| Oracle® Fusion Middleware Oracle WebCenter Contentでの開発 11gリリース1 (11.1.1) B72427-04 |
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ホーム > Oracle WebCenter Contentによる開発 > DesktopTagコンポーネントのカスタマイズ
この章では、Oracle WebCenter Content ServerのDesktopTagコンポーネントをカスタマイズして、Microsoft Word、ExcelおよびPowerPointファイルのチェックアウト済バージョンのプロパティを指定する方法について説明します。
この章の内容は次のとおりです。
DesktopTagは、Microsoft Officeアプリケーション(2002以降のバージョン)のデフォルト・フォーマットを使用して作成されたファイルのカスタム・プロパティを管理するコンテンツ・サーバー・コンポーネントです。このコンポーネントは、Wordドキュメント(DOC、DOCXおよびDOTファイル)、Excelスプレッドシート(XLS、XLSXおよびXLTファイル)およびPowerPointプレゼンテーション(PPTおよびPPTXファイル)がコンテンツ・サーバーからチェックアウトされたときにそれらにカスタム・プロパティを追加し、それらが再びチェックインされるときにその情報を削除します。
Microsoft Officeファイルに追加されるプロパティは、DesktopTag構成ファイルに指定されています。詳細は、第33.5項「DesktopTagコンポーネントの構成」を参照してください。
カスタム・プロパティは、コンテンツ・サーバー内でコンテンツ・アイテムが存在している場所に関する情報を提供し、ファイルが正しい場所に正しいコンテンツ管理パラメータでチェックインされるようにします。これは、コンテンツ・アイテムが、チェックアウト後に、外部ワークフロー(つまり、コンテンツ・サーバーによって管理されていないもの)など、コンテンツ・サーバーの外部で処理される場合に特に役立ちます。また、この情報をユーザーに公開することも可能です(たとえば、Microsoft Officeアプリケーションのタスク領域などで)。
DesktopTagは、Oracle Clean Contentテクノロジを使用して、Microsoft Officeファイルにカスタム・プロパティを追加し、Microsoft Officeファイルからカスタム・プロパティを削除します。
DesktopTagコンポーネントは、Content Server 11gR1に含まれています。これは、デフォルトでは有効化されていないため、コンテンツ・サーバーで有効にする必要があります。DesktopTagコンポーネントは、OracleCleanContentも有効にすることを必要とします。OracleCleanContentコンポーネントは、標準的なコンテンツ・サーバー・インストールでは有効になっています。
コンポーネントは、「管理」→「管理サーバー」→「コンポーネント・マネージャ」メニュー・オプションからアクセス可能なコンポーネント・マネージャを使用して有効にできます。コンポーネントの有効化の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Contentの管理』のコンポーネントの有効化と無効化に関する項を参照してください。
DesktopTagは、次のMicrosoft Officeアプリケーションにカスタム・プロパティを追加できます。
Microsoft Word 2002 (XP)以降のバージョン
Microsoft Excel 2002 (XP)以降のバージョン
Microsoft PowerPoint 2002 (XP)以降のバージョン
DesktopTagコンポーネントは、コンテンツ・サーバーに対するチェックアウト(file get)およびチェックイン操作を変更します。
DesktopTagコンポーネントは、createFileNameメソッドに対するサービス・ハンドラのオーバーライドをインストールします。このメソッドは、サーバーに対するすべてのfile get操作でコールされる必要があります(ネイティブのURLリクエストは、このメソッドをコールしません)。ファイル・タイプが構成でサポートされている場合、カスタム・プロパティのセットがファイルに追加されます。それらのカスタム・プロパティは、DesktopIntegrationSuiteによって様々な方法で使用され、他のコンポーネントで使用可能になります。
DesktopTagコンポーネントにより、DesktopIntegrationSuiteコンポーネントの一部であるvalidateCheckinDataフィルタをフックする拡張フィルタがインストールされます。これは、データがサーバーにチェックインされる前に、file get操作によって追加されたカスタム・プロパティを削除します。
この操作に対して返されるResultSetには、以降のファイルの取得操作でMicrosoft Officeファイルに追加されるプロパティが含まれます。これは、クライアントが、新しいコピーを取得することを必要とせずにファイルを変更できるようにするために提供されています。このメソッドは、file get操作と同様に、desktopTagGetFilter拡張フィルタをコールします。
DesktopTagコンポーネントによって提供される機能は、完全にバックグラウンドで提供されます。直接のユーザー・インタラクションはありません。情報はユーザーに公開可能ですが、これは通常、コンテンツ・トラッキングの目的で使用されます。
Microsoft Officeファイルに追加されるプロパティは、DesktopTag構成ファイル内の設定によって異なります(第33.5項「DesktopTagコンポーネントの構成」を参照してください)。図33-2では、コンテンツID (dDocName)、ユーザー名(dUser)および一意のコンテンツ・アイテムID (dID)がWordドキュメントに追加されます。DISPropertiesカスタム・プロパティは、常に追加されます。これにより、DesktopTagによって(構成ファイルに指定されているとおりに)追加されたすべてのカスタム・プロパティがリストされます。これは、ファイルが再びコンテンツ・サーバーにチェックインされるときに適切なカスタム・プロパティが確実に削除されるようにするために使用されます。
図33-1は、DesktopTagによって追加されたカスタム・プロパティがないWord 2003ドキュメントの例を示しています。
図33-1 DesktopTagによって追加されたカスタム・プロパティがないWord 2003ドキュメント

図33-2は、Word 2003ドキュメントに追加されたいくつかのカスタム・プロパティを示しています。
図33-2 DesktopTagによって追加されたカスタム・プロパティがあるWord 2003ドキュメント

Microsoft Officeファイルのカスタム・プロパティを、次のように表示できます。
Microsoft Office XP (2002)および2003: 「ファイル」を選択し、「プロパティ」を選択し、「カスタム」タブをクリックします。
Microsoft Office 2007: アプリケーション内にあるOfficeボタンをクリックし、「準備」→「プロパティ」→「ドキュメント・プロパティ」→「詳細プロパティ」を選択し、「カスタム」タブをクリックします。
Microsoft Office 2010: 「ファイル」パネルを開き、「情報」→「プロパティ」→「詳細プロパティ」→「カスタム」タブをクリックします。
図33-3は、DesktopTagによってWord 2003ドキュメントに追加されたカスタム・プロパティを示しています。
これらのカスタム・ドキュメント・プロパティを使用すると、Oracle Webcenter Content: Desktopでコンテンツ・サーバーにある管理対象ファイルの場所を把握できます。ユーザーは、コンテンツ管理統合のコンテキスト外からでもMicrosoft Officeドキュメントをコンテンツ・サーバーにチェックインできます。
ドキュメントをチェックインするには、サーバー設定に接続する必要があります。Officeアドインは、CGI URL、ServerおよびIDCNAMEプロパティを調べて、ドキュメントをサーバーと照合しようとします。そのため、ユーザーは、同じネットワーク上に存在し、サーバーへのアクセス権を持っている必要があります。
この機能は、次のような多くの状況で役立ちます。
管理対象Wordドキュメントを他の人から電子メールの添付ファイルとして受け取った場合
管理対象Wordドキュメントを統合階層内のサーバーからその階層外のフォルダにコピーした場合
いずれの場合も、ファイルをMicrosoft Wordで開き、変更し、WordのOracle WebCenter Contentのメニューやリボンを使用してサーバーにチェックインできます。Desktopは、Wordドキュメントに埋め込まれているカスタム・プロパティをチェックして、ファイルのアップロード先を確認します。
DesktopTagコンポーネントは、コンポーネント・インストール・ディレクトリにある構成ファイルdesktoptag_environment.cfgを使用して構成されます。これは、任意のテキスト・エディタで編集できるプレーン・テキスト・ファイルです。コンポーネント・インストール・ディレクトリは、MW_HOME/WCC_ORACLE_HOME/ucm/idc/components/DesktopTagです。
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注意: DesktopTag構成ファイルを変更したら、コンテンツ・サーバーを再起動してください。 |
構成ファイルでは、次のプロパティを設定できます。
DesktopTagFormats
DesktopTagPrefix
DesktopTagFields
DesktopTagPrefixCustom
DesktopTagFieldsCustom
DesktopTagPrefixExtended
DesktopTagFieldsExtended
DefaultTaskPaneUrl
DesktopTagLog
DesktopTagFormatsExclude
DesktopTagFormatsプロパティの値は、タグ付けのために処理されるMIMEデータ型のカンマ区切りリストです。このリストにないデータ型は処理されません。このパラメータが(#を使用して)コメントアウトされているか、空であるか、または構成ファイルにまったく含まれていない場合、サポートされているデータ型がすべて処理されます。
例: DesktopTagFormats=application/msword,application/ms-excel
サポートされていないMIMEデータ型がリストに含まれている場合、DesktopTagはファイルの処理を試行し、ロギングが有効な場合は、ログ・ファイルにエラー・イベントが記録されます。
DesktopTagPrefixプロパティの値は、標準DesktopTagフィールドのリスト内にあるすべての標準コンテンツ・サーバー・メタデータ・フィールドの名前に追加される接頭辞です(第33.5.3項「DesktopTagFieldsプロパティ」を参照してください)。特定のプロパティ名が定義されている場合、この接頭辞は追加されません。このパラメータが(#を使用して)コメントアウトされているか、空であるか、または構成ファイルにまったく含まれていない場合、DISがデフォルトとして使用されます。
例: DesktopTagPrefix=STD
DesktopTagFieldsプロパティの値は、Microsoft Officeファイルにカスタム・プロパティとして追加されるすべての標準コンテンツ・サーバー・メタデータ・フィールドのカンマ区切りリストです。サーバー内部フィールド名(たとえば、コンテンツIDの場合はdDocName)を使用してください。標準メタデータ・フィールドの内部フィールド名の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Content構成リファレンス』を参照してください。
フィールド名の後にカッコで囲んで追加することにより、メタデータ・フィールドの特定のプロパティ名を設定できます。これは、プロパティ名が(たとえば、Microsoft Office 2007アプリケーションのタスク領域で)エンド・ユーザーに公開される場合は、特に役に立ちます。
例: DesktopTagFields=dID,dDocName,dUser(User Name)
図33-4は、前述のDesktopTagFields定義の結果を示しています(デフォルトのDIS接頭辞が使用されたと仮定しています)。
DesktopTagPrefixCustomプロパティの値は、カスタムDesktopTagフィールドのリスト内にあるすべてのカスタム・コンテンツ・サーバー・メタデータ・フィールドの名前に追加される接頭辞です(第33.5.4項「DesktopTagPrefixCustomプロパティ」を参照してください)。特定のプロパティ名が定義されている場合、この接頭辞は追加されません。
このパラメータが(#を使用して)コメントアウトされているか、空であるか、または構成ファイルにまったく含まれていない場合、DISCがデフォルトとして使用されます。
例: DesktopTagPrefixCustom=CST
DesktopTagFieldsCustomプロパティの値は、Microsoft Officeファイルにカスタム・プロパティとして追加されるすべてのカスタム・コンテンツ・サーバー・メタデータ・フィールドのカンマ区切りリストです。標準メタデータ・フィールドとまったく同じ方法でこれらのフィールドを定義します(第33.5.3項「DesktopTagFieldsプロパティ」を参照してください)。
例: DesktopTagFieldsCustom=xComments(Extra Info),xArchiveStatus
DesktopTagPrefixExtendedプロパティの値は、拡張DesktopTagフィールドのリスト内にあるすべてのカスタム・コンテンツ・サーバー・メタデータ・フィールドの名前に追加される接頭辞です(第33.5.7項「DesktopTagFieldsExtendedプロパティ」を参照してください)。特定のプロパティ名が定義されている場合、この接頭辞は追加されません。
このパラメータが(#を使用して)コメントアウトされているか、空であるか、または構成ファイルにまったく含まれていない場合、DISXがデフォルトとして使用されます。
例: DesktopTagPrefixExtended=EXT
DesktopTagFieldsExtendedプロパティの値は、ExtendedUserAttributesコンポーネントのプロパティ定義のカンマ区切りリストです。プロパティ定義の一般形式は、タイプ/キー/サブキー(名前)です。タイプ、キーおよびサブキーの値は、EC_GET_PROPERTYサービスによって使用されるパラメータです。これらの値のいずれかが@文字で始まっている場合、パラメータ値は、指定されたコンテンツ・サーバー・メタデータ・フィールドから取得されます(次の例を参照してください)。
フィールド名の後にカッコで囲んで追加することにより、メタデータ・フィールドの特定のプロパティ名を設定できます。
例: DesktopTagFieldsExtended=account/@dSecurityGroup/WCTPUrl (DIS_Task_Pane_Url)
この例では、プロパティの名前はDIS_Task_Pane_Urlになり、その値は、タイプがaccount、キー値がdSecurityGroupメタデータ・フィールド(コンテンツ・アイテムのセキュリティ・グループ)によって指定された値、およびサブキーがWCTPUrlのExtendedUserAttributesアイテムであることを指定しています。
DefaultTaskPaneUrlプロパティの値は、Microsoft Officeアプリケーションのタスク領域でファイルのWebページを表示するために必要なDISTaskPaneUrlプロパティの設定で使用されるデフォルトURLを定義する文字列です。@文字で始まるすべての単語は、バインダからの値に置き換えられるか、または他の方法によって置き換えられます(これは現在、@cgiUrlにのみ適用されます)。
例: DefaultTaskPaneUrl=@cgiUrl?IdcService=GET_TASK_PANE &dID=@dID
この例では、@cgiUrlはコンテンツ・サーバーのCgi URL値に置き換えられ、@dIDはサーバー内部の一意のコンテンツ・アイテムID (dID)の値に置き換えられます。
別な例として、WebCenterUrlという拡張ユーザー属性がある場合、"WebCenterUrl(DISTaskPaneUrl)"という文字列が追加されると、DISTaskPaneUrlプロパティがWebCenterUrlという拡張ユーザー属性の値に設定されます。
DesktopTagLogプロパティの値は、DesktopTagコンポーネントの操作および結果をログに記録するかどうかを示すブール値です(1 = yes、0 = no)。
このパラメータが(#を使用して)コメントアウトされているか、空であるか、または構成ファイルにまったく含まれていない場合、コンポーネントの操作および結果はログに記録されません。DesktopTagのログ情報は、図33-5に示されているとおり、標準コンテンツ・サーバー・ログ・ファイル(サーバーの管理ページからアクセス可能)に含まれています。