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Oracle® Fusion Middleware Oracle Identity and Access Managementパッチ適用ガイド
11g リリース2 (11.1.2.2.0)
E53412-02
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4 Lifecycle Toolsを使用したOracle Identity and Access Managementへのパッチ適用

この章では、Lifecycle Toolsを使用してOracle Identity and Access Managementソフトウェアのコンポーネントにパッチを適用する手順について説明します。

内容は次のとおりです。

4.1 始める前に

Lifecycle Toolsを使用してOracle Identity and Access Managementソフトウェアにパッチを適用する前に、次の前提条件をすべて満たしていることを確認します。

4.1.1 サポートされている製品にパッチを適用するためのOracle Identity and Access Management Lifecycle Toolsのインストール

Oracle Identity and Access Management Lifecycle Toolsをインストールして、Oracle Identity and Access Managementデプロイにパッチを適用するためのパッチ適用関連ツールを入手します。

Oracle Identity and Access Management Lifecycle Toolsの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Identity and Access Managementデプロイメント・ガイド』を参照してください。

Oracle Identity and Access Management Lifecycle Toolsを使用してOracle Identity and Access Management環境をデプロイすると、パッチ適用関連ディレクトリIAM_LCM_TOPおよびLCM_CONFIGが作成されます。

IAM_LCM_TOPには、構成ファイル、実行可能ファイル、スクリプト、およびパッチ適用プロセスを制御する様々な環境変数が記載されたプロパティ・ファイルが格納されています。図4-1に、IAM_LCM_TOPディレクトリの内容を示します。

LCM_CONFIGディレクトリには、いくつかのパッチ適用タスクで使用される、ログ、パッチ計画、トポロジ・ストア、資格証明ストアなどの各種ファイルが格納されています。図4-2に、LCM_CONFIGディレクトリの内容を示します。

表4-1では、IAM_LCM_TOPおよびLCM_CONFIGディレクトリのコンポーネントについて説明します。

図4-1 IAM_LCM_TOPのディレクトリ構造

図4-1の説明が続きます
「図4-1 IAM_LCM_TOPのディレクトリ構造」の説明

図4-2 LCM_CONFIGのディレクトリ構造

図4-2の説明が続きます
「図4-2 LCM_CONFIGのディレクトリ構造」の説明

表4-1 Oracle Identity and Access Managementパッチ適用デプロイのディレクトリ構造

ディレクトリ構造 説明

IAM_LCM_TOP

IAM_LCM_TOP/patch

ソフトウェアにパッチを適用するための構成ファイルおよび実行可能ファイルが格納されています。

IAM_LCM_TOP/patch/bin

UNIXおよびWindowsシステムで実行可能なOracle Identity and Access Management Patch ManagerおよびOracle Identity and Access Management Patcherツール(.sh / .bat)が格納されています。

IAM_LCM_TOP/patch/config

パッチ適用ツールを実行する前に構成可能なpatch.propertiespatchtop-contents.propertiesiampatchmgr-logging.propertiesiampatch-logging.propertiesファイルが格納されています。第4.1.2項および第4.1.4項を参照してください。

IAM_LCM_TOP/common/config

JAVA_HOMEIAM_TOPおよびLCM_CONFIGに関する情報から構成されるcommon.propertiesファイルが格納されています。第4.1.3項を参照してください。

IAM_LCM_TOP/patch/script

サービスの開始または停止、およびアーティファクト適用の際にPatcherが必要とするスクリプトおよびプロパティ・ファイルが格納されています。

LCM_CONFIG

LCM_CONFIG/patch

パッチ・セッションの開始時にPatch Managerによって生成されるステータス・ファイル、ログ、パッチおよびパッチ計画が格納されています。

LCM_CONFIG/patch/patches

セッション時に使用するために、Patch Managerが指定したパッチ・トップから読み取ってステージングする一連のパッチが格納されています。これらのパッチは、Patch Managerがパッチ計画を生成するために使用されます。

LCM_CONFIG/patch/session

マシンが読取り可能な形式のパッチ計画、およびOracle Identity and Access Management Patcherがパッチ適用手順を実行するために使用する、進行中のセッションに関するその他の情報が格納されています。

LCM_CONFIG/patch/status

パッチ計画の各手順の実行状態を追跡する、ホストベースのファイルが格納されています。また、判読可能なHTMLおよびプレーン・テキスト形式のすべての生成済ログ・ファイルおよびパッチ計画も格納されています。

LCM_CONFIG/topology

Oracle Identity and Access Managementデプロイに関する詳細な情報が記載されたトポロジ・ストア・ファイルtopology.xmlが格納されています。さらに、いくつかのパッチ適用タスクでは、IAM_TOP/provisioning/planにあるprovisioning.planファイルも使用されます。



注意:

必要に応じて、common.propertiesファイルおよびpatchtop-contents.propertiesファイルの値を変更してください。これらのファイルを変更する前には、必ずファイルの内容をチェックして、正しい値を設定してください。


4.1.2 patchtop-contents.propertiesファイルの検証

patchtop-contents.propertiesファイルは、IAM_LCM_TOP/patch/config/にあります。指定したパッチ・トップ内の相対パスが宣言され、この下にLifecycle Toolsでサポートされる各製品のパッチを置きます。

patchtop-contents.propertiesファイルを開き、その内容を確認します。

例4-1に、patchtop-contents.propertiesファイルの内容を示します。

例4-1

common=oracle_common/patch
dir=oud/patch
oam=iamsuite/patch/oam
ohs=webtier/patch
ohswg=webgate/patch
oim=iamsuite/patch/oim
soa=soa/patch
wls=smart_update/weblogic

patchtop-contents.propertiesファイルには、すべての製品パッチに対するデフォルトのディレクトリ構造が含まれています。デフォルトのディレクトリ構造を使用せずにパッチを構成する場合は、ファイルを編集してパッチ・トップに対して正しい相対パスを宣言することにより、提供されているすべてのパッチをPatch Managerが正常に検出できるようにします。ファイルのいずれかのパラメータがコメント・アウトされているか、または削除されている場合、Patch Managerはパッチ・トップ内で該当する製品のパッチを検索しません。

IAM_LCM_TOPディレクトリには、次のプロパティ・ファイルも格納されています。

  • common.properties

  • patch.properties

4.1.3 common.propertiesファイルの検証

common.propertiesファイルは、IAM_LCM_TOP/common/config/にあります。このファイルには、Oracle Identity and Access Managementにパッチを適用するために必要な環境変数JAVA_HOMEIAM_TOPおよびLCM_CONFIGが含まれています。

Oracle Identity and Access Management Patch ManagerおよびOracle Identity and Access Management Patcherを実行する前に、表4-2に記載されている環境変数を設定してください。

表4-2 common.propertiesファイルに記載されている変数

変数 説明

JAVA_HOME

JDKの場所を指し示すパス。

IAM_TOP

Oracle Identity and Access Management製品がインストールされているIAM_TOPの絶対パス。

LCM_CONFIG

Lifecycle Toolsの構成が格納されている絶対パス。


4.1.4 patch.propertiesファイルの検証

patch.propertiesファイルは、IAM_LCM_TOP/patch/config/にあります。このファイルには、低レベルのパッチ適用の詳細に関する、変更可能なプリファレンスが含まれています。大部分の環境においてはこのファイル内のデフォルト値が使用できるため、このファイルを編集する必要はありません。

Oracle Identity and Access Management Patch ManagerおよびOracle Identity and Access Management Patcherツールを実行する前に、表4-3に記載されている環境変数を設定してください。

表4-3 patch.propertiesファイルに記載されている変数

変数 説明

RETURN_MESSAGE_BUFFER_SIZE

実行される各コマンドに対して格納される戻りメッセージのサイズ。このバッファ・サイズには、ログ・ファイルに格納される標準出力とエラー・メッセージが含まれます。

この変数は、コンソールおよびログに出力される出力のサイズに影響を与えます。使用できる単位は次のとおりです。

- B (バイト)

- KB (キロバイト)

- MB (メガバイト)

- GB (ギガバイト)

この変数のデフォルト値は8KBです。

COMMAND_TIMEOUT

この値は、タイムアウト値の後に単位を付けます。

コマンドの実行にこれより長い時間を要する場合は、実行が終了します。

この変数で使用できる単位は次のとおりです。

- ms (ミリ秒)

- s (秒)

- m (分)

- h (時間)

- d (日)

この変数のデフォルト値は3600秒(1時間)です。



注意:

common.propertiesおよびpatch.propertiesファイルは、デプロイ時に移入されます。ただし、単一のOracle Identity and Access Managementデプロイにパッチ適用ツールをインストールして、複数のIAM_TOPを管理している場合は、ファイルからIAM_TOPおよびLCM_CONFIG変数の値を削除して、正しい値を設定する必要があります。

また、記載されているコマンドを使用して、コマンド行インタフェースから環境変数を設定するオプションも用意されています。ただし、環境内で変数を設定する前に、ファイルから既存の値を削除してください。

たとえば、POSIX-compliantシェルを使用している場合は、次のコマンドを実行します。

export JAVA_HOME=jdk_absolute_path

4.2 パッチ計画の作成

Patcherを実行する前に、パッチを適用するホスト上でパッチ計画を生成します。パッチ計画では、デプロイにパッチを適用するための包括的な手順のリストが生成されます。

iampatchmgrユーティリティで様々なコマンドおよびオプションを使用することにより、パッチ計画の生成、パッチ・セッションのロールバック、パッチ・セッションの中断または終了、さらにセッションの進捗状況の監視を行うことができます。第2.3項を参照してください。


注意:

  • IAM_TOP環境でPatch Managerを実行します。

  • 既存のセッションが完了または強制終了するまで、新しいパッチ・セッションは作成できません。


この項では、パッチ計画の作成方法について説明します。

内容は次のとおりです。

4.2.1 パッチ・トップの準備

Lifecycle Toolsは、パッチ・トップ・ディレクトリ内に編成されたパッチを対象とします。このディレクトリには、解凍され、製品別に分類されたパッチが含まれます。Patch Managerはパッチ・トップ・ディレクトリをスキャンしてパッチを探し、その内容を検証してパッチ・セッションの一環として実行するために準備します。

My Oracle Supportからダウンロードしたパッチを適用するには、Patch Managerが検索、検証および実行できるようパッチ・トップに編成する必要があります。これを行うには、Managerを起動する前に次の手順を実行します。

  • パッチ・トップ用のルート・ディレクトリを作成します。任意の名前を使用できます。このパッチ・トップ内に含まれる中身を示す名前を指定することをお薦めします。たとえば、1404-idm-r2ps2-bpです。

  • パッチがある製品ごとに1つずつサブディレクトリを作成します。サポートされるすべての製品に対してディレクトリを作成する必要はありません。


    注意:

    patchtop-contents.propertiesファイル(第4.1.2項を参照)を開き、デフォルトで設定されたか、デプロイ用にパスを追加または変更したかに関係なく、作成したディレクトリが各製品に対して宣言したいずれかの相対パスと一致することを確認します。


  • すべてのパッチを解凍し、解凍したディレクトリと各パッチの中身をその製品の正しいパッチ・トップ・ディレクトリにコピーします。たとえば、ダウンロードしたパッチがOAM用で、12345.zipという名前の場合、解凍した12345ディレクトリをPATCH_TOP/iamsuite/patch/oam/12345にコピーします。圧縮されたコピーはパッチ・トップに置くことはできません。

4.2.2 パッチ計画の作成手順

パッチ計画には、Oracle Identity and Access Management環境にパッチを適用するための手順が含まれています。第2.3.2項を参照してください。

Patch Managerを実行して生成した計画は、Oracle Identity and Access Management Patcherにより実行できます。

パッチ計画を作成するには、Oracle Identity and Access Management Patch Managerユーティリティ(iampatchmgr)でapplyコマンドを実行します。


注意:

最初のホストでOracle Identity and Access Management Patch Managerを実行します。


UNIXの場合

IAM_LCM_TOP/patch/bin/iampatchmgr.sh apply -patchtop patch_top_location

Windowsの場合

IAM_LCM_TOP\patch\bin\iampatchmgr.bat apply -patchtop patch_top_location

applyコマンドにより、次のタスクが実行されます。

  • 指定したパッチ・トップの場所、およびステータスがACTIVEまたはFAILEDであるパッチ・セッションが存在するかどうかを検証します。存在する場合、新しいセッションは開始されず、現在のセッションの出力が表示されます。

  • パッチ・セッションが存在しない場合は、パッチ・トップにおいてpatchtop-contents.propertiesで指定されたとおりにパッチをスキャンします。検出された一連のパッチはLCM_CONFIGディレクトリにコピーされ、パッチ・セッションで使用されます。

  • ステージングされたパッチとトポロジ・ストアの情報を使用して、該当する一連のパッチをデプロイに適用する手順を含む計画が生成されます。

    計画は、判読可能なHTMLおよびプレーン・テキスト形式のバージョンとして作成され、次の場所に保存されます。

    LCM_CONFIG/patch/status/session_ID/manager/log/PatchInstructions.html
     
    LCM_CONFIG/patch/status/session_ID/manager/log/PatchInstructions.text
    
  • パッチ計画は、Oracle Identity and Access Managementデプロイの概要から開始されます。第A.1項を参照してください。

    また、計画には、実行する手順、手順の総数、停止時間が必要な手順などの情報が記載されています。第A.2項第A.3項および第A.4項を参照してください。

    Patch Managerは、次の場所にログ・メッセージを書き込みます。

    パッチ・セッション外の場合

    LCM_CONFIG/patch/status/log/iampatchmgr.log
    

    パッチ・セッション内の場合

    LCM_CONFIG/patch/status/session_ID/manager/log/iampatchmgr-session.log
    

4.2.3 Patch Managerのその他の機能の理解

iampatchmgrユーティリティを次の構文で実行します。

UNIXの場合

IAM_LCM_TOP/patch/bin/iampatchmgr.sh command [-option]

たとえば、次のとおりです。

iampatchmgr.sh abort
IAM_LCM_TOP/patch/bin/iampatchmgr.sh progress -all

Windowsの場合

IAM_LCM_TOP\patch\bin\iampatchmgr.bat command [-options]

たとえば、次のとおりです。

IAM_LCM_TOP\patch\bin\iampatchmgr.sh abort
IAM_LCM_TOP\patch\bin\iampatchmgr.sh progress -all

iampatchmgrユーティリティで使用できるコマンドの詳細は、表4-4を参照してください。

表4-4 Oracle Identity and Access Management Patch Managerのコマンド

コマンド 説明

apply

選択したパッチをデプロイするためのパッチ・セッションを開始します。このコマンドでは、パッチ・トップの場所を指定する必要があります。たとえば、次のようになります。

UNIXの場合

IAM_LCM_TOP/patch/bin/iampatchmgr.sh apply -patchtop patchtop_location

Windowsの場合

IAM_LCM_TOP\patch\bin\iampatchmgr.sh apply -patchtop patchtop_location

詳細は、第4.2.2項を参照してください。

rollback

選択したパッチを削除するためのパッチ・セッションを開始します。このコマンドでは、パッチ・トップの場所を指定する必要があります。たとえば、次のようになります。

UNIXの場合

IAM_LCM_TOP/patch/bin/iampatchmgr.sh rollback -patchtop patchtop_location

Windowsの場合

IAM_LCM_TOP\patch\bin\iampatchmgr.sh rollback -patchtop patchtop_location

詳細は、4.6.5項を参照してください。

abort

計画した手順をすべて完了する前に、パッチ・セッションの実行を停止します。パッチ・セッションのステータスをINCOMPLETEに変更して、Patcherが実行を続行しないようにします。

詳細は、4.6.3項を参照してください。

end

パッチ・セッションを完全に終了して削除します。第4.6.4項を参照してください。

progress

実行中のパッチ・セッションのステータスを表示します。詳細は、4.6.1項を参照してください。



注意:

iampatchmgrコマンドに関する詳細な情報を表示するには、次の構文を使用します。

UNIXの場合

IAM_LCM_TOP/patch/bin/iampatchmgr.sh command -help

Windowsの場合

IAM_LCM_TOP\patch\bin\iampatchmgr.bat command -help

表4-5では、パッチ・セッション時にprogressコマンドを実行した際のステータスについて説明します。

表4-5 パッチ・セッションのステータス

ステータス 説明

ACTIVE

セッションが進行中です。

FAILED

ある手順の実行時に障害が発生したためセッションが停止されました。

ABORTING

管理者がある手順を中止したためセッションが停止されました。

COMPLETE

セッションが完了しました。

INCOMPLETE

手順が実行されたかどうかに関係なく障害が発生しました。



注意:

ステータスCOMPLETEINCOMPLETEは最終的な状態ですが、FAILEDABORTINGはリカバリ可能な状態です。


4.3 パッチの適用

Oracle Identity and Access Management Patcherは、パッチを適用する手順を実行するユーティリティです。パッチ計画に従って、パッチ・セッション時にホストに対して製品パッチを適用します。

コマンド行ユーティリティで次のコマンドを実行してPatcherを実行します。


注意:

管理者は、進行中のパッチ適用処理においてPatcherを実行し、既存のデプロイにパッチを適用します。これらのパッチは、Oracle Identity and Access Management製品の特定の不具合、セキュリティ上の問題またはステージングされたパッチに関連する個別のパッチです。


UNIXの場合

IAM_LCM_TOP/patch/bin/iampatch.sh run

Windowsの場合

IAM_LCM_TOP\patch\bin\iampatch.bat run

Oracle Identity and Access Management Patcherのrunコマンドにより、次のタスクが実行されます。

この構文でprereqオプションを使用することにより、前提条件の検証に関連する手順のみを実行することもできます。これにより、サービスが停止または開始されたり、パッチが適用またはロールバックされることはありません。

Patcherは、次の場所にログ・メッセージを書き込みます。

パッチ・セッション外の場合

LCM_CONFIG/patch/status/log/iampatch.log

パッチ・セッション内の場合

LCM_CONFIG/patch/status/session_ID/manager/log/iampatch-session.log

4.4 アーティファクト変更の適用

Oracle Identity and Access Management Lifecycle Toolsは、構成ファイル内へのエントリの追加、製品のMBeanの起動など、パッチ適用後のアーティファクト変更のアプリケーションをサポートしています。大部分のパッチでは、このような変更は必要ありません。特定のパッチで変更が必要であるかどうかを判別するには、該当するパッチに対応するREADME.txtファイルを参照してください。

変更が必要なパッチの場合、ユーザーが単一の製品に対してバイナリ・パッチ・アプリケーションをすべて実行した後で、Patcherが自動的に変更を実行します。

アーティファクト変更の適用の前提条件

パッチ適用後のアーティファクト変更においては、データベースへの接続、sql問合せの実行などの特定のタスクを実行するために、Perlライブラリを追加する必要があります。


注意:

  • システムのPATHにPerl 5バージョン5.8.8以降が存在することを確認してください。

  • モジュールのロード時に、Perlが検索するリストのディレクトリ内にDB.pmモジュールが存在することを確認してください(配列@INCを使用して取得することも可能です)。

    たとえば、特定のホストにおける@INCの内容は、次のコマンドを使用して取得できます。

    perl -le 'print foreach @INC'
    

アーティファクトのログ・ファイル

アーティファクトのインストール時の出力は、次のログ・ファイルに保存されます。

LCM_CONFIG/patch/status/session_ID/hosts/host_name/log/patch_id-artifactlog

4.5 代替のパッチ適用シナリオ

Oracle Identity and Access Management Lifecycle Toolsは、パッチを適用するための次のシナリオを追加でサポートしています。

4.5.1 デプロイ時のパッチ適用

デプロイ・リポジトリ内に存在する製品パッチはすべて、対応する製品のインストールおよび構成時にOracle Identity and Access Management Deployment Toolにより自動的に適用されます。


注意:

デプロイ・リポジトリは、進行中のパッチ適用には使用できません。適用する必要のある、ダウンロードしたパッチを含む別のパッチトップ・ディレクトリを編成する必要があります。


Oracle Identity and Access Management Deployment Toolは、インストール後のパッチをインストールするために、オプションを追加してPatcherを起動します。これらのパッチは、デプロイ・プロセス時のパッチ適用に対してのみ有効です。たとえば、Deployment Toolがサーバーを起動または停止する手順をバイパスできるように、サーバー・インスタンスの構成前にパッチが適用されます。

このリリースでは、実行中のパッチ適用でこのオプションはサポートされていません。

4.5.2 切断されたホストへのパッチ適用

最初のホストを含むネットワーク・セグメントと異なるネットワーク・セグメントにWebおよびDirectory層ホストをデプロイできます。たとえば、通常Web層はネットワークDMZにデプロイされます。このデプロイ構成では、パッチ・セッションに関する情報が含まれる共有LCM_CONFIGディレクトリは、そのようなホストから使用できないことがあります。この場合、そのような切断されたホスト上でOracle Identity and Access Management Patcherを実行するには、次の手順を使用します。

Oracle Identity and Access Management Patch Managerのapplyコマンドを使用して、パッチ計画を生成します。

切断されていないホスト上でrunコマンドを使用してPatcherを実行します。

計画を実行する必要のある次のホストが切断されている場合、次の手順を実行します。

最初のホストで

  1. Patch Manager createhostbundleコマンドを実行し、その特定の切断されたホストでPatcherを実行するために必要な最新のセッション情報を含むホスト・バンドルを生成します。

    ./iampatchmgr.sh createhostbundle
    
  2. 進捗コマンドの実行時、ホスト・バンドルはLCM_CONFIG/patch/status/session_id/hosts/disconnected_host_name/hostbundle-disconnected_host_name.zipに生成されます。

    hostbundle-disconnected_host_name.zipファイルには、切断されたホスト上でのPatcherの実行に関する情報が含まれます。

  3. バンドルhostbundle-disconnected_host_name.zipを切断されたホストにコピーします。

切断されたホストで

  1. Patcher readhostbundleコマンドを使用してホスト・バンドルを読み取ります。

    ./iampatch.sh readhostbundle -file path_to_the_host_bundle
    
  2. runコマンドを使用してPatcherを実行します。

  3. Patcherの実行後、Patcher createhoststatusコマンドを使用して、Patcherの実行結果のステータス情報を含むホスト・ステータス・ファイルを生成します。

    ./iampatch.sh createhoststatus
    
  4. ホスト・ステータスは、LCM_CONFIG/patch/status/session_id/hosts/disconnected_host_name/hoststatus-disconnected_host_name.zipに生成されます。

  5. 生成されたステータスを切断されたホストから最初のホストにコピーします。

最初のホストで

Patch Manager readhoststatusコマンドを使用してステータスを読み取ります。

./iampatchmgr.sh readhoststatus -file path_to_the_host_status

runコマンドを使用して、切断されていないホスト上でのPatcherの実行に進みます。Patcherを実行する次のホストが切断されていることがPatcherから示される場合、この項に示された手順を繰り返します。

4.6 パッチ・セッションの監視と問題のトラブルシューティング

この項では、パッチ・セッションの監視方法、およびPatcherを使用してOracle Identity and Access Managementにパッチを適用する際に発生する可能性がある問題のトラブルシューティング方法について説明します。

内容は次のとおりです。

4.6.1 パッチ・セッションの進捗状況の追跡

パッチ・セッションの状態を追跡するには、progressコマンドを使用します。このコマンドは、パッチ・セッションに関する構成可能なレポートを表示します。

オプション-allを指定してprogressコマンドを実行すると、パッチ・セッションでのホストとそのステータスに関する詳細なリストを表示できます。

次のコマンドを実行します。

UNIXの場合

IAM_LCM_TOP/patch/bin/iampatchmgr.sh progress -all

Windowsの場合

IAM_LCM_TOP\patch\bin\iampatchmgr.bat progress -all

第A.5項では、progressコマンドを実行した際に表示されるサンプル・レポートを示しています。

パッチ・セッションのステータスを表示するには、progressコマンドを使用します。表4-6ではパッチ手順のステータスについて説明し、表4-7ではprogressコマンドを実行した際のパッチ・セッションのステータスについて説明します。

使用できるオプション

パッチ・セッションの現在のフェーズにおける個別の手順の詳細なリストを取得するには、progressコマンドでverboseオプションを使用します。パッチ計画内の各手順に関する詳細な情報と関連付けができるように、各手順に手順番号が指定されています。

パッチ・セッション内の全手順の詳細なリストを取得するには、progressコマンドでallオプションを使用します。

表4-6 progressコマンドが実行された際のパッチ手順のステータス

ステータス 説明

PLANNED

Oracle Identity and Access Management Patcherにより、手順が実行されていません。

RUNNING

手順がPatcherにより実行中です。

COMPLETED

手順は正常に実行されました。

FAILED

手順の実行に失敗しました。「失敗した手順の再試行」を参照してください。


表4-7 progressコマンドが実行された際のパッチ・セッションのステータス

ステータス 説明

ACTIVE

パッチ適用が進行中です。

FAILED

パッチ手順で障害が発生したためパッチ適用が停止されました。

ABORTING

パッチ手順が中止されたためパッチ適用が停止されました。

COMPLETE

すべての手順が実行されたことを示す最終的な状態。

INCOMPLETE

ある手順の実行が失敗したかどうかに関係なく、セッションが中止されたことによる最終的な状態。


4.6.2 失敗した手順の再試行

ある手順の実行に失敗したため、パッチ・セッションのステータスがFAILEDになった場合は、下に示すようにretryコマンドを使用して、失敗した手順からセッションの実行の再開を試行できます。

UNIXの場合

IAM_LCM_TOP/patch/bin/iampatch.sh retry

Windowsの場合

IAM_LCM_TOP\patch/bin\iampatch.bat retry

retryコマンドは次の機能を実行します。

  • ステータスがFAILEDまたはRUNNINGであるパッチ・セッションが存在するかどうか検証して、ステータスがFAILEDである手順を特定します。

    また、失敗した手順を現在のホストから実行する必要があるかどうかも確認します。

  • セッションのステータスを更新して、この手順のステータスをRUNNINGにします。全セッション・ステータスをFAILEDからACTIVEに変更します。

  • 「パッチの適用」に示されているように、再試行して正常に終了した手順が実行されます。

前提条件のみを実行するには、retryコマンドでprereqオプションを使用します。これにより、サービスが停止または開始されたり、パッチが適用またはロールバックされることはありません。

prereqオプションを指定して、次のコマンドを実行します。

UNIXの場合

IAM_LCM_TOP/patch/bin/iampatch.sh retry -prereq

Windowsの場合

IAM_LCM_TOP\patch\bin\iampatch.bat retry -prereq

4.6.3 パッチ・セッションの中止

abortコマンドにより、パッチ・セッションのステータスをINCOMPLETEに変更して、Patcherが実行を続行しないようにします。

セッションが中止された後にprogressコマンドを実行した場合は、引き続きセッションと手順の詳細が表示されます。中止されたセッションのステータスがFAILEDで、一部またはすべての製品のステータスをパッチ適用を試みる前のステータスに戻す必要がある場合は、セッションと手順の詳細を使用して、Patch Managerのrollbackコマンドに対して指定した正しいパッチ・トップ・ディレクトリをアセンブルできます。

パッチ・セッションを中止するには、次のコマンドを実行します。

UNIXの場合

IAM_LCM_TOP/patch/bin/iampatchmgr.sh abort

Windowsの場合

IAM_LCM_TOP\patch\bin\iampatchmgr.bat abort

4.6.4 パッチ・セッションの終了

パッチ・セッションを終了するには、endコマンドを実行します。このコマンドにより、パッチ・セッションが完全に削除されます。

セッションを終了した後にprogressコマンドを実行した場合は、セッションが存在しないためレポートは生成されません。セッション時に生成されたログ・ファイルはすべて保存されるため、必要な場合はそのログ・ファイルを調べて、セッションに関する情報を取得できます。実行されているセッションの現在のステータスに関係なくセッションを終了するために、管理者はendコマンドを使用できます。

パッチ・セッションを終了するには、次のコマンドを実行します。

UNIXの場合

IAM_LCM_TOP/patch/bin/iampatchmgr.sh end

Windowsの場合

IAM_LCM_TOP\patch\bin\iampatchmgr.bat end

4.6.5 パッチのロールバック

層に適用したパッチをロールバックするためのセッションを作成できます。現在の層、またはすでにパッチを適用した層でパッチをロールバックするには、新しいロールバック・セッションを開始します。

パッチをロールバックするには、次の手順を実行します。

  1. rollbackコマンドを実行して、パッチ計画を作成します。

    UNIXの場合

    IAM_LCM_TOP/patch/bin/iampatchmgr.sh rollback -patchtop patchtop_location
    

    Windowsの場合

    IAM_LCM_TOP\patch\bin\iampatchmgr.bat rollback -patchtop patchtop_location
    
  2. 第4.3項の説明に従って、Patcherを実行します。

rollbackコマンドにより、次のタスクが実行されます。

  • 指定したパッチ・トップの場所、およびステータスがACTIVEまたはFAILEDであるパッチ・セッションが存在するかどうかを検証します。セッションが存在する場合、新しいセッションは開始されず、現在のセッションの出力が表示されます。

  • パッチ・セッションが存在しない場合は、内部的にパッチ・スキャナが起動され、指定したパッチ・トップの場所でパッチが生成されて検証されます。ステージングされたこのパッチは、パッチ計画を生成するために内部的に使用されます。

  • パッチをロールバックする手順において、トポロジ・ストア情報とステージングされたパッチを使用してパッチ計画が生成されます。

  • rollbackコマンドにより、パッチ計画がHTMLおよびテキスト形式で次の場所に生成されます。

    LCM_CONFIG/patch/status/session_ID/manager/log/PatchInstructions.html
    LCM_CONFIG/patch/status/session_ID/manager/log/PatchInstructions.text
    
  • パッチ計画の生成後、Patch ManagerはステータスがACTIVEである新しいパッチ・セッションを開始します。次に、パッチ・セッションの下位として、各ホストで実行されている手順に対してステータスPLANNEDを追加します。Patch Managerは、パッチ・セッションの詳細をログ・ファイルに保存します。

  • rollbackコマンドにより、参照用のログ・ファイルが生成されます。