この章では、ソフトウェアのデプロイ後、システムが稼働する前に実行が必要な管理タスクについて説明します。この章の内容は次のとおりです。
注意: 第7章で説明されているようにデータベースを追加する前に、Oracle Database Appliance固有のCapacity-on-Demandソフトウェア・ライセンス機能を確認してください。付録B「コア数およびCapacity-on-Demand (システム規模に応じた支払い)」を参照してください。 |
システムを保護するため、インストール後に、デフォルトの管理アカウント・パスワードを変更する必要があります。インストール時に、root
ユーザーのパスワードを変更します。インストール後に、Oracle Grid Infrastructureインストール所有者(grid)およびOracle Databaseインストール所有者(oracle)のアカウント・パスワード(welcome1
)を、企業のユーザー・セキュリティ・プロトコルに従ったパスワードに変更する必要があります。また、構成後にすべてのデータベース・システム権限も変更して、その他のオープン・データベース・アカウントを保護する必要があります。たとえば、SYS、SYSTEM、DBSNMPおよびその他のロールを変更する必要があります。
関連項目:
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Oracle Clusterwareは、失敗したノードをクラスの残りの部分から分離できる業界標準のプロトコルであるOracle Intelligent Platform Management Interface (Oracle IPMI)をサポートしています。Oracle IPMIでは、Oracle Clusterwareまたはオペレーティング・システムとの連携がなくても問題モードを再起動できます。
Oracle IPMIは、Oracle Database Applianceのカスタム・デプロイ実行時のオプションです。カスタム・デプロイを完了し、Oracle IPMIの構成を選択した場合、デプロイの完了後に、次の手順に従ってユーザー名およびパスワードを変更します。
グリッド・ユーザーとしてログインします。
コマンドcrsctl
set
css
ipmiadmin
usernameを入力します。usernameはIPMI管理者アカウントの名前です。パスワードの入力を求められたら指定します。次に例を示します。
[grid@appliance]$ /u01/app/11.2.0.4/grid/bin/crsctl set css ipmiadmin racadm $ IPMI BMC password: CRS-4229: The IPMI information change was successful
注意: Oracle Database Appliance上のソフトウェア・デプロイメントが完了するまで、デフォルト・パスワードを変更しないでください。デプロイメントが完了する前にパスワードを変更すると、構成エラーが発生する可能性があります。 |
Oracle Auto Service Request (Oracle ASR)は、特定のハードウェア障害に関するサービス・リクエストを自動的に生成するセキュアなサポート機能です。Oracle ASRを使用すると、迅速な診断および優先度サービス・リクエスト処理を介してシステムの可用性を向上させることができます。Oracle Database ApplianceでOracle ASRを構成するか、アプライアンスと同じネットワークの別のサーバーで構成されたOracle ASRを使用することができます。
Oracle ASRをサポートするには、Oracle Database ApplianceハードウェアをMy Oracle SupportのサポートID (SI)に関連付ける必要があります。詳細は、Oracle Auto Service Requestインストレーションおよびオペレーション・ガイドのMy Oracle SupportでのASRシステムの検証に関する項を参照してください。
Oracle ASRはカスタム・デプロイ時に構成できます。また、Oracle ASRはデプロイ(「Typical」または「Custom」)後に構成することもできます。方法については、My Oracle Supportノート888888.1および1427924.1 (『How To Configure ASR Post Deploy and ASR Troubleshooting』)を参照してください。
Oracle ASRを構成するには、My Oracle Supportアカウントのユーザー名およびパスワードを入力する必要があります。Oracleへのインターネット・アクセスにプロキシ・サーバーが必要な場合、プロキシ・サーバーの名前も入力する必要があります。
注意: プロキシ・サーバーにアクセスするためにデフォルト(ポート80)以外のポートが必要であるかユーザー名およびパスワードが必要である場合、またはNTLMプロキシ・サーバーを使用している場合、Oracle ASRのインストールは失敗します。指示は、My Oracle Supportのノート888888.1の「Known Issues」を参照してください。 |
Oracle ASRのアクティブ化を実行するには、My Oracle Supportにログインし、Oracle ASRの状態を「保留中」から「アクティブ」に変更します。詳細は、Oracle Auto Service Requestインストレーションおよびオペレーション・ガイドのMy Oracle SupportでのASRアセットの有効化に関する項を参照してください。
稼働中のASRが構成されているかを確認するには、付録Dで説明されているようにoakcli test asr
コマンドを実行します。
Oracle ASRを正常に構成できない場合、トラブルシューティング支援についてはMy Oracle Supportのノート888888.1および1427924.1を参照してください。または、リリース2.5以降の場合、サポート・ノート1523660.1を参照してください。
Oracle Database Applianceのすべてのパッチ適用は、通常のOracle Database Applianceパッチ・セット・バンドルを使用して行われます。パッチ・セット・バンドルは、次に示すシステム全体に関連するすべてのパッチを提供します。
BIOS
ハードウェア・ドライバ
Oracle Linux
Oracle Databaseクローン・バイナリ
Oracle Grid Infrastructureクローン・バイナリ
通常のOracle Database Applianceパッチ・セット・バンドルが入手可能になると、登録済のOracle Database Applianceソフトウェア所有者としてMy Oracle Supportにログオンすることで、通知を受け取ることができます。システムのパッチ適用の詳細は、My Oracle Supportノート888888.1の指示、ならびにパッチREADMEファイルの指示に従います。そのサーバー上で、Oracle Appliance Managerパッチ適用ツールを実行します。
インフラストラクチャのパッチ(OS、Firmware、Oracle ILOMなど)は、パッチの適用時にOracle Database Applianceを短時間停止する必要があります。グリッド・インフラストラクチャ(GI)を更新すると、アプライアンス・マネージャによってインフラストラクチャが更新されたことが確認されるため、インフラストラクチャを初回更新せずにGIにパッチ適用のみを実行することはできません。
注意: Oracle Database Applianceにパッチを適用できるのはOracle Database Applianceパッチ・バンドルのみです。Oracle Grid Infrastructureのパッチ、Oracle DatabaseのパッチまたはLinux配布のパッチは使用しないでください。Oracle Database Applianceを対象としていないパッチを使用した場合、あるいはOpatchまたは同等のパッチ適用ツールを使用した場合は、Oracle Database Applianceインベントリが更新されず、その後のパッチ更新を実行できません。 |
My Oracle Supportのノート888888.1には、Oracle Database Applianceのパッチおよび更新に関する情報が記載されています。システムに適用するパッチを確認するには、次のようにします。
次の場所にあるMy Oracle Supportにログオンします。
https://support.oracle.com
ノート888888.1を検索します。
使用しているソフトウェアに対して使用可能なパッチがある場合、ノート888888.1の指示に従い、これらをダウンロードして適用できます。
次の手順および例では、Oracle Database Appliance上のソフトウェアにパッチを適用するための一般的な手順を概説します。個々のパッチを適用する方法の詳細は、そのパッチのReadmeおよびヘルプ情報を参照してください。
Oracle Database Applianceの登録ソフトウェア所有者のサポートIDを使用してMy Oracle Supportにログインします。
https://support.oracle.com
My Oracle Supportノート888888.1の情報を確認して、システム上のパッチの識別、ダウンロードおよび適用を行います。対象のパッチ・バンドルのパッチ適用手順は、標準の手順と異なる場合があります。
「パッチ検索」で、「製品」リストからOracle Database Appliance、「リリース」リストからパッチ・リリース番号を選択します。「検索」をクリックします。次に、1つ以上のパッチを選択し、「ダウンロード」をクリックします。
root
としてログインします。
Oracle Database Applianceの各ノード上の一時ディレクトリ(たとえば/tmp
)にパッチを移動します。
パッチを解凍するには、各ノード上でoakcli unpack -package
コマンドを実行します。次のコマンド構文を使用します。path
はパッチ・ファイルへの絶対パスです。
# cd /opt/oracle/oak/bin
# ./oakcli unpack -package path
たとえば、パッチ・ファイルp16760967_27000_Linux-x86-64.zip
を/tmp
にコピーする場合、oakcli unpack -package
を次のように実行します。
ノード0の場合:
# cd /opt/oracle/oak/bin # ./oakcli unpack -package /tmp/p16760967_27000_Linux-x86-64.zip
ノード1の場合:
# cd /opt/oracle/oak/bin # ./oakcli unpack -package /tmp/p16760967_27000_Linux-x86-64.zip
パッチをインストールするには、ノード0でoakcli update -patch
コマンドを実行します。次のコマンド構文を使用します。version
はパッチ更新バージョン番号です。
# cd /opt/oracle/oak/bin # ./oakcli update -patch version
たとえば、パッチ2.7.0.0.0に更新するには、ノード0でoakcli update -patch
コマンドを次のように実行します。
# cd /opt/oracle/oak/bin # ./oakcli update -patch 2.7.0.0.0
多くのパッチは自動的に両方のノードにインストールされます。両方のノードのいずれかにパッチがインストールされている場合は、パッチ・プロセスの実行中に表示された出力を見るとわかります。パッチがノード0にのみインストールされている場合は、ノード1でoakcli update -patch
コマンドを繰り返します。