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Oracle® Fusion Middleware Oracle Fusion Middlewareの管理
12c (12.1.3)
E56229-02
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17 環境のバックアップ

この章では、Oracle Fusion Middlewareの推奨されるバックアップ戦略およびその手順について説明します。

この章の内容は次のとおりです。

17.1 バックアップ戦略の概要

バックアップ戦略によりデータを保護しておくと、後に実データの損失などの重大な障害からのリカバリが可能になります。次の各項目では、バックアップ戦略について説明します。

17.1.1 バックアップのタイプ

Oracle Fusion Middleware環境は、オフラインまたはオンラインでバックアップできます。

  • オフライン・バックアップとは、環境を停止してからファイルをバックアップする必要があることを意味します。オフライン・バックアップを行う場合は、管理サーバーとドメイン内のすべての管理対象サーバーを停止する必要があります。

  • オンライン・バックアップとは、環境を停止せずにファイルをバックアップすることを意味します。バックアップの矛盾を防ぐために、バックアップが完了するまでは、いずれの構成も変更しないでください。WebLogic Serverドメインで変更が行われないようにするには、第2.3.2項で説明しているようにWebLogic Serverの構成をロックします。

Oracle Fusion Middleware環境全体をバックアップすることも、頻繁に変更されるファイルであるランタイム・アーティファクトをバックアップすることもできます。

全体バックアップを実行するには、静的ファイルおよび静的ディレクトリとともに、ランタイム・アーティファクトをバックアップする必要があります。これらについては、第17.1.2項で説明します。

17.1.2 バックアップ・アーティファクト

バックアップ・アーティファクトには、静的ファイルや静的ディレクトリ、およびランタイム・アーティファクトが含まれます。

静的ファイルや静的ディレクトリは、頻繁に変更されるものではありません。これらには、次のものがあります。

  • Oracleホーム(ORACLE_HOME)。Oracleホームは、WebLogic ServerホームやOracle共通ホームなどの製品ホームで構成され、製品バイナリが含まれています。

    また、推奨されてはいませんが、静的ファイルではないOracle WebLogic Serverドメインを格納したuser_projectsディレクトリが含まれる場合もあります。

  • OraInventory

  • LinuxおよびUNIXの場合はoraInst.locファイル。これは、次のディレクトリにあります。

    (Linux and IBM AIX) /etc
    (Other UNIX systems) /var/opt/oracle
    
  • LinuxおよびUNIXの場合はoratabファイル。これは、次のディレクトリにあります。

    /etc
    
  • beahomelistファイル。これは、次の場所にあります。

    (UNIX) user_home/bea/beahomelist
    (Windows) C:\bea\beahomelist
    
  • Windowsの場合は次のレジストリ・キー。

    HKEY_LOCAL_MACHINE\Software\oracle
    

    また、Oracle HTTP Serverなどのシステム・コンポーネント用に、次のWindowsレジストリ・キーをバックアップする必要があります。

    HKEY_LOCAL_MACHINE\System\CurrentControlSet\Services
    

ランタイム・アーティファクトは頻繁に変更されるファイルです。これらのファイルは、全体バックアップの実行時、および定期的にバックアップします。ランタイム・アーティファクトには、次のものがあります。

  • 管理サーバーおよび管理対象サーバーのドメイン・ディレクトリ。

    ほとんどの場合、管理対象サーバーのディレクトリを個別にバックアップする必要はありません。管理サーバーのドメインには管理対象サーバーすべてに関する情報が格納されているためです。

  • .earファイルや.warファイルなど、ドメインの外にあるアプリケーション・アーティファクト。

    管理対象サーバーのディレクトリ構造のアプリケーション・アーティファクトは、管理対象サーバーの起動時に管理サーバーから取得できるため、バックアップする必要はありません。

  • Oracle Fusion Middlewareが使用する、データベース・ベースのメタデータ・リポジトリ。

  • JMSプロバイダやトランザクション・ログなどの永続ストア。

17.1.3 推奨されるバックアップ戦略

この項では、バックアップの実行に際し推奨される戦略について説明します。この戦略に従って、このマニュアルで説明するリカバリ手順を実行することができます。

  • オフラインの全体バックアップの実行: これには、第17.1.2項で説明しているエンティティのバックアップも含まれます。オフラインの全体バックアップは、次の時点で実行します。

    • Oracle Fusion Middlewareのインストール直後

    • Oracle Fusion Middleware環境のパッチ適用またはアップグレードの直前

    • オペレーティング・システムをアップグレードする直前

    • Oracle Fusion Middlewareのアップグレードまたはパッチ適用直後

    全体バックアップの実行の詳細は、第17.3.1項を参照してください。

  • ランタイム・アーティファクトのオンライン・バックアップの実行: これには、第17.1.2項で説明しているランタイム・アーティファクトのバックアップも含まれます。ランタイム・アーティファクトをバックアップすることにより、構成とメタデータを最後にバックアップした時点の一貫性のある状態に環境をリストアすることができます。バックアップの矛盾を防ぐために、バックアップが完了するまでは、いずれの構成も変更しないでください。ランタイム・アーティファクトのオンライン・バックアップは、次の時点で実行します。

    • 管理上の変更が行われた直後および定期的。ランタイム・アーティファクトのバックアップは夜間に行うことをお薦めします。

    • コンポーネントに対して構成の変更を行う前。

    • コンポーネントに対して構成の変更を行った後。

    • 管理対象サーバーまたはクラスタにカスタムのJava EEアプリケーションをデプロイする前。

    • サーバーやクラスタの作成など、デプロイメント・アーキテクチャに対して大きな変更が行われた後。

    ランタイム・アーティファクトのバックアップの実行の詳細は、第17.3.2項を参照してください。

    オンライン・バックアップを実行する場合、バックアップが完了するまでは、いずれの構成も変更しないでください。WebLogic Serverドメインで変更が行われないようにするには、第2.3.2項で説明しているようにWebLogic Serverの構成をロックします。

  • アップグレードやパッチの適用、次のいずれかのファイルの変更など、大きな変更を行った後には、新たな全体バックアップを実行します。

    DOMAIN_HOME/nodemanager/nodemanager.properties
    ORACLE_HOME/wlserver/common/bin/wlsifconfig.sh
    ORACLE_HOME/wlserver/common/bin/setPatchEnv.sh
    ORACLE_HOME/wlserver/common/bin/commEnv.sh
    

    全体バックアップの実行の詳細は、第17.3.1項を参照してください。

  • データベースの全体バックアップまたは増分バックアップの実行: RMANを使用してデータベースをバックアップします。RMANの使用方法および推奨されるデータベースのバックアップ方法については、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

  • Oracle Fusion Middleware環境の記録を作成します。第17.4項を参照してください。

  • バックアップを作成したら、そのアーカイブ・ファイルに一意の名前を付けます。名前に日時を付加することを検討してください。たとえば、Oracleホームのバックアップを2014年6月5日に作成した場合は、そのバックアップに次の名前を付けます。

    oracle_home_backup_06052014.tar
    

図17-1のフロー・チャートは、特定の状況に適したバックアップのタイプを判断する方法の概要を示しています。

図17-1 バックアップのタイプを判断するためのフロー・チャート

図17-1の説明が続きます
「図17-1 バックアップのタイプを判断するためのフロー・チャート」の説明

17.2 データのバックアップに関する制限事項

次の点に注意してください。

17.3 バックアップの実行

次の各項の説明に従って、全体オフライン・バックアップまたはランタイム・アーティファクトのオンラインまたはオフライン・バックアップを実行できます。

17.3.1 全体オフライン・バックアップの実行

全体オフライン・バックアップを行うには、Oracle Fusion Middlewareのファイルが含まれているディレクトリをコピーします。

第16.3項の説明に従って、アーカイブ用のツールを使用して、ソースOracleホームをアーカイブおよび圧縮します。

次の手順を実行します。

  1. Oracleホームのすべてのプロセスをシャットダウンします。たとえば管理対象サーバー、管理サーバー、およびすべてのシステム・コンポーネントをシャットダウンします。

  2. すべてのホストのOracleホーム(ORACLE_HOME)をバックアップします。次に例を示します。

    (UNIX) tar -cf oracle_home_backup_06052014.tar ORACLE_HOME/*
    (Windows) jar cMf oracle_home_backup_06052014.jar ORACLE_HOME\*
    
  3. 管理サーバーのドメインは別にバックアップします。これにより、ドメインのJavaコンポーネントおよびすべてのシステム・コンポーネントがバックアップされます。

    次に例を示します。

    (UNIX) tar -cf domain_home_backup_06052014.tar DOMAIN_HOME/*
    (Windows) jar cMf domain_home_backup_06052014.jar DOMAIN_HOME\*
      
    

    ほとんどの場合、管理対象サーバーのディレクトリを個別にバックアップする必要はありません。管理サーバーのドメインには管理対象サーバーに関する情報が格納されているためです。管理対象サーバーの環境をカスタマイズしている場合は、管理対象サーバーのディレクトリをバックアップします。バックアップが必要なものの詳細は、第16.4項を参照してください。

  4. 管理対象サーバーがドメイン内に見つからない場合は、管理対象サーバーのディレクトリをバックアップします。次に例を示します。

    (UNIX) tar -cf mg1_home_backup_06052014.tar server_name/*
    (Windows) jar cMf mgl_home_backup_06052014.jar server_name\*
    
  5. アプリケーション・ホーム・ディレクトリをバックアップします。次に例を示します。

    (UNIX) tar -cf app_home_backup_06052014.tar Applications_Home/domain_name/*
    (Windows) jar cMf app_home_backup_06052014.jar Applications_Home\domain_name\*
    
  6. OraInventoryディレクトリをバックアップします。次に例を示します。

    tar -cf Inven_home_backup_06052014.tar /scratch/oracle/OraInventory
    
  7. LinuxおよびUNIXの場合は、oraInst.locファイルをバックアップします。これは、次のディレクトリにあります。

    (Linux and IBM AIX) /etc
    (Other UNIX systems) /var/opt/oracle
    
  8. LinuxおよびUNIXの場合は、oratabファイルをバックアップします。これは、次のディレクトリにあります。

    /etc
    
  9. Oracle Recovery Manager (RMAN)を使用して、データベース・リポジトリをバックアップします。詳細な手順は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

  10. Windowsの場合は、第17.3.3項の説明に従って、Windowsレジストリ・エントリをエクスポートします。

  11. 「構成の解放」をWebLogic Server管理コンソールでクリックして、WebLogic Server構成のロックを解除します。

  12. Oracle Fusion Middleware環境の記録を作成します。第17.4項を参照してください。

17.3.2 ランタイム・アーティファクトのオンライン・バックアップの実行

ランタイム・アーティファクト(第17.1.2項を参照)のバックアップは、定期的に、また第17.1.3項で説明している時点で実行する必要があります。

ランタイム・アーティファクトをバックアップする手順は次のとおりです。

  1. バックアップの矛盾を防ぐために、バックアップが完了するまでは、いずれの構成も変更しないでください。WebLogic Serverドメインで変更が行われないようにするには、第2.3.2項で説明しているようにWebLogic Serverの構成をロックします。

  2. 管理サーバーのドメイン・ディレクトリをバックアップします。次に例を示します。

    UNIX) tar -cf domain_home_backup_06052014.tar DOMAIN_HOME/*
    (Windows) xcopy c:\DOMAIN_HOME e:\domain_home_backup_06052014 /s /e /i /h
    
  3. アプリケーション・ホーム・ディレクトリをバックアップします。次に例を示します。

    (UNIX) tar -cf app_home_backup_06052014.tar DOMAIN_HOME/*
    (Windows) jar cMf app_home_backup_06052014.jar C:\oracle\applications\domain_name\*
    
  4. Oracle Recovery Manager (RMAN)を使用して、データベース・リポジトリをバックアップします。詳細な手順は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

  5. 「構成の解放」をWebLogic Server管理コンソールでクリックして、Oracle WebLogic Server構成のロックを解除します。

  6. Oracle Fusion Middleware環境の記録を作成します。第17.4項を参照してください。

17.3.3 Windowsレジストリ・エントリのバックアップ

Windowsの場合、Oracle Fusion Middlewareに関連するWindowsレジストリ・キーをバックアップする必要があります。バックアップするキーは、インストールされているコンポーネントによって異なります。

キーをエクスポートするには、次のコマンドを使用します。

regedit /E  FileName Key

次のエントリをエクスポートします。

  • すべてのコンポーネント向けに、次のレジストリ・キーをエクスポートします。

    HKEY_LOCAL_MACHINE\Software\Oracle
    
  • Oracle HTTP Serverなどのシステム・コンポーネントの場合は、次のレジストリ・キー内のOracleで始まる各ノードをエクスポートします。

    HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services
    HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\ControlSet001\Services
    HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\ControlSet002\Services
    

    次に例を示します。

    regedit /E C:\oracleSMP.reg HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\ControlSet001\Services
    

    各キーには一意のファイル名を使用します。

キーのエクスポートにはレジストリ・エディタを使用することもできます。詳細は、レジストリ・エディタのヘルプを参照してください。

17.4 Oracle Fusion Middleware構成の記録の作成

Oracle Fusion Middleware環境のリストアおよびリカバリが必要な場合は、必要なすべての情報を入手し、対処することが重要です。これは、特にOracle Fusion Middleware環境全体(またはその一部)を新しいディスクまたはホストに再構成する必要があるような、ハードウェアの損失が発生した場合に当てはまります。

この項で説明されている情報を含む、Oracle Fusion Middleware環境の最新記録を維持管理する必要があります。この情報は、印刷物と電子形式の両方で保管してください。電子形式のデータは、Oracle Fusion Middleware環境とはまったく別のホストまたは電子メール・システム上に格納する必要があります。

Oracle Fusion Middlewareのハードウェアおよびソフトウェア構成の記録には、次のものが含まれます。