このガイドでは、WebCenter Portalを使用する方法を示すいくつかの例をご紹介します。ガイド内のタスクは、特定のポータル・ロールに割り当てられた1人以上の人物を対象にしています。この章では、これらの人物を紹介し、それぞれどのようにWebCenter Portalを利用する場合があるかを説明します。これらの人物の例は説明目的で設定されたもので、WebCenter Portalで提供される幅広いツールを使用する上で必要となる様々なスキル・セットを認識する手助けとなります。
ここで説明される人物は、WebCenter Portalですぐに使用できるデフォルトのロールを与えられています。各ロールには、その人物が実行する典型的な業務に適する一意の権限セットが付与されています。これらのデフォルトのロールを変更したり、組織独自のニーズに合うように新しいロールを構成することができることに注意してください。
WebCenter Portalを使用するユーザーの多くは、次のユーザー・ロールのいずれかで、チームとしてタスクを連係して実行します。
ナレッジ・ワーカーであるカレンは、通常、コンテンツのコントリビュートおよびレビュー、ソーシャル・ネットワークへの参加、およびホーム・ポータルを活用した個人用ドキュメントおよびプロファイルの管理にWebCenter Portalを使用しています。
アプリケーション・レベルでは、カレンにはデフォルトのAuthenticated-User
ロールに付与される権限などが割り当てられていますが、これらの権限は組織固有のニーズに合せてカスタマイズできます。ポータル・レベルでは、ポータルModerator
が、カレンに対して、Viewer
またはParticipant
ロール、あるいは同様の権限セットを提供するカスタム・ロールを割り当てる可能性があります。
ロールおよび権限の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Portalでのポータルの構築』のポータルのロールおよび権限に関する項を参照してください。
WebCenter Portalでのナレッジ・ワーカーのタスク
カレンのようなナレッジ・ワーカーの標準的なタスクは次のとおりです。
情報、ファイルおよびリンクを共有することにより、およびインスタント・メッセージ、メール、メッセージ・ボード、ディスカッション、Wikiおよびブログを介して対話することにより、他のWebCenter Portalユーザーとつながり、連携します
コンテンツ・サーバーに保存されたドキュメントをアップロード、共有および管理します
チームまたはプロジェクト・ポータルに参加します
コンテンツ更新時の通知の受信、他のユーザーからの推薦の調査、メンバーになっているポータルおよび接続しているユーザーのアクティビティの表示、お知らせの表示、アンケートの実施、およびWebCenter Portal RSSフィードの監視により、WebCenter Portal内の変更をチェックします
お気に入り、ノート、カレンダ、リスト、ポータル・オブジェクトへのリンクおよびタグを使用することにより、整理された状態を保ちます
ワークリスト・アイテムを表示し、これらに応答します
カレンがWebCenter Portalで使用可能な機能により習熟するにしたがって、ポータルの作成など、より高度なタスクを実行するようになる可能性があります。より高度なナレッジ・ワーカーとして、彼女のロールは拡大してアプリケーション・スペシャリストのタスクと重なる場合もあります。
カレンのようなナレッジ・ワーカーを対象とした情報は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Portalの使用』に記載されています。アプリケーション・スペシャリストと重なる高度なタスクについては、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Portalでのポータルの構築』に記載されています。
アプリケーション・スペシャリストのアリは、ポータル・ビルダーを使用して、ポータル、ポータルの構造(ページ階層、ナビゲーション、セキュリティ)およびそのコンテンツ(ページのコンポーネント、レイアウト、動作など)を作成および管理しています。標準的なプロジェクトにおいて、アリはカレン(ナレッジ・ワーカー)、ウェンディ(Web開発者)およびデイブ(開発者)の取組みと連携します。
アプリケーション・レベルでは、アリにはデフォルトのApplication Specialist
ロールに付与される権限などが割り当てられていますが、これらの権限は組織固有のニーズに合せてカスタマイズできます。アリは、自分が作成したポータルにおいて、Moderator
ロールが使用できるポータルを管理するためのアクションを実行します。
ロールおよび権限の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Portalでのポータルの構築』のポータルのロールおよび権限に関する項を参照してください。
WebCenter Portalでのアプリケーション・スペシャリストのタスク
アリのようなアプリケーション・スペシャリストの標準的なタスクは次のとおりです。
新しいポータルを計画および作成します
所有するポータルを編集および管理します
ページ・エディタ(コンポーザ)を使用してポータル・ページを作成およびビルドするほか、ページ・コンポーネントを追加および構成するリソース・カタログを作成およびビルドします
ポータルのアセット、ツールおよびサービスを作成および管理します
ポータル全体で共有のアセットおよびポータル・テンプレートを管理します
アリのようなアプリケーション・スペシャリストを対象とした情報は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Portalでのポータルの構築』に記載されています。アリがホーム・ポータルの個人ビューを操作する場合の情報は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Portalの使用』にも記載されています。
Web開発者のウェンディは、すべてのポータルに一貫性のある商標付きのルック・アンド・フィールを与えることに重点を置いています。ウェンディが作成するグラフィック・デザインおよびHTMLマークアップを基に、アリ(ポータル・ビルダーのアプリケーション・スペシャリスト)またはデイブ(JDeveloperの開発者)はコンテンツまたはページ・スタイル・テンプレート、スキンなどを作成できます。いったんこれらのアセットが作成されると、アリによってポータル・ページの作成に使用されます。通常、ウェンディはWebCenter Portalと直接やり取りすることはありません。
WebCenter PortalでのWeb開発者のタスク
ウェンディのようなWeb開発者の標準的なタスクは次のとおりです。
企業ポータルのルック・アンド・フィールを開発します
新規のポータル・ページ・テンプレートをデザインします
ウェンディのようなWeb開発者を対象とした情報は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Portalでのポータルの構築』の「ポータルのルック・アンド・フィールの作成」の章に記載されています。
開発者のデイブは、ポータルとWebCenter Portal Frameworkアプリケーションの両方をサポートします。
ポータル(ポータル・ビルダー)
デイブは主にコンポーネント(タスク・フロー、ページ・テンプレート、コンテンツ・テンプレートなど)の開発を担当し、開発されたコンポーネントはアリ(アプリケーション・スペシャリスト)によって公開および利用されます。デイブは主にJDeveloperで作業し、WebCenter Spaces拡張/WebCenter Portalサービス拡張プロジェクトを利用します。
Frameworkアプリケーション
デイブは主にJDeveloperで作業し、WebCenter Portal Frameworkアプリケーションを開発します。アプリケーションの開発が完了すると、EARファイルとしてパッケージ化し、アプリケーション・サーバーにデプロイします。標準的な環境では、デイブはJDeveloperをSCMシステムと構成し、自動化されたビルドおよびデプロイ・プロセスを使用してチーム内で作業すると考えられます。
開発者のタスク
デイブのような開発者の標準的なタスクは次のとおりです。
WebCenter Portal Frameworkアプリケーションを構築および保守します
カスタム・アセット(WebCenter Portalのポータル用のページ・テンプレート、ナビゲーション・コンポーネントなど)を開発します
Javaポートレットを開発します
タスク・フロー、マネージドBeanおよびその他のカスタム・コンポーネントを開発およびデプロイします
カスタム・パーソナライズ・コンポーネントを開発します
ソース・コントロール・システムを保守します
ビルド・システムを保守します
デイブのような開発者を対象とした情報は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter PortalおよびOracle JDeveloperでのポータルの開発』に記載されています。
システム管理者であるサイードは、新規マシンのセットアップ、既存のアプリケーション・システムおよびデータベースのクローンまたはバックアップの作成、パッチ、パッケージおよびアプリケーションのインストール、その他の管理関連タスクの実行など、IT従業員およびビジネス・ユーザーからのリクエストに対応します。システム管理者として、サイードはFusion Middleware Controlやコマンド・ライン・ツールなど、他のツールも操作します。Enterprise Managerを使用して、ポータル設定を構成するとともに、WebCenter Contentやその他のFusion Middleware製品およびOracleアプリケーションなどの統合も構成します。
WebCenter Portalのポータル・ビルダーでは、デフォルトのAdministrator
ロールに付与される権限を持ち、すべてのポータル(ホーム・ポータルを含む)のグローバル・オプションを管理および設定する排他アクセスを有しています。
アプリケーション・レベルのロールおよび権限の詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Portalの管理のアプリケーションのロールと権限に関する項を参照してください。
システム管理者のタスク
サイードのようなシステム管理者の標準的なタスクは次のとおりです。
Portal Builder管理を使用して、すべてのポータル(ポータルのインポートおよびエクスポートを含む)およびサイト全体のセキュリティを管理します
ポータル・ビルダー管理を使用して、サイト全体のシステム・ページ、ビジネス・ロール・ページおよび個人ページを管理します
Portal Frameworkアプリケーション管理コンソールを使用して、アプリケーション全体のプリファレンスの管理、ユーザーおよびロールの管理、アセットの管理、コンテンツ・リポジトリの構成、投票の作成、プロデューサおよび外部アプリケーションの登録を行います。
セキュリティ、分類、メタデータ、ワークフロー、ガバナンスを指導します
管理コンソールを使用して管理機能を実行します
コマンド・ライン・ユーティリティによって管理機能を実行します
開発者の成果の製品バージョンをインストールおよび構成します
製品パージョンおよびオペレーティング・システムのパッチ適用を実行します
製品バージョンのクローンおよびバックアップを作成します
製品バージョンの復元を実行します
製品バージョンに伴う問題に関してオペレーティング・システムを監視します
アプリケーションをデプロイおよび再デプロイします
サイードのようなシステム管理者を対象とした情報は、Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Portalの管理および『Oracle Fusion Middleware WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』に記載されています。