資金ポジションおよび資金予測の概要
Oracle Cash Managementの資金ポジションおよび資金予測は、現金残高および資金ポジションを正確にレポートするためのソリューションです。これを利用することで、管理者は、投資や借入などのキャッシュ・フローの決定を適時に行うことができます。また、様々なソースからの資金予測情報が効果的にレポートされるため、組織の現預金要求を管理するのに役立ちます。
スマート・ビューおよび財務レポートを使用して、レポート要件に合った詳細な資金ポジションおよび資金予測レポートを柔軟に作成できます。Oracle Functional Setup Managerの設定を使用して要件を指定します。
ソースおよびスケジュール済プロセス
Essbaseでは、請求書、入金、支払など、既出の各種ソースを使用できます。スケジュール済プロセスは、次のような複数のアプリケーションからのキャッシュ・フロー・データの抽出およびインポートを効率化するように設計されています。
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Oracle Accounts Payable (AP)
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Oracle Accounts Receivables (AR)
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Oracle Payroll
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Oracle Cash Management外部資金トランザクション
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Cash Management銀行取引明細書
資金ポジションを作成するために、次のESSプログラムが使用されます。
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資金ポジション・データ抽出: このプログラムを使用すると、関連するすべてのソースからデータを効率的に抽出できます。「資金ポジションおよび資金予測オプションの指定」で定義された抽出期間を使用して、履歴データを取得します。プログラムを発行すると、資金ポジションおよび資金予測に関する次の設定ページがロックされます。
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資金ポジションおよび資金予測オプションの指定
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資金ポジションおよび資金予測トランザクション・グループ化の管理
将来のすべてのシステム・トランザクションがキューブに格納されます。
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資金ポジション・データ転送: このプログラムは、抽出が正常に行われた後に自動的に実行されます。Essbaseキューブが保守され、データが各種アプリケーションのトランザクション・データと同期されます。次の場合は、抽出が正常に行われます。
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Essbaseキューブが保守され、データが各種アプリケーションのトランザクション・データと同期されます。
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金額を、キューブに格納されている次の4種類の通貨すべてに換算します。
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トランザクション
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元帳
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銀行口座
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レポート
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資金ポジション・データ削除: このプログラムを使用すると、ディメンションやレポート・オプションを変更して構成する前にキューブを削除できます。次の処理が発生します。
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インタフェース表からデータを削除します。
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資金ポジション・キューブを削除します。
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資金ポジションおよび資金予測に関する「資金ポジションおよび資金予測オプションの指定」および「資金ポジションおよび資金予測トランザクション・グループ化の管理」設定ページをロック解除します。
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換算レートのトラブルシューティング
警告ステータス:
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ValidationErrors.txtログ・ファイルにレポートされた、失敗したトランザクションをレビューします。
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失敗したトランザクションの換算レートを入力するか、修正します。
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資金ポジション抽出ジョブ・プロセスを再発行します。
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「資金ポジション・データ抽出」プロセスおよび「資金ポジション・データ転送」プロセスのステータスをレビューします。
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さらに警告またはエラーについてログ・ファイルをレビューします。
銀行取引明細書
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特定の銀行取引明細書日付または記帳日に対して換算レートが定義されていない場合は、最大1年前まで検索されて、最も近い換算レートが検出されて使用されます。
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銀行口座金額を元帳金額に換算する場合は、対応する銀行口座の銀行口座設定に対して定義されている会計換算レート・タイプ(GL_CUR_EXCHANGE_RATE_TYPE)が使用されます。
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銀行口座金額をレポート金額に換算する場合は、通貨レート・マネージャで定義されているデフォルト換算タイプが使用されます。
システム・トランザクション
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特定のトランザクション日に対して換算レートが定義されていない場合は、最大1年前まで検索されて、最も近い換算レートが検出されます。
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トランザクション金額を銀行口座金額に換算する場合は、使用するトランザクションに対応する銀行口座の銀行換算レート・タイプ(BANK_EXCHANGE_RATE_TYPE)が使用されます。
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トランザクション金額を元帳金額に換算する場合は、トランザクションに対して定義されている換算レートが使用されます。
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トランザクション金額をレポート金額に換算する場合は、通貨レート・マネージャで定義されているデフォルト換算タイプが使用されます。
資金ポジションおよび資金予測ソリューションのコンポーネント
資金ポジションおよび資金予測を作成する際には、次のものを使用します。
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Essbaseキューブ: このコンポーネントには、AP支払、AR入金、Payroll支払などの実際のトランザクション・データ・ソースが格納されます。このマルチディメンショナル・データベース・システムには、実際のシステム・データ、銀行取引明細書およびトランザクションが格納されます。Cash Managementによって提供されるディメンションは、銀行、法的エンティティ、通貨、通貨タイプ、トランザクション・タイプ、トランザクションのソース(銀行取引明細書、AP請求書、AP期限超過請求書、AP支払、AR請求書、AR期限超過請求書、AR入金、給与、外部トランザクション)、トランザクションの突合せステータス、時間、銀行取引明細書明細のフロー・インジケータです。
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スマート・ビューおよびExcel: 生成された資金ポジションおよび資金予測レポートを表示するために使用します。スマート・ビュー内のデータ・セルを選択してドリルダウンすることによって、トランザクションの詳細を表示できます。個々のデータ・セルを指定して、そこからドリルスルーできます。Cash Managementには事前定義済のドリルスルー・レポートが用意されていますが、独自に作成することもできます。
ノート: 資金ポジション・レポートを正常に実行するには、バージョン11.1.2.5.500以降のスマート・ビュー・プラグインを認定ブラウザ(Internet ExplorerまたはFirefox)にインストールしてください。 -
インタフェース表: Essbaseキューブに転送するデータを各種ソースから事前に抽出できるようにするために作成されます。
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ADFユーザー・インタフェース: 「銀行取引明細書」ページには、日中銀行取引明細書と前回日付銀行取引明細書の両方を表示できます。
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ESSジョブ: 各種ソースからのデータをEssbaseキューブにロードできるプログラムが作成されます。AP支払、AR入金およびPayroll支払からの銀行取引明細書やトランザクションなどのソースが対象となります。既存の銀行取引明細書ローダーおよびインポート・プログラムは、前回日付銀行取引明細書と日中銀行取引明細書のロードおよびインポートに対応しています。
Functional Setup Managerの設定
資金ポジションおよび資金予測オプションの指定
Essbaseでのトランザクション・データの抽出期間を定義します。次のようなレポート・オプションを定義することもできます。
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現金残高の通貨
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現金残高の銀行取引明細書から使用する残高コード
資金ポジションおよび資金予測トランザクション・グループ化設定の管理
トランザクション・グループ(トランザクション・キューブ・ディメンション)を作成します。Cash Managementに用意されているコア・ディメンションに加え、トランザクション・キューブに対して構成可能ディメンションを作成することもできます。
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構成可能ディメンションは、構成可能レポートを作成する場合に、スマート・ビューで使用できます。
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デフォルトで使用可能なディメンションには、銀行、法的エンティティ、通貨、通貨タイプ、トランザクション・タイプ、トランザクションのソース(銀行取引明細書、AP請求書、給与、AP支払、AR請求書、AR入金、外部トランザクション)、トランザクションの突合せステータス、時間、銀行取引明細書明細のフロー・インジケータなどがあります。
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構成可能キューブ・ディメンションを設計して、組織の様々なレポート要件を満たします。