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Oracle® Fusion Middleware Oracle Application Development Frameworkモバイル・ブラウザ開発者ガイド
11gリリース1 (11.1.1.7.0)
B72413-01
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1 Oracle ADFモバイル・ブラウザの概要

この章では、Oracle Application Development Frameworkモバイル(ADFモバイル)・ブラウザの概要について説明します。

この章の内容は次のとおりです。

1.1 ADFモバイル・ブラウザについて

Oracle Application Development Frameworkモバイル(ADFモバイル)・ブラウザは、エンタープライズ・モバイル・アプリケーションの迅速な開発を可能にする標準ベースのフレームワークです。ADFモバイル・ブラウザはJava Server Faces(JSF)のコンポーネント・モデルに基づいて構築されているため、モバイル・ブラウザ用のアプリケーションを迅速に開発できます。そのモバイル固有の機能がJSFに拡張されたことで、デスクトップ用JSFアプリケーションを開発するのと同じ方法を使用してモバイル・アプリケーションを開発できるようになりました。

ADFモバイル・ブラウザ・アプリケーションを開発する場合、ADFモバイル・ブラウザによって、異なるブラウザ・タイプで適切に動作するアプリケーションの開発が可能になるため、異なるブラウザの制限(または機能)に集中する必要はありません。ADFモバイル・ブラウザのレンダラにより、確実にターゲット・ブラウザがコンテンツを正しく使用できるようになります。HTML、JavaScript、CSS、DOM、XMLHttpRequestに関するブラウザ固有の実装の差異だけではなく、システム・パフォーマンスの違いも処理されます。たとえば、ブラウザでXMLHttpRequestがサポートされていないためサーバーに部分的なページ・リクエストを送信できない場合、ADFモバイル・ブラウザのAJAX(Asynchronous JavaScript and XML)のサポートにより、アプリケーションで自動的にページ全体の送信に戻してページを正常に機能させることができます。


注意:

Oracle Fusion Middleware 11g リリース1では、ADFモバイル・ブラウザにHTMLおよびJavaScriptサポートが必要です。


1.1.1 Java Server FacesおよびApplication Development Frameworkについて

Java Server Faces(JSF)は、機能および動作を定義する事前作成コンポーネントを使用してユーザーがアプリケーションを作成できるようにするための標準であり、JSR-127によって規定されています。JSFでは、Webアプリケーションの開発を単純化するモデル・ビュー・コントローラ(MVC)メカニズムが採用されており、そのレンダーキットにより特定のマークアップ言語との間でコンポーネントを変換できます。このキットのレンダラはコンポーネントと、それらがブラウザ要求をどのように解釈するかを表すマークアップを生成します。

JSF開発では、マークアップではなくコンポーネントに焦点を当てます。JSFを使用して、JSFコンポーネント・タグを含むJSPページを作成します。(FacesServletを介して)ユーザーがこのページにアクセスすると、JSFではユーザーのデバイスで指定したレンダーキットが使用され、出力が適切になるようにマークアップがエンコードされます。たとえば、ユーザーのデバイスでデスクトップ・ブラウザに対しHTMLを指定すると、レンダーキットのマークアップ・エンコーディングがHTMLページになります。適切なコンテンツのレンダリングに加え、JSFではユーザーによる操作がサポートされています。

Application Development Framework(ADF)は標準的なJSFテクノロジに基づいて構築されており、次のものを提供します。

  • 大規模なコンポーネント・セット(JSFでは基本的なコンポーネントのみが提供されるため)。

  • これらのコンポーネントをHTMLブラウザでサポートするレンダラ(AJAXテクノロジを使用したアプリケーション用のレンダーキットを含む)。

  • コンバータ、バリデータおよびイベント。

1.1.2 ADFモバイル・ブラウザを使用したモバイル・アプリケーションの開発

ADFモバイル・ブラウザ・アプリケーションの開発方法は、ADF Webアプリケーションの開発方法とほぼ同じですが、ADFモバイル・ブラウザ・アプリケーションの開発ではApache MyFaces Trinidadコンポーネントで構成されるモバイルJSFページのみを使用する点が異なります。それ以外では、デスクトップ・ブラウザ・アプリケーションを開発するためのプログラミング・モデルを使用します。ADF Webアプリケーションの開発の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Application Development Framework Webユーザー・インタフェース開発者ガイド』を参照してください。


注意:

ADFモバイル・ブラウザ・アプリケーションの開発に、ADF Facesコンポーネントを使用することはできません。Apache MyFaces Trinidadコンポーネントを使用する必要があります。


ADFモバイル・ブラウザを使用してモバイル・デバイス用のモバイル・ブラウザ・アプリケーションを開発する場合は、デスクトップ用のJSFアプリケーションを開発する場合と同じ方法を利用しながら、特定のモバイル拡張機能をいくつか持たせます。60 Apache MyFaces Trinidadコンポーネントがサポートされており、豊富なコンポーネント・セットを使用してアプリケーションをビルドできます。各コンポーネントは小画面のモバイル・デバイス用に適切にレンダリングされます。デスクトップ・ブラウザ・アプリケーションのモデル・レイヤーおよびコントローラ・レイヤーを再利用して、同様のApache MyFaces Trinidadコンポーネントからモバイル・デバイス用の新しいビュー・レイヤーを作成できます。

1.1.2.1 ADFモバイル・ブラウザでパフォーマンスを向上させる方法

待機時間が長く帯域幅が小さいワイヤレス・ネットワークを使用するモバイル環境では、エンド・ユーザーに効率的なアプリケーションを提供するうえで、部分ページ・レンダリング(PPR)が不可欠です。AJAXがサポートされているモバイル・ブラウザの場合、ADFモバイル・ブラウザでは特定のコンポーネントのPPRがサポートされています。これによりサーバーからリクエストされるデータ量が最小化され、そのためにアプリケーションの応答性が向上しています。3.1.2項「部分ページ・レンダリング」も参照してください。

1.2 サポートされているモバイル・ブラウザ

ADFモバイル・ブラウザでは、表1-1にリストされているブラウザでApache MyFaces Trinidadコンポーネントがサポートされています。Trinidadの新しいバージョンはOracle JDeveloperに統合でき、Oracle Fusion Middleware 11g リリース1のADFモバイル・ブラウザとともに使用できます。

表1-1 サポートされているブラウザおよびサポートされているモバイル機能

ブラウザ JavaScriptサポート CSSサポート PPRサポート

BlackBerryバージョン4.6以上

あり

あり

あり

BlackBerryバージョン4.2から4.5

なし

あり

なし

Microsoft Windows Mobile 5

あり

あり

あり(相違点あり)

Microsoft Windows Mobile 6

あり

あり

あり

Apple iPhone Safari

あり

あり

あり

Nokia s60シリーズ

あり

あり

なし

単純なHTML(Opera Mini、Opera MobileおよびSkyfireなど)

なし

あり

なし