この項では、Oracle Fusion Middleware 12cリリースにおけるOracle Data Integrator (ODI)の新機能および製品の重要な変更点の概要を示します。
この章では、次の項目について説明します。
Oracle Data Integrator 12c (12.1.3)では、次の機能が強化されています。
ODI FIPS準拠
ODIでは、ナレッジ・モジュール、プロシージャ、シナリオ、アクションおよびパスワードを暗号化するための標準暗号化アルゴリズムとしてAdvanced Encryption Standard (AES)が使用されるようになりました。要件に合せて暗号化アルゴリズムおよびキー長を構成できます。リポジトリ・エクスポートに含められるパスワードおよびその他の機密情報は、暗号化され、パスワードで保護されるようになりました。
詳細は、「Advanced Encryption Standard」を参照してください。
ODI XMLドライバの機能強化
次に示すXMLスキーマのサポート強化が追加されています。
再帰: ODIでは、XMLスキーマ内部の再帰がサポートされるようになりました。
any
、anyType
およびanyAttribute
: これらの型により定義されたデータは、元のドキュメントのXMLマークアップを使用して文字列型の列に格納されます。
使用する表名、列名、型、長さおよび精度をODI XMLドライバに指示するためのメタデータ注釈をXMLスキーマ内部に追加できます。
詳細は、『Oracle Data Integrator接続およびナレッジ・モジュール・ガイド』の「Oracle Data Integrator Driver for XMLの参照情報」を参照してください。
JSONのサポート
ODI複合ファイル・ドライバでは、JSON形式のファイルの読取りと書込みが可能になりました。JSON構造はnXSDスキーマを介して定義されます。
詳細は、『Oracle Data Integrator接続およびナレッジ・モジュール・ガイド』のJSONのサポートに関する項を参照してください。
Hadoop SQOOP統合
ODIでは、Hadoop SQOOPを使用して、次のソースおよびターゲットをロードできるようになりました。
ナレッジ・モジュールIKM File-Hive to SQL (SQOOP)を使用したリレーショナル・データベースからHDFS、HiveおよびHBaseへのロード
ナレッジ・モジュールIKM SQL to Hive-HBase-File (SQOOP)を使用したHDFSおよびHiveからリレーショナル・データベースへのロード
SQOOPを使用すると、Hadoop Map-ReduceプロセスでパラレルJDBC接続を使用したメカニズムのロードとアンロードが可能になります。
詳細は、『Oracle Data Integratorアプリケーション・アダプタ・ガイド』のHadoopに関する項を参照してください。
Hadoop HBase統合
ODIでは、新しいテクノロジおよび次のナレッジ・モジュールを介してHadoop HBaseがサポートされるようになりました。
LKM HBase to Hive (HBase-SerDe)
IKM Hive to HBase Incremental Update (HBase-SerDe)
RKM HBase
詳細は、『Oracle Data Integratorアプリケーション・アダプタ・ガイド』のHadoopに関する項を参照してください。
Hive Appendの最適化
Hiveへの書込みを行うナレッジ・モジュールでは、Hive 0.8+機能がサポートされるようになり、既存のデータを新しい追加済ファイルにコピーせずに、データを既存のデータ・ファイルに追加できるようになりました。
詳細は、『Oracle Data Integratorアプリケーション・アダプタ・ガイド』のHadoopに関する項を参照してください。
ODIエンジンへのマルチスレッドのターゲット表ロード
ODIでは、複数のパラレル接続を使用してターゲット表をロードできるようになりました。この機能は、データ・サーバーの「ターゲットの並列度」プロパティを介して制御します。
詳細は、「データ・サーバーの作成」を参照してください。
シナリオおよびロード計画の同時実行に対する制御の向上
シナリオまたはロード計画の同時実行を制限し、同時実行の待機または実行エラーの発生を強制できるようになりました。
詳細は、『Oracle Data Integratorでの統合プロジェクトの開発』のシナリオおよびロード計画の同時実行の制御に関する項を参照してください。
新規モデルおよびトポロジ・オブジェクトの作成
デザイナ・ナビゲータの「新規モデルとトポロジ・オブジェクト」ダイアログで、新規のモデルを作成し、それを新規または既存のトポロジ・オブジェクトと関連付けることができます(作業リポジトリに接続されている場合)。このダイアログでは、トポロジ・エディタを使用しなくてもトポロジ・オブジェクトを作成できます(より詳細なオプションが必要な場合を除く)。
詳細は、『Oracle Data Integratorでの統合プロジェクトの開発』のモデルおよびトポロジ・オブジェクトの作成に関する項を参照してください。
ドキュメントの変更
以前のOracle Data Integratorの開発者ガイドの記載内容が再編成されました。ODIドキュメント・ライブラリに次の新しいガイドが追加されました。
Oracle Data Integratorの理解
Oracle Data Integratorの管理
Oracle Data Integratorツール・リファレンス
詳細は、『Oracle Data Integratorでの統合プロジェクトの開発』の「Oracle Data Integratorの新機能」を参照してください。
Oracle Data Integrator 12c (12.1.2)では、次の機能が強化されています。
宣言的なフローベースのユーザー・インタフェース
新しい宣言的なフローベースのユーザー・インタフェースは、宣言的アプローチの単純さおよび使いやすさと、構成可能なフローの柔軟性および拡張性をあわせ持っています。マッピング(Oracle Data Integrator 11gの概念であるインタフェースの後継概念)により、結合、フィルタ、集計、設定、分割などのコンポーネントのフロー全体で、ソースがターゲットに関連付けられます。
再使用可能マッピング
再使用可能マッピングを使用して、複数のマッピングで再使用できるフロー・セクションをカプセル化できます。再使用可能マッピングには、包含フローに接続する入力および出力シグネチャを設定でき、再使用可能マッピング内にカプセル化されるソースとターゲットを含めることもできます。
複数ターゲットのサポート
マッピングにより、単一フローの一部として複数のターゲットをロードできます。ターゲットのロード順を指定でき、オプションで分割コンポーネントを使用して行を1つ以上の条件に基づいて異なるターゲットにルーティングできます。
段階的なデバッガ
マッピング、パッケージ、プロシージャおよびシナリオを段階的なデバッガでデバッグできます。これらのオブジェクト内のタスク実行を手動でトラバースし、事前に定義された位置で実行を中断するようにブレークポイントを設定できます。デバッグ・セッション中に変数の値をイントロスペクトおよび変更でき、コミットされていないトランザクションのコンテンツなど、基礎となるソースおよびターゲットのデータを問合せできます。
ランタイム・パフォーマンスの向上
パフォーマンスを向上させるためにランタイム実行が改善されました。セッション実行のオーバーヘッドを削減するために、キャッシュされたセッションの実行計画であるブループリントの導入など、様々な変更が行われました。複数のソースをステージング領域にパラレルにロードすることにより、パフォーマンスが向上します。ロードの並列度は、マップの物理ビューでカスタマイズできます。また、一時データベース・オブジェクトに一意の名前を使用するオプションもあり、同じマッピングのパラレル実行が可能になります。
Oracle GoldenGateの統合の改善
チェンジ・データ・キャプチャ(CDC)フレームワークのソースとしてのOracle GoldenGateの統合が次の領域で改善されました。
Oracle GoldenGateのソースおよびターゲット・システムは、トポロジのデータ・サーバーとして構成されるようになりました。抽出およびレプリケート・プロセスは、物理スキーマと論理スキーマによって表現されます。トポロジにおけるこのような表現により、一般的なコンテキスト方針に従って複数のコンテキストを個別に構成できます。
ほとんどのOracle GoldenGateパラメータを物理スキーマ構成の抽出およびレプリケート・プロセスに追加できるようになりました。UIでは、リストからのパラメータの選択がサポートされます。これにより、Oracle GoldenGateパラメータ・ファイルを生成後に変更する必要性が最小限に抑えられます。
1つのマッピングをターゲットのジャーナル化されたCDCロードとバルク・ロードに使用できるようになりました。これを有効にするには、Oracle GoldenGateレプリケーション・ターゲットではなくソース・モデルを使用したOracle GoldenGate JKMを使用し、デプロイメント仕様の一部としてマッピングでジャーナル化を構成します。複数のデプロイメント仕様をジャーナル化されたロードおよびバルク・ロード用に1つのマッピングで使用できます。
JAgentテクノロジを使用して、Oracle GoldenGateパラメータ・ファイルをソースおよびターゲットのOracle GoldenGateインスタンスに自動的にデプロイし、開始できるようになりました。
WebLogic Management Frameworkを使用したスタンドアロン・エージェント管理
Oracle Data Integratorスタンドアロン・エージェントをWebLogic Management Frameworkから管理できるようになりました。これには、次のような利点があります。
構成ウィザードを使用したUI駆動の構成
複数の構成を個別のドメインで保守可能
ノード・マネージャを使用した、エージェントの管理および自動再起動
OPSSエンタープライズ・ロールとの統合
Oracle Data IntegratorでOracle Platform Security Services (OPSS)を使用してリソースへのアクセスを制御できるようになりました。エンタープライズ・ロールをOracle Data Integratorロールにマッピングして、様々なツールにわたってエンタープライズ・ユーザーに権限を与えることができます。
XMLの改善
次のXMLスキーマ構造がサポートされるようになりました。
リストおよび和集合: リストまたは和集合ベースの要素はVARCHAR列にマッピングされます。
substitutionGroup: 置換グループに基づく要素によって、置換グループのすべてのタイプそれぞれに表が作成されます。
複合コンテンツ: 複合コンテンツを含む要素は、要素のテキストとマークアップ・コンテンツを含むVARCHAR列にマッピングされます。
注釈: XMLスキーマの注釈のコンテンツは、表メタデータに格納されます。
Oracle Warehouse Builderとの統合
Oracle Warehouse Builder (OWB)ジョブは、OdiStartOwbJob
ツールを使用してOracle Data Integratorで実行できるようになりました。OWBリポジトリは、トポロジのデータ・サーバーとして構成されます。OWBジョブ実行のすべての詳細がオペレータ・ツリーにセッションとして表示されます。
一意のリポジトリID
マスター・リポジトリおよび作業リポジトリでは、GUIDの規則に従って一意のIDが使用されるようになりました。これにより、アーティファクトのインポート時の衝突が回避され、組織内の複数のリポジトリを容易に管理および統合できます。