この章では、初期アップグレードを正常に実行した後に、Oracle GoldenGateの高度な新機能をデプロイする手順について説明します。現時点で、使用する新機能をサポートする構成の変更を行うことができます。バージョン12.1.2の新機能の詳細は、Oracle GoldenGate for Windows and UNIXリリース・ノートを参照してください。
注意: これらの手順では、12.1.2をテスト済で、アップグレード後にすべてのプロセスが正常に実行されているものとします。 |
この章の内容は次のとおりです。
統合モードのExtractは、データベース・ログマイニング・サーバーから論理変更レコード(LCR)を受信します。この手順では、ExtractがOracle GoldenGateバージョン11gのクラシック・キャプチャ・モードで実行されており、現在のトリガーベースのキャプチャ方法、またはログマイニング・サーバーを介してDDLをマイニングする、トリガーなしの新しい方法で統合キャプチャ・モードにアップグレードするものと仮定します。
注意: ExtractがOracle Recovery Manager (RMAN)と連動してログを管理するLOGRETENTION オプションを使用している場合、このアップグレードによってその機能が自動的に無効になり、ログの保持は統合キャプチャの一部として管理されます。 |
現在のOracle GoldenGate作業ディレクトリをバックアップします。
Oracle GoldenGateプロセスは現在の構成で実行を継続しますが、現在の変更アクティビティに対応するために、Extractパラメータ・ファイルを新しい名前にコピーします。
Extractが実行されるサーバーで、次の構成タスクを実行します。
適切な権限をExtractユーザーに付与します。Oracle GoldenGate for Oracle Databaseのインストールおよび構成を参照してください。
ログマイニング・サーバー用に共有メモリーがサポートされるよう、サーバー・リソースを構成します。Oracle GoldenGate for Oracle Databaseのインストールおよび構成を参照してください。
新しいパラメータ・ファイルを編集して、統合キャプチャのサポートに必要なパラメータを追加します。Oracle GoldenGate for Oracle Databaseのインストールおよび構成を参照してください。
(ダウンストリーム・マイニング・デプロイの場合)マイニング・データベースを準備します。Oracle GoldenGate for Oracle Databaseのインストールおよび構成を参照してください。
統合キャプチャへのアップグレードをサポートするには、オープンしている最も古いトランザクションの開始を含むトランザクション・ログが、Extractを実行するシステムで使用可能であることが必要です。最も古いオープン・トランザクションを判断するには、SHOWTRANS
オプションを指定したSEND EXTRACT
コマンドを発行します。このコマンドのFORCETRANS
またはSKIPTRANS
オプションを使用して、特定のオープン・トランザクションを管理できますが、トランザクションをスキップするとデータが失われる可能性があること、トランザクションを強制的に証跡に書き込むと、トランザクションのロールバック時に、不要なデータが追加される可能性があることを理解している必要があります。これらのオプションを使用する前に、Oracle GoldenGateリファレンスfor Windows and UNIXで確認してください。
GGSCI> SEND EXTRACTgroup
, SHOWTRANS� GGSCI> SEND EXTRACTgroup
, { SKIPTRANSID
[THREADn
] [FORCE] |� FORCETRANSID
[THREADn
] [FORCE] }�
Oracle GoldenGateの管理for Windows and UNIXのクラシック・キャプチャから統合キャプチャへの切替えの手順に従ってください。
注意: (Oracleデータベース11.2.0.4) Oracle GoldenGateプロセスを再起動する前に、ENABLE_GOLDENGATE_REPLICATION データベース初期化パラメータをTRUE に設定してください。そうしない場合、Oracle GoldenGate (クラシックまたは統合)の一部の統合機能が、データベースでサポートされなくなります。 |
Oracleターゲットにおいて統合モードで運用している場合、Replicatにより、論理変更レコード(LCR)が作成され、ターゲット・データベースのインバウンド・サーバーに送信されますが、このときには、ターゲット・データベースにデータを適用するパラレル適用機能が使用されます。
注意: Extractが失敗からリカバリした直後、またはトランザクション・ログで別の場所に再配置された直後に、Replicatモード間の切替えが発生しないように構成してください。 |
アップグレードするReplicatが配置されているターゲット・システムで、現在のOracle GoldenGateの作業ディレクトリをバックアップします。
Oracle GoldenGateプロセスは現在の構成で実行を継続しますが、現在の変更アクティビティに対応するために、Replicatパラメータ・ファイルを新しい名前にコピーします。
次に示す構成タスクを実行します。
適切な権限をReplicatユーザーに付与します。Oracle GoldenGate for Oracle Databaseのインストールおよび構成を参照してください。
(オプション)新しいパラメータ・ファイルを編集して、INTEGRATEDPARAMS
オプションが指定されたDBOPTIONS
パラメータを追加し、並列度を指定します。デフォルトは4です。Oracle GoldenGate for Oracle Databaseのインストールおよび構成を参照してください。
GGSCI> EDIT PARAMS group
Oracle GoldenGateの管理for Windows and UNIXの非統合Replicatから統合Replicatへの切替えの手順に従ってください。
注意: (Oracleデータベース11.2.0.4) Oracle GoldenGateプロセスを再起動する前に、ENABLE_GOLDENGATE_REPLICATION データベース初期化パラメータをTRUE に設定してください。そうしない場合、Oracle GoldenGate (クラシックまたは統合)の一部の統合機能が、データベースでサポートされなくなります。 |
この手順では、標準Replicat構成(非調整)を調整された構成にアップグレードします。この手順では、複数のExtractおよびReplicatプロセス間のデータがパーティション化されている構成を、Extractおよび調整済Replicatが1つずつ使用されている構成と置き換えることを前提としています。調整済Replicatは、パラレルReplicatプロセスのかわりに使用できます。調整済Replicatに必要な証跡は1つのみであるため、パラレルExtractプロセスやデータ・ポンプは必要ありません。
調整済Replicatの詳細は、Oracle GoldenGate for Windows and UNIX管理を参照してください。
この手順では、すべてのReplicatプロセスを証跡の同じ位置で停止させることが可能な、STOP
アクションを指定したEVENTACTIONS
パラメータを使用します。EVENTACTIONS
アクションは、ダミー表へのINSERT
が含まれるトランザクションによってトリガーされます。INSERT
を使用すると、各プロセスがイベント・トランザクションまでを含む、すべての処理を終了して停止します。IGNORE
の追加のイベント・アクションはReplicatに指定され、パラレルReplicatプロセスにより、ターゲットに同じレコードが挿入されないようにします。この手順の結果、ダミー表に対するINSERT
トランザクションが完了した後に、すべてのプロセスがデータ・ストリームの同じ位置で停止します。
プロセスの停止後に、すべてのTABLE
文を1つのプライマリExtractグループに移動します。保持しているExtractグループの証跡を読み取るデータ・ポンプに、同じTABLE
文を移動します。保持されているデータ・ポンプに関連付けられたリモート証跡を読み取る新しい調整済Replicatグループに、すべてのMAP
文を移動します。すべてのMAP
文が1つのパラメータ・ファイルにまとめられたら、それらを編集して、調整済Replicatがサポートされるようにスレッドの指定を追加します。(事前に行っておくことも可能です。)その後、Replicatグループを削除し、同じ名前を使用して調整モードで追加しなおします。
調整済Replicatへの切替えの実行手順:
Oracle GoldenGate for Windows and UNIX管理の調整済Replicatを使用するための構成要件を確認してください。この手順で指示されるまで、Replicatグループを作成しないでください。
すべてのExtractグループ、データ・ポンプおよびReplicatグループの現在のパラメータ・ファイルをバックアップします。後からこれらを編集します。
Oracle GoldenGateディレクトリの外に、作業ディレクトリを作成します。このディレクトリは、新しいバージョンのパラメータ・ファイルの作成と保存に使用します。必要な場合は、ソース・システムとターゲット・システムに作業ディレクトリを作成します。
作業ディレクトリで、調整済Replicatのパラメータ・ファイルを作成します。すべてのReplicatグループのアクティブなパラメータ・ファイルから、このパラメータ・ファイルにMAP
パラメータをコピーし、スレッドの指定と、必要な調整済Replicat構成をサポートするその他のパラメータを追加します。
パラレル・プライマリExtractグループを使用している場合は、保持しているものを1つ選択し、その現在のパラメータ・ファイルのコピーを作業ディレクトリに保存します。
すべてのTABLE
文を、他のExtractグループから、保持しているライマリExtractの新規パラメータ・ファイルにコピーします。
作業ディレクトリで、リンクされているデータ・ポンプのパラメータ・ファイルのコピーを、保持しているライマリExtractに保存します。
すべてのTABLE
文を、他のデータ・ポンプから、保持されているデータ・ポンプのコピーされたパラメータ・ファイルにコピーします。
ソース・データベースに、単純なINSERT
文を実行できる単純なダミー表を作成します。この手順では、schema.event
という名前を使用します。
すべてのプライマリおよびデータ・ポンプのExtractグループのアクティブなパラメータ・ファイル(コピーされたものではない)を編集し、次のEVENTACTIONS
パラメータをそれぞれに追加します。
TABLE schema.event, EVENTACTIONS(STOP);
すべてのReplicatグループのアクティブなパラメータ・ファイル(コピーは不可)を編集して、それぞれに次のEVENTACTIONS
パラメータを追加します。
MAP schema.event, TARGET schema.event, EVENTACTIONS(IGNORE, STOP);
次の順序で、Oracle GoldenGateプロセスを正常に停止します。
すべてのReplicatプロセスを停止します。
すべてのデータ・ポンプを停止します。
すべてのExtractプロセスを停止します。
EVENTACTIONS
パラメータが有効になるように、次の順序でOracle GoldenGateプロセスを再起動します。
すべてのExtractプロセスを起動します。
すべてのデータ・ポンプを起動します。
すべてのReplicatプロセスを起動します。
ソース・システムで、INSERT
文が1つ含まれるschema.event
表にトランザクションを発行します。必ずトランザクションをコミットしてください。
GGSCIで、コマンドによってすべてのプロセスがSTOPPED
と表示されるまで、ソース・システムのすべてのプライマリExtractプロセスおよびデータ・ポンプ・プロセスにSTATUS
コマンドを発行し、同じコマンドをターゲット・システムのすべてのReplicatプロセスに発行します。
STATUS EXTRACT * STATUS REPLICAT *
保持しているプライマリExtractおよびデータ・ポンプのアクティブなパラメータ・ファイルを、作業ディレクトリの新しいパラメータ・ファイルと置き換えます。
不要なExtractおよびデータ・ポンプ・グループと、そのパラメータ・ファイルを削除します。
DBLOGIN
コマンドを使用して、ターゲット・データベースにログインします。
GGSCI> DBLOGIN {USERID {/ |userid
}[, PASSWORDpassword
] [algorithm
ENCRYPTKEY {keyname
| DEFAULT}] |USERIDALIASalias
[DOMAINdomain
]}
すべてのReplicatグループおよびそれらのアクティブなパラメータ・ファイルを削除します。
新しい調整済Replicatパラメータ・ファイルを、作業ディレクトリからOracle GoldenGateディレクトリにコピーするか移動します。
GGSCIで、データ・ポンプにINFO EXTRACT
コマンドを発行し、出力(リモート)証跡での書込みチェックポイントの位置をメモします。
INFO EXTRACT pump
, DETAIL
次のパラメータを使用して、新しい調整済Replicatグループを追加します。
ADD REPLICATgroup
, EXTTRAILtrail
, EXTSEQNOsequence_number
, EXTRBArba
, COORDINATED MAXTHREADSnumber
[, CHECKPOINTTABLEowner
.table
]
説明:
group
は、調整済Replicatグループの名前です。この名前は、このグループ用に作成された新しいパラメータ・ファイルの名前と一致する必要があります。
EXTTRAIL
trail
は、データ・ポンプの書込み先の証跡の名前です。
EXTSEQNO
sequence_number
は、データ・ポンプに発行したINFO EXTRACT
から返された書込みチェックポイントに表示されている証跡の順序番号です。
EXTRBA
rba
は、INFO EXTRACT
から返された書込みチェックポイントに表示されている証跡の相対バイト・アドレスです。これらを参照してReplicatの位置が設定され、証跡の現在の位置で処理が再開されます。
MAXTHREADS
の数字は、このグループで許可されている最大スレッド数を指定します。パラメータ・ファイルに指定されているスレッド数に照らし合せて、適切な値にする必要があります。
CHECKPOINTTABLE
owner.table
は、GLOBALS
パラメータCHECKPOINTTABLE
で指定されたチェックポイント表を使用するのではなく、このReplicatグループ用のチェックポイント表を指定するオプションです。
プライマリExtractグループを起動します。
データ・ポンプ・グループを起動します。
調整済Replicatグループを起動します。
ここでは、Oracle GoldenGateパラメータ・ファイルの更新に必要な変更を行い、新機能をサポートするパラメータを追加し、不要になったパラメータを削除する手順を順を追って説明します。
注意: 一部の新機能により、既存のパラメータが新しいものに置き換えられます。不要になったパラメータは必ず削除してください。 |
この手順を使用して、次の新機能を実装します。
拡張された暗号化では、ユーザー・パスワードと証跡ファイルがサポートされていますが、この新機能を実装するには、パラメータを変更して、必要なセキュリティ構造を追加する必要があります。Oracle GoldenGate for Windows and UNIXリリース・ノート、およびOracle GoldenGate for Windows and UNIX管理を参照してください。
競合検出および解決(CDR)機能の拡張: CDR解決動作に対する変更は、Oracle GoldenGate for Windows and UNIXリリース・ノートを参照してください。競合検出および解決機能の詳細は、Oracle GoldenGate for Windows and UNIX管理を参照してください。
Oracleコンテナ・データベースからの取得と適用: 3つの部分からなるオブジェクト名を指定し、適切なコンテナにExtractを登録する必要があります。Oracle GoldenGate for Oracle Databaseのインストールおよび構成を参照してください。
その他のパラメータの変更は、Oracle GoldenGate for Windows and UNIXリリース・ノートに記載されています。
新機能の実装手順:
ソース・システムとターゲット・システムで現在のOracle GoldenGate作業ディレクトリをバックアップします。
Oracle GoldenGateプロセスは現在の構成で実行を継続しますが、現在の変更アクティビティに対応するために、パラメータ・ファイルを新しい名前にコピーします。
新しいパラメータ・ファイルを編集して新しいパラメータを追加します。グループ名または証跡名は変更しないでください。
ソース表に対するユーザー・アクティビティを停止します。
ソース・システムのGGSCIで、Extractがトランザクション・ログ内のすべてのデータの処理を完了したことが確認されるまで、LOGEND
オプションを指定したSEND EXTRACT
コマンドを発行します。
GGSCI> SEND EXTRACT
group
LOGEND
GGSCIで、ROLLOVER
オプションを指定したSEND EXTRACT
を発行して、Extractが次回の開始時に証跡を新しいファイルにロールオーバーするようにします。
GGSCI> SEND EXTRACT
group
ROLLOVER
GGSCIで、Extractを停止します。
ソース表に対するユーザー・アクティビティを許可します。
ターゲット・システムのGGSCIで、Replicatが証跡のすべてのデータの処理を完了したことを示す"At EOF
"ステータスが表示されるまで、STATUS
オプションを指定したSEND REPLICAT
コマンドを発行します。
GGSCI> SEND REPLICAT
group
STATUS
GGSCIで、ソース・システムのデータ・ポンプを停止し、ターゲットのReplicatを停止します。
GGSCI> STOP REPLICAT
group
編集した新しいパラメータ・ファイルを元の名前にコピーします。
ターゲット・システムのGGSCIで、Replicatを開始します。
GGSCI> START REPLICAT
group
ソース・システムのGGSCIで、Extractを開始します。
GGSCI> START EXTRACT
group
GGSCIで、ソース・システムのデータ・ポンプを開始します。
GGSCI> START REPLICAT
group