAP ABAP KMでは、順序付けられた結合のみをサポートします。

  • 完全外部結合および右外部結合はサポートされません。

  • 1対多のリレーションシップ(InfoCubeおよび関連付けられたInfoObject結合)では、最初のデータ・ターゲットはInfoCube、次はInfoObjectsおよびそのTextTablesにする必要があります。

  • 階層データストアは、ソース上で他のどのSAP BWオブジェクトとも結合できません。

  • マスター・データを持たないInfoObjectsのテキスト・データストアは、ソース上で他のどのSAP BWオブジェクトとも結合できません。

  • OpenHubデータストアは、ソースで他のどのSAP BWオブジェクトとも結合できません。

  • RSHIENM列のみは、HIER_0GL_ACCOUNT.RSHIENM = 'MYHIER1'などの定数文字列値を使用してフィルタ処理ができます。