この章では、ドキュメントのアクセス方法にかかわらず、ドキュメントを操作するための基本タスクについて説明します。内容は次のとおりです。
ドキュメントはOracle WebCenter Contentのライブラリ、フォルダまたはサブフォルダにアップロードされます。ライブラリは、ドキュメントに対してコンテキストおよびドキュメントを容易に検索するのに役立つ構造を提供します。Oracle WebCenter Content内のドキュメントが更新されると、現在のバージョンへのアクセスを常に維持しつつ、引き続きドキュメント履歴を確認できるように、ドキュメント・リビジョンが追跡されます。
Oracle WebCenter Contentは、参照と検索を組み合せた革新的なドキュメントの検索手段を備えています。WebCenter Contentユーザー・インタフェースでは、サイド・バーを使用してライブラリおよびフォルダを参照でき、バナーからアクセスできる「クイック検索」ボックスまたは拡張検索フォームを使用して検索した後に、検索ボックスに検索条件を入力してコンテンツをフィルタ処理できます。
ドキュメントは、Oracle WebCenter Contentにアップロードされると、Web表示可能バージョンに変換されます。これにより、ドキュメントの作成に使用されたソフトウェア・アプリケーションを所有しているかどうかに関係なく、標準Webブラウザで権限を持つ任意のユーザーがドキュメントを共有および参照できるようになります。様々な種類のファイル・フォーマットが変換対象としてサポートされており、ソース・ファイルにはビジネス・ドキュメント、CAD図面、複数ページのTIFFおよびPDF、写真、ビデオなどがあります。ドキュメントを表示する方法は、Oracle WebCenter Contentにデスクトップやモバイル機器からアクセスするか、Webブラウザのいずれかのユーザー・インタフェースからアクセスするかによって異なります。
ドキュメント・プロパティは、メタデータまたはコンテンツ情報とも呼ばれ、ドキュメントに関する情報、たとえばタイトル、著者、リリース日、ドキュメントとメタデータにアクセスできるユーザーなどを示します。ドキュメントをアップロードする場合は、いくつかのメタデータ値を割り当てますが、一部のメタデータ値はOracle WebCenter Contentによって自動的に割り当てられます。メタデータはOracle WebCenter Contentと連動するデータベースに格納されます。
場合によっては、組織が様々なタイプのメタデータを追跡していて、中にはユーザーにとって有用でないものも含まれていることがあります。たとえば、HRフォルダに履歴書をアップロードしているとします。この場合、ドキュメント・プロパティは応募者の名前と応募対象の部門を追跡する必要があります。他のユーザーは広報フォルダに写真をアップロードし、写真の被写体と撮影者の名前を追跡します。どちらのユーザーも他方のユーザーが使用しているメタデータを必要としないので、使用可能なメタデータ・フィールドの小さな一部分のみを表示するプロファイルが作成されます。履歴書をアップロードする際には、HRプロファイルを選択すれば、必要なメタデータ・フィールドのみが表示されます。他のユーザーが写真をアップロードする際には、広報プロファイルを選択すれば、そのユーザーが使用するメタデータ・フィールドのみが表示されます。
図書館で著者名や書名を使用して本を探すのと同様、メタデータを使用してOracle WebCenter Contentに含まれるドキュメントを検索できます。
ドキュメント・プロパティの値は、ドキュメントを初めてアップロードする際に、次の方法で設定できます。
メタデータ値は手動で入力します。たとえば、ドキュメントをアップロードする際に、ドキュメントのデフォルト・タイトルは document1.txt などのファイル名です。このタイトルは、たとえば「November Expense Report」のように、より意味のあるタイトルに変更できます。入力するメタデータ値はすべて、後で変更できます。
ドキュメントのアップロード先であるフォルダまたはライブラリ・コンテキストによって、一部の値が決定されます。フォルダまたはライブラリの作成時に、そのフォルダまたはライブラリにアップロードされるすべてのドキュメントに適用される値を定義できます。
Oracle WebCenter Contentは、一部のメタデータの値を定義します。これらの値は、システム・メタデータと考えられます。システム・メタデータは、ユーザーが変更することはできません。
ドキュメント・プロパティの値は、ドキュメントのアップロード後に、次の方法で変更することもできます。
Oracle WebCenter Contentによって管理されるドキュメントに使用できるメタデータ・フィールドは、必須システム・フィールド、および組織のシステム管理者によって定義されたフィールドの組合せによって決まります。使用可能なすべてのフィールドが、ビジネスのあらゆる状況に有用であるとはかぎりません。たとえば、顧客コール・センターは顧客コール・チケットを追跡するためのフィールドを必要としますが、経理部門が必要とするベンダーIDフィールドは使用しない場合があります。ドキュメント・プロファイルはシステム管理者が定義でき、アップロード時に使用可能なフィールドをフィルタに掛けるために、ユーザーが文書をアップロードする際に選択できます。ドキュメント・プロファイルの詳細は、19.6.2項を参照してください。
ドキュメント・セキュリティにより、ドキュメントを表示できるユーザー、編集できるユーザー、およびドキュメント・プロパティを変更できるユーザーが決定されます。アクセスは、システム管理者によって作成されるロールとセキュリティ・グループ、およびドキュメントのアップロード時にユーザーが定義するアクセス制御リストの組合せによって制御されます。オプションで、セキュリティを強化するためにアカウントをセットアップできます。
ロールはユーザーに割り当てられた権限で、セキュリティ・グループ内での権限を決定します。使用可能な権限は、読取り、書込み、管理者または削除(R、W、A、D)です。
セキュリティ・グループは、アップロード時にドキュメントに割り当てられ、ドキュメントにアクセスできるユーザーを決定します。割り当てられたセキュリティ・グループに属している場合は、アカウントまたはアクセス制御リストによって除外されないかぎり、ロールによって設定された権限を使用してドキュメントにアクセスできます。
アカウントはオプションで、セキュリティ・グループと同様に、アップロード時にドキュメントに割り当てられます。アカウントにより、さらにレベルの高いセキュリティが提供されます。ドキュメントに特定の特定のアカウントが割り当てられていて、そのアカウントにアクセスできない場合は、セキュリティ・グループに属していてもそのドキュメントにアクセスできません。
アクセス制御リストは、ドキュメントをアップロードする際に、制限の範囲内で他のセキュリティ・オプションをオーバーライドする手段です。たとえば、セキュリティ・グループ内のドキュメントに対して数百人のユーザーが読取り権限を持っていても、アクセスを特定の少数のユーザーに制限して、これらのユーザーに特定のドキュメントへの書込み権限を与えてコラボレーションを行うことができます。準備ができたら、セキュリティ・グループ内のユーザー全員がドキュメントを表示できるように、アクセス制御リストを削除できます。
アクセス制御リストの制限は、次のとおりです。
セキュリティ・グループまたはアカウント内で設定された権限と、アクセス制御リスト内で設定された権限が異なる場合、権限は2つのうち小さいほうになります。たとえば、ユーザーがHRセキュリティ・グループ内では読取り権限を持っていて、HRセキュリティ・グループ内のアクセス制御リストでは書込み権限が設定されている場合は、読取り権限が適用されます。
ロール内で設定された権限と、アクセス制御リスト内で設定された権限が異なる場合、権限は2つのうち大きいほうになります。たとえば、ユーザーがコントリビュータである場合に、コントリビュータのロールが書込み権限を持つように設定されていて、アクセス制御リストが管理権限を持つように設定されている場合は、管理権限が与えられます。
注意: 状況によっては、ユーザー自身をユーザーとして含まないアクセス制御リストを使用すると、ドキュメント、フォルダまたはライブラリにアクセスできなくなる可能性があります。アクセス制御を設定する際には、ユーザー自身を必ず追加することをお薦めします。 |
セキュリティは、ライブラリとフォルダのレベルで設定することも、ドキュメント・レベルで設定することもできます。セキュリティは、独立して設定されないかぎり、フォルダを含むライブラリから継承されます。たとえば、ライブラリに設定されたセキュリティ・グループがHRの場合、そのライブラリ内のすべてのフォルダおよびドキュメントのセキュリティ・グループは、変更しないかぎりHRに設定されます。
フォルダの作成時に、フォルダを含むライブラリとは異なるセキュリティ・グループを指定した場合は、そのフォルダにチェックインされるすべてのドキュメントは、変更しないかぎりそのフォルダ・セキュリティを継承します。
ドキュメントが含まれているフォルダまたはライブラリのセキュリティを変更すると、その変更を伝播するように指定しない限り、そのドキュメントのセキュリティは変更されません。変更を伝播するように指定している場合は、含まれているすべてのドキュメントのセキュリティを変更するか、含まれているフォルダのみを変更するかを選択できます。
ドキュメント権限とフォルダ権限の競合
アクセス権限を持っていないフォルダに含まれるドキュメントに対して、権限が設定されている可能性があります。この場合は、参照ではなく検索によってこのドキュメントを見つけることができます。そのフォルダに対する権限がないため、そのドキュメントを含んでいるフォルダを参照することはできません。ドキュメントが見つかったら、ドキュメントをすばやく見つけるために、そのフォルダにお気に入りのマークを付けるか、アクセス権を持っているフォルダにショートカットを作成できます。
アップロードされたドキュメントはOracle WebCenter Contentによって処理およびレンダリングされ、標準のWebブラウザでドキュメントを表示できるため、ドキュメントを作成したネイティブ・アプリケーションを使用する必要がなくなります。Oracle WebCenter Contentの設定方法に応じて、様々なレンディションが使用できます。一般的なレンディション・オプションを次に示します。
Web表示可能レンディション
Web表示可能レンディションは、システム管理者によって作成されたルールに基づいて、ドキュメントをアップロードする際に変換されます。このレンディションは、ドキュメントまたはドキュメント・プロパティを表示する際に、ドキュメント・ページに表示されます。ドキュメント・ページには、複数ページのレンディションのナビゲーション機能が備わっており、ドキュメントのズーム、印刷、および電子メール送信のオプションがあります。
動的変換
ドキュメント・プロパティでは、リンクをクリックする際にドキュメントを変換する動的変換オプションも使用できます。動的変換は、Oracle WebCenter Contentユーザー・インタフェース以外の新規Webページに表示されます。
特殊なレンディション
ネイティブ11gユーザー・インタフェースを操作していて、アプリケーションが適切に構成されている場合は、その他のレンディション・オプションを使用できる場合があります。システム管理者は、ドキュメントを様々な種類のレンディションに変換するオプションを設定している場合があります。たとえば、各種のフォーマット、ドキュメント・サイズ、ウォーターマークの適用、あるいはビデオ・ファイルのビデオ・レンディションも存在します。ネイティブ11gユーザー・インタフェースでの特殊なレンディションの操作についての詳細は、第24章を参照してください。
Oracle WebCenter Contentでのドキュメントの処理方法の詳細は、3.5項を参照してください。