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Oracle® Fusion Middleware Oracle ADFアプリケーションの管理
12c (12.1.3)
E57585-02
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1 Oracle ADF管理の概要

この章では、実行可能な管理タスク、およびOracle Application Development Framework (Oracle ADF)用に開発されたアプリケーションのデプロイ、管理、監視および構成に使用できるツールについて説明します。使用するツールには、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Control、Oracle JDeveloper、WebLogic Scripting Tool (WLST)などがあります。

この章の内容は次のとおりです。

1.1 Oracle ADFの概要

Oracle Application Development Framework (Oracle ADF)は、JavaプラットフォームEnterprise Edition (Java EE)標準とオープン・ソース・テクノロジを基盤とし、サービス指向アプリケーションの実装のための完全なフレームワークを提供します。このフレームワークを使用して、様々なプラットフォームにわたるエンタープライズ・ソリューションを提供できます。Web、Webサービス、デスクトップまたはモバイル・インタフェースに対して、データを検索、表示、作成、変更および検証するアプリケーションを構築できます。

Oracle JDeveloperをOracle ADFとともに使用して、設計、テストおよびデプロイというデプロイの全ライフサイクルをサポートする環境でアプリケーションを開発します。ADF開発の詳細は、『Oracle Application Development FrameworkによるFusion Webアプリケーションの開発』を参照してください。

テスト環境でADFアプリケーションを開発およびテストしたら、このドキュメントに記載されているツールを使用して、アプリケーションを本番環境にデプロイできます。実行中のアプリケーションのパフォーマンスの監視が可能です。プロパティや属性の管理および構成も可能です。

1.2 Oracle ADFアーキテクチャ

Oracle ADFは、業界標準のモデル・ビュー・コントローラ・アーキテクチャをサポートし、ビジネス・ロジック、ナビゲーションおよびユーザー・インタフェースの分離を実現します。このMVCアーキテクチャは、次のものを提供します。

  • データの値を表すモデル・レイヤー

  • UIコンポーネントを含むビュー・レイヤー

  • 入力およびナビゲーションを処理するコントローラ・レイヤー

  • ビジネス・ロジックをカプセル化するビジネス・サービス・レイヤー

Fusion Webアプリケーション・テクノロジ・スタックのコンポーネントは次のとおりです。

  • ADFモデル: 宣言的データ・バインディング・メタデータへのアクセス用

  • ADFビジネス・コンポーネント: ビジネス・サービスの構築用

  • ADF Facesリッチ・クライアント: JavaServer Faces (JSF)で構築されるWebアプリケーションのAJAX対応のUIコンポーネント用

  • ADF Controller: 入力処理、ナビゲーションおよび再利用可能なタスク・フロー用

1.2.1 ADFビジネス・コンポーネント

ADFビジネス・コンポーネントは、サービス指向Java EEアプリケーションの実装に使用できるアプリケーション・オブジェクトです。ADFビジネス・コンポーネントを実装すると、クライアントはビジネス・データの問合せ、挿入、更新および削除が可能となります。ビジネス・コンポーネントに、適切に使用するためのビジネス・ルールを適用できます。ADFビジネス・コンポーネントの主要コンポーネントは、エンティティ・オブジェクト、ビュー・オブジェクトおよびアプリケーション・モジュールです。

エンティティ・オブジェクトは、データベース表の行を表します。ここでは、データ操作言語(DML)操作を使用してデータを変更します。エンティティ・オブジェクトは、他のエンティティ・オブジェクトとともに使用され、データベース・スキーマ内の関連を反映します。

ビュー・オブジェクトは、SQL問合せを表します。SQL言語を使用してデータベースへの問合せを行い、結果を取得します。ビュー・オブジェクトを他のエンティティ・オブジェクトにリンクし、マスター/ディテール階層を作成することもできます。

アプリケーション・モジュールは、UIコンポーネントがデータにアクセスできるようにするトランザクション・コンポーネントです。データ・モデルと、特定のタスクを実行するメソッドを表します。

1.2.2 ADFモデル

ADFモデルは、データ・コントロールと呼ばれるサービス抽象化を実装します。データ・コントロールは、メタデータ・インタフェースを使用してビジネス・サービスを抽象化します。このメタデータは、データ・コレクション、プロパティ、メソッドおよびタイプの記述に使用されます。JDeveloperでは、データ・コントロールは「データ・コントロール」パネルに表示されます。属性、コレクションおよびメソッドをドラッグしてページにドロップすると、JDeveloperは自動的にページから関連サービスへのバインディングを作成します。

1.2.3 ADFコントローラ

ADF Controllerは、JSFと連携するナビゲーションおよび状態管理モデルを提供します。特定のタスク・シーケンスをカプセル化する、タスク・フローと呼ばれるナビゲーション・フローを作成できます。

1.2.4 ADF Facesリッチ・クライアント

ADF Facesは、そのままWebアプリケーションの作成に使用できる、100を超える豊富なコンポーネントを提供します。ADF Facesコンポーネントは、ページを完全にレンダリングせずにリクエストをサーバーに送信できるようにする組込みのAJAX機能を提供します。JSFは、サーバー側コントロールを提供し、JavaScriptへの依存を低減します。これらのコンポーネントは、スキニング、国際化およびアクセシビリティのオプションを提供します。

ADF Facesには、表、ツリー、ダイアログ、アコーディオンおよび様々なレイアウト・コンポーネントを含む、大規模なコンポーネント・セットがあります。また、グラフ、チャートおよびゲージを表示する、FlashおよびSVG対応のADFデータ視覚化コンポーネントも含まれています。

1.2.5 ADFデスクトップ統合

ADFデスクトップ統合には、Oracle ADF開発者が、Fusion Webアプリケーションによって提供される機能をネットワークから切断されているときでもExcelなどのデスクトップ・アプリケーションに拡張するためのフレームワークが備わっています。

使い慣れたExcelのユーザー・インタフェースを使用して、エンド・ユーザーは、複雑な計算や大量のデータのアップロードといった情報管理業務を実行できます。

1.3 Oracle ADFアプリケーションの管理

ADFアプリケーションで様々な管理タスクを実行できます。ADFアプリケーションのデプロイには、Enterprise Manager Fusion Middleware Control、WLSTコマンド、ojdeployコマンド、スクリプト、またはWebLogic管理コンソールを使用できます。

アプリケーションがデプロイされたら、Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用してアプリケーション・プロパティを構成できます。プロパティの一部は、ADF MBean内の値を変更するMBeanブラウザを使用して構成することもできます。たとえば、Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用して、URL接続またはWebService接続エンドポイントを変更したり、本番の資格証明をシードできます。

アプリケーションを実行すると、アプリケーション・モジュールのパフォーマンス・データ、アプリケーション・モジュール・プーリングおよびタスク・フローを監視できます。