プロジェクト・ライフサイクルの様々な管理方法

プロジェクト・マネージャは、「プロジェクト管理」作業領域を使用して、プロジェクト・ライフサイクル全体を管理できます。最初に、作業プランニング用にプロジェクトを作成し、次に、プロジェクト管理者に財務管理用プロジェクトを使用可能にしてもらいます。または、プロジェクト管理者が、「プロジェクト財務管理」作業領域で直接プロジェクトを作成できます。次のいずれかの方法を使用して、財務管理用プロジェクトを作成します。

  • 「プロジェクト管理」作業領域でプロジェクトを作成し、プロジェクト・プランを開発し、オプションで財務タスクを追加し、賦課可能、請求可能などの属性を使用可能にします。その後、財務プランニングの準備が整ったら、プロジェクト管理者は、「プロジェクト財務管理」作業領域の「タスク」パネル・タブから財務管理用プロジェクトを使用可能にすることができます。「プロジェクト管理」作業領域のプロジェクト・マネージャがHCMリソースではないため「プロジェクト財務管理」作業領域にコピーされなかった場合、プロジェクト管理者は、プロジェクトが財務管理に対して使用可能になるときにプロジェクト・マネージャを個別に追加する必要があります。

  • 「プロジェクト財務管理」作業領域でプロジェクトを作成します。次に、プロジェクト管理者が「プロジェクト財務管理」作業領域でプロジェクト・マネージャを直接追加できます。これで、プロジェクト・マネージャは、「プロジェクト財務管理」作業領域でプロジェクト・ライフサイクル全体を管理できます。

財務管理前の作業プランニング

プロジェクト・マネージャは多くの状況で、プランニング、スケジューリング、または提案目的のためにプロジェクトを作成することが必要になる場合があり、これには財務管理は必要とされません。プロジェクト・マネージャは、短時間でプロジェクトを作成し、タスクを追加し、リソースを計画できます。たとえば、商談に関連するプロジェクトがある場合、プロジェクト・マネージャはスケジュールおよび要員配置のニーズを査定する必要があります。プロジェクトは財務管理なしで無期限に続行できますが、プロジェクト管理者がプロジェクトの財務管理を有効にすることもできます。

この図は、初期の作業プランニングからその後のプロジェクトの財務面の管理までのプロジェクト・ライフサイクルを示しています。
最初に「プロジェクト管理」作業領域でプロジェクトを作成し、後でプロジェクト・プランニングの財務面の管理を有効にします。

次のいずれかの方法で、プランニングおよびスケジューリング用にプロジェクトを作成できます。

  • UIの使用: 「プロジェクト・プランの管理」ページ、プロジェクト管理ダッシュボードの「自分のプロジェクト」インフォレット、要件のバックログから、またはOracle Fusion Sourcingから。

  • プロジェクト・プランのファイル・ベース・データ・インポート機能。

  • プロジェクト作業プラン・バージョン2のSOAP Webサービス。

  • プロジェクトRESTサービス。

    ヒント: プロジェクト・テンプレートを使用せずにプロジェクトを作成します。
  • Microsoft Project (デスクトップ)とOracle Fusion Project Managementの統合。

プランニングおよびスケジューリング用にプロジェクトを作成する際、オプションで作業プラン・テンプレートを選択し、財務および非財務タスク、マイルストンおよびリソースの初期セットを提供できます。後でさらに多くのタスクを個別に、または作業プラン・テンプレートから追加できます。「プロジェクト管理」作業領域からプロジェクトを作成すると、次のことを実行できます。

  • プロジェクト作業のスケジュール

  • チーム・メンバーへの作業の割当

  • リソースの要求と割当

  • チーム・メンバーによる進捗の報告

財務管理用プロジェクトの有効化

プロジェクト管理者は、「プロジェクト財務管理」作業領域の「タスク」パネル・タブから「財務管理用プロジェクトを使用可能にする」処理を使用して、財務管理用プロジェクトを使用可能にすることができます。組織、プロジェクト番号およびプロジェクト・テンプレートを指定します。その後、予算および予測の作成、プロジェクト・コストの取得、プロジェクト全体の収益性および財務パフォーマンスのモニタリングなどの処理を実行できます。この方法により、作業およびリソースを管理し、プロジェクト・コストを計算し、請求書を生成できます。プロジェクトが財務管理に対して使用可能になると、アプリケーションによって次の処理が実行されます。

  • 財務プランニング・アクティビティで使用可能な財務タスクの作成。

  • 財務プロジェクト・プランのタスク開始日と終了日の更新。

  • プロジェクト・テンプレートからの法的エンティティのコピー。プロジェクト管理者は、プロジェクトのトランザクションが入力されるまで、いつでも法的エンティティを変更できます。

  • 労務リソースの工数および経費金額の最下位レベルの財務タスクへの計上、最下位レベルの財務タスクごとの集計済リソース・プランニング情報の取得、各リソースとプライマリ・プランニング・リソース・ブレークダウン・ストラクチャのマッピング。

プロジェクト管理者は、チーム・メンバー、プロジェクト分類、KPI、付加フレックスフィールド、予算および予測、資産など、残りの属性を手動で入力できます。

財務タスクの日付の導出

財務プロジェクト・プラン・タスクでは開始日と終了日が必須です。財務タスクの作業プランに開始日と終了日が存在しないときに、財務管理用プロジェクトを使用可能にした場合、アプリケーションは次のようにタスクの日付を導出します。

  • 親タスクに日付が存在する場合、サブタスクは同じ日付を使用します。

  • 親タスクに日付が存在しない場合、サブタスクはプロジェクト日付を使用します。

  • プロジェクトに終了日が存在しない場合、プロジェクトの開始日がタスクの終了日として使用されます。

財務管理と同時の作業プランニング

プロジェクトが承認され、リソースが即時にプロジェクトに対して時間および経費を報告する必要がある場合に、すでに財務管理に対して使用可能なプロジェクトを作成します。プロジェクト・テンプレートを使用したプロジェクト、または別のプロジェクトを作成することで、これを実行できます。新しい作業プランニング・タスクは、財務タスクのサブタスクとして作成します。

作業プラン・テンプレートを使用して、またはプロジェクト・プランをコピーして財務タスクを作成した場合、財務タスクに割り当てられたタスク日付がデフォルトで「プロジェクト・プランの管理」ページに表示されます。ただし、財務タスクが手動で作成された場合、割り当てられた日付はデフォルトで「プロジェクト・プランの管理」ページに表示されません。更新された財務タスク日付を「プロジェクト・プランの管理」ページに表示するには、「財務プロジェクト・プランおよび進捗の更新」プロセスを実行する必要があります。

この図は、作業を計画すると同時に、プロジェクトの財務面を管理できることを示しています。
「プロジェクト財務管理」作業領域で直接、プロジェクトを作成することにより、プロジェクトの財務面を管理します。

または、次のいずれかの方法で、財務タスクを含む財務プロジェクト・プランを作成できます。

  • プロジェクトのファイル・ベース・データ・インポート機能

  • プロジェクト・プランのSOAP Webサービス

  • プロジェクトRESTサービス

  • Microsoft ProjectとOracle Fusion Project Foundationの統合

プロジェクト・マネージャは、「プロジェクト管理」作業領域の「プロジェクト・プランの管理」ページで、非財務タスクを追加し、リソースをプロジェクトおよびタスクに割り当てることができます。

財務プロジェクト・プランおよび進捗の更新

タスクの追加、プロジェクトの要員配置、タスクのスケジュール、進捗の更新を続ける場合、財務プロジェクト・プランも最新情報で更新する必要があります。「プロジェクト管理」作業領域の「プロジェクト・プランの管理」ページの「財務プロジェクト・プランおよび進捗の更新」処理を使用して、更新されたプロジェクト・プランおよび進捗情報を「財務プロジェクト・プランの管理」ページに転送します。進捗を更新するには、ビジネス・フローおよびプロジェクト・ロールに対応する次のいずれかの方法を取ります。

  • プロジェクト・プランの実質完了率を更新し、更新フローで財務進捗を自動的に取得し、公開します。

  • プロジェクト・プランの実質完了率を更新し、更新フローで財務進捗を取得します。次に、「財務プロジェクト・プランの管理」ページの「進捗」タブから別個のステップとして財務進捗を確認し、更新して公開します。

  • 「財務プロジェクト・プランの管理」ページの「進捗」タブからすべての財務進捗処理を実行します。この方法では、財務進捗の更新は完全に別個になります。

アプリケーションは自動的にリソース、工数、タスク日付を最下位レベルの財務タスクに要約します。

ノート: 「プロジェクト管理」作業領域のプロジェクトの「財務プロジェクト・プランの管理」ページにしかアクセスできない場合、「プロジェクト・リソースの管理」ページでそのプロジェクトのプロジェクト・マネージャとして追加してもらう必要があります。すでにアクセス権を持つユーザーに追加してもらうか、またはアプリケーション管理者に依頼して「プロジェクト・ユーザー・プロビジョニングの管理」ページから追加してもらうこともできます(リソースを問い合せて、プロジェクト・マネージャとしてリソースを追加する処理を選択し、プロジェクトを選択します)。
注意: プロジェクト実行管理を使用している場合、「プロジェクト・プランの管理」ページは、プランニングおよびスケジューリングのマスター・プロジェクト・プランになります。「財務プロジェクト・プランの管理」ページで直接、プランニングを行わないでください。財務プロジェクト・プランおよび進捗を更新する処理を選択するたびに、「財務プロジェクト・プランの管理」ページで直接行われたプランニングを含む、財務プロジェクト・プランのすべてのプランニング情報が、「プロジェクト・プランの管理」ページからの最新プランに置き換えられます。

プランニングの最下位レベルの財務タスクへの要約

プロジェクト・マネージャは、要約時に財務プロジェクト・プランにおける対応するリソース割当を作成する、労務および経費リソースを含む詳細なプロジェクト・プランを作成できます。さらに、欠落しているリソースは、計画前に明示的に定義しなくても、集中管理されていないプランニング・リソース・ブレークダウン・ストラクチャ(PRBS)に自動的に追加できます。要約時に、指定個人のジョブおよび組織は、人材管理におけるその個人のプライマリ割当から導出されます。同様に、支出タイプに関連付けられた支出カテゴリは、「支出タイプの管理」設定タスクから導出されます。

要約は次の場合に行われます。

  • 「財務プロジェクト・プランおよび進捗の更新」プロセスの実行。

  • 財務管理用プロジェクトの有効化。
  • プロジェクト・リソースからの予算または予測の生成。

要約では、労務リソースの工数および経費金額の計上、最下位レベルの財務タスクごとの集計済リソース・プランニング情報の取得、各リソースとプライマリ・プランニング・リソース・ブレークダウン・ストラクチャのマッピングを行います。ジョブおよび組織は指定個人でサポートされている属性です。

要約の仕組みを次に示します。
  • PRBSで指定個人または支出タイプが使用されておらず、ジョブや組織、または支出カテゴリが含まれている場合は、次のようになります。
    • PRBSが集中管理されている場合は優先ロジックに従い、要素が存在する場合は要素にマップされます。それ以外の場合は、汎用労務クラスにマップされます。
    • PRBSが集中管理されていない場合は、ジョブや組織、または支出カテゴリを含む要素を作成し、リソースを対応する要素にマップします。
  • PRBSで指定個人、ジョブ、組織、支出カテゴリまたは支出タイプなどのサポートされている属性が使用されている場合は、次のようになります。
    • 正確なリソース組合せが存在する場合は、リソースを対応する要素にマップします。
    • 正確なリソース組合せが存在せず、PRBSが集中管理されている場合は、優先順位ロジックに基づいてリソースを対応する要素にマップします。要素が存在しない場合は、リソースを汎用労務クラスにマップします。
    • 正確なリソース組合せが存在せず、PRBSが集中管理されていない場合は、各要素により要素が作成され、その要素にリソースがマップされます。
  • PRBSで、指定個人やジョブまたは組織のある支出タイプや支出カテゴリなどのサポートされていない属性を使用する場合は、次のようになります。
    • PRBSでの指定個人、ジョブまたは組織の出現が1回の場合、そのリソースは対応する要素にマップされます。それ以外の場合は、汎用労務クラスにマップされます。
HCMで次のジョブ詳細が定義されているとします。

HCMで定義されているジョブ

指定個人 ジョブ
Phil Williams Consultant
Alice Parker Principal Consultant
「支出タイプの管理」タスクを使用して次の支出タイプおよびカテゴリが定義されているとします。

支出タイプおよびカテゴリ

支出タイプ 支出カテゴリ
Rent Rental expenses
Administration Overhead expenses
次の表は、労務および経費リソースに対するリソース・マッピングのシナリオを示しています。

リソース・マッピング・シナリオ

PRBS定義 作業プランで計画されているリソース 要約の結果
リソース書式 プランニング・リソース

ジョブ: 指定個人

支出カテゴリ: 支出タイプ

  • Consultant: Phil Williams
  • Principal Consultant: Alice Parker
  • Rental Expenses: Rent
Phil Williams

Alice Parker

Rent

PRBSの定義により:

  • Alice Parkerが既存のPrincipalConsultant: Alice Parkerリソースに計上されます
  • Phil WilliamsがConsultant: Phil Williamsリソースに計上されます
  • RentがRental Expenses: Rentリソースに計上されます

ジョブ: 指定個人

支出カテゴリ: 支出タイプ

  • Consultant: Phil Williams
  • Overhead Expenses: Administration
Phil Williams

Alice Parker

Administration

PRBSの定義により:

  • Phil WilliamsがConsultant: Phil Williamsリソースに計上されます
  • AdministrationがOverhead Expenses: Administrationリソースに計上されます
Alice ParkerはPRBSで定義されていないため、次のように処理されます
  • PRBSが集中管理されている場合、Alice Parkerは汎用労務リソース区分に計上されます。
  • PRBSが集中管理されていない場合、Alice Parker: Principal Consultant要素が作成されます。

支出タイプ: 指定個人

支出タイプ: ジョブ

支出カテゴリ

  • Overtime: Alice Parker
  • Overtime: Principal Consultant
  • Overtime: Phil Williams
  • Straight Time: Phil Williams
  • Overhead Expenses

Alice Parker

Phil Williams

Administration

PRBSの定義により:
  • AliceがOvertime: Alice Parkerに計上されます
  • Phil Williamsは、PRBSに複数出現するため、汎用労務クラスにマップされます。
  • Administrationは支出タイプとしては存在しないものの、支出カテゴリがPRBSに存在するため、Overhead Expensesに計上されます。

プロジェクト・パフォーマンスの追跡

プロジェクト・マネージャは、プロジェクト管理ダッシュボードを使用して、プロジェクトの作業および財務パフォーマンスの進捗をモニターできます。ダッシュボードで最新情報を確認するには、「スケジュール済プロセス」ページ、「プロジェクト・プランの管理」ページの「処理」パネル・タブまたは「プロジェクト財務管理」作業領域から「プロジェクト・パフォーマンス・データの更新」プロセスを送信します。プロジェクト・マネージャは、管理しているすべてのプロジェクトに対してこのプロセスを実行できます。「健全性」、「原価予算」、「マイルストン」、「アサイメント」、「タイム・カード」および「未請求コスト」インフォレットにより、プロジェクト全体の健全性、進捗、財務ステータスを迅速に確認し、問題を解決するための処理を実行できます。

「プロジェクト・プランの管理」ページからの財務実績工数およびコストの追跡

プロジェクト・マネージャは、「プロジェクト・プランの管理」ページから実績財務工数およびコストを追跡し、それらを計画値と比較できます。有効にできる列は次のとおりです。

  • 財務実績工数

  • 財務プロジェクト通貨での実績総コスト

  • 財務プロジェクト元帳通貨での実績総コスト

「プロジェクト・パフォーマンス・データの更新」プロセスを実行して、これらの列の最新情報を表示します。これらの列は、財務管理が有効になっているプロジェクトでのみ使用できることに留意してください。