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Oracle® Fusion Middleware Oracle Exalytics In-Memory Machineインストレーションおよび管理ガイド for Oracle Solaris
Exalyticsソフトウェア・リリース1 (1.0) for Exalytics T5-8
E57853-01
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7 高可用性を実現するためのOracle Exalyticsのデプロイ

この章では、Exalytics Machineを水平方向にスケールアウトして、スケーラビリティ(高可用性)およびパフォーマンス(ロード・バランシング)を向上させる方法について説明します。第3章では、単一のコンピュータでインストール・スクリプトを使用する方法について説明しています。複数コンピュータ環境(2ノード・クラスタなど)の場合、最初のコンピュータでインストール・スクリプトを使用してから、スクリプトを使用せずに他のコンピュータに手動でソフトウェアをインストールします。この章の手順の実行後に、第4章「Oracle Business Intelligenceソフトウェアのインストール後のタスク」を参照してください。

詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Enterprise Editionシステム管理者ガイド』の高可用性のためのOracle Business Intelligenceのデプロイに関する項を参照してください。

この章の内容は次のとおりです。

7.1 高可用性の要件

高可用性構成の要件は次のとおりです。

7.2 高可用性の構図

図7-1は、Exalytics Machineの高可用性の構図を示しています。一部のシナリオでは、Web層のOracle HTTP Serverを使用することが有益な場合があります。

図7-1 Exalytics Machineの高可用性

図7-1の説明が続きます
「図7-1 Exalytics Machineの高可用性」の説明

7.3 高可用性の構成

この項では、高可用性デプロイメントを構成する手順について説明します。


ヒント:

2番目のノードのインストール処理はほとんどがOracle Universal Installerを使用した手動の手順であるため、RealVNCリモート制御ソフトウェアなどのツールを使用してExalytics Machineに接続します。


7.3.1 手順1: 最初のExalytics Machineの準備

2番目のExalytics Machineにインストールする前に、このマニュアルの第I部「インストール」の説明に従って、最初のExalytics MachineにOracle Exalyticsをインストールします。

7.3.2 手順2: 2番目のExalytics Machineの準備

2番目のExalytics Machineを準備するには:

  1. 第3.2.1項「オペレーティング・システム上のユーザー、グループおよびパスワードの作成」の説明に従って、ユーザーを作成します。

  2. 第3.2.2項「Oracle TimesTenのインベントリの作成」の説明に従って、Oracle TimesTenのインベントリを作成します。

  3. 次のようなディレクトリ構造を作成します。

    • Middlewareホームの場所は、最初のExalytics Machineの論理ディレクトリ名と同じにする必要があります。

      /u01/app/oracle/product/fmw

    • Oracle TimesTenのインストール先のディレクトリは次になります。

      /u01/app/oracle/product/TimesTen

  4. 第3.2.4項「ディレクトリ構造へのOracleファイルのダウンロード」の説明に従って、ファイルをディレクトリ構造にダウンロードします。リポジトリ作成ユーティリティのファイルをダウンロードする必要はありません。

7.3.3 手順3: Oracle WebLogic Serverのインストール

Oracle WebLogic Serverを次のディレクトリにインストールします。このディレクトリは、2番目のExalytics MachineのMiddlewareホームになります。

/u01/app/oracle/product/fmw

Oracle WebLogic Serverを2番目のExalytics Machineにインストールするには:

  1. 次のアクションを実行して、JDKのJAVA_HOME変数およびPATH変数を構成します。

    1. 次のコマンドを実行します:

      # export JAVA_HOME=/usr/jdk/instances/jdk1.6.0

      # export PATH=/usr/jdk/instances/jdk1.6.0/bin:$PATH

    2. 次のコマンドを実行して、JDKが適切に構成されていることを確認します。

      # java -version

      出力は次のようになります。

      bash-4.1$ java -version
      java version "1.6.0_45"
      Java(TM) SE Runtime Environment (build 1.6.0_45-b06)
      Java HotSpot(TM) Server VM (build 20.45-b01, mixed mode)
      bash-4.1$ 
      
  2. 次のリンク先のOracle Software Delivery Cloudからwls1036_generic.jarをダウンロードします。

    http://edelivery.oracle.com/

  3. WebLogic Server zipファイルをダウンロードしたディレクトリに移動します。

  4. 次のコマンドを実行して、Oracle WebLogic Serverをインストールします。

    # java -d64 -jar wls1036_generic.jar

  5. ウィザードでカスタム・オプションを選択して、「Coherence」を選択解除します(このコンポーネントはインストールする必要ありません)。

7.3.4 手順4: Oracle Business Intelligenceのインストール

2番目のExalytics MachineでOracle Business Intelligenceのソフトウェアのみのインストールを実行するには:

  1. 次のコマンドを入力します。

    cd /home/oracle/EXALYTICS_INSTALLERS/bi/bishiphome/disk1
    >./runInstaller
    
  2. 2番目のExalytics Machineに初めてインストールすると、「root」としてログインし、Oracleインベントリを作成するスクリプトを実行するように促されます。指定された場所が/home/oracle/oraInventoryであることを確認します。

  3. ウィザードで、ソフトウェアのみのインストールを実行するオプションを選択できるページまで移動します。

  4. 次のページで、Oracle WebLogic Serverのインストールされているディレクトリが、Oracle Middlewareホームのプロパティに設定されていることを確認します。

    Oracleホーム・ディレクトリは、Oracle_BI1のデフォルトにできます。

  5. インストールが完了するまで、残りのウィザードのページを移動します。

7.3.5 手順5: 既存のBIドメインのスケールアウト

既存のBIドメインは、2番目のExalytics Machineからスケールアウトします。

BIドメインをスケールアウトするには:

  1. 2番目のExalytics Machineにログオンします。

  2. 次のコマンドを入力します。

    cd /u01/app/oracle/product/fmw/Oracle_BI1/bin
    >./config.sh
    
  3. ウィザードのページを移動して、BIシステムのスケールアウトを選択します。

  4. 最初のExalytics Machineの詳細を入力すると、インストール・ディレクトリの場所が自動的に入力されます。

  5. 「構成」を押して処理を初期化できるページまで、残りのウィザードのページを移動します。

config.shスクリプトの実行の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligenceエンタープライズ・デプロイメント・ガイド』の構成アシスタントを使用したBIシステムのスケールアウトに関する項を参照してください。

7.3.6 手順6: Oracle TimesTenのインストールと構成

Oracle TimesTenをインストールおよび構成するには:

  1. 次のコマンドを入力します。

    cd /home/oracle/EXALYTICS_INSTALLERS/tt
    >./setup.sh
    instance name tt1122 [default chosen]
    install client/server and data manager [default chosen]
    specify particular location for install [3]
    enter location [custom location chosen /u01/app/oracle/product/TimesTen]
    create daemon home - [default chosen]
    daemon logs - [default chosen]
    accept default port no - 53396
    restrict access to TT to group oracle? - Yes
    enable PL/SQL - yes [default chosen]
    TNS_ADMIN – not chosen during install.
    port for TT server - 53397
    quickstart and doc - no [default chosen]
    doc without quickstart - yes [default chosen] - location default
    TT replication with clusterware - no - [default chosen]
    
  2. 第4.4項「Oracle TimesTenのデーモン構成スクリプトの実行」の説明に従って、Oracle TimesTenのデーモン構成スクリプトをrootとして実行します。

  3. 第4.7項「Oracle Business IntelligenceからOracle TimesTenへのODBC接続の構成」の説明に従って、最初のExalytics MachineでOracle TimesTenに2つのDSNを作成して、TimesTenインスタンスのいずれかと通信するようにBIサーバーを構成します。

  4. 2番目のExalytics Machineで前と同じ手順を実行してOracle TimesTenのDSNを作成し、2番目のBIサーバーからいずれかのOracle TimesTenインスタンスへの接続を構成します。

  5. 2番目のExalytics Machineで、opmn.xmlファイルの次のvariable要素を編集し、Oracle TimesTenのODBCドライバの場所を指すように更新します。編集するテキストを太字で示します。

    <variable id="LD_LIBRARY_PATH" value="$ORACLE_HOME/common/ODBC/Merant/5.3/lib$:$ORACLE_HOME/bifoundation/server/bin$:$ORACLE_HOME/bifoundation/web/bin$:$ORACLE_HOME/clients/epm/Essbase/EssbaseRTC/bin$:$ORACLE_HOME/bifoundation/odbc/lib$:$ORACLE_INSTANCE$:$ORACLE_HOME/lib:/u01/app/oracle/product/TimesTen/tt1122/lib" append="true"/>
    <variable id="TIMESTEN_DLL" value="/u01/app/oracle/product/TimesTen/tt1122/lib/libttclient.so"/>
    

    opmn.xmlファイルは、次のディレクトリにあります。

    /u01/app/oracle/product/fmw/instances/instance2/config/OPMN

  6. 通知サーバー(OPMN)を停止してから起動します。

    1. OPMNコマンド行ツールを含む次のディレクトリに移動します。

      /u01/app/oracle/product/fmw/instances/instance2/bin

    2. 次のコマンドを実行します:

      ./opmnctl stopall

      OPMNおよびすべてのOracle Business Intelligenceシステム・コンポーネントが停止します。

    3. OPMNコマンド行ツールを含む次のディレクトリに移動します。

      /u01/app/oracle/product/fmw/instances/instance2/bin

    4. 次のコマンドを実行します:

      ./opmnctl startall

      OPMNおよびすべてのOracle Business Intelligenceシステム・コンポーネントを起動します。

      詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Enterprise Editionシステム管理者ガイド』のシステム・コンポーネントを起動、停止、再起動およびステータス表示するためのOPMNコマンド行の使用に関する項を参照してください。

  7. 次のコマンドを入力して、最初のExalytics MachineからOracle TimesTenクライアント/サーバーDSNが使用できることを確認します。

    cd $ORACLE_INSTANCE/bifoundation/OracleBIApplication/coreapplication/setup/
    . ./bi-init.sh (bash shell)
    cd Times-Ten-root-dir/tt1122/bin
    ./ttisqlcs –connstr "uid=oracle;pwd=welcome1;dsn=bim_tt1";
    

    これらのコマンドでは、Oracle TimesTen SQLクライアントを使用して、最初のExalytics Machine上のOracle TimesTenサーバーに接続し、BIサーバーがOracle TimesTenと通信できることを確認します。

  8. 2番目のExalytics Machineから、Oracle TimesTenのクライアント/サーバーDSNに対して前の手順を繰り返します。

7.3.7 手順7: 2番目のExalytics Machineへのシステム・コンポーネントのスケールアウト

Oracle Business IntelligenceとOracle TimesTenとの間の通信を構成するには、Fusion Middleware Controlを使用してスケールアウトし、必要なOracle Business Intelligenceシステム・コンポーネント・サーバーを2番目のExalytics Machineにデプロイする必要があります。このスケールアウトにより、2番目のExalytics Machine上のopmn.xmlファイルにエントリができて、必要に応じてこれを編集できます。

2番目のExalytics Machineにシステム・コンポーネントをスケールアウトするには:

  1. 『Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Enterprise Editionシステム管理者ガイド』の説明に従い、Fusion Middleware Controlを使用して次のシステム・コンポーネントをスケールアウトします。

    • Oracle BIサーバー

    • Oracle BIプレゼンテーション・サービス

    • JavaHost

    また、Oracle BIドメインの単一コンポーネントであるクラスタ・コントローラおよびOracle BI Schedulerを、スタンバイ・コンポーネントとしてスケールアウトする必要があります。

7.3.8 手順8: 永続ストアの共有記憶域の構成

Exalytics Machineの構成処理の一環として、NAS (Network Attached Storage)などの共有ディレクトリの場所に配置する各種永続ストアを構成する必要があります。次の一覧では、それらのストアについて概要を説明し、その構成に関する情報のリンクを示します。

  • Oracle BIサーバーのリポジトリ。Fusion Middleware Controlで共有RPDの公開ディレクトリを指定して、クラスタ内でリポジトリのオンライン変更を伝播します。オンライン変更が発生すると、マスターBIサーバーは、そのローカル・リポジトリをこのディレクトリにコピーします。スレーブBIサーバーが起動したとき、公開ディレクトリのバージョンの方が新しいと、各スレーブ・サーバーは共有ディレクトリのバージョンを各ローカル・ディスクにコピーします。

    詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Enterprise Editionシステム管理者ガイド』のFusion Middleware Controlを使用したリポジトリのアップロードとOracle BIプレゼンテーション・カタログの場所の設定に関する項を参照してください。

  • Oracle BIプレゼンテーション・カタログ。各Oracle BIプレゼンテーション・サービス・インスタンスは、Fusion Middleware Controlで指定されるカタログの場所からカタログをロードします。この場所を共有記憶域に再構成する前に、任意の既存のカタログを共有記憶域にコピーします。

    詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Enterprise Editionシステム管理者ガイド』のFusion Middleware Controlを使用したリポジトリのアップロードとOracle BIプレゼンテーション・カタログの場所の設定に関する項を参照してください。

  • グローバル・キャッシュ。このグローバル・キャッシュは、共有ファイル・システムに配置されており、パージ・イベント、シード・イベント(多くの場合はエージェントによって生成されます)、およびシード・イベントと関連付けられた結果セットを保存します。各BIサーバーは、通常の問合せ用に固有のローカル問合せキャッシュを保持します。このBIサーバーの問合せキャッシュは、ローカル・ノードに存在し続けます。

    詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Enterprise Editionシステム管理者ガイド』のFusion Middleware Controlを使用したグローバル・キャッシュ・パラメータの設定に関する項を参照してください。

7.3.9 手順9: フロントエンド・ロード・バランサの構成

フロントエンド・ロード・バランサを構成します。これは、Oracle WebLogic Serverクラスタ・プラグインにより正しく構成されます。詳細は、『Oracle Fusion Middleware高可用性ガイド』のOracle Business IntelligenceおよびEPMの高可用性の構成に関する項を参照してください。

7.4 高可用性デプロイメントのトラブルシューティング

この項では、高可用性デプロイメントに関する解決策について説明します。

7.4.1 Oracle BIサーバーとOracle TimesTenとの接続に関する問題

最初のノードまたは2番目のノードで、BIサーバーがOracle TimesTenに接続できない状況が発生することがあります。この問題を解決するには、次の内容を確認します。

  • 次のリストの説明に従って、Oracle TimesTenのDSNがodbc.iniファイルおよびopmn.xmlファイルで正しく構成されていることを確認します。

    • 第4.7項「Oracle Business IntelligenceからOracle TimesTenへのODBC接続の構成」の説明のとおり、$ORACLE_INSTANCE/bifoundation/OracleBIApplication/coreapplication/setupディレクトリのodbc.iniファイルにおいて、両方のOracle TimesTenインスタンスに接続するようにDSNが正しく定義されている。

    • $ORACLE_INSTANCE/config/OPMN/opmn/ディレクトリのopmn.xmlファイルで、LD_LIBRARY_PATH変数がOracle TimesTenの共有ライブラリ・フォルダを指すように正しく設定されている。TIMESTEN_DLL変数も、次の例に示すように、正しく定義されている必要があります。

      <variable id="TIMESTEN_DLL" value="u01/app/oracle/product/TimesTen/tt1122/lib/libttclient.so"/>

  • BIサーバーは、Oracle TimesTen ODBCドライバのバージョン3.5を使用して接続する必要があります。

    リポジトリのデプロイ時に、データベース接続プールに対してOracle TimesTenのODBCドライバのバージョン3.5が使用されていることを確認します。このドライバ・バージョンを使用しなければ、BIサーバーはOracle TimesTenに接続できません。

7.4.2 クライアント・インストーラでOracle TimesTenドライバを特定できない

Windowsコンピュータ上でクライアント・インストーラを使用してOracle BI管理ツールをインストールした後に、管理ツールに次のようなエラー・メッセージが表示される場合があります。

Times Tenドライバttclient.dllをロードできません。

このエラー・メッセージは、Oracle TimesTen物理表ソースからメタデータをインポートする際に、Oracle TimesTenのODBCドライバが使用できないことを示しています。この問題を解決するには、次の例に示すように、Oracle TimesTenドライバの場所を明示的に指すようにTIMESTEN_DLL環境変数を設定します。

set TIMESTEN_DLL=C:\TimesTen\tt1122_32\bin\ttclient1122.dll

7.4.3 Oracle BIサーバーがOracle TimesTenインスタンスにフェイルオーバーしない

スケールアウトされたノードの2番目のOracle TimesTenインスタンスにBIサーバーがフェイルオーバーしない場合は、リポジトリの論理表ソース(LTS)によってOracle TimesTenの物理データ・ソースが両方ともマップされていることを確認します。このマッピングにより、論理表ソース・レベルで、Oracle TimesTenの両方のインスタンスにマッピングが存在するようになります。Oracle TimesTenの一方のインスタンスが使用できない場合は、DSNレベルにあるBIサーバーのフェイルオーバー・ロジックによってOracle TimesTenのもう一方のインスタンスへの接続が試みられます。

7.4.4 集計が2番目のインスタンスに存在しない

最初のOracle TimesTenインスタンスで作成された集計を2番目のOracle TimesTenインスタンスで使用できないことがあります。スケールアウト・デプロイメントでは、Oracle TimesTenインスタンス間に自動レプリケーションが存在しないことに注意してください。2つのインスタンスは別個であり、別のコンピュータ上で実行されますが、デプロイされるデータ・ストアは同じです。一方のOracle TimesTenインスタンスで、Oracle BIサマリー・アドバイザまたは集計の永続性ウィザードからSQLスクリプトを使用して集計を作成する場合は、2番目のOracle TimesTenインスタンスでも同じ集計を手動で作成する必要があります。2つのOracle TimesTenインスタンスは、同期が維持されるようにする必要があります。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Enterprise Editionメタデータ・リポジトリ作成者ガイド』の集計の永続性のライフ・サイクルのユース・ケースに関する項を参照してください。