Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Server 12.1.3アプリケーションの開発 12c (12.1.3) E57574-04 |
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この付録では、アプリケーションおよびスタンドアロン・モジュールをWebLogic Server 12.1.3にデプロイするツールについて説明します。
この付録の内容は次のとおりです。
wldeploy
Antタスクでは、Ant XMLファイルに指定する属性を使用してweblogic.Deployer
の機能を実行できます。wldeploy
を他のWebLogic Server Antタスクとともに使用して、以下を実行する単一のAntビルド・スクリプトを作成できます。
wlcompile
、appc
、およびWebサービスAntタスクを使用してソースからアプリケーションをビルドします。
wlserver
およびwlconfig
Antタスクを使用して、新しいWebLogic Serverドメインを作成、起動、および構成します。
wldeploy
Antタスクを使用して、新しく作成したドメインに、コンパイル済みアプリケーションをデプロイします。
wlserver およびwlconfig
の詳細は、第2章「Antタスクを使用したWebLogic Serverドメインの構成と使用」
を参照してください。wlcompileの詳細は、第5章「分割開発ディレクトリでのアプリケーションのビルド」
を参照してください。
wldeploy
Antタスクを使用するには:
環境を設定します。
Windows NTでは、WL_HOME
\server\bin
ディレクトリにあるsetWLSEnv.cmd
コマンドを実行します。WL_HOME
は、インストールされているWebLogic Serverの最上位ディレクトリです。
UNIXでは、WL_HOME
/server/bin
ディレクトリにあるsetWLSEnv.sh
コマンドを実行します。WL_HOME
は、インストールされているWebLogic Serverの最上位ディレクトリです。
注意: UNIXオペレーティング・システムでは、setWLSEnv.sh コマンドはすべてのコマンド・シェルで環境変数を設定しません。Kornシェルまたはbashシェルを使用してこのコマンドを実行することをお薦めします。 |
ステージング・ディレクトリで、Antビルド・ファイル(デフォルトはbuild.xml
)を作成します。WebLogic Serverと一緒にインストールされたものとは異なるAntを使用する場合は、wldeploy
Antタスクを定義することから始めます。
<taskdef name="wldeploy" classname="weblogic.ant.taskdefs.management.WLDeploy"/>
必要に応じて、新しいWebLogic Serverドメインを作成するためのタスク定義とwlserver
およびwlconfig
タスクの呼出しをビルド・スクリプトに追加します。wlserverおよびwlconfig
の詳細は、第2章「Antタスクを使用したWebLogic Serverドメインの構成と使用」
を参照してください。
wldeploy
の呼出しを追加して、アプリケーションを1つまたは複数のWebLogic Serverインスタンスまたはクラスタにデプロイします。「wldeploy用build.xmlファイルのサンプル」および「wldeploy Antタスクの属性のリファレンス」を参照してください。
ステージング・ディレクトリでant
と入力し、必要であればこのコマンドにターゲットの引数を渡して、build.xml
ファイルで指定されたAntタスク(1つまたは複数)を実行します。
prompt> ant
次の例では、アプリケーションを単一のWebLogic Serverインスタンスにデプロイするwldeploy
のデプロイ先を示しています。
<target name="deploy"> <wldeploy action="deploy" verbose="true" debug="true" name="DeployExample" source="output/redeployEAR" user="weblogic" password="weblogic" adminurl="t3://localhost:7001" targets="myserver" /> </target>
次の例では、アプリケーションをアンデプロイする場合に対応するタスクを示します。この例では、アプリケーションをアンデプロイまたは再デプロイする際に、ソース・アーカイブ・ファイルまたは展開ディレクトリではなく、そのデプロイされた名前のみを指定します。
<target name="undeploy"> <wldeploy action="undeploy" verbose="true" debug="true" name="DeployExample" user="weblogic" password="weblogic" adminurl="t3://localhost:7001" targets="myserver" failonerror="false" /> </target>
次の例では、アプリケーションの部分的な再デプロイを実行する方法を示します。この例では、アプリケーション内の単一のWARファイルのみが再デプロイされます。
<target name="redeploy_partial"> <wldeploy action="redeploy" verbose="true" name="DeployExample" user="weblogic" password="weblogic" adminurl="t3://localhost:7001" targets="myserver" deltaFiles="examples/general/redeploy/SimpleImpl.war" /> </target>
次の例では、wldeploy
のネストされた<files>
子要素を使用して、アプリケーション内でアンデプロイする特定のファイルを指定します。
<target name="undeploy_partial"> <wldeploy action="undeploy" verbose="true" debug="true" name="DeployExample" user="weblogic" password="weblogic" adminurl="t3://localhost:7001" targets="myserver" failonerror="false"> <files dir="${current-dir}/output/redeployEAR/examples/general/redeploy" includes="SimpleImpl.jsp" /> </wldeploy> </target>
次の例では、ソース・ファイルがoutput/myLibrary
ディレクトリにあるmyLibrary
というJava EEライブラリをデプロイする方法を示します。
<target name="deploy"> <wldeploy action="deploy" name="myLibrary" source="output/myLibrary" library="true" user="weblogic" password="weblogic" verbose="true" adminurl="t3://localhost:7001" targets="myserver" /> </target>
次の項では、wldeploy
Antタスクの属性および子要素<files>
について説明します。
次の表では、wldeploy
Antタスクの主な属性について説明します。
これらの属性は、weblogic.Deployer
コマンドの引数の一部に対応します。Oracleは、反復的な開発プロセスの一部としてアプリケーションを簡単にデプロイおよびテストできるように、weblogic.Deployer
コマンドのAntタスク・バージョンを提供しています。ただし、通常、本番環境でアプリケーションをデプロイする場合、wldeploy
Antタスクではなくweblogic.Deployer
コマンドを使用します。したがって、wldeploy Antタスクの属性の完全な定義については、『Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ』のweblogic.Deployerコマンドライン・リファレンスに関する項
を参照してください。次の表に簡単なサマリーを示します。
表B-1 wldeploy Antタスクの属性
属性 | 説明 | データ型 |
---|---|---|
action |
実行するデプロイメント・アクション。 有効な値は、 |
文字列 |
adminmode |
デプロイメント・アクションによってアプリケーションが管理モードになるように指定します。 管理モードでは、アプリケーションへのアクセスは構成済の管理チャネルに制限されます。 この属性の有効な値は、 |
ブール |
adminurl |
管理サーバーのURL。 この属性の値の形式は、 注意: HTTPプロトコルを使用するには、WebLogic Server管理コンソールでhttpトンネリングのオプションを有効にする必要があります。 |
文字列 |
allversions |
アプリケーションのすべてのバージョンに適用するアクション(再デプロイ、停止など)を指定します。 この属性の有効な値は、 |
ブール |
altappdd |
デプロイメントに使用する代替Java EEデプロイメント記述子( この属性を指定せず、エンタープライズ・アプリケーションをデプロイする場合、デフォルトのデプロイメント記述子は |
文字列 |
altwlsappdd |
デプロイメントに使用する代替WebLogic Serverデプロイメント記述子( この属性を指定せず、エンタープライズ・アプリケーションをデプロイする場合、デフォルトのデプロイメント記述子は |
文字列 |
appversion |
デプロイされるアプリケーションのバージョン識別子。 |
文字列 |
debug |
|
ブール |
deleteFiles |
サーバーのステージング・ディレクトリから静的ファイルを削除するかどうかを指定します。 この属性は、展開されたデプロイメント、および
この属性は、
この属性の有効な値は、trueおよびfalseです。デフォルト値はfalseです。 |
ブール |
deltaFiles |
再デプロイするアプリケーションのルート・ディレクトリを基準にして、ファイルのカンマ区切りまたはスペース区切りのリストを指定します。 この属性は、アプリケーションの部分再デプロイを実行する際、必ず |
文字列 |
enableSecurityValidation |
セキュリティ・データの検証を有効にするかどうかを指定します。 この属性の有効な値は、trueおよびfalseです。デフォルト値はfalseです。 |
ブール |
externalStage |
デプロイメントで このモードでは、Antタスクはデプロイメント・ファイルをターゲット・サーバーにコピーしません。かわりに、デプロイメント・ファイルがターゲット・サーバーのステージング・ディレクトリの正しいサブディレクトリにコピーされたことを確認する必要があります。
「ステージング・モードによるデプロイメント・ファイルのコピーの制御」を参照してください。 |
ブール |
failonerror |
WebLogic Server Antタスクで使用されるグローバル属性。ビルド中にエラーが発生した場合、タスクを失敗させるかどうかを指定します。 この属性の有効な値は、trueおよびfalseです。デフォルト値はtrueです。 |
ブール |
graceful |
既存のHTTPクライアントが作業を完了した後でアプリケーションを停止します。 この属性は、アプリケーションを停止またはアンデプロイする場合にのみ使用できます。つまり、 この属性の有効な値は、 |
ブール |
id |
デプロイメントのステータスの取得やデプロイメントの取消しに使用されるID。 デプロイ時に一意のIDをアプリケーションに割り当て、以降の再デプロイ、アンデプロイ、停止などではそのIDを使用します。 この属性を指定しない場合、Antタスクがアプリケーションに一意のIDを割り当てます。 |
文字列 |
ignoresessions |
このオプションでは、現在のHTTPセッションが完了するのを待機せずに、アプリケーションを直ちに管理モードにします。 この属性は、アプリケーションを停止またはアンデプロイする場合にのみ使用できます。つまり、 この属性の有効な値は、 |
ブール |
libImplVer |
Java EEライブラリまたはオプション・パッケージの実装のバージョンを指定します。 この属性は、ライブラリまたはパッケージのマニフェスト・ファイルに実装のバージョンが含まれていない場合にのみ使用できます。この属性は、 第12章「共有Java EEライブラリおよびオプション・パッケージの作成」を参照してください。 |
文字列 |
library |
デプロイメントを共有Java EEライブラリまたはオプション・パッケージとして指定します。Java EEライブラリまたはオプション・パッケージをデプロイまたは分散する場合は この属性の有効な値は、 第12章「共有Java EEライブラリおよびオプション・パッケージの作成」を参照してください。 |
ブール |
libSpecVer |
Java EEライブラリまたはオプション・パッケージの仕様のバージョンを指定します。 この属性は、ライブラリまたはパッケージのマニフェスト・ファイルに仕様バージョンが含まれていない場合にのみ使用できます。この属性は、 第12章「共有Java EEライブラリおよびオプション・パッケージの作成」を参照してください。 |
文字列 |
name |
デプロイ済みのアプリケーションのデプロイメント名。 この属性を指定しない場合、WebLogic Serverは、アーカイブ・ファイルまたは展開ディレクトリに基づくデプロイメント名をアプリケーションに割り当てます。 |
文字列 |
nostage |
デプロイメントでnostageデプロイメント・モードを使用するかどうかを指定します。 このモードでは、Antタスクはデプロイメント・ファイルをターゲット・サーバーにコピーせず、
「ステージング・モードによるデプロイメント・ファイルのコピーの制御」を参照してください。 |
ブール |
noversion |
このオプションを使用する場合、バージョン指定されたアプリケーションは使用できません。 この属性の有効な値は、trueおよびfalseです。デフォルト値はfalseです。 |
ブール |
nowait |
|
ブール |
password |
管理パスワード。 ビルド・ファイルまたは デフォルト以外の構成ファイルとキー・ファイルからユーザー名およびパスワードを取得する場合は、 パスワードの格納と暗号化の詳細は、 |
文字列 |
plan |
アプリケーションまたはモジュールをデプロイするときに使用するデプロイメント・プランを指定します。 デフォルトでは、プランが格納されているアプリケーションのルート・ディレクトリからデプロイする場合でも、 |
文字列 |
planversion |
デプロイメント・プランのバージョン識別子。 |
文字列 |
remote |
サーバーが別のマシンに配置されているかどうかを指定します。これはファイル名の転送方法に影響します。 この属性の有効な値は、 |
ブール |
retiretimeout |
WebLogic Serverがこのアプリケーションまたはモジュールの現在実行中のバージョンをアンデプロイし、クライアントが新しいバージョンで開始できるようになるまでの秒数を指定します。 この属性を指定した場合、ユーザーは、すでに実行中のアプリケーションの新しいバージョンを開始、デプロイ、再デプロイすると見なされます。 「本番環境でのアプリケーションの更新」を参照してください。 |
int |
securityModel |
このデプロイメントで使用するセキュリティ・モデルを指定します。指定可能なセキュリティ・モデルは次のとおりです。
この属性で有効な実際の値は これらのセキュリティ・モデルの詳細は、「WebアプリケーションおよびEJBリソースの保護のオプション」を参照してください。 |
文字列 |
source |
デプロイするアーカイブ・ファイルまたは展開ディレクトリ。 |
ファイル |
stage |
デプロイメントでstageデプロイメント・モードを使用するかどうかを指定します。 このモードでは、Antタスクは、ターゲット・サーバーのステージング・ディレクトリにデプロイメント・ファイルをコピーします。
「ステージング・モードによるデプロイメント・ファイルのコピーの制御」を参照してください。 |
ブール |
submoduletargets |
JMSアプリケーション・モジュール内で定義されているリソースのJMSサーバー・ターゲットを指定します。 この属性の値は、JMSサーバー名のカンマ区切りのリストです。 「JMSアプリケーション・モジュールにおけるサブモジュールのターゲット指定の使用」を参照してください。 |
文字列 |
targets |
アプリケーションがデプロイされるターゲット・サーバーのリスト。 この属性の値は、ターゲット・サーバー、クラスタまたは仮想ホストのカンマ区切りのリストです。 アプリケーションのデプロイ時にターゲット・リストを指定しない場合、ターゲットのデフォルトは管理サーバー・インスタンスになります。 |
文字列 |
timeout |
デプロイメントが正常に終了するのを待機する最大秒数。 |
int |
upload |
デプロイメントの前にソース・ファイルが管理サーバーのアップロード・ディレクトリにコピーされるかどうかを指定します。 この属性は、リモート・マシンで作業していて、デプロイメント・ファイルを管理サーバーに他の手段でコピーできない場合に使用します。 この属性の有効な値は、 |
ブール |
usenonexclusivelock |
デプロイメント・アクション(デプロイ、再デプロイ、停止など)が、そのアクションを実行している同じユーザーによってすでに取得されている、ドメインの既存のロックを使用するように指定します。 この属性は、ユーザーが複数のデプロイメント・ツール(Antタスク、コマンド・ライン、WebLogic Server管理コンソールなど)を同時に使用しており、いずれかのツールでドメインのロックをすでに取得している場合に有用です。 この属性の有効な値は、 |
ブール |
user |
管理ユーザー名。 |
文字列 |
userconfigfile |
管理ユーザー名および管理パスワードを取得するために使用するユーザー構成ファイルの場所を指定します。このオプションは、プレーン・テキストのパスワードをインラインまたは
|
文字列 |
userkeyfile |
ユーザー構成ファイル(
|
文字列 |
verbose |
|
ブール |
wldeploy
Antタスクには、デプロイメント・アクションの実行対象となるファイルのリスト(アンデプロイするJSPのリストなど)を指定するためにネストできる<files>
子要素もあります。
注意: WebLogic Serverリリース9.0以降では、<files> を使用してアプリケーションのファイルのリストを再デプロイすることは非推奨になりました。この場合、代わりにwldeployのdeltaFiles 属性を使用します。 |
<files>
要素は、実際のタスク名の違いを除いて、標準的な<fileset>
Antタスクと同じ処理を行います。したがって、<files>要素で指定可能な属性のリファレンス情報については、Apache Ant Webサイト(
http://ant.apache.org/manual/Types/fileset.html)を参照してください。