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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Server 12.1.3 JTAアプリケーションの開発
12c (12.1.3)
E56267-03
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6 複数サイトまたはデータ・センターにわたるトランザクション・リカバリ

この章では、障害回復(DR)ソリューションの一部としての、物理的サイト全体にわたるWebLogicドメインのXAトランザクション・リカバリのベスト・プラクティスを紹介します。

この章には次の項が含まれます:

障害回復におけるXAトランザクション・リカバリの理解

可用性を最大限に高め、予期しない障害および天災から保護することは、エンタープライズ・デプロイメントの障害回復ソリューションの主要な要件です。アクティブ・パッシブ型ソリューションには、アクティブな(本番)サイトとは地理的に異なる位置で、スタンバイ・サイトを設定してペアにする作業が含まれます。スタンバイ・サイトは通常はパッシブ・モードであり、本番サイトを利用できない場合に起動されます。障害回復ソリューションの1つの特徴は、本番サイトを利用できなくなった場合に、影響を受けたWebLogicドメインのすべてのXAトランザクションを必ずリカバリできるようにすることです。次の項では、障害が発生した本番ドメインからXAトランザクションをリカバリするための要件とガイドラインを説明します。エンタープライズ・デプロイメントの障害回復ソリューションの詳細は、『Oracle® Fusion Middlewareディザスタ・リカバリ・ガイド』障害回復の概要に関する項を参照してください。

XAトランザクションの障害回復のための要件

次の項では、アクティブ・パッシブ型の障害回復ソリューションにおいて、本番サイトで障害が発生した後にXAトランザクションのリカバリを成功させるために必要な条件と構成要件を説明します。

  • アクティブ・パッシブ型のすべてのドメイン・ペアが対称トポロジで構成されており、それらのペアがまったく同じで、同一のドメイン構成となっていること。

  • フェイルオーバーのタイミングを手動で制御すること。Oracle Enterprise Manager Cloud Controlは、複数のデータ・センターにわたるWebLogic Serverドメインの障害回復を管理できるようにする手段の1つです。

  • 実行時およびリカバリ時に一貫した処理能力を実現するために、実行時のアクティブ・パッシブ型サイトでの最大処理能力よりも負荷を少なく保つこと。

  • すべての管理対象サーバーおよびノード・マネージャのリスニング・アドレスに、必ずDNS名を使用すること。ドメイン構成では、IPアドレスまたは直接ホスト名を使用できません。

    • パッシブ・ドメイン内のサーバーを起動してトランザクション・リカバリ・サービスを開始する前に、パッシブなデータ・センター内のマシンにDNS名を指定するようDNSサーバーを更新します。

      例: アクティブなドメインDomain1には、Mc1とMc2という2台のマシン上で稼働している2つの管理対象サーバーがあります。ドメイン構成において、対応するDNS名としてdns-1およびdns-2を使用します。アクティブなドメインに障害が発生して、対応するパッシブ・ドメインをアクティブにする場合、DNSサーバーを更新してMc3およびMc4にそれぞれdns-1およびdns-2を指定するよう構成を変更します。その後、パッシブのDomain2を起動します。

    • DNS名にはアンダースコアを使用しないでください。WebLogic Serverドメインでは、そのようなDNS名は無効です。ダッシュが使用されているDNS名は有効です。

  • TLogの格納先として選択できるのは、デフォルト・ストア、JDBC TLogおよび決定子リソース(トランザクションの範囲が1つのWLSサーバーのみの場合)です。デフォルト・ストアは、共通領域(通常はNFSまたはSAN)に存在する必要があります。JDBC TLogは、すべてのWLSサーバーへの共通の記憶域の場所としてデータベースを使用し、通常は、高可用性を確保するためにDataGuardおよびActive DataGuardを使用してレプリケートされます。可能ならば、XAトランザクションの範囲が単一のトランザクション・マネージャである場合、決定子リソースを使用し、TLogを除去します(「TLogを使用しないXAトランザクション」を参照)。

  • すべての永続ストアはJDBCストアです。

  • クラスタ内でのトランザクション・サービスの移行は、対応するドメインおよびサーバーを含むクラスタ全体がリカバリ・サイトにフェイルオーバーされる場合のみサポートされます。具体的には、管理者は、ノード・マネージャとクラスタ全体、対応するドメイン、および影響を受けたすべてのサーバーが障害が発生したサイト上で停止されていることを確認してから、リカバリ・サイト上でそれらすべてを起動する必要があります。

  • 複数のWebLogicドメインにわたるトランザクションは、そのトランザクションに関与するすべてのドメインがフェイルオーバーされる場合にのみ、サイトのフェイルオーバーでリカバリできます。

  • ドメイン情報は、ドメイン構成の同期が必ず確保されるよう、共有場所で保持されます。アプリケーションは、同期が必ず確保されるよう、共有場所で保持されます。


    注意:

    構成の同期を確保するためのもう1つの手法として、圧縮と解凍を使用することもできます。

エンタープライズ・デプロイメントのアクティブおよびパッシブのリカバリ・サイトの設定の条件および要件の詳細は、『Oracle® Fusion Middlewareディザスタ・リカバリ・ガイド』障害回復サイトの設定と管理に関する項を参照してください。

XAトランザクション・リカバリのためのアクティブ・アクティブ型ドメイン構成の例

次の項では、WebLogic Serverドメインのアクティブ・アクティブ型障害回復ソリューションの例を示します。アクティブ・アクティブ型ドメインのソリューションは、2つ以上のアクティブなドメイン構成を必要とし、スケーラビリティと可用性を高めるために使用されます。この例では、各データ・センターにアクティブなドメインが1つ配置され、別のデータ・センターにある対称的に構成された1つのパッシブのスタンバイ・ドメインとペアになります。各データ・センターは、洪水などの災害や局所的なネットワーク停止から環境を保護するために地理的に分散されています。『Oracle® Fusion Middlewareディザスタ・リカバリ・ガイド』障害回復の概要に関する項を参照してください。

図6-1の例で使用されている構成は、次のとおりです。

  • Site1 Domain1: アクティブ

  • Site1 Domain2: パッシブ

  • Site2 Domain2: アクティブ

  • Site2 Domain1: パッシブ

  • すべてのサーバーは、同じDBインスタンスを指し示します。

  • データベースは、Oracle Active DataGuardを使用してレプリケートされます。

図6-1 アクティブ・アクティブ型障害回復(AADR)のドメイン構成の例

図6-1については周囲のテキストで説明しています。

最大可用性アーキテクチャに関する追加情報

オラクル社では、最大限の可用性を実現する環境の構成方法についての追加情報を提供する、多数のリソースを用意しています。次を参照してください。