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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverサーバー環境の管理 12.1.3
12c (12.1.3)
E56250-07
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4 ネットワーク・リソースの構成

この章では、WebLogic Server 12.1.3でのネットワーク・チャネルやドメイン全体の管理ポートなどの、WebLogic Serverネットワーク・リソースを構成する方法について説明します。こうした構成可能なネットワーク・リソースを使用すると、アプリケーションをホストするマシンのネットワーク機能を効果的に利用してサービス品質を管理できます。

この章には次の項が含まれます:

ネットワーク構成の概要

多くの開発環境では、管理対象サーバーのリスニング・アドレスとリスニング・ポートを指定するだけで、WebLogic Serverネットワーク・リソースを簡単に構成できます。ただし、ほとんどの本番環境では、管理者がネットワークに対する要求と照らし合わせて限られたネットワーク・リソースのバランスをとる必要があります。アプリケーションの可用性を維持するタスクは、アプリケーションの特定の要件、セキュリティの考慮事項、およびメンテナンス・タスク(予定どおりのものと予定外のものの両方)によって複雑化します。

WebLogic Serverでは、アプリケーションに関連するネットワーク・トラフィックを様々な方法で制御したり、アプリケーションやエンド・ユーザーの多様な要件を満たすように環境を構成したりできます。次のことができます。

  • 異なるタイプのネットワーク・トラフィックごとに、管理対象サーバーで使用するネットワーク・インタフェース・カード(NIC)とポートを指定する

  • 複数のプロトコルとセキュリティ要件をサポートする

  • 接続とメッセージのタイムアウトを指定する

  • メッセージのサイズ制限を課する

これらおよび他の接続特性を指定するには、ネットワーク接続を管理するための主要な構成可能なWebLogic Serverリソースであるネットワーク・チャネルを定義します。ネットワーク・チャネルは、WebLogic Server管理コンソール(「サーバー」>「プロトコル」>「チャネル」)を使用するか、NetworkAccessPointMBeanを使用して構成します。

ネットワーク・チャネルの理解

以降の項では、ネットワーク・チャネル、WebLogic Serverで事前に構成されている標準チャネル、およびチャネル用の一般的なアプリケーションについて説明します。

チャネルとは

ネットワーク・チャネルは、WebLogic Serverに対するネットワーク接続の属性を定義する構成可能なリソースです。たとえば、ネットワーク・チャネルでは以下の項目を定義できます。

  • 接続がサポートするプロトコル

  • リスニング・アドレス

  • セキュア通信および非セキュア通信のリスニング・ポート

  • ログイン・タイムアウト値や最大メッセージ・サイズなどの接続プロパティ

  • 接続でトンネリングをサポートするかどうか

  • 接続は、ドメイン内の他のWebLogic Serverインスタンスとの通信に使用できるか、クライアントとの通信にのみ使用するか

チャネル構成のルール

チャネルを構成するときには、次のガイドラインに従ってください。

  • 特定のチャネルは1つのサーバー・インスタンスのみに割り当てることができる

  • サーバー・インスタンスには複数のチャネルを割り当てることができます。

  • 特定のサーバー・インスタンスに割り当てられた各チャネルは、リスニング・アドレス、リスニング・ポート、およびプロトコルの組み合わせが一意でなければならない

  • カスタム・アイデンティティ・キーストアおよびその他のチャネル固有のSSL属性を構成できます。これらは、管理対象サーバー・インスタンスまたはドメインのデフォルトのキーストアおよびSSL構成の設定とは分離されていて、これらをオーバーライドします。

  • 非SSLチャネルとSSLチャネルを同じサーバー・インスタンスに割り当てる場合は、同じポート番号が使用されないようにする

カスタム・チャネルによるデフォルト・チャネル属性の継承

チャネルをサーバー・インスタンスに割り当てない場合は、WebLogic Serverにより、ServerMBeanまたはSSLMBeanの属性に基づいて自動的に構成されるWebLogic Serverのデフォルト・チャネルが使用されます。オペレーティング・システムにより、ネットワーク・インタフェースが決定されます。デフォルト・チャネルの詳細は、「デフォルト・ネットワーク・チャネル」を参照してください。

ServerMBeanSSLMBeanは、サーバー・インスタンスとそのSSL構成を表します。「サーバー」>「構成」>「一般」ページを使用してサーバー・インスタンスのリスニング・アドレス、リスニング・ポート、およびSSLリスニング・ポートを構成すると、それらの値はサーバー・インスタンスのServerMBeanおよびSSLMBeanに格納されます。

カスタム・チャネル定義で特定の接続属性を指定しない場合、チャネルはServerMBeanの属性で指定されている値を継承します。たとえば、チャネルを作成し、そのリスニング・アドレスを定義しない場合、チャネルはServerMBeanで定義されるリスニング・アドレスを使用します。同様に、管理対象サーバーがチャネルで構成されたリスニング・アドレスまたはリスニング・ポートにバインドできない場合、その管理対象サーバーはServerMBeanまたはSSLMBeanのデフォルト値を使用します。

ネットワーク・チャネルを使用する理由

ネットワーク・チャネルを使用すると、サービス品質の管理、様々な接続要件への適合、システム・リソースやネットワーク・リソースの利用の効率化を行えます。たとえば、ネットワーク・チャネルを使用すると次のことができます。

  • 様々なタイプのネットワーク・トラフィックの分離 - チャネルが送信接続をサポートするかどうかを構成できます。2つのチャネル(送信接続をサポートするチャネルとサポートしないチャネル)をサーバー・インスタンスに割り当てると、クライアント接続とサーバー接続で独立してネットワーク・トラフィックを構成し、クライアント・ネットワーク・トラフィックとサーバー・ネットワーク・トラフィックを別々のリスニング・アドレスまたはリスニング・ポートに物理的に分けることができます。

    送信専用のネットワーク・チャネルは作成できません。チャネルに関連付けられた、対応する受信用インタフェース、ポート、およびプロトコルが常に必要です。ただし、トラフィックをチャネルに直接送信することを避けたり、ファイアウォールを使用してブロックしたりすることは可能です。なお、カスタム・チャネルはプロトコル専用のため、プロトコル(HTTP、HTTPS、t3、t3sなど)ごとに定義されたネットワーク・チャネルが必要になります。「NetworkAccessPointMBean.OutboundEnabled」も参照してください。

    ドメイン全体の管理ポートまたは管理チャネルを構成すると、インスタンスの管理トラフィックとアプリケーション・トラフィックを分離することもできます。詳細は、「管理ポートと管理チャネル」を参照してください。

  • 同じ管理対象サーバーで多様なアプリケーションまたはユーザー要件をサポート - 管理対象サーバーで複数のチャネルを構成して、複数の異なるプロトコルをサポートしたり、セキュアなトラフィックと非セキュアなトラフィックのプロパティを調整できます。

    ネットワーク・チャネルを構成してカスタム・アイデンティティ・キーストアを使用することによって、管理対象サーバーまたはドメイン用に構成されたアイデンティティとは異なる該当のチャネルのアイデンティティをアサートできます。

  • 内部アプリケーションのネットワーク・トラフィックの分離 - 特定のチャネルをEJBに割り当てることができます。

マルチホーム・マシン上のサーバー・インスタンスでネットワーク・チャネルを使用する場合は、ServerMBeanまたはチャネルで、有効なリスニング・アドレスを入力する必要があります。チャネルおよびServerMBeanのリスニング・アドレスが空白な場合、またはlocalhostアドレス(IPアドレス0.0.0.0または127.*.*.*)を指定する場合は、サーバーはネットワーク・チャネルのリスニング・ポートとSSLリスニング・ポートを、マルチホーム・マシンで使用可能なすべてのIPアドレスにバインドします。ServerMBeanのリスニング・アドレスの設定は、「デフォルト・ネットワーク・チャネル」を参照してください。

チャネルの障害の処理

リモート・サーバーとの接続を開始するときに、必要な宛先、プロトコル、およびサービス品質が同じ複数のチャネルが存在する場合、WebLogic Serverは接続が確立されるか、試してみるチャネルがなくなるまでそれぞれを順番に試していきます。

RMIのサービス品質レベルについて

RMIルックアップの場合にだけ、WebLogic Serverは送信接続のサービス・レベルをアップグレードできます。たとえば、RMIルックアップを実行するためにT3接続が必要なときに、既存のチャネルでT3Sしかサポートしていない場合、ルックアップはT3Sチャネルを使用して実行されます。

URL自体にプロトコルが組み込まれているため、このアップグレードの動作はURLを使用するサーバー・リクエストには適用されません。たとえば、サーバーでは、https://のみをサポートするチャネルから、http://で始まるURLリクエストを送信することはできません。

WebLogic Serverの標準チャネル

WebLogic Serverでは、明示的に定義する必要のない定義済みチャネルが提供されます。

  • デフォルト・チャネル - すべての管理対象サーバーにデフォルト・チャネルがあります。

  • 管理チャネル - ドメイン全体の管理ポートを構成すると、WebLogic Serverではドメイン内の管理対象サーバーごとに管理チャネルが構成されます。

デフォルト・ネットワーク・チャネル

すべてのWebLogic Serverドメインには、WebLogic Serverによって自動的に生成されるデフォルト・チャネルがあります。デフォルト・チャネルは、ServerMBeanおよびSSLMBeanで定義されているリスニング・アドレスとリスニング・ポートに基づきます。それは、単一のリスニング・アドレス、HTTP(非セキュア)通信用の1つのポート(デフォルトは7001)、およびHTTPS(セキュア)通信用の1つのポート(デフォルトは7002)を提供します。リスニング・アドレスとリスニング・ポートは、WebLogic Server管理コンソールの「構成」>「一般」ページで構成できます。割り当てた値は、ServerMBeanおよびSSLMBeanの属性に格納されます。

デフォルトの構成は、次の場合に使用できます。

  • 単純なネットワーク要件を備えたテスト環境にインストールしている場合。

  • 1つのNICだけを使用し、デフォルト・ポート番号によって、ドメイン内のネットワーク・トラフィックを分割するのに十分な柔軟性が提供される場合。

デフォルトの構成を使用すると、サード・パーティの管理ツールと新しいインストールとの互換性が確保されます。ネットワーク構成の属性は、この場合もServerMBeanおよびSSLMBeanに格納されているためです。

ドメインにカスタム・ネットワーク・チャネルを定義して使用しても、デフォルト・チャネルの設定はServerMBeanSSLMBeanにそのまま格納され、必要に応じてサーバー・インスタンスに接続を提供するために使用されます。


注意:

指定しない場合、WebLogic Serverはクラスタ通信に非セキュアなデフォルト・チャネルを使用し、クラスタ・メンバー間でセッション情報を送信します。非セキュア・チャネルを無効化した場合、クラスタ・セッション情報の非セキュア通信にはデフォルトで使用可能なチャネルは他にありません。これを解決するには:

管理ポートと管理チャネル

オプションの管理ポートを定義にすることにより、ドメイン内で管理トラフィックとアプリケーション・トラフィックを分離できます。構成された管理ポートは、ドメインの各管理対象サーバーで、ドメインの管理サーバーとの通信用に排他的に使用されます。管理ポートが有効になっている場合、WebLogic Serverはサーバー・インスタンスの起動時にポート設定に基づいて自動的にドメインの管理チャネルを生成します。管理チャネルは、管理トラフィックを処理するためのリスニング・アドレスおよびリスニング・ポートを用意します。

管理ポートの機能

管理ポートを使用すると、以下のことができます。

  • サーバーをスタンバイ状態で起動します。これにより、他のネットワーク接続がクライアント接続を受け入れない状態で管理対象サーバーを管理できます。スタンバイ状態の詳細は、『Oracle WebLogic Serverサーバーの起動と停止の管理』のSTANDBY状態に関する項を参照してください。

  • ドメイン内で、管理トラフィックをアプリケーション・トラフィックから分離します。本番環境では、トラフィックを分離すると、同じネットワーク接続上でクリティカルな管理操作(サーバーの起動と停止、サーバーの構成の変更、およびアプリケーションのデプロイ)が大量のアプリケーション・トラフィックと競争せずに済みます。

  • WLSTを使用して、デッドロック状態のサーバー・インスタンスを管理します。管理ポートを構成しないと、threadDumpshutdownなどの管理コマンドがデッドロック状態のサーバー・インスタンスで機能しません。

管理ポートの制限事項

管理ポートはセキュアなSSLトラフィックのみを受け付け、管理ポート経由の接続はすべて認証を必要とします。管理ポートを有効にすると、ドメインに以下の制約が課せられます。

  • ドメイン内の管理サーバーとすべての管理対象サーバーは、SSLプロトコルをサポートするように構成する必要がある。SSLをサポートしない管理対象サーバーは、起動時に管理サーバーに接続できません - それらを構成するためには、管理ポートを無効にする必要があります。

  • ドメイン内のすべてのサーバー・インスタンスが同時に管理ポートを有効または無効にする必要があるため、管理ポートはドメイン・レベルで構成します。個々の管理対象サーバーの管理ポート番号は変更できますが、管理対象サーバーごとに管理ポートを有効または無効にすることはできません。ポート番号を変更できると、同じリスニング・アドレスを持つサーバー・インスタンスが複数存在する場合に便利です。

  • 管理ポートを有効にした後にドメイン内の管理対象サーバーを起動するには、管理サーバーへのSSL接続を確立する必要があります。この制限は、管理対象サーバーをコマンド行から起動するのか、またはノード・マネージャを使用して起動するのかに関係なく適用されます。SSL接続の確立方法については、「管理ポートで必須のSSL」を参照してください。

  • 管理ポートを有効にした後は、すべてのWebLogic Server管理コンソールのトラフィックについて管理ポートを介した接続が必須になります。

  • ドメイン全体の管理ポートを使用するドメイン内の同一のコンピュータ上で複数のサーバー・インスタンスが実行される場合には、以下のいずれかを行う必要があります。

    • サーバー・インスタンスをマルチホーム・マシンでホストし、各サーバー・インスタンスに一意のリスニング・アドレスを割り当てます。

    • または、マシン上にある、1つを除くすべてのサーバー・インスタンスにドメイン全体のポートをオーバーライドします。ポートをオーバーライドするには、WebLogic Server管理コンソールの「サーバー」>「接続」>SSLポートページの詳細属性の「ローカル管理ポートのオーバーライド」オプションを使用します。

管理ポートで必須のSSL

管理ポートではSSLが必要です。SSLは、WebLogic Serverをインストールするとデフォルトで有効になります。ドメインのいずれかのサーバー・インスタンス(管理サーバーとすべての管理対象サーバーを含む)でSSLが無効になっている場合は、WebLogic Server管理コンソールの「サーバー」>「構成」>「全般」ページを使用して再び有効にする必要があります。

ドメイン内の各サーバー・インスタンスでは、デフォルト・リスニング・ポートまたはデフォルトSSLリスニング・ポートが構成されている必要があります。デフォルト・ポートは、WebLogic Server管理コンソールの「サーバー」>「構成」>「全般」ページで割り当てます。デフォルト・ポートは、構成された管理ポートにサーバーがバインドできない場合に必要となります。追加のデフォルト・ポートが使用できる場合、サーバーは起動を続行します。その後で管理ポートを適切な値に変更できます。

デフォルトでは、WebLogic Serverはデモ用の証明書ファイルを使用するように構成されます。本番用のセキュリティ・コンポーネントを構成するには、『Oracle WebLogic Serverセキュリティの管理』のSSLの構成に関する項の手順に従ってください。

管理ポートの構成

Oracle WebLogic Server管理コンソール・オンライン・ヘルプドメイン全体の管理ポートの有効化に関する項に従って、管理ポートを有効にします。

管理ポートを構成した後は、その新しい管理ポートを使用するために、管理サーバーとすべての管理対象サーバーを再起動する必要があります。

管理ポートを使用するための管理対象サーバーの起動

コマンド行または起動スクリプトで管理対象サーバーを再起動する場合は、URLのポート部分で管理ポートを指定します。URLは、次のように、接頭辞としてhttp://ではなくhttps://を指定する必要があります。

-Dweblogic.management.server=https://host:admin_port

注意:

ノード・マネージャを使用して管理対象サーバーを再起動する場合は、管理対象サーバーの起動設定または引数を修正する必要はありません。ノード・マネージャは、正確なURLを自動的に取得し、それを使用して管理対象サーバーを起動します。

URLのホスト名が管理サーバーの証明書のホスト名と同じでない場合は、次のように、コマンド行または起動スクリプトでホスト名検証を無効にします。

-Dweblogic.security.SSL.ignoreHostnameVerification=true
管理チャネルを使用するための管理対象サーバーの起動

管理対象サーバーが再起動の際に管理チャネルにバインドできるようにするには、次のコマンド行オプションを使用します。

-Dweblogic.admin.ListenAddress=<addr>

これにより、管理対象サーバーは、管理チャネルを使用して起動できるようになります。最初のブート・ストラップ接続後、標準の管理チャネルが使用されます。


注意:

このオプションは、config.xmlのダウンロード前に、確実に適切なNICセマンティクスが使用されるようにするのに役立ちます。

カスタム管理チャネル

標準のWebLogic Server管理チャネルで必要条件が満たされない場合は、管理トラフィック用にカスタム・チャネルを構成できます。たとえば、カスタム管理チャネルを使用すると、管理トラフィックを独立したNICに分けることができます。

管理トラフィック用のカスタム・チャネルを構成するには、「チャネルの構成」の説明に従ってチャネルを構成し、チャネル・プロトコルとして「admin」を選択します。以下の参照先で説明されている構成と使用方法のガイドラインに注意してください。

内部チャネルの使い方

以前のバージョンのWebLogic Serverでは、外部トラフィック用に複数のチャネルを構成することは可能でしたが、サーバー・インスタンス間の内部トラフィックにはデフォルト・チャネルを使用する必要がありました。WebLogic Serverでは、クラスタ間の管理トラフィックや通信を処理するためのネットワーク・チャネルを作成できるようになりました。この機能は、以下の状況において有用です。

  • 内部管理トラフィックを、他のネットワーク・トランザクションとは別にセキュアな接続で発生させる必要がある

  • 他のタイプのネットワーク・トラフィック(たとえばレプリケーション・データ)を、別のネットワーク接続で発生させる必要がある

  • 特定のタイプのネットワーク・トラフィックをモニターする必要がある

チャネルの選択

すべての内部トラフィックは、ネットワーク・チャネルを介して処理されます。管理トラフィックやクラスタリングされたトラフィックを処理するためのカスタム・ネットワーク・チャネルを作成していない場合は、接続に必要なプロトコルに基づいてデフォルト・チャネルが自動的に選択されます。デフォルト・チャネルの詳細は、「デフォルト・ネットワーク・チャネル」を参照してください。

クラスタ内の内部チャネル

クラスタ内には、以下のタイプのサーバー間接続を処理するための内部チャネルを作成できます。

  • マルチキャスト・トラフィック

  • レプリケーション・トラフィック

  • 管理トラフィック

クラスタ内のチャネルの構成については、「クラスタにおけるネットワーク・チャネルの構成」を参照してください。

チャネルの構成

ネットワーク・チャネルは、WebLogic Server管理コンソールの「サーバー」>「プロトコル」>「チャネル」ページを使用するか、NetworkAccessPointMBeanを使用して構成します。

クラスタリングされている管理対象サーバーのチャネルを構成するには、「クラスタにおけるネットワーク・チャネルの構成」を参照してください。

ネットワーク・チャネルに関する主要な事実の要約と、その構成のガイドラインについては、「チャネルの構成のガイドライン」を参照してください。

チャネルの構成のガイドライン

チャネルを構成するときには、次のガイドラインに従ってください。

チャネルとサーバー・インスタンス

  • 特定のサーバー・インスタンスで構成した各チャネルは、リスニング・アドレス、リスニング・ポート、およびプロトコルの組み合わせが一意である必要があります

  • チャネルは1つのサーバー・インスタンスに割り当てることができます。

  • サーバー・インスタンスには複数のチャネルを割り当てることができます。

  • 非SSLチャネルとSSLチャネルを同じサーバー・インスタンスに割り当てる場合は、アドレスとポート番号の同じ組み合わせが使用されないようにする必要があります。

チャネルの動的な構成

  • WebLogic Serverでは、サーバーを再起動せずにネットワーク・チャネルを構成できます。また、動的に構成されたチャネルを、サーバーの実行中に開始したり停止したりできます。ただし、サーバーの実行中にチャネルを停止した場合、進行中のタスクの正常な終了は試行されません。

チャネルとアイデンティティ

  • デフォルトでは、ネットワーク・チャネルを構成するとき、チャネルはサーバー・インスタンス用に設定されているSSL構成を使用します。つまり、チャネルは、サーバー用に確立されるものと同じアイデンティティと信頼を使用します。サーバーは、サーバー・インスタンスおよびドメインの構成方法に応じて、そのサーバー固有のカスタム・アイデンティティを使用する場合とドメイン全体で1つのアイデンティティを使用する場合があります。

  • ネットワーク・チャネルを構成して、そのチャネル固有のカスタム・アイデンティティ・キーストアおよびその他のSSL属性を使用できます。このことによって、サーバー用に構成されたアイデンティティと異なるアイデンティティをそのチャネルで使用できます。この機能を使用して、特定のクライアントと通信するときに異なるアイデンティティに切り替えることができるようにサーバーを構成できます。

    詳細は、『Oracle WebLogic Serverセキュリティの管理』のネットワーク・チャネル固有のアイデンティティ・キーストアの構成に関する項を参照してください。

チャネルとプロトコル

  • 一部のプロトコルではチャネルの特定の機能がサポートされていません。特に、COMプロトコルではSSLまたはトンネリングがサポートされていません。

  • サーバー・インスタンスでサポートする必要のある各プロトコルで、別々のチャネルを定義する必要があります(HTTPを除きます)。

    RMIプロトコルは通常、スタブとクラスをダウンロードするためにHTTPのサポートを必要とするため、チャネルを作成するとHTTPはデフォルトで有効になります。HTTPのサポートは、WebLogic Server管理コンソールの「サーバー」>「プロトコル」>「チャネル」ページの「詳細オプション」部で無効にできます。

予約済みの名前

  • WebLogic Serverは、内部チャネル名.WLDefaultChannelおよび.WLDefaultAdminChannelを使用します。.WL接頭辞はチャネル名用に予約されています。カスタム・チャネルの名前の先頭に.WLを使用しないでください。

チャネル、プロキシ・サーバー、およびファイアウォール

プロキシWebサーバーとクラスタの間のファイアウォールが構成に含まれており(『Oracle WebLogic Serverクラスタの管理』のプロキシ・レイヤーとクラスタの間のファイアウォールに関する項を参照)、クラスタリングされたサーバーが、HTTPSトラフィックとHTTPトラフィックを分離するために2つのカスタム・チャネルで構成されている場合、それらのチャネルでは同じリスニング・アドレスを共有する必要があります。さらに、HTTPトラフィックとHTTPSトラフィックの両方をサポートする必要がある場合は、それぞれに対してカスタム・チャネルが必要となります。どちらかでデフォルト構成を使用することはできません。

それらのチャネルのいずれかで(ファイアウォールの存在から予想されるように)PublicAddressが定義されている場合、両方のチャネルでPublicAddressを定義する必要があり、かつ両方とも同じPublicAddressを定義する必要があります。

クラスタにおけるネットワーク・チャネルの構成

クラスタリングされている管理対象サーバーのチャネルを構成するには、「チャネルの構成のガイドライン」の情報に注意し、以降の項で説明されているガイドラインに従ってください。

クラスタの作成

クラスタがまだ構成されていない場合は、次のことができます。

  • 『Oracle WebLogic Serverクラスタの管理』のクラスタリングされたドメインの作成に関する項に従って、構成ウィザードを使用してクラスタリングされたドメインを新たに作成します。

  • Oracle WebLogic Server管理コンソール・オンライン・ヘルプクラスタの作成と構成に関する項に従って、WebLogic Server管理コンソールを使用して既存のドメインでクラスタを作成します。

WebLogic Serverクラスタの構成の詳細およびガイドラインは、『Oracle WebLogic Serverクラスタの管理』の「開始する前に」を参照してください。

ネットワーク・チャネルの作成および割当て

Oracle WebLogic Server管理コンソール・オンライン・ヘルプネットワーク・チャネルの構成に関する項に従って、クラスタ内の各管理対象サーバーで新しいネットワーク・チャネルを作成します。新しいチャネルを作成する場合は、次のようにします。

  • クラスタで使用するチャネルごとに、クラスタ内の各管理対象サーバーで名前も含めてまったく同じようにチャネルを構成します。

  • 各管理対象サーバーのチャネルで定義したリスニング・ポートとSSLリスニング・ポートが、管理対象サーバーのデフォルト・リスニング・ポートと必ず異なるようにします。カスタム・チャネルで管理対象サーバーのデフォルト・ポートと同じポートが指定される場合は、カスタム・チャネルと管理対象サーバーのデフォルト・チャネルがそれぞれ同じポートにバインドしようとするので、管理対象サーバーを起動できなくなります。

  • クラスタでクラスタ・アドレスが明示的に構成されている場合は、「サーバー」>「プロトコル」>「チャネル」>「構成」ページの「クラスタ・アドレス」フィールドにそのアドレスが表示されます。

    動的なクラスタのアドレス指定を使用している場合は、「クラスタ・アドレス」フィールドが空白になっており、クラスタ・アドレスを指定する必要はありません。クラスタ・アドレスの詳細、およびWebLogic Serverでクラスタ・アドレスを動的に生成する方法については、『Oracle WebLogic Serverクラスタの管理』のクラスタ・アドレスに関する項を参照してください。


    注意:

    動的なクラスタ・アドレッシングを使用する場合は、「サーバー」>「プロトコル」>「チャネル」>「構成」ページでクラスタ・アドレスを指定しないようにしてください。クラスタ・アドレスを明示的に指定すると、その値が優先され、クラスタ・アドレスが動的に生成されなくなります。

レプリケーション・チャネルの構成

レプリケーション・チャネルは、クラスタ間でレプリケーション情報を転送するためのネットワーク・チャネルです。レプリケーション・チャネルが明示的に定義されていない場合、レプリケーション情報はデフォルトのネットワーク・チャネルで転送されます。

WebLogic Serverでデフォルトのネットワーク・チャネルをレプリケーション・チャネルとして使用する場合、SSL暗号化はデフォルトでは使用されません。ClusterMBeansecureReplicationEnabled属性を使用してSSL暗号化を有効にする必要があります。この設定は、WebLogic Server管理コンソールから更新することもできます。

SSL暗号化を有効にすると、設計上、セッション・レプリケーションによってブロックされるため(つまり、レプリケーションが完了するまでレスポンスがクライアントに送信されないため)、クラスタリングされたアプリケーションのスループットに直接影響する可能性があります。レプリケーション・チャネルでSSLを有効にする場合は、この点を考慮に入れるようにしてください。

レプリケーション・チャネルが明示的に定義されている場合は、そのチャネルのプロトコルを使用してレプリケーション・トラフィックが転送されます。

多数チャネルの使用時におけるパケット・サイズの増大

1つのクラスタ内でおよそ20以上のチャネルを使用すると、ヘッダーのマルチキャスト送信がデフォルトの最大パケット・サイズを超過することがあります。config.xmlServer要素に含まれるMTUSize属性では、関連するネットワーク・カードを使用して、送信されるパケットの最大サイズを1500に設定しています。MTUSizeの値を超えるパケットを送信すると、java.lang.NegativeArraySizeExceptionが送出されます。パケットのサイズがMTUSizeを超えることから生じる例外を防止するには、MTUSizeの値をデフォルト値の1500より大きくします。

EJBへのカスタム・チャネルの割当て

EJBにカスタム・チャネルを割り当てることができます。カスタム・チャネルを構成したら、weblogic-ejb-jar.xmlnetwork-access-point要素を使用してEJBに割り当てます。詳細は、『Oracle WebLogic Server Enterprise JavaBeansバージョン2.1の開発』のnetwork-access-pointに関する項を参照してください。

IPv4でのIPv6の使用

WebLogic Serverは、インターネット・プロトコル(IP)バージョン4または6 (IPv4またはIPv6)のいずれかを使用するように構成されているホスト・マシンをサポートします。

ネットワーク通信でIPv4を使用するマシンとIPv6を使用するマシンが混在しているドメインがあり、管理サーバーがIPv4を使用するマシンにホストされている場合、IPv6を使用するマシンにホストされている管理対象サーバー・インスタンスのステータスはWebLogic Server管理コンソールで「不明」と表示される場合があります。

WebLogic Server管理コンソールでこれらの管理対象サーバー・インスタンスのステータスを確認できるようにするには、これらのリスニング・アドレスを指定する必要があります。サーバーが動作中の場合、リスニング・アドレスを指定した後にサーバーを再起動する必要があります。WebLogic Server管理コンソールを使用した既存のドメインの管理対象サーバーのリスニング・アドレスの割当ての詳細は、Oracle WebLogic Server管理コンソール・オンライン・ヘルプリスニング・アドレスの構成に関する項を参照してください。

構成ウィザードを使用して構成する場合、管理対象サーバーのリスニング・アドレスも指定できます。

  1. 「管理対象サーバー」ページで、「リスニング・アドレス」フィールドに各管理対象サーバーの物理IPアドレスを入力します。

  2. 「次」をクリックして、変更内容を保存し、ドメインの構成を続行します。