Oracle® Fusion Middleware Oracle Enterprise Repositoryコンセプト・ガイド 12cリリース1 (12.1.3.0) E59444-01 |
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この章では、Oracle Enterprise Repository (OER)の概要、OERの基本的な概念、ユースケースを介した基本的な使用シナリオ、およびOERインストールを開始するための次の手順について説明します。
この章には、次のセクションがあります。
Oracle Enterprise Repository (OER)は、サービスのライフサイクルに対する設計時ガバナンス・サポートを提供し、コンポジット、サービス、ビジネス・プロセスおよびその他のIT関連アセットに対する拡張可能メタデータの格納と管理を可能にします。Oracle Enterprise RepositoryはSOA情報の中心的なソースとして機能し、計画済サービス、既存サービスおよびリタイア済サービスの検出を可能にします。
Oracle Enterprise Repositoryは、アプリケーションの機能拡張や新しいサービス機能の配布を行うサービス・プロデューサ、プロバイダおよびコンシューマに対して重要な情報を提供します。さらに、ポートフォリオ管理者およびビジネス・アーキテクトは、リポジトリを使用して、ビジネス機能について理解し、戦略的計画を支援します。
また、Oracle Enterprise Repositoryには、アセット・アーティファクト・ストアへのロールベース・リンクと、設計ドキュメント、承認ドキュメント、テスト・プラン、サポート・プラン、ポリシーなどへのリンクが用意されています。ライフサイクル・プロセスにおける承認者は証拠書類を参照およびアップロードしてその承認をサポートし、コンシューマは情報を参照してそのサービス選択をサポートできます。自動サービス・ライフサイクル・ガバナンスに役立つOracle Enterprise Repository機能は、次のとおりです。
OERにSOAアセットを自動的に移入し、アーティファクトの更新を自動的に追跡する、アセット・ハーベスタ。
既存アセットの参照と消費を容易にする、Oracle JDeveloperとの直接統合。
再利用、コンプライアンスおよびその他のポートフォリオ管理メトリックに関するレポート。
組織のガバナンス・プロセス・ワークフローに対応する、プロセスが自動化可能なプロセス・エンジン。
ライフサイクル・イベントの選択に関する組込み自動通知、およびアセット・サブスクライバの任意通知。
リポジトリ・イベントを任意のプロセス・サービス・エンドポイントに公開できる、イベント・エンジン。
組織がプログラムによりリポジトリを更新して、記述対象のITおよびビジネス環境との同期を保つことを可能にする、豊富な機能のSOAPベースAPI。
さらに、Oracle Enterprise Manager SOA Management Pack Enterprise Editionは、Oracle Enterprise Repositoryにランタイム・パフォーマンス・メトリックのサマリーを提供します。これらのメトリックは、サービス・プロバイダがポートフォリオ・パフォーマンスを判断したり、サービス・コンシューマがランタイム・パフォーマンスを判断するうえで役立ちます。
また、Oracle Enterprise Repositoryはアセット使用状況を追跡し、組織がアセットの再利用に関するROIを決定するうえで役立つ堅牢なレポートを提供します。Oracle Enterprise Repositoryのインタフェースは、JDeveloperとの統合により開発者の採用を促進します。
この項では、Oracle Enterprise Repositoryの基本的な実装シナリオについて説明します。
OERのインストール後、最初に実行するタスクは、OERを組織のサービスおよびインタフェース用のカタログとして使用できるように構成することです。
最初の手順は、OERインスタンスに含めるアセットのタイプを特定することです。これらのタイプを特定した後、これらのアセット・タイプに関連付けるメタデータを定義する必要があります。次に、アセットを編成するための分類方法を構築し、アセットを連結するための関係を確立します。
サービスのカタログを作成する利点は、次のとおりです。
組織が所有するアセットのタイプを把握できます。
冗長性がないか調べ、その対処策を開始できます。
組織のアセットを管理するためのOracle Enterprise Repositoryの構成の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Enterprise Repository管理者ガイド』のアセット・ライフサイクルの管理に関する項を参照してください。
OERの他の機能を使用する前に、OERに組織のサービスを移入する必要があります。OERには、アセットの取得と更新の自動化に使用されるハーベスタが含まれます。
最初の手順は、アセットの収集元のソースを特定することです。OERがアセットを収集できるソースの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Enterprise Repository管理者ガイド』の自動収集の構成と使用に関する項を参照してください。これらのソースを特定した後、収集ツールを構成する必要があります。最後に、ハーベスタを実行して、選択したソースからのサービスをOERに移入します。
収集されたアセットをリポジトリに移入する利点は、次のとおりです。
拡大するアセット・カタログ内に、より多くのサービスを収集できます。
OERへの移入にかかるコストを低減できます。
特定のソースからの収集方法と収集タイミングを理解できます。
OERに組織のサービスを移入した後は、OERでアセット・ライフサイクルを確立して管理できます。アセット・ライフサイクル・プロセス・フローは、プロセス自動化の基礎となります。
アセット・ライフサイクルを管理すると、これを組織のソフトウェア開発ライフサイクルと一致させることができます。このプロセスの重要な部分は、アセット・ライフサイクルに関連するユーザー・ロールおよび職責を定義または変更することです。
ユーザー・ロールを定義または変更した後、組織はアセットの割当て、編集、承認、サブスクリプションおよび通知を行うためのプロセスを確立できます。
アセット・ライフサイクルを管理する利点は、次のとおりです。
アセット・ライフサイクルをソフトウェア開発ライフサイクルと一致させることができます。
承認プロセスにより、OER内の情報が完全で正しいことが確認されます。
将来のプロセス自動化のための基礎が提供されます。
OERで使用可能なライフサイクル管理タスクの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Enterprise Repository管理者ガイド』のアセット・ライフサイクルの管理に関する項を参照してください。
OERに登録したアセットのライフサイクルを管理した後、ユーザーは、アプリケーションで使用できるようにOER内にカタログ化されているサービスを消費できます。
消費プロセスを管理する利点は、次のとおりです。
サービス消費をソフトウェア開発ライフサイクルに一致させることができます。
自動化によって消費が簡単かつ透過的になります。
サービスの再利用性の向上によって投資利益率が増大します。
開発者がOERコンソールとOracle JDeveloper OERプラグインの両方からアセットを消費する方法の詳細は、『Oracle Enterprise Repository開発者ガイド』を参照してください。
ユーザーがアプリケーション内にOERアセットを消費し始めた後は、変更の影響を管理し理解することが重要です。OERによって、プロジェクトおよびアセット関係の複雑なネットワークが管理されます。
アセットを更新する際には、OER内のアセットに対する影響に対処できるように、ハーベスタの動作を理解する必要があります。
また、組織が必要とするカスタム・アセット関係を特定し、実装することも必要です。サービスおよびその他のサービス・アーティファクトを連結する技術的な関係と、どのプロジェクトでどのサービスが生成および使用されるかを説明する組織的な関係の違いを理解しておく必要があります。
また、組織に適した方法で、サブスクリプションおよび通知を実装することもできます。
変更を管理する利点は、次のとおりです。
変更の影響を理解することによって、リスクを大幅に削減できます。
自動通知によって可視性および通信が向上します。
アセット更新時のハーベスタの動作の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Enterprise Repository管理者ガイド』のアセットのバージョニングの理解に関する項を参照してください。
関係の実装の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Enterprise Repository管理者ガイド』の関係の構成に関する項を参照してください。
サブスクリプションの実装の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Enterprise Repository管理者ガイド』の電子メール通知と配信リストの構成に関する項および『Oracle Fusion Middleware Oracle Enterprise Repository開発者ガイド』のアセット情報のサブスクライブに関する項を参照してください。
ステークホルダーは、プロジェクト・プロセスおよびOER内にカタログ化されているアセットの再利用をドキュメント化したレポートを参照できます。
最初に、BI Publisherをインストールして構成し、OER内のレポートを構成する必要があります。これが完了すると、レポートを実行し、そのデータを解釈できるようになります。レポートの分析が完了したら、各サービスの値を決定するための式を定義できます。
レポートを使用して進捗状況を監視する利点は、次のとおりです。
投資利益率のデモを実行できます。
プログラムの傾向と進捗状況を監視できます。
統一されたサービス値評価によって整合性を実現できます。
OERでのBI Publisherを使用したレポート設定の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Enterprise Repository管理者ガイド』のBI Publisherを使用したレポートの構成に関する項を参照してください。
ステークホルダーは、設計時に使用できるようにOER内にデプロイされたサービスの実行時パフォーマンス・メトリックを参照できます。これらのメトリックは、アプリケーションのサービスの適合性を評価するのに役立ちます。
最初の手順は、メトリックのポストに必要なツールを構成することです。次に、ユーティリティを実行してメトリックを移入します。最後に、メトリックを分析します。
実行時パフォーマンスを監視する利点は、次のとおりです。
メトリックを確認できるために、ステークホルダーはサービスを信頼できます。
自動化によってOERへのメトリックのポストが容易になります。
OERとOracle Enterprise Managerの統合の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Enterprise Repository管理者ガイド』のEnterprise Manager統合ユーティリティに関する項を参照してください。
OERでのメトリックの使用の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Enterprise Repository管理者ガイド』のメトリックの構成に関する項を参照してください。
Oracle Enterprise Repositoryの使用を開始する前に、第2章「Oracle Enterprise Repositoryのスタート・ガイド」を参照してください。