この章では、Oracle Fusion Middleware環境を選択、インストール、構成するために役立つ情報を示します。
この項の内容は次のとおりです。
この項では、アプリケーション開発者向けに、Oracle Fusion Middleware環境のインストールおよび保守に役立つ情報を示します。
この項には次のトピックが含まれます:
Oracle Fusion Middleware 開発環境は、通常、単一のホスト上のインストールです(Microsoft Windowsのデスクトップまたはラップトップ・コンピュータ、あるいはLinuxコンピュータなど)。開発環境は、通常、単一のソフトウェア技術者(アプリケーションを開発し、その後Oracle WebLogic Serverまたはその他、Oracle SOA SuiteなどのOracle Fusion Middleware製品にデプロイする)向けです。
開発環境の要件は、本番環境の要件とは大きく異なります(第2.2項で説明します)。
開発環境では高可用性は必要なく、インストールできるコンポーネントおよび製品数は、通常、ソフトウェア技術者またはその技術者が開発しているアプリケーションに必要な数に制限されます。
通常、開発環境は、EclipseやOracle JDeveloperなどの統合開発環境(IDE)を軸として構成されます。
次の項には、アプリケーション開発者向けにインストールおよび構成できる、Oracle Fusion Middleware開発環境のタイプがまとめてあります。
Oracle Fusion Middlewareのソフトウェア開発者向けに開発環境を設定する最も効率的な方法の1つは、Oracle JDeveloperを単にインストールすることです。
特にOracle JDeveloper Studioは共通の統合開発環境(IDE)であり、これを使用すれば、JavaアプリケーションやOracle Application Development Framework (Oracle ADF)アプリケーションなど、様々なOracle Fusion Middlewareアプリケーションを開発できます。
また、Oracle JDeveloperには統合Oracle WebLogic Serverも用意されており、これをOracle JDeveloper内から実行すれば、開発中のJavaおよびOracle ADFアプリケーションをすばやく容易にテストおよび検証できます。追加のインストールや構成は必要ありません。
詳細は、『Oracle JDeveloperによるアプリケーションの開発』の「JDeveloperについて」を参照してください。
Oracle ADFアプリケーションの開発の詳細は、『Oracle Application Development Frameworkの理解』のOracle ADFの概要に関する項を参照してください。
Oracleでは一連のQuick Startの配布を用意しており、それにはOracle JDeveloper、およびOracle SOA SuiteアプリケーションやOracle Business Process Managementアプリケーションの開発に必要な、Oracle JDeveloper IDEの拡張機能が備わっています。
Oracle SOA Suite Quick Start for Developers
Oracle Business Process Management Quick Start for Developers
これらの配布をインストールすれば、Oracle JDeveloperだけでなく、Oracle SOA SuiteアプリケーションやOracle Business Process Managementアプリケーションの開発に必要なソフトウェアがすべてインストールされます。また、組込みの統合Oracle WebLogic Serverには、Oracle JDeveloper内で開発中のアプリケーションのテストや検証を行うために必要な、ライブラリおよびOracle SOA Suiteインフラストラクチャの多くが含まれています。
詳細は、『Oracle Fusion Middleware SOA SuiteおよびBusiness Process Management SuiteのQuick Start for Developersのインストール』のQuick Startの配布の概要に関する項を参照してください。
また、Oracle JDeveloperで使用可能な統合Oracle WebLogic Serverソフトウェアに加えて、Oracle Fusion Middleware開発環境向けの追加のオプションもあります。
詳細は、次の各項を参照してください。
コンパクト・ドメインは、Oracle WebLogic Serverドメインであり、このドメインでは、すべてのソフトウェア・ライブラリ、サポート・テクノロジおよびアプリケーションが管理サーバーにデプロイされます。
コンパクト・ドメインは本番環境ではサポートされませんが、Oracle JDeveloper内の統合Oracle WebLogic Serverに、JDeveloperで特定のカスタム・アプリケーションをテストするために必要なFusion Middleware拡張機能が備わっていないような、特定の開発環境で役立ちます。
たとえば、Oracle SOA Suite Quick Startの配布の統合WebLogic Serverには、アプリケーションのテストに必要な管理対象ファイル転送ランタイム・ソフトウェアが含まれていません。
こうした特定の環境では、必要なソフトウェアをインストールした後、Quick StartのOracleホームのOracle Fusion Middleware構成ウィザードを使用して、開発目的専用のコンパクト・ドメインを構成できます。その結果、JDeveloperで開発中のアプリケーションをテストするために必要なランタイム・ソフトウェアを含んだコンパクト・ドメインが作成されます。
大半のOracle Fusion Middleware製品では別個のデータベースが必要であり、そこに必要なスキーマを作成します。
アプリケーション開発者は、Oracle JDeveloperを使用してそのデータベースに接続し、コンパクト・ドメインに接続し、Oracle JDeveloperからアプリケーションをデプロイできます。
詳細は、『Oracle Fusion Middleware SOA SuiteおよびBusiness Process Management SuiteのQuick Start for Developersのインストール』のコンパクト・ドメインの構成に関する項を参照してください。
リモート・データベースおよびOracle WebLogic ServerドメインへのOracle JDeveloperの接続の詳細は、『Oracle JDeveloperによるアプリケーションの開発』のデータベースへの接続および使用に関する項およびターゲット・アプリケーション・サーバーへの接続の作成方法に関する項を参照してください。
開発者向けの別のオプションは、アプリケーションをリモートのOracle WebLogic ServerまたはOracle Fusion Middlewareドメインにデプロイすることです。
このシナリオでは、Oracle Fusion Middleware製品の配布および製品のインストレーション・ガイドを使用して、単一のホスト上に標準インストール・トポロジをインストールできます。必要に応じて、他のOracle Fusion Middleware製品を追加できます。
大半のOracle Fusion Middleware製品では、別個のデータベースが必要であり、そこに必要なスキーマをインストールします。
アプリケーション開発者は、Oracle JDeveloperを使用してそのデータベースに接続し、コンパクト・ドメインに接続し、Oracle JDeveloperからアプリケーションをデプロイできます。
Oracle Fusion Middleware製品のインストールの詳細は、Oracle Technology Network (OTN)のOracle Fusion Middleware 12c (12.1.3)ドキュメント・ライブラリのインストール、パッチおよびアップグレードのページを参照してください。
リモート・データベースおよびOracle WebLogic ServerドメインへのOracle JDeveloperの接続の詳細は、『Oracle JDeveloperによるアプリケーションの開発』のデータベースへの接続および使用に関する項およびターゲット・アプリケーション・サーバーへの接続の作成方法に関する項を参照してください。
この項では、インストール前から高可用性の構成までの、関連ドキュメントのロードマップを示します。
この項の内容は次のとおりです。
Oracle Fusion Middlewareの本番環境は、本番ですぐに使用できるアプリケーションおよび機能をアプリケーション・ユーザーにデプロイできるよう、Oracle Fusion Middleware製品が構成されているインストールです。
開発環境とは異なり、本番システムでは、通常、より高度なOracle Fusion Middleware機能(Oracle WebLogic Serverクラスタなど)が利用され、複数のホスト・コンピュータにデプロイされます。
詳細は、次の項を参照してください。
本番環境にはサイズと用途に幅があり、本番環境の設定方法は様々です。
たとえば、比較的小規模な組織にアプリケーションをデプロイするには、標準インストール・トポロジから始めることができます。
このトポロジには高可用性や高度なセキュリティ機能は備わっていませんが、通常は、さらに製品や機能を追加し、より大規模なエンタープライズ・デプロイメントにスケール・アウトするための開始点として使用できます。
これに対して、エンタープライズ・デプロイメントは、通常より大規模で複雑でセキュアな高可用性の本番環境であり、多数のリクエスト、多数のユーザーおよびミッション・クリティカルなアプリケーションを処理するよう構成されています。
エンタープライズ・デプロイメントから始めるには、追加のプランニング、およびハードウェアとソフトウェア・リソースの可用性が必要です。
次の各項では、標準インストール・トポロジを使用してすばやく開始し、その後コンポーネントを追加して高可用性環境にスケール・アウトする方法について説明します。
標準インストール・トポロジを使用して開始する場合は、Oracle Fusion Middleware製品の1つを単一のホスト上のクラスタ化環境にインストールできます。そこで、アプリケーションを開発およびデプロイできます。
アプリケーションの機能が拡張していくにつれて、ドメインを拡張してOracle Fusion Middleware製品を追加するか、ハードウェアや仮想マシンを追加することによりドメインをスケール・アウトして、負荷の増加に対処することができます。
このようにOracle Fusion Middleware製品および機能を段階的に拡張することにより、ご使用の環境に特長、機能およびリソースを追加する方法および時期に関して、実際の経験に基づく合理的な判断を下せます。
注意: スケール・アウトまたはスケール・アップ計画を成功させるには、有効な開始点が必要です(たとえば、Oracle Fusion Middleware製品のインストレーション・ガイドに記載されている標準インストール・トポロジなど)。 コンパクト・ドメインは、本番環境へのスケール・アウトの開始点には使用できません。コンパクト・ドメインは、開発専用です。詳細は、『Oracle Fusion Middleware SOA SuiteおよびBusiness Process Management SuiteのQuick Start for Developersのインストール』のドメイン構成の理解に関する項を参照してください。 |
標準インストール・トポロジをインストールするには、Oracle Fusion Middleware製品のインストレーション・ガイドを使用します。
通常、各Oracle Fusion Middlewareの配布には、対応するインストレーション・ガイドがあります。
たとえば、Oracle Application Server Infrastructureをインストールするには、『Oracle Fusion Middleware Oracle Fusion Middleware Infrastructureのインストールと構成』を使用します。Oracle SOA SuiteおよびOracle Business Process Managementをインストールするには、『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA SuiteおよびBusiness Process Managementのインストールと構成』を使用します。
各インストレーション・ガイドには、少なくとも1つの標準インストール・トポロジが指定されており、対応するソフトウェアを、単一のホスト・コンピュータ上の管理対象サーバーのOracle WebLogic Serverクラスタで構成する方法を示す例として使用されます。インストレーション・ガイドには、標準インストール・トポロジをインストールおよび構成する方法が、順を追って記載されています。
途中のヒントには、Oracle Fusion Middlewareドキュメントの別の箇所に記載されている、代替の方法の詳細に関するリンクおよび主要な概念へのリンクが示されています。
また、インストレーション・ガイドには一連の次の手順が示されており、インストールの完了後に確認できます。次の手順には、Oracle HTTP Serverのフロントエンドの追加から、高可用性用のコンピュータを追加するドメインのスケール・アウトまで、情報へのリンクが含まれています。
最後に、多くのインストレーション・ガイドには派生的なトポロジが示されており、組織の必要性に応じて、製品を選択して代替のトポロジを構成する方法が記載されています。
図2-1には、Oracle Fusion Middleware Infrastructureの標準インストール・トポロジを開始点に使用して、本番環境を構築する方法が示されています。
ドキュメントには、この標準インストール・トポロジを採用して、製品および機能を追加することにより、高可用性の標準トポロジを構築する方法が示されています。
注意: 示されているトポロジは、定義済の標準インストール・トポロジ(第3.4項を参照)です。ご使用の環境に追加の機能やコンポーネントが必要な場合は、必要に応じて追加のタスクおよびドキュメントへのリンクが示されています。 また、この図にはFusion Middleware 12cの新機能が反映されており、構成ウィザードを使用して、既存のFusion Middleware InfrastructureドメインにOracle HTTP Serverインスタンスを追加できます。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle HTTP Serverのインストールと構成』を参照してください。 |
表2-1には、小規模で開始してスケール・アウトするためのドキュメント・ロードマップが示されています。
表2-1 小規模で開始して可用性をスケール・アウトするためのドキュメント・ロードマップ
タスク | 参照先 |
---|---|
Oracle Fusion Middleware Infrastructureの標準インストール・トポロジのインストールおよび構成 |
Oracle Fusion Middleware Oracle Fusion Middleware Infrastructureのインストールと構成 |
Oracle HTTP Serverを含めるためのドメインの拡張 |
『Oracle Fusion Middleware Oracle HTTP Serverのインストールと構成』のOracle HTTP Serverのインストールのプランニングに関する項 |
複数ホストへのドメインのスケール・アウトおよびOracle RACデータベースの追加 |
『Oracle Fusion Middleware高可用性ガイド』のトポロジのスケール・アウト(マシンのスケール・アウト)に関する項 |
すでにエンタープライズ・ソフトウェア・ソリューションの要件がわかっており、デプロイすべきOracle Fusion Middlewareソフトウェアがわかっている場合は、ただちに完全なエンタープライズ・デプロイメントのプランニングを開始できます。
この項の内容は次のとおりです。
小規模で開始してスケール・アウトする場合とは異なり、適切な負荷テストを通じてOracle Fusion Middlewareに要求される機能およびリソースがきちんと把握できている場合、完全なエンタープライズ・デプロイメントは適切な選択です。
エンタープライズ・デプロイメントのプランニングでは、作成するトポロジを理解し、必要なハードウェア、ネットワーク、ストレージおよびデータベース・リソースを、デプロイメントの開始前に特定します。これにより、必要なリソースにいっせいに投資し、すべての顧客および企業ユーザーの要求を満たす環境を迅速に構築することができます。
Oracle Fusion Middlewareエンタープライズ・デプロイメント・トポロジを実装するために、Oracleでは、『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suiteエンタープライズ・デプロイメント・ガイド』を用意しています。
『エンタープライズ・デプロイメント・ガイド』には、選択されたOracle Fusion Middleware製品の、セキュアで高可用なプロダクション・クオリティのデプロイメントをインストール、構成および保守するための、包括的な例が記載されています。こうして構築された環境は、エンタープライズ・デプロイメント・トポロジと呼ばれます。
詳細は、『Oracle SOA Suiteエンタープライズ・デプロイメント・ガイド』の「エンタープライズ・デプロイメント・ガイドについて」を参照してください。
Oracleでは、開発環境用と本番環境用に、異なるソフトウェアの配布を用意しています。したがって、Oracle Fusion Middlewareのダウンロード、インストールおよび構成を始める前に、これらの環境の特性を理解することが重要です。
テスト環境は、組織によって様々であり、ソフトウェア開発チームの必要に応じて、開発環境または本番環境のどちらに基づいても構築できます。
たとえば、次のタイプのテスト環境について考えてみます。
機能テスト環境、すなわち軽量なサーバーを使用してアプリケーションのユース・ケースをテストし、機能的な問題を発見するための環境(たとえば、品質保証チームが機能受入れテストを実施する場合など)。
統合テスト環境、すなわちアプリケーション・コンポーネントまたは外部システムと、アプリケーションとの相互作用をテストするための環境。
負荷およびパフォーマンス・テスト環境、すなわちメトリックの予測および導出のために、本番環境の処理能力またはハードウェアに合わせてスケーリングされた環境(たとえば、負荷テスト結果から実行時間やCPU使用率を予測する場合など)。
高可用性テスト環境、すなわちフェイルオーバーおよびロード・バランシングをテストするために使用される環境。この環境は、負荷およびパフォーマンス・テスト環境と併用される場合が多いです。
これらのタイプそれぞれについて、第2.1項に示したように基本的な開発環境から開始するのが最適か、それとも第2.2.2項に示したように単一ホストでクラスタ化された本番環境から開始して必要に応じてスケール・アウトするのが最適か、それとも第2.2.3項に示したエンタープライズ・デプロイメント・モデルに基づいて、実際の本番部門をミラー化した完全なエンタープライズ・デプロイメントを計画する必要があるのかを考慮します。