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Oracle® Fusion Middleware Oracle Identity and Access Management移行ガイド
11gリリース2 (11.1.2.2.0)
E53415-02
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2 Oracle Access Manager 10g環境の移行

この章では、Oracle Access Manager 10gをOracle Access Management Access Manager (Access Manager) 11gリリース2 (11.1.2.2.0)に移行する方法について説明します。

この章には次の項が含まれます:

2.1 移行の概要

この章で説明する手順を使用して、Oracle Access Manager 10gの次のアーティファクトをAccess Manager 11.1.2.2.0に移行できます。

この移行では、Access Manager 11gリリース2 (11.1.2.2.0)をインストールし、新しいOracleホーム(IAM_HOME)を作成して、Oracle Access Manager 10gインストールから新しいAccess Manager 11gリリース2 (11.1.2.2.0)のOracleホームにポリシー・データを移行する必要があります。

この項には次のトピックが含まれます:

2.1.1 移行のモード

この章で説明する手順を使用して、次の3つのモードで移行を実行できます。

2.1.1.1 完全移行

この移行モードでは、11.1.2.2.0と互換性のあるOracle Access Manager 10gのすべてのアーティファクトがAccess Manager 11.1.2.2.0に移行されます。完全移行を実行できるのは1回のみです。完全移行を実行した後でデルタ移行を実行することはできますが、完全移行後の増分移行はサポートされていません。

2.1.1.2 増分移行

増分移行は、Oracle Access Manager 10gの選択されたエージェント、ポリシー・ドメインとその関連アーティファクト(ホスト識別子など)、リソースのリソース・タイプ、および認証スキームがAccess Manager 11.1.2.2.0に移行される移行モードです。増分移行で、選択されたポリシー・ドメインを移行する際、移行ユーティリティにより、認証スキーム、ホスト識別子、リソース・タイプなどの依存アーティファクトの有無がチェックされ、まずそれらが移行されます。この移行の後、関連付けられているポリシー・ドメインの移行が行われます。

Access Manager 11.1.2.2.0環境に存在していないアーティファクトを移行できます。移行対象のアーティファクトがすでにAccess Manager 11.1.2.2.0環境に存在している場合、そのアーティファクトは無視され、移行されません。

増分移行は複数回実行できます。増分移行の後に完全移行を実行することも可能です。または、増分移行を複数回実行して、すべてのアーティファクトを移行できます。

増分移行の手順は、完全移行の手順と同じですが、加えて、「増分移行のための追加手順」で説明されている、増分移行で必要な追加手順を実行する必要があります。

2.1.1.3 デルタ移行

デルタ移行を実行できるのは、完全移行の後のみです。デルタ移行とは、完全移行後に10gのアーティファクトに対して行った変更(デルタ)を移行することです。

デルタ移行を実行すると、ポリシー・ドメインで行われた変更が、依存アーティファクトにおける対応する変更とともに移行されます。たとえば、完全移行後に、新しく作成されたホスト識別子を使用する新しいリソースを追加した場合、次のデルタ移行では、新しく作成されたホスト識別子が最初に移行され、その後、リソースが移行されます。

新しく追加されたリソース・タイプおよびエージェントは、デルタ移行の一環として移行されません。リソース・タイプを移行するには、いずれかのポリシー・ドメインと関連付ける必要があります。

デルタ移行では、「追加」または「変更」タイプの変更が移行されます。つまり、10gデプロイメントで新しいアーティファクトを追加した場合やアーティファクトを変更した場合(リソース・タイプおよびエージェントを除く)、デルタ移行を使用して、それらの変更を移行できます。デルタ移行では、「削除」は移行されません。つまり、10gデプロイメントでアーティファクトを削除した場合、デルタ移行を使用しても、11gデプロイメントで同じアーティファクトが削除されるわけではありません。移行ツールを使用すると、特定の変更を移行できない場合でも、Access Manager 11gで既存のデータの整合性を確保できます。

デルタ移行後に完全移行および増分移行を実行することはできません。ただし、デルタ移行は複数回実行できます。


注意:

Oracle Access Manager 10gからAccess Manager 11.1.2.2.0へのデルタ移行は、Oracle Access Manager 10gデプロイメントに行われた変更が使用可能かどうかによって決まります。Oracle Access Manager 10gでは、Sync Recordsを使用して、10gデプロイメントに行われた変更が追跡されます。Sync Recordsが作成されるのは、Oracle Access Manager 10gのポリシー・マネージャ・コンソールを使用してポリシー関連のアーティファクトを変更する際に、ポリシー管理Webページに表示される「キャッシュの更新」チェック・ボックスを選択した場合のみです。


2.1.2 移行のサマリー

表2-1は、Access Manager 11.1.2.2.0に移行可能なOracle Access Manager 10gのアーティファクトをまとめたものです。

表2-1 アーティファクトの互換性

アーティファクト 説明

ホスト識別子

  • Oracle Access Manager 10gのすべてのホスト識別子は、Access Manager 11.1.2.2.0の対応するホスト識別子にマップされます。

  • Oracle Access Manager 10gのホスト名のバリエーション(ポート値に数値以外の文字が含まれるもの)は、Access Manager 11.1.2.2.0に移行されません。数値以外のポート値は削除され、バリエーションのホスト部分は保持されます。

  • Oracle Access Manager 10gの複数のホスト識別子で重複するバリエーションは無視されます。指定されたホストIDのすべてのバリエーションが重複している場合、すべてのバリエーションが削除され、そのホストIDの名前を持つ新しいバリエーションが追加されます。

  • Oracle Access Manager 10gポリシー・データのリソースがホスト識別子に関連付けられていない場合、移行ツールによって、移行中にAccess Manager 11.1.2.2.0にOAM11G_GLOBAL_HOSTIDというホスト識別子が作成され、新しく作成されたホスト識別子を持つリソースと関連付けられます。これは、Access Manager 11.1.2.2.0にホスト識別子がないとリソースを作成できないためです。移行後、Oracle Access Manager 10gポリシー・データにホスト識別子がなかったすべてのリソースのホスト識別子に適切なホスト名を追加する必要があります。

エージェント

  • 移行では、IIS偽装ユーザー名およびパスワードを除いて、Oracle Access Manager 10gエージェント・プロファイルのすべての属性がサポートされています。

  • Oracle Access Manager 10gデプロイメントにOpen/Simple/Certトランスポート・セキュリティ・モードのWebGateが混在している場合、移行ユーティリティでは、そのトランスポート・セキュリティ・モードのWebGateの移行が試行されます。この場合、WebGateのセキュリティ・モードに応じてAccess Manager 11.1.2.2.0サーバーを構成する必要があります。詳細は、第2.7項「Access Manager 11.1.2.2.0サーバー用のトランスポート・セキュリティ・モードの構成」を参照してください。

  • すべてのWebGateを同じモードで移行する場合は、プロパティ・ファイルでagent_mode_to_overrideプロパティを、必要なモードに応じてOPEN /SIMPLE /CERTに設定する必要があります。プロパティ・ファイルで指定されるプロパティの詳細は、表2-4を参照してください。

  • 移行ユーティリティでは、ObAccessClient.xmlpassword.xmlcertificatesなどのアーティファクトは生成されません。WebGateにはすでに、Oracle Access Manager 10gデプロイメントからのこれらのアーティファクトがあるためです。必要な場合は、Access Manager 11.1.2.2.0管理コンソールを使用してWebGateプロファイルを手動で更新することで、これらのアーティファクトを生成できます。

データ・ストア

  • Oracle Access Manager 10gディレクトリ・プロファイルのディレクトリ・インスタンスの移行がサポートされています。ディレクトリ・インスタンスのすべての関連属性は移行され、Access Manager 11.1.2.2.0の対応するデータ・ストアにマップされます。ディレクトリ・プロファイルにセカンダリ・ディレクトリ・インスタンスがある場合、それは別のデータ・ストアとして移行されます。

  • 移行プロセスの間、データ・ストアは起動しており実行中である必要があります。オフラインのデータ・ストアは無視されます。

認証スキーム

  • Form、Basic、X509などの認証スキームの移行がサポートされています。

  • カスタマイズされた認証フローを持つ認証スキームの移行もサポートされています。

  • カスタムの認証チャレンジ・パラメータを持つ認証スキームは、カスタムのチャレンジ・パラメータなしで移行されます。移行後、対応するOracle Access Manager 10g認証スキームで使用されているのと同じ値を持つ移行済の認証スキームにおいてチャレンジ・パラメータを手動で追加または変更する必要があります。

  • Oracle Access Manager 10gからの外部認証スキームは、Access Manager 11.1.2.2.0ではサポートされていません。そのため、外部認証スキームは、委任認証プロトコル(DAP)を使用して11.1.2.2.0に移行されます。移行されたスキームでは、移行後の手順がいくつか必要です。

  • カスタム認証の移行はサポートされていません。カスタム・プラグインが含まれている認証スキームは、正しく移行されない場合があります。

  • Oracle Access Manager 10gAnonymousタイプのすべての認証スキームは、Access Manager 11.1.2.2.0の単一のNONE認証スキームに直接マップされます。

リソース・タイプ

  • Oracle Access Manager 10gのリソース・タイプと、移行されたAccess Manager 11.1.2.2.0のリソース・タイプは、1対1でマッピングされます。

  • HTTPwl_authenという名前を持つリソース・タイプは、Access Manager 11.1.2.2.0でデフォルトで使用できるため、移行されません。

ポリシー・ドメイン

  • Oracle Access Manager 10gのポリシー・ドメインは、Access Manager 11.1.2.2.0の別個のアプリケーション・ドメインにマップされます。

  • URL接頭辞は、Access Manager 11.1.2.2.0に移行されます。すべての接頭辞に対して、追加リソース<urlprefix>/**が作成され、デフォルトの認証および認可ポリシーによって保護されます。内部ポリシーに、すべての操作が選択され、かつURLパターンがないURL接頭辞が含まれている場合、リソース<urlprefix>および<urlprefix>/**は、デフォルトの認証スキームから削除されます。リソースは、該当する特定の内部ポリシー用に構成されている認証スキームによって保護されます。そのようなリソースは、そのリソース・タイプで定義されている操作をすべて選択することで作成されます。

  • デフォルトの認証ルールと認可条件式はそれぞれ、デフォルトの認証ポリシーと認可ポリシーに移行されます。

  • 移行では、認可条件式に関連付けられている、成功/失敗のレスポンスおよびリダイレクトのみがサポートされています。未確定のレスポンスおよびリダイレクトは無視されます。認可ルールに関連付けられているレスポンスおよびリダイレクトは、Access Manager 11.1.2.2.0でそれらがサポートされていないため、移行の対象とは見なされません。認可ルールの場合、成功と失敗の両方のリダイレクトおよびレスポンスがAccess Manager 11.1.2.2.0に移行されます。ただし、ユーザー・インタフェースには、成功のレスポンスのみが表示されます。

  • いずれの認可条件式の一部も形成していない認可ルールは、移行では無視されます。

  • Oracle Access Manager 10gの内部ポリシーをAccess Manager 11.1.2.2.0に移行する場合、次のようなことが当てはまります。

    • ポリシー・ドメインに関連付けられているデフォルトの認証ルールが使用されている場合、内部ポリシーで定義されているリソースは、移行後、デフォルトの認証ポリシーに関連付けられます。それ以外の場合、その認証ルールに対して新しい認証ポリシーが作成されます。

    • ポリシー・ドメインに関連付けられているデフォルトの認可条件式が使用されている場合、内部ポリシーで定義されているリソースは、移行後、デフォルトの認可ポリシーに関連付けられます。それ以外の場合、その認可条件式に対して新しい認可ポリシーが作成されます。

    • Oracle Access Manager 10gでは、条件式の一部である認可ルールに関連付けられているALLOWおよびDENY条件は、移行時に条件に変換されます。後で、移行された条件を使用して、移行された認可ポリシーのためのALLOWおよびDENYルールが作成されます。

    • タイミング条件は、一時条件として移行され、Access Manager 11.1.2.2.0のALLOWおよびDENYルールの一部を形成します。

    • 移行後、ALLOWルールのみが作成されます。このルールには、ALLOWおよびDENY条件を含む結合式があり、ALLOWまたはDENYの評価が導かれます。DENYルールは常に空になります。


2.2 トポロジの比較

図2-1は、Oracle Access Manager 10gとAccess Manager 11.1.2.2.0のトポロジを比較したものです。

図2-1 Oracle Access Manager 10gとAccess Manager 11.1.2.2.0のトポロジの比較

図2-1の説明が続きます
「図2-1 Oracle Access Manager 10gとAccess Manager 11.1.2.2.0のトポロジの比較」の説明

2.3 移行ロードマップ

表2-2は、Oracle Access Manager 10gからAccess Manager 11.1.2.2.0への移行手順を示しています。

表2-2 移行タスク

タスク番号 タスク 参照先

1

前提条件を満たします。

「移行の前提条件」を参照してください。

2

Oracle Identity and Access Management 11gリリース2 (11.1.2.2.0)をインストールします。

「Oracle Identity and Access Management 11.1.2.2.0のインストール」を参照してください。

3

Access Manager 11.1.2.2.0を構成します。

「Oracle Access Management Access Manager 11.1.2.2.0の構成」を参照してください。

4

移行後、WebGateがAccess Manager 11.1.2.2.0との通信を開始したときに、Access Manager 11.1.2.2.0サーバーがエージェントからの接続を受け入れるように、Access Manager 11.1.2.2.0サーバー・インスタンスとWebGateのセキュリティ・モードを構成します。

「Access Manager 11.1.2.2.0サーバー用のトランスポート・セキュリティ・モードの構成」を参照してください。

5

管理サーバーおよびAccess Manager 11.1.2.2.0管理対象サーバーを起動します。

「管理サーバーおよびAccess Manager 11.1.2.2.0管理対象サーバーの起動」を参照してください。

6

LDAP詳細および必要な情報を使用してプロパティ・ファイルを作成します。

「プロパティ・ファイルの作成」を参照してください。

7

評価レポートを生成し、どのエージェントとアーティファクトをAccess Manager 11.1.2.2.0に移行できるかを分析します。

Oracle Access Manager 10g環境を移行する前に、このタスクを複数回実行できます。

「評価レポートの生成」を参照してください。

8

Access Manager 11.1.2.2.0があるドメインの管理サーバーを再起動します。

「管理サーバーの再起動」を参照してください。

9

増分移行を実行する場合は、追加手順(入力ファイルの作成など)を実行します。

完全移行を実行する場合は、このタスクは無視してください。

「増分移行のための追加手順」を参照してください。

10

Oracle Access Manager 10gをAccess Manager 11.1.2.2.0に移行します。

「Access Manager 11.1.2.2.0へのOracle Access Manager 10gのアーティファクトの移行」を参照してください。

11

Access Manager 11.1.2.2.0で10g WebGateを使用する場合、Access Manager 11.1.2.2.0サーバーと連携するように10g WebGateの集中ログアウトを構成する必要があります。

「Access Manager 11.1.2.2.0使用時の10g WebGateの集中ログアウトの構成」を参照してください。

12

移行されたWebGateをOracle Access Management 11.1.2.2.0サーバーに関連付けます。

「Access Manager 11.1.2.2.0サーバーとWebGateの関連付け」を参照してください。

13

移行を確認します。

「移行の確認」を参照してください。


2.4 移行の前提条件

Oracle Access Manager 10gをAccess Manager 11.1.2.2.0に移行するには、次の前提条件を満たす必要があります。

  1. システム要件および動作保証のドキュメントを読み、環境がインストールする製品の最小要件を満たしていることを確認します。

    • Oracle Fusion Middlewareのシステム要件と仕様

      このドキュメントには、ハードウェアとソフトウェアの要件、最小ディスク領域とメモリーの要件、および必要なシステム・ライブラリ、パッケージまたはパッチに関する情報が含まれます。

    • Oracle Fusion Middlewareのサポートされるシステム構成

      このドキュメントには、サポートされるインストール・タイプ、プラットフォーム、オペレーティング・システム、データベース、JDKおよびサード・パーティ製品に関する情報が含まれます。

    • インストール時に発生する可能性がある相互運用性および互換性の問題については、『Oracle Fusion Middleware相互運用および互換性ガイド』を参照してください。

      Oracle Fusion Middleware製品が旧バージョンの他のOracle Fusion Middleware、Oracleまたはサード・パーティ製品と機能するために重要な情報がこのドキュメントに記載されています。この情報は、既存の環境をアップグレードする既存ユーザーと新しいOracle Fusion Middlewareユーザーの両方に適用されます。


    注意:

    Oracle Fusion Middlewareの概念とディレクトリ構造の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Identity and Access Managementインストレーション・プランニング・ガイド』のOracle Fusion Middlewareの概念とディレクトリ構造の理解に関する項を参照してください。


  2. 使用しているOracle Access Manager 10gのバージョンで移行がサポートされていることを確認します。Oracle Access Manager 10gの移行がサポートされている開始ポイントの詳細は、第1.4項「移行および共存がサポートされている開始ポイント」を参照してください。

  3. Oracle Access Manager 10gデプロイメント内で構成されているすべてのユーザー・ストアが実行されていることを確認します。

2.5 Oracle Identity and Access Management 11.1.2.2.0のインストール

移行プロセスの一部として、Oracle Identity and Access Management 11gリリース2 (11.1.2.2.0)をインストールする必要があります。Oracle Identity and Access Managementは、Oracle Access Management Access Manager 11.1.2.2.0を含むスイートです。これは、Oracle Access Manager 10gがインストールされているのと同じマシンにも異なるマシンにもインストールできます。

Oracle Identity and Access Management 11.1.2.2.0のインストールの詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle Identity and Access Managementインストレーション・ガイドのOracle Identity and Access Management (11.1.2.2.0)のインストールに関する説明を参照してください。

2.6 Oracle Access Management Access Manager 11.1.2.2.0の構成

Oracle Identity and Access Management 11.1.2.2.0をインストールしたら、Access Manager 11.1.2.2.0を構成し、ドメインを作成する必要があります。

Access Manager 11.1.2.2.0の構成については、Oracle Fusion Middleware Oracle Identity and Access Managementインストレーション・ガイドのOracle Access Managementの構成に関する項を参照してください。

2.7 Access Manager 11.1.2.2.0サーバー用のトランスポート・セキュリティ・モードの構成

移行後、移行されたWebGateがAccess Manager 11.1.2.2.0サーバーと通信できるように、Access Manager 11.1.2.2.0サーバーのセキュリティ・モードを構成する必要があります。セキュリティ・モードは次のとおりです。これらのセキュリティ・モードは、セキュリティ・レベルの低いものから高いものへという順番で示されています。

Openがセキュリティ・レベルの最も低いモードであり、Certがセキュリティ・レベルの最も高いモードです。Openは、デフォルトのセキュリティ・モードです。どのセキュリティ・モードでAccess Manager 11.1.2.2.0サーバーを構成する必要があるかは、移行対象のOracle Access Manager 10g WebGateのセキュリティ・モードによって異なります。

この項には次のトピックが含まれます:

2.7.1 Access Manager 11.1.2.2.0サーバーのセキュリティ・モードの決定

移行するすべてのWebGateが同じセキュリティ・モードである場合は、Access Manager 11.1.2.2.0サーバーをそのモードで構成する必要があります。移行されたWebGateに異なるセキュリティ・モードのWebGateが混在する場合は、Access Manager 11.1.2.2.0サーバーを、よりセキュリティ・レベルの低いモードで構成する必要があります。表2-3は、様々なユースケースとAccess Manager 11.1.2.2.0サーバーを構成する必要のあるセキュリティ・モードを示しています。

表2-3 Access Manager 11.1.2.2.0サーバーのセキュリティ・モードの選択

Oracle Access Manager 10g WebGateのトランスポート・セキュリティ・モード Access Manager 11.1.2.2.0インスタンスで構成する必要のあるセキュリティ・モード 構成手順

一部またはすべてがOpen

Open

Openモードはデフォルトのモードです。追加手順は必要ありません。

すべてがCert

Cert

「Access Manager 11.1.2.2.0サーバー用のCertモード通信の構成」を参照してください。

すべてがSimple

Simple

「Access Manager 11.1.2.2.0サーバー用のSimpleモード通信の構成」を参照してください。

OpenSimpleおよびCertが混在

Open

Openモードはデフォルトのモードです。追加手順は必要ありません。

SimpleおよびCertが混在

Simple

「Access Manager 11.1.2.2.0サーバー用のSimpleモード通信の構成」を参照してください。


2.7.2 Access Manager 11.1.2.2.0サーバー用のCertモード通信の構成

Access Manager 11.1.2.2.0用にCertモード通信を構成するには、Oracle Fusion Middleware Oracle Access Management管理者ガイドのAccess Manager用のCertモード通信の構成に関する項の次の手順を実行します。

  1. OAMサーバーとWebGate間の通信の保護の概要に関する項、およびCertモード暗号化とファイルに関する項を確認します。

    このタスクで説明されているすべての手順を実行します。

  2. OAMサーバー用の証明書リクエストおよび秘密鍵の生成に関する項

    このタスクで説明されているすべての手順を実行します。

  3. OAMキーストア別名およびパスワードの取得に関する項

    このタスクで説明されているすべての手順を実行します。

  4. 信頼できる、署名された証明書チェーンの、キーストアへのインポートの項

    このタスクでは、WebGateのCertモード証明書の発行に使用される認証局(CA)証明書をインポートします。このCA証明書が、Access Manager 11.1.2.2.0サーバーが信頼済の証明書とは異なる場合は、このタスクの次の手順を実行します。そうでない場合は、これらのタスクは無視してください。

    • aaa_chain.pem: テキスト・エディタを使用してaaa_chain.pemファイルを変更して、CERTIFICATEブロック内に含まれるデータを除くすべてのデータを削除してからそのファイルを保存します。

    • 次のコマンドと環境に応じた詳細を使用して、信頼された証明書チェーンをインポートします。

    • 証明書を信頼するかどうか尋ねられたら、「yes」と入力します。

  5. Access Manager設定への証明書詳細の追加に関する項

    このタスクの、OAMサーバー登録ページを開き、「プロキシ」タブをクリックし、プロキシ・モードを「証明書」に変更して「適用」をクリックする手順は無視してください。

Access Manager 11.1.2.2.0サーバーのCertモード証明書で使用されているルート認証局(CA)が、WebGate側のaaa_chain.pemファイルにあるCA証明書と異なる場合は、aaa_chain.pemファイルを、サーバーのCertモード証明書の発行に使用されるルートCA証明書で更新する必要があります。これを行うには、次の手順を実行します。

  1. Access Manager 11.1.2.2.0サーバー・インスタンス用のCertモード証明書の生成に使用された、PEM形式のCA証明書を取得します。

  2. 任意のテキスト・エディタでこのCA証明書を開き、このファイルのコンテンツを、BEGIN、ENDマーカーを含めてコピーします。次に例を示します。

    ----BEGIN CERTIFICATE-----

    ...

    CERTIFICATE

    ...

    -----END CERTIFICATE-----

  3. 任意のテキスト・エディタを使用してOHS_INSTANCE_HOME/config/OHS/ohs2/webgate/configにあるaaa_chain.pemファイルを開き、サーバーCA証明書ベースの64エンコードのコンテンツをaaa_chain.pemファイルの最後に貼り付けます。

  4. ファイルを保存して閉じます。

2.7.3 Access Manager 11.1.2.2.0サーバー用のSimpleモード通信の構成

Access Manager 11.1.2.2.0サーバー用のSimpleモード通信を構成するには、次の手順を実行します。

  1. 次のURLを使用して、Oracle Access Management 11.1.2.2.0管理コンソールにログインします。

    http://<host>:<port>/oamconsole

    ここで、<host>はAccess Manager 11.1.2.2.0が実行されているマシンであり、<port>はポート番号です。

  2. 「システム構成」タブに移動します。

  3. 「Access Manager」を開き、「Access Managerの設定」をダブルクリックします。

  4. 「アクセス・プロトコル」セクションを開きます。

  5. 「グローバル・パスフレーズ」を、Oracle Access Manager 10gデプロイメントで使用されているのと同じ値に設定します。

2.8 管理サーバーおよびAccess Manager 11.1.2.2.0管理対象サーバーの起動

Oracle Access Manager 10gをAccess Manager 11.1.2.2.0への移行を開始する前に、WebLogic管理サーバーおよびAccess Manager 11.1.2.2.0管理対象サーバーが起動しており実行中であることを確認します。管理サーバーおよび管理対象サーバーの起動の詳細は、付録A「サーバーの起動」を参照してください。

2.9 プロパティ・ファイルの作成

アクセス可能な任意の場所にプロパティ・ファイルを作成します。たとえば、oam_migration.propertiesファイルを作成します。

プロパティ・ファイルのコンテンツは、次のようなものです。

## Configuration store details
## If the configuration store is SSL enabled, the LDAP url should begin with 'ldaps'.
config_store_ldap_url=ldap://<Host Name>:<Port>/
config_store_ldap_base=<Configuration store ldap base>
config_store_principal=<Configuration store LDAP Principal>
config_store_password=<Configuration store OAM 10g encrypted password>
config_store_initial_context_factory=com.sun.jndi.ldap.LdapCtxFactory

## Policy store details
## If the policy store is SSL enabled, the LDAP url should begin with 'ldaps'.
policy_store_ldap_url=ldap://<Host Name>:<Port>/
policy_store_ldap_base=<Policy store ldap base>
policy_store_principal=<Policy store LDAP Principal>
policy_store_password=<Policy store OAM 10g encrypted password>
policy_store_initial_context_factory=com.sun.jndi.ldap.LdapCtxFactory

## This property indicates the path of trust store file which is a collective
## store of CA certs of all directory serves viz. policy store, config store,
## identity store.
ldap_trust_store=<path to ldap trust-store>

## This property is required if client authentication in directory
## server is enabled and it contains the path of file having client
## certificates
client_keystore=<path to ketstore file in jks format>

## If ldap_trust_store_password and client_keystore_password are left empty,
## then wlst commandline prompts for these passwords after migration utility
## is run.
ldap_trust_store_password=<plain text password of trust store file>
client_keystore_password=<plain text password of keystore file>

## migration_mode indicates what type of migration does the administrator intends
## to perform.
## 1. COMPLETE   : A full migration will be performed. Ideal for a new OAM 11g
##                 environment with a clean database.
## 2. INCREMENTAL: Incremental mode can be used to migrate selective artifacts
##                 from 10g enviroment. Incremental mode will be dictated by the
##                 include and exclude file properties. Incremental Migration
##                 cannot be performed after Complete Migration.
## 3. DELTA      : When the administrator intends to migrate the changes performed to the 10g artifacts 
##                 then delta migration can be performed. This will include all the artifacts depending upon 
##                 the GSN number.
## Defaults to COMPLETE if not specified.
migration_mode=COMPLETE

## The include filename property indicates the absolute filename that would
## contain the list of artifacts that the administration wishes to selectively
## migrate to the 11g environment in incremental mode. For migration modes other
## than incremental, this property will be directly ignored.
include_file=<include input filename>

## The exclude filename property indicates the absolute filename that would
## contain the list of artifacts that the administration wishes to selectively
## exclude from migrating to the 11g environment in incremental mode. For
## migration modes other than incremental, this property will be directly ignored.
## In incremental mode migration, if the administrator specifies both the include
## and exclude files then the include file wiil take precedence and exclude file
## will be ignored.
exclude_file=<exclude input filename>

## This flag denotes whether the preview file should be created or not. If true,
## then preview report will be created irrespective of the value of the
## evaluate_only flag. If set to false, then preview report will not be created.
## Defaults to TRUE if not specified.
preview_enabled=true

## Parameter to filter out preview report file based on the compatibility of an
## artifact. It can take values as COMPATIBLE, INCOMPATIBLE and ALL.
## If set to INCOMPATIBLE, it will include records with compatibility as
## INCOMPATIBLE,INCOMPATIBLE_WITH_LESS_FEATURES and IGNORE. If set to COMPATIBLE,
## it will include records with compatibility as COMPATIBLE. If set to ALL, 
## it will include all types of record.
## Defaults to INCOMPATIBLE if not specified.
preview_level=ALL

## Indicates the absolute path and filename of the evaluation preview record file.
## If not specified, defaults to 
## <MW_Home>/user_projects/domains/base_domain/MigrationPreviewFile.txt
evaluate_filename=<Preview report filename>

## Flag indicating whether the migration utility runs in evalute mode. If true,
## only preview records will be generated and actual migration to 11g environment
## will be skipped. If false, then actual migration will take place.
## Defaults to FALSE if not specified.
evaluate_only=false

## Parameter for indicating the threashold limit for the artifacts processed in
## memory. Can be used on machines with less memory. If not provided, then
## defaults to 5000. If the migration utility is being used in 'evaluate only'
## mode, this value will be ignored.
## If you feel that the memory will not prove to be insufficient for the amount 
## of data that is being migrated, set the value to "MAX".
artifact_queue_limit=3000

## Parameter to provide mode of an agent while migration. It will migrate all the
## agents in the mode specified here. The values can be, OPEN, SIMPLE, CERT 
## and RETAIN_EXISTING. Defualt value will be RETAIN_EXISTING. This value will
## migrate agent in its existing mode.
agent_mode_to_override=RETAIN_EXISTING

表2-4は、プロパティ・ファイル内の各プロパティに指定する必要のある値を示しています。

表2-4 プロパティ・ファイルの値

プロパティ 説明

config_store_ldap_url

Oracle Access Manager 10gデプロイメントで使用されている構成ストアのLDAPホストとポートを、ldap://<hostname>:<port>という形式で指定します。

構成ストアでSSLが有効化されている場合、LDAPのURLは'ldaps'で始まる必要があります。

config_store_ldap_base

Oracle Access Manager 10gデプロイメントの構成ストア用のLDAP検索ベースを指定します。これは、Oracle Access Manager 10gのインストール時に指定したのと同じ検索ベースです。この値を取得するには、次の手順を実行します。

  1. Oracle Access Manager 10g管理コンソールにログインします。

  2. 「システム構成」タブに移動します。

  3. 左側のナビゲーション・ペインの「サーバー設定」をクリックします。

  4. 「構成ベース」に表示されている値をチェックします。oblixの親ノードを使用します。

    たとえば、コンソールに表示されている「構成ベース」の値がo=Oblix,dc=company,dc=usである場合、このプロパティconfiguration_store_ldap_baseの値は、dc=company,dc=usである必要があります。

config_store_principal

構成ストアの管理者のLDAP DNを指定します。

config_store_password

Oracle Access Manager 10gの構成LDAPストアの暗号化パスワードを指定します。暗号化パスワードを取得するには、次の手順を実行します。

  1. 現在の作業ディレクトリから次の場所に移動します。

    Access_Server_Installation Directory/oblix/config/ldap/

  2. ConfigDB.xmlファイルからldapRootPasswdの値をコピーします。

  3. プロパティ・ファイル内のconfig_store_passwordプロパティにこの値を使用します。

config_store_initial_context_factory

このプロパティの値は、com.sun.jndi.ldap.LdapCtxFactoryである必要があります。この値は修正しないでください。

policy_store_ldap_url

Oracle Access Manager 10gデプロイメントで使用されているポリシー・ストアのLDAPホストとポートを、ldap://<hostname>:<port>という形式で指定します。

ポリシー・ストアでSSLが有効化されている場合、LDAPのURLは'ldaps'で始まる必要があります。

policy_store_ldap_base

Oracle Access Manager 10gデプロイメントのポリシー・ストア用のLDAP検索ベースを指定します。これは、Oracle Access Manager 10gのインストール時に指定したのと同じ検索ベースです。この値を取得するには、次の手順を実行します。

  1. Oracle Access Manager 10g管理コンソールにログインします。

  2. 「システム構成」タブに移動します。

  3. 左側のナビゲーション・ペインの「サーバー設定」をクリックします。

  4. 「ポリシー・ベース」に表示されている値をチェックします。oblixの親ノードを使用します。

    たとえば、コンソールに表示されている「ポリシー・ベース」の値がo=Oblix,dc=company,dc=usである場合、このプロパティpolicy_store_ldap_baseの値は、dc=company,dc=usである必要があります。

policy_store_principal

ポリシー・ストアの管理者のLDAP DNを指定します。

policy_store_password

Oracle Access Manager 10gのポリシーLDAPストアの暗号化パスワードを指定します。暗号化パスワードを取得するには、次の手順を実行します。

  1. 現在の作業ディレクトリから次の場所に移動します。

    Access_Server_Installation_Directory/oblix/config/ldap/

  2. WebResrcDB.xmlファイルからldapRootPasswdの値をコピーします。

  3. プロパティ・ファイル内のpolicy_store_passwordプロパティにこの値を使用します。

policy_store_initial_context_factory

このプロパティの値は、com.sun.jndi.ldap.LdapCtxFactoryである必要があります。この値は修正しないでください。

ldap_trust_store

jks形式のトラスト・ストア・ファイルへのパスを指定します。このファイルには、SSLが有効化されたすべてのディレクトリ・サーバーのCA証明書が格納されています。

client_keystore

jks形式のキーストア・ファイルへのパスを指定します。このファイルには、クライアント証明書が格納されています。このプロパティを指定する必要があるのは、クライアント認証が有効な場合のみです。それ以外の場合は、#を使用してこのプロパティをコメント・アウトします。

ldap_trust_store_password

プロパティldap_trust_storeで指定したトラスト・ストア・ファイルの、プレーン・テキストのパスワードを指定します。

このプロパティの値が空の場合、移行ユーティリティの実行時にWLSTのコマンド行でパスワードの入力を要求されます。

client_keystore_password

プロパティclient_keystoreで指定したキーストア・ファイルの、プレーン・テキストのパスワードを指定します。

このプロパティを指定する必要があるのは、client_keystoreプロパティにキーストア・ファイルのパスを指定した場合のみです。

このプロパティの値が空の場合、移行ユーティリティの実行時にWLSTのコマンド行でパスワードの入力を要求されます。

migration_mode

このプロパティは、実行する移行のモードを示します。次の値のいずれかを設定します。

  • COMPLETE

    完全移行を実行する場合は、この値を指定します。クリーン・データベースを持つ新しいAccess Manager 11.1.2.2.0環境には、この値が適しています。

  • INCREMENTAL

    増分移行を実行する場合は、この値を指定します。

    増分モードは、プロパティ・ファイルで指定されているinclude_fileおよびexclude_fileプロパティによって決まります。

  • DELTA

    デルタ移行を実行する場合は、この値を指定します。

移行のモードの詳細は、「移行のモード」を参照してください。

include_file

増分移行を実行する場合、一部のアーティファクトをAccess Manager 11.1.2.2.0に移行するには、include_fileプロパティを使用する必要があります。

include_fileプロパティの値は、Access Manager 11.1.2.2.0に移行するアーティファクトのリストを含むファイルへの絶対パスである必要があります。包含ファイルの作成の詳細は、「増分移行のための追加手順」を参照してください。

include_fileプロパティを指定して増分移行を実行する場合は、exlcude_fileプロパティをコメント・アウトします。

増分移行の実行時に、include_fileexclude_fileの両方のプロパティを指定した場合、include_fileプロパティがexclude_fileプロパティよりも優先され、exclude_fileプロパティは無視されます。

完全移行では、このプロパティは無視されます。

exclude_file

増分移行を実行する場合、一部のアーティファクトを移行から除外するには、exclude_fileプロパティを使用する必要があります。

exclude_fileプロパティの値は、移行から除外するアーティファクトのリストを含むファイルへの絶対パスである必要があります。除外ファイルの作成の詳細は、「増分移行のための追加手順」を参照してください。

exclude_fileプロパティを指定して増分移行を実行する場合は、inlcude_fileプロパティをコメント・アウトします。

増分移行の実行時に、include_fileexclude_fileの両方のプロパティを指定した場合、include_fileプロパティがexclude_fileプロパティよりも優先され、exclude_fileプロパティは無視されます。

完全移行では、このプロパティは無視されます。

preview_enabled

このプロパティは、評価レポートを作成するかどうかを示します。このプロパティの値がtrueに設定されている場合は、evaluate_onlyプロパティの値に関係なく、評価レポートが生成されます。

preview_enabledプロパティの値がfalseに設定されている場合は、評価レポートは生成されません。

値を何も指定しないと、デフォルト値であるtrueが使用され、評価レポートが生成されます。

preview_level

このプロパティは、アーティファクトの互換性に基づいて評価レポートのデータをフィルタ処理します。このプロパティには、次のいずれかの値を指定できます。

  • COMPATIBLE

  • INCOMPATIBLE

  • ALL

このプロパティの値がCOMPATIBLEに設定されている場合、評価レポートには、Access Manager 11.1.2.2.0で互換性のあるOracle Access Manager 10gのアーティファクトが含まれます。

このプロパティの値がINCOMPATIBLEに設定されている場合、評価レポートには、Access Manager 11.1.2.2.0で互換性のないOracle Access Manager 10gのアーティファクト、Access Manager 11.1.2.2.0で互換性はあるが機能が低下するアーティファクト、およびAccess Manager 11.1.2.2.0で無視されるアーティファクトが含まれます。

このプロパティの値がALLに設定されている場合、評価レポートには、Access Manager 11.1.2.2.0で互換性のあるOracle Access Manager 10gのアーティファクト、Access Manager 11.1.2.2.0で互換性のないアーティファクト、Access Manager 11.1.2.2.0で互換性はあるが機能が低下するアーティファクト、およびAccess Manager 11.1.2.2.0で無視されるアーティファクトが含まれます。

互換性のないアーティファクト、および互換性はあるが機能が低下するアーティファクトの詳細は、表2-6を参照してください。

evaluate_filename

生成する評価レポート・ファイルの絶対パスとファイル名を指定する必要があります。評価レポートのデフォルトのパスはMW_HOME/user_projects/domains/base_domain/MigrationPreviewFile.txt、デフォルトの名前はMigrationPreviewFile.txtです。

evaluate_only

このプロパティは、移行ユーティリティが評価モードで実行されるかどうかを示します。

このプロパティの値がtrueに設定されている場合、評価レポートが生成されるのみで、Oracle Access Manager 10gはAccess Manager 11.1.2.2.0に移行されません。

このプロパティの値がfalseに設定されている場合、評価レポートが生成され、Oracle Access Manager 10gがAccess Manager 11.1.2.2.0に移行されます。

このプロパティに値を何も指定しないと、デフォルト値であるfalseが使用されます。

artifact_queue_limit

このプロパティは、メモリーで処理されるアーティファクトのしきい値の制限を示します。移行プロセスでメモリーが少ないマシンを使用している場合は、このプロパティを指定できます。

移行されるデータの量が多く、かつメモリーが十分である場合は、このプロパティの値をMAXに設定します。

このプロパティのデフォルト値は5000です。移行ユーティリティが評価モードで実行される場合、このプロパティの値は無視されます。

agent_mode_to_override

このプロパティは、すべてのエージェントが移行されるモードを示します。このプロパティには、次のいずれかの値を指定できます。

  • OPEN

    すべてのエージェントをOPENモードで移行する場合は、この値を指定します。

  • SIMPLE

    すべてのエージェントをSIMPLEモードで移行する場合は、この値を指定します。

  • CERT

    すべてのエージェントをCERTモードで移行する場合は、この値を指定します。

  • RETAIN_EXISTING

    エージェントをその既存のモードで移行する場合は、この値を指定します。

デフォルト値はRETAIN_EXISTINGです。



注意:

config_store_passwordプロパティの値は暗号化する必要があります。10g_Installation_Directory/Access/oblix/config/ldap/ConfigDB.xmlファイルから暗号化されたパスワードを取得できます。

policy_store_passwordプロパティの値は暗号化する必要があります。10g_Installation_Directory/Access/oblix/config/ldap/WebResrcDB.xmlファイルから暗号化されたパスワードを取得できます。


2.10 評価レポートの生成

Oracle Access Manager 10gアーティファクトをAccess Manager 11.1.2.2.0に移行する前に、評価レポートを生成する必要があります。

評価レポートは、プロパティ・ファイルで該当するプロパティを設定することにより、移行ユーティリティの実行時に生成されるテキスト・ファイルです。評価レポートは、プロパティ・ファイルのevaluate_filenameプロパティで指定した場所に生成されます。

このレポートには、Oracle Access Manager 10gのすべてのアーティファクトに関する情報と、Access Manager 11.1.2.2.0でのそれらの互換性に関する情報が含まれます。

このレポートには、次の3つのデータ・セクションがあります。

  1. レポートの分析方法に関する注意事項、およびアーティファクトの互換性に関するいくつかの一般的な情報。

  2. Access Manager 11.1.2.2.0で互換性のあるアーティファクト、互換性のないアーティファクト、互換性はあるが機能が低下するアーティファクト、および無視されるアーティファクトの数。

  3. Oracle Access Manager 10gのすべてのアーティファクトに関する詳細情報(表形式)。

表2-5は、Oracle Access Manager 10gのアーティファクトに関する情報が表示される表の列を示しています。

表2-5 評価レポートの内容

列番号 説明

1

ARTIFACT TYPE

この列には、Oracle Access Manager 10g内のアーティファクトのタイプが表示されます。アーティファクトのタイプは次のとおりです。

  • DATA SOURCES

  • AUTHENTICATION SCHEMES

  • RESOURCE TYPES

  • HOST IDs

  • AGENTS

  • POLICY DOMAINS

2

ARTIFACT

この列には、Oracle Access Manager 10gのすべてのアーティファクトの名前が表示されます。

ポリシー・ドメインの名前は、2つの部分に分かれています。最初の部分はポリシー・ドメインの名前を示し、2番目の部分はポリシー・ドメインのコンテンツを示します。

3

DETAILS

この列には、各アーティファクトに関する情報が表示されます。

  • アーティファクト・タイプDATA SOURCESでは、名前、ホストおよびポートがここに示されます。

  • アーティファクト・タイプAUTHENTICATION SCHEMESでは、各アーティファクトの説明が表示されます。

  • アーティファクト・タイプRESOURCE TYPESでは、アーティファクトの詳細が表示されます(ある場合)。

  • アーティファクト・タイプHOST IDsでは、各アーティファクトのホストとポートが表示されます。

  • アーティファクト・タイプAGENTSでは、アーティファクトのモードが表示されます。

  • アーティファクト・タイプPOLICY DOMAINSでは、ポリシー・ドメインの名前が表示されます。

4

COMPATIBILITY

この列には、Access Manager 11.1.2.2.0でのアーティファクトの互換性に関する情報(アーティファクトがAccess Manager 11.1.2.2.0と互換性があるかどうか)が表示されます。この列のすべてのアーティファクトの値は、次のいずれかです。

  • COMPATIBLE: これは、アーティファクトがAccess Manager 11.1.2.2.0でサポートされており、移行ユーティリティでは追加のモデリングは何も実行されないことを示します。

  • INCOMPATIBLE: これは、アーティファクトがAccess Manager 11.1.2.2.0でサポートされておらず、移行されないことを示します。

  • COMPATIBLE_WITH_LESS_FEATURES: これは、アーティファクトがAccess Manager 11.1.2.2.0で互換性があるが、機能が低下することを示します。このアーティファクトを11.1.2.2.0にマップするために、移行ユーティリティにより一部のモデリングが実行されます。この互換性モードを持つアーティファクトはすべて移行されます。

  • IGNORE: これは、アーティファクトがAccess Manager 11.1.2.2.0では有用でなく、したがって移行時に無視されることを示します。

5

MESSAGE

この列には、各アーティファクトの移行に関連するメッセージが表示されます。

6

ACTION REQUIRED

この列には、ユーザーによって要求されたアクションが表示されます(ある場合)。



注意:

評価レポートで生成されるデータのレベルは、プロパティ・ファイルのpreview_levelプロパティによって決まります。

Oracle Access Manager 10gのアーティファクトをAccess Manager 11.1.2.2.0に実際に移行する前に、評価レポートを複数回生成できます。


表2-6は、Access Manager 11.1.2.2.0で互換性のないOracle Access Manager 10gのアーティファクトのタイプ、および互換性はあるが機能が低下するアーティファクトのタイプを示しています。

表2-6 評価レポートのサマリー

アーティファクト 説明

INCOMPATIBLE

  • 異種リソース・タイプのURL接頭辞を含むポリシー・ドメインは、Access Manager 11.1.2.2.0環境と互換性がありません。

  • タイプHTTPに対する操作OTHERは、Access Manager 11.1.2.2.0と互換性がなく、移行されません。

  • ポリシー・ドメインに関連付けられた委任管理権限は、移行の対象として見なされません。

  • 255文字を超えるWebGateプロファイル名は移行されません。

  • カスタムの認証プラグインを含む認証スキームは移行されません。

COMPATIBLE_WITH_LESS_FEATURES

  • ポリシー・ドメインでIGNOREと識別されるリソースは、COMPATIBLE_WITH_LESS_FEATURESとしてマークされます。

  • Access Manager 11.1.2.2.0では、問合せ文字列パターン問合せの名前と値のペアのいずれかを指定できます。移行時、ポリシーに問合せ文字列と問合せの名前と値のペアの両方がある場合、問合せ文字列のみが移行されます。

  • DAPなどの外部認証スキームはサポートされていません。

  • ホスト名のバリエーションの形式が正しくない場合、またはポート値が数値でない場合は、ホスト識別子はCOMPATIBLE_WITH_LESS_FEATURESとしてマークされます。

  • ホスト名のバリエーションが他のホスト識別子内に存在する場合、ホスト識別子から削除され、COMPATIBLE_WITH_LESS_FEATURESとしてマークされます。

  • Oracle Access Manager 10gポリシー・ドメインの認可ルールの、時刻「曜日」などのタイミング条件は、Access Manager 11.1.2.2.0に移行されます。「月」「日付」などの、その他の条件は、Access Manager 11.1.2.2.0ではサポートされていないため、移行されません。

  • 255文字を超える名前と1024文字を超える説明を持つアーティファクトは、移行されますが、機能が低下します。移行ユーティリティでは、255文字を超えるアーティファクト名は切り捨てられ、説明の先頭にこの切り捨てられた名前が追加されます。アーティファクトの説明が1024文字を超える場合、超えた文字は、移行時に失われます。


評価レポートを生成するには、次の手順を実行します。

  1. 第2.9項「プロパティ・ファイルの作成」で作成したプロパティ・ファイルを次のように編集します。

    1. migration_modeプロパティの値をCOMPLETEに設定します。

    2. preview_enabledプロパティの値をtrueに設定します。

    3. evaluate_onlyプロパティの値をtrueに設定します。

    4. 評価レポート・ファイルの絶対パスをevaluate_filenameプロパティに設定したことを確認します。

    5. プロパティ・ファイルを保存して閉じます。

  2. 第2.13項「Access Manager 11.1.2.2.0へのOracle Access Manager 10gのアーティファクトの移行」の手順2から手順6を実行します。

    これにより、作成したプロパティ・ファイルのevaluate_filenameプロパティで指定されている場所に評価レポートが作成されます。このレポートは、Microsoft Excelで開くこともできます。評価レポートに含まれるレコードは、プロパティ・ファイルのpreview_levelプロパティで設定された値に基づきます。

    プロパティ・ファイルのevaluate_onlyプロパティがtrueに設定されているため、移行ユーティリティでは、評価レポートのみが生成され、Oracle Access Manager 10gのアーティファクトの移行は実行されません。


    注意:

    移行を開始する前に、評価レポートを分析し、Oracle Access Manager 10g環境に必要な変更を加えることができます。


評価レポートを生成し、Oracle Access Manager 10gのアーティファクトを移行する場合は、evaluate_onlyプロパティの値をfalseに設定し、第2.13項「Access Manager 11.1.2.2.0へのOracle Access Manager 10gのアーティファクトの移行」に記載されている手順を実行します。


注意:

評価レポートを生成すると、移行ユーティリティによって、評価レポートが生成される場所と同じ場所にIncludeFile.txtというテキスト・ファイルも生成されます。このファイルでは、増分移行を実行する際に移行するアーティファクトを指定できます。増分移行でのIncludeFile.txtの使用の詳細は、「増分移行のための追加手順」を参照してください。


2.11 管理サーバーの再起動

次の手順を実行して、Access Manager 11.1.2.2.0でドメインのWebLogic管理サーバーを再起動します。

  1. WebLogic管理サーバーを停止します。

  2. WebLogic管理サーバーを起動します。

管理サーバーの停止の詳細は、付録A「WebLogic管理サーバーの停止」を参照してください。

管理サーバーの起動の詳細は、付録A「WebLogic管理サーバーの起動」を参照してください。

2.12 増分移行のための追加手順

増分移行を実行する場合のみ、次の手順を実行します。

  1. 移行プロセスで作成するプロパティ・ファイル(第2.9項「プロパティ・ファイルの作成」)でmigration_modeプロパティをINCREMENTALに設定します。

  2. 評価レポートを生成すると(「評価レポートの生成」を参照)、評価レポートが生成される場所と同じ場所にIncludeFile.txtという入力ファイルが生成されます。このテキスト・ファイルには、Oracle Access Manager 10gデプロイメントのエージェントおよびアプリケーション・ドメインが格納されています。エージェントとアプリケーション・ドメインは、次の例のようにIncludeFile.txtにリストされます。

    AGENT##ag_one_12752##ag_one_12752##N
    AGENT##temp##temp##N
    APPLICATION_DOMAIN##20120304T01055680323##my_domain##N
    APPLICATION_DOMAIN##20120306T03491413638##Finance##N
    APPLICATION_DOMAIN##20120306T04155393859##HR##N
    APPLICATION_DOMAIN##20120319T0255014722##Domain With Resources Only##N
    APPLICATION_DOMAIN##20120319T03241993733##Domain with Policy##N
    APPLICATION_DOMAIN##20120319T03300047441##Domain with policy and authn rule##N
    APPLICATION_DOMAIN##20120319T03324669347##domain with policy and authz rule##N
    

    増分移行を実行するには、移行するアーティファクト(エージェントとアプリケーション・ドメイン)のリスト、または移行から除外するアーティファクト(エージェントとアプリケーション・ドメイン)のリストを指定する必要があります。そのため、次のいずれかのファイルを作成する必要があります。

    • 包含ファイル: 移行するエージェントおよびアプリケーション・ドメインのリストが格納されたテキスト・ファイルです。移行するエージェントおよびアプリケーション・ドメインをYとしてマークして、自動生成されるIncludeFile.txtincludeファイルとして使用することも、新しいincludeファイルを手動で作成することもできます。ただし、IncludeFile.txtを使用してincludeファイルを作成することをお薦めします。

      IncludeFile.txtを使用してincludeファイルを作成するには、次の手順を実行します。

      a. アクセス可能な任意の場所にIncludeFile.txtをコピーし、必要に応じて、名前をinclude.txtに変更します。

      b. 移行するエージェントおよびアプリケーション・ドメインをYとしてマークします。Yは、アーティファクトが増分移行の対象として選択されることを示します。

      c. プロパティ・ファイル(oam_migration.properties)のinclude_fileプロパティを、includeファイルへの絶対パスに設定します。


      注意:

      手動でincludeファイルを作成する場合は、移行するエージェントおよびアプリケーション・ドメインを、次の例に示されている形式で指定します。

      AGENT##temp##temp##Y

      APPLICATION_DOMAIN##20120304T01055680323##my_domain##Y


    • 除外ファイル: 移行から除外するエージェントおよびアプリケーション・ドメインのリストが格納されたテキスト・ファイルです。移行から除外するエージェントおよびアプリケーション・ドメインをYとしてマークして、自動生成されるIncludeFile.txtexcludeファイルとして使用することも、新しいexcludeファイルを手動で作成することもできます。ただし、IncludeFile.txtを使用してexcludeファイルを作成することをお薦めします。

      IncludeFile.txtを使用してexcludeファイルを作成するには、次の手順を実行します。

      a. アクセス可能な任意の場所にIncludeFile.txtをコピーし、必要に応じて、名前をexclude.txtに変更します。

      b. 移行から除外するエージェントおよびアプリケーション・ドメインをYとしてマークします。Yは、アーティファクトが増分移行の対象として選択されないことを示します。

      c. プロパティ・ファイル(oam_migration.properties)のexclude_fileプロパティを、excludeファイルへの絶対パスに設定します。


      注意:

      手動でexcludeファイルを作成する場合は、増分移行から除外するエージェントおよびアプリケーション・ドメインを、次の例に示されている形式で指定します。

      AGENT##temp##temp##Y

      APPLICATION_DOMAIN##20120304T01055680323##my_domain##Y



注意:

includeファイルとexcludeファイルの両方を作成し、プロパティ・ファイルで両方のファイルのパスを指定した場合、includeファイルが優先され、excludeファイルは無視されます。

プロパティ・ファイルでこれらの入力ファイルを何も指定しないと、移行は中断されます。

増分移行は複数回実行できます。


2.13 Access Manager 11.1.2.2.0へのOracle Access Manager 10gのアーティファクトの移行

Oracle Access Manager 10gをAccess Manager 11.1.2.2.0に移行する前に、(第2.10項「評価レポートの生成」の説明に従って)評価レポートを生成し、Access Manager 11.1.2.2.0で互換性のあるアーティファクトと互換性のないアーティファクトを分析することをお薦めします。


注意:

評価レポートの分析後、Oracle Access Manager 10gをAccess Manager 11.1.2.2.0に移行する場合は、この項の手順1から6を実行します。

増分移行を実行する場合は、プロパティ・ファイルでmigration_modeプロパティがINCREMENTALに設定されていることを確認してください。また、この項で説明する手順を実行する前に、第2.12項「増分移行のための追加手順」に記載されている追加手順を完了していることを確認してください。

完全移行を実行する場合は、プロパティ・ファイルでmigration_modeプロパティがCOMPLETEに設定されていることを確認してください。


完全移行または増分移行を実行するには、次の手順を実行します。

  1. 「プロパティ・ファイルの作成」で作成したプロパティ・ファイルでevaluate_onlyプロパティの値をfalseに設定します。ファイルを保存して閉じます。

  2. 次のコマンドを実行して、WebLogic Scripting Tool (WLST)を起動します。

    UNIXの場合:

    1. コマンド行で次のコマンドを実行し、現在の作業ディレクトリからIAM_HOME/common/binディレクトリに移動します。

      cd IAM_HOME/common/bin

    2. 次のコマンドを実行して、WebLogic Scripting Tool (WLST)を起動します。

      ./wlst.sh

    Windowsの場合:

    1. コマンド行で次のコマンドを実行し、現在の作業ディレクトリからIAM_HOME\common\binディレクトリに移動します。

      cd IAM_HOME\common\bin

    2. 次のコマンドを実行して、WebLogic Scripting Tool (WLST)を起動します。

      wlst.cmd

  3. 次のコマンドを実行して、WLSTをWebLogic Serverインスタンスに接続します。

    connect('wls_admin_username','wls_admin_password','t3://hostname:port');
    

    このコマンドでは、次のように指定します。

    wls_admin_usernameは、WebLogic管理サーバーのユーザー名です。

    wls_admin_passwordは、WebLogic管理サーバーのパスワードです。

    hostnameは、WebLogic管理サーバーが実行されているホストです。

    portは、WebLogic管理サーバーのポートです。

    次に例を示します。

    connect('weblogic','password','t3://localhost:7001');
    
  4. 次のコマンドを実行します。

    domainRuntime();
    
  5. 次のコマンドを実行します。

    setLogLevel(logger="oracle.oam",level="TRACE:32",persist="0",target="AdminServer");
    
  6. 次のコマンドを実行して、Oracle Access Manager 10gのアーティファクトをAccess Manager 11.1.2.2.0に移行します。

    oamMigrate(oamMigrateType="OAM10g",pathMigrationPropertiesFile="absolute_path_of_properties_file");
    

    各項目は次のとおりです。

    absolute_path_of_properties_fileは、「プロパティ・ファイルの作成」で作成したプロパティ・ファイルの絶対パスです。次に例を示します。

    UNIXの場合: oamMigrate(oamMigrateType="OAM10g",pathMigrationPropertiesFile="abc/def/oam_migration.properties"

    Windowsの場合: oamMigrate(oamMigrateType="OAM10g",pathMigrationPropertiesFile="abc\\def\\oam_migration.properties"

移行が完了すると、WLSTコンソールに、移行の結果を示すメッセージが表示されます。ログ・ファイルは次の場所に生成されます。

UNIXの場合: MW_HOME/user_projects/domains/base_domain/servers/AdminServer/logs/Adminserver-diagnostic*.log

Windowsの場合: MW_HOME\user_projects\domains/base_domain\servers\AdminServer\logs/Adminserver-diagnostic*.log

移行プロセスでなんらかのエラーが発生した場合は、ログ・ファイルを参照してください。

2.14 Access Manager 11.1.2.2.0使用時の10g WebGateの集中ログアウトの構成

Access Manager 11.1.2.2.0で10g WebGateを使用する場合、Oracle Access Manager 10gをAccess Manager 11.1.2.2.0に移行した後、Access Manager 11.1.2.2.0サーバーと連携するように10g WebGateの集中ログアウトの設定を構成する必要があります。

10g WebGateの集中ログアウトの構成の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Access Management管理者ガイド』の11g OAMサーバー使用時の10g WebGateの集中ログアウトの構成に関する項を参照してください。


注意:

Access Manager 11.1.2.2.0で10g WebGateを使用しない場合は、この手順をスキップしてください。


2.15 Access Manager 11.1.2.2.0サーバーとWebGateの関連付け

Oracle Access Manager 10gをAccess Manager 11.1.2.2.0に移行した後、移行されたすべてのWebGateをAccess Manager 11.1.2.2.0サーバーに関連付ける必要があります。これを行うには、次の手順を実行します。

  1. Access Manager 11.1.2.2.0サーバー・インスタンスのホスト名とポートの詳細を使用して、Oracle Access Manager 10gアクセス・システム・コンソール上に新しいサーバー・プロファイルを作成します。それには、次の手順を実行します。

    1. Oracle Access Manager 10gアクセス・システム・コンソールにログインします。

    2. 「アクセス・システム構成」タブに移動します。

    3. 左側のナビゲーション・ペインの「アクセス・サーバー構成」をクリックします。

    4. 「追加」をクリックして、新しいサーバー・プロファイルを作成します。

    5. 次の詳細を指定します。

      名前: このサーバーの名前を指定します。

      ホスト名: Access Manager 11.1.2.2.0サーバー・インスタンスが実行されているマシンのホスト名を指定します。

      ポート: Access Manager 11.1.2.2.0サーバー・インスタンスのプロキシ・ポートを指定します。Access Manager 11.1.2.2.0のデフォルトのプロキシ・ポートは5575です。

      トランスポート・セキュリティ: Access Manager 11.1.2.2.0サーバー・インスタンスと同じトランスポート・セキュリティ・モードを指定します。

      他のパラメータについてはデフォルト値のままにします。

    6. 「保存」をクリックします。

  2. 関連付けの後でAccess Manager 11.1.2.2.0サーバーとの接続を確立できないWebGateのプロファイル内のWebGate (AccessGate)のMAX Connectionsパラメータの値を設定します。

    Oracle Access Manager 10gのプライマリ・サーバーがすべて起動している場合、MAX Connectionsの値を、Oracle Access Manager 10gのすべてのプライマリ・サーバーへの接続数の合計と同じ数に設定します。

    WebGateプロファイルの変更に関する詳細は、Oracle Access Managerアクセス管理ガイドリリース10g (10.1.4.3)のアクセス・ゲートの変更に関する項を参照してください。

  3. 既存のOracle Access Manager 10gサーバーを保持することで、各WebGateを1つ以上のプライマリ・サーバーとしてAccess Manager 11.1.2.2.0サーバーに関連付けます。Access Manager 11.1.2.2.0サーバーへの接続数を1以上に設定します。

    非アクティブな再構成期間の後、WebGateは、サーバーの新しいリストで更新されます。

  4. オプション: 各WebGateで、webgate_installation_directory/oblix/lib/ObAccessClient.xmlにあるObAccessClient.xmlファイルが、プライマリ・サーバーのリスト内のAccess Manager 11.1.2.2.0サーバーのホストとポートで更新されることを確認します。これを行うには、ObAccessClient.xmlファイルを開き、プライマリ・サーバーのリストを探します。

  5. 次のタスクのいずれかを実行して、WebGateをAccess Manager 11.1.2.2.0サーバーにポイントします。

    • すべてのOracle Access Manager 10gサーバーを停止します。Oracle Access Manager 10gサーバーへの接続数が多い場合、WebGateがAccess Manager 11.1.2.2.0サーバーとの通信を開始するには数分かかります。WebGateをホストするWebサーバーを再起動すると、WebGateはただちに、Access Manager 11.1.2.2.0サーバーとの通信を開始します。

    • MAX Connectionsパラメータの値を1つ増やして、WebGateがAccess Manager 11.1.2.2.0サーバーとの通信を確立できるようにします。WebGate上でのロードが大きいほど、Access Manager 11.1.2.2.0サーバーへの接続にかかる時間は短くなります。

    WebGateは、Access Manager 11.1.2.2.0サーバーからの新しい構成情報を取得しますが、Access Manager 11.1.2サーバーのプライマリ・サーバーは1つのみです。そのため、WebGateは、Access Manager 11.1.2.2.0サーバーとのみ通信します。こうしておけば、サーバーは1つしかないので、MAX Connectionsの値を減らすことができます。

2.16 移行の確認

移行を確認するには、次の手順を実行します。

  1. 移行が成功すると、WLSTコンソールに「移行が正常に完了しました。」というメッセージが表示されます。

  2. 次のディレクトリに生成されているoam-config.xmlファイルで、アップグレードされたステータス、移行のタイプ、タイムスタンプなどの移行の詳細を確認します。

    UNIXの場合:

    MW_HOME/user_projects/domains/Domain_Name/config/fmwconfig/

    Windowsの場合:

    MW_HOME\user_projects\domains\Domain_Name\config\fmwconfig\

  3. 次のURLを使用してOracle Access Managementコンソールにログインします。

    http://host:port/oamconsole
    

    このURLで、hostはAccess Manager 11.1.2.2.0が実行されているマシン、およびportはポート番号です。

    Oracle Access Manager 10gのアーティファクトがAccess Manager 11.1.2.2.0に移行されたことを確認します。


    注意:

    これで、移行は完了です。Oracle Access Management Access Manager 11.1.2.2.0の管理の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Access Management管理者ガイド』を参照してください。


2.17 トラブルシューティング

この項では、Oracle Access Manager 10gをAccess Manager 11.1.2.2.0に移行するときに発生する可能性のある一般的な問題の解決策について説明します。内容は次のとおりです。

2.17.1 移行データの損失を防ぐためにログ・ファイルのサイズを増やす

ログ・ファイルのサイズが小さすぎると、ログ・ファイルのローテーション時に移行データが失われるおそれがあります。この問題を解決するには、次の手順を実行して、WebLogicコンソールでログ・ファイルのサイズを増やす必要があります。

  1. 次のURLを使用してWebLogic管理コンソールにログインします。

    http://host:port/console
    

    このURLで、hostはWebLogic管理サーバーをホストするマシンのホスト名、およびportは管理サーバーのポート番号です。

  2. 左側のナビゲーション・ペインの「ドメイン構造」で、それぞれのドメイン名の下の「環境」を開きます。

  3. 「サーバー」をクリックします。

  4. 「サーバーのサマリー」ページで、「構成」タブに移動し、管理サーバーの名前(たとえば、「AdminServer(admin」))をクリックします。

  5. 「ロギング」タブに移動し、「一般」タブをクリックします。

  6. 次のフィールドに適切な値を指定します。

    1. ローテーション・ファイル・サイズ: ログ・ファイルのサイズをKB単位で指定します。指定できる最大値は65535 KBです。

    2. 保存するファイル数: 保存する、ローテーションされたログ・ファイルの数を指定します。

  7. 「保存」をクリックします。

2.17.2 WebLogic Serverのヒープ・サイズを増やす

Oracle Access Manager 10gのポリシー・データが(様々なポリシー関連アーティファクトの数という点で)大規模である場合、移行ツールで、処理のために大量のメモリーが必要になる可能性があります。WebLogic管理サーバーのヒープ・サイズが小さい場合は、次の手順を実行して、そのサイズを増やすことができます。

UNIXの場合:

  1. ディレクトリMW_HOME/user_projects/domains/Domain_Name/bin/から、任意のテキスト・エディタでsetDomainEnv.shファイルを開きます。

  2. 次の行を検索します。

    if [ "${USER_MEM_ARGS}" != "" ]
    
  3. 前の手順で特定した行のすぐ前に、次の行を追加します。

    USER_MEM_ARGS="new_heap_size"
    export USER_MEM_ARGS
    

    ここで、new_heap_sizeは、WebLogic管理サーバーの新たなヒープ・サイズ(MB単位)です。

    たとえば、WebLogic管理サーバーのヒープ・サイズを2GBに増やすには、次のように指定します。

    USER_MEM_ARGS="-Xms2048m -Xmx2048m"
    export USER_MEM_ARGS
    

Windowsの場合:

  1. ディレクトリMW_HOME\user_projects\domains\Domain_Name\bin\から、任意のテキスト・エディタでsetDomainEnv.cmdファイルを開きます。

  2. 次の行を検索します。

    if NOT "%USER_MEM_ARGS%"=="" (
    
  3. 前の手順で特定した行のすぐ前に、次の行を追加します。

    set USER_MEM_ARGS="new_heap_size"
    

    ここで、new_heap_sizeは、WebLogic管理サーバーの新たなヒープ・サイズ(MB単位)です。

    たとえば、WebLogic管理サーバーのヒープ・サイズを2GBに増やすには、次のように指定します。

    set USER_MEM_ARGS=-Xms2048m -Xmx2048m
    

2.17.3 Oracle Access Managerの移行時にLDAPページング機能が動作しない場合がある

一部のディレクトリまたは特別な構成では、Oracle Access Manager 10gの移行時にLDAPページング機能が動作しない場合があります。このような場合は、プロパティenable_ldap_paging第2.9項「プロパティ・ファイルの作成」で作成したoam_migration.propertiesファイルに追加し、このプロパティの値をfalseに設定して、LDAPページングを無効化します。

プロパティenable_ldap_pagingfalseに設定すると、移行ツールによってすべてのLDAPエントリが一度に取得されます。データ・サイズが大きい場合にこのプロパティをfalseに取得するときは、Oracle Access Manager管理サーバー・プロセスのヒープ・サイズを増やすことをお薦めします。