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Oracle® Databaseインストレーション・ガイド
12c リリース1 (12.1) for IBM AIX on POWER Systems (64-Bit)
E49833-10
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D インストール前の作業を手動で完了する方法

この付録では、通常Cluster Verification Utility (CVU)およびOracle Universal Installerがインストール時に完了する構成作業を、手動で行う方法について説明します。この付録は、修正スクリプトを使用できないときに参考にしてください。

この付録の内容は次のとおりです。

D.1 AIXのシェル制限およびシステム構成パラメータの構成

この項の内容は、次のとおりです。


注意:

この項に示すパラメータ値およびシェル制限値は推奨値にすぎません。本番データベース・システムでは、これらの値をチューニングしてシステムのパフォーマンスを最適化することをお薦めします。カーネル・パラメータのチューニングの詳細は、オペレーティング・システムのドキュメントを参照してください。

シェル制限およびシステム構成パラメータは、この項の説明に従って設定することをお薦めします。

D.1.1 シェル制限の構成

Oracle Grid Infrastructureのインストール所有者およびrootのシェル制限を設定します。smitユーティリティを使用するか、/etc/security/limitsファイルを編集し、両方のアカウントが無制限に設定されていることを確認します。crsデーモン(crsd)はrootで実行されるため、rootユーザーにはこれらの設定が必要です。

AIXでは、ulimit設定により、プロセス・メモリー関連のリソース制限が決定されます。次の表に示されているシェル制限が、示されている値に設定されていることを確認します。

シェル制限(smitでの表示) 推奨値
Soft File Descriptors 1024KB以上
Hard File Descriptors 65536KB以上
プロセスの数(Soft) 2047以上
プロセスの数(Hard) 16384以上
Soft STACKサイズ 10240KB以上
Hard STACKサイズ 10240 KB以上; 32768 KB以下
Soft FILEサイズ 無制限
Soft CPU時間 無制限

注意: これがデフォルト値です。

Soft DATAセグメント 無制限
Soft Real Memoryサイズ 無制限

これらのシェル制限に指定されている現在の値を表示し、必要に応じて変更するには、次の手順を実行します。

  1. 次のコマンドを入力します。

    # smit chuser
    
  2. 「User NAME」フィールドに、Oracleソフトウェア所有者のユーザー名(oracleなど)を入力します。

  3. リストをスクロール・ダウンして、前述の表にリストされているリミット用に表示されている値を確認します。

    必要に応じて既存の値を編集します。値を編集するには、smitユーティリティを使用できます。ただし、Soft Real Memory sizeの値を設定するには、ファイル/etc/security/limitsを編集する必要があります。smitユーティリティを実行する権限がある場合は、必然的にlimitsファイルを編集する権限もあります。

  4. 変更が完了したら、[F10]を押して終了します。

D.1.2 システム構成パラメータの構成

修正スクリプトが使用できない場合は、次の表で、各カーネル・パラメータが表に示す最小値以上の値に設定されていることを確認します。いずれかのパラメータの現在の値がこの表にリストされている値より大きい場合、修正スクリプトはそのパラメータの値を変更しません。

パラメータ 最小値
maxuprocs 16384
ncargs 128

次の手順で、手動による値の確認および設定方法について説明します。

  • ユーザーごとに許可されたプロセスの最大数が16384以上に設定されていることを確認するには、次の手順を実行します。


    注意:

    本番システムの場合、この値は少なくとも128にシステム上で実行中の各データベースのPROCESSESおよびPARALLEL_MAX_SERVERS初期化パラメータの合計を加算した値にする必要があります。

    1. 次のコマンドを入力します。

      # smit chgsys
      
    2. ユーザーごとに許容される最大プロセス数に示された値が16384以上であることを確認します。

      必要に応じて既存の値を編集します。

    3. 変更が完了したら、[F10]を押して終了します。

  • シェルから長いコマンドを実行できることを確認するには、次の手順を使用します。


    注意:

    ncargsシステム属性の値を128以上に設定することをお薦めします。ncargs属性により、コマンドラインの引数として渡すことができる値の最大数が決まります。

    1. 次のコマンドを入力します。

      # smit chgsys
      
    2. 「ARG/ENV list size in 4K byte blocks」に表示される値が128以上であることを確認します。

      必要に応じて既存の値を編集します。

    3. 変更が完了したら、[F10]を押して終了します。

D.1.3 非同期入出力プロセスの確認

AIX 6およびAIX 7では、非同期入出力(AIO)デバイス・ドライバはデフォルトで有効です。AIX 6でもAIX 7でも、aioserverプロセスの数をデフォルト値より増やします。aio_maxreqsの推奨値は64k(65536)です。AIX 6とAIX 7の両方で、この値を確認します。

次の手順で、aio_maxreqs値を確認します。

# ioo –o aio_maxreqs
aio_maxreqs = 65536

ファイル・システムに非同期I/Oを行うと、各非同期I/O操作が非同期I/Oサーバーに関係付けられます。つまり、非同期I/Oサーバーの数によって、システムで同時に実行される非同期I/O操作の数が制限されます。

システムの再起動時に起動されるサーバーの初期数は、aio_minserversパラメータによって決まります。同時実行される非同期I/O操作が発生すると、aio_maxserversパラメータで設定された値を上限として非同期I/Oサーバーが追加で起動されます。

通常、非同期I/Oサーバーの数を設定するには、次の手順を実行します。

  1. aio_maxserversの初期値を、10×論理ディスク数÷(同時に使用されるCPUの数)に調整します(ただし80を超えないこと)。

  2. I/Oアクティビティが多いときのシステム・パフォーマンスに対する効果を監視します。すべてのAIOサーバー・プロセスが起動されている場合は、aio_maxserversの値を大きくします。また、I/Oアクティビティのピーク時のシステム・パフォーマンスの監視を続け、追加AIOサーバーによる効果があったかどうかを確認します。非同期I/Oサーバーが多すぎると、追加プロセスによるメモリーとプロセッサ・オーバーロードが増えますが、このデメリットはわずかです。AIOパラメータのチューニングの詳細は、使用するオペレーティング・システムのベンダーのドキュメントを参照してください。

起動済のAIOサーバー・プロセスの数を監視するには、次のように入力します。

# ps -ek|grep -v grep|grep –v posix_aioserver|grep -c aioserver

D.2 UDPおよびTCPカーネル・パラメータの手動設定

修正スクリプトまたはCVUを使用してエフェメラル・ポートを設定しない場合は、NDDを使用して、カーネルTCP/IPエフェメラル・ポート範囲が、予想されるサーバーのワークロードに対して十分なエフェメラル・ポートを提供できることを確認します。下限を9000以上に設定し、Well KnownポートとOracleおよびその他のサーバー・ポートで一般的に使用される登録済ポート範囲のポートを避けます。使用するアプリケーションに予約済のポートを避けるようにポート範囲を高く設定します。範囲の下限が9000を超え、予想されるワークロードに対して範囲が十分大きい場合は、エフェメラル・ポート範囲に関するOUI警告は無視できます。

次のコマンドを使用して、エフェメラル・ポートの現在の範囲を確認します。

# /usr/sbin/no -a | fgrep ephemeral
     tcp_ephemeral_low = 32768
     tcp_ephemeral_high = 65500
     udp_ephemeral_low = 32768
     udp_ephemeral_high = 65500

上の例で、TCPおよびUDPエフェメラル・ポートはデフォルトの範囲(32768-65536)に設定されています。

ノード数が多い場合や、パラレル問合せが頻繁に使用されるなど、高い値のエフェメラル・ポートが必要な負荷になることが予測できる場合は、UDPおよびTCPエフェメラル・ポートの範囲を広くします。次に例を示します。

# /usr/sbin/no -p -o tcp_ephemeral_low=9000 -o tcp_ephemeral_high=65500
# /usr/sbin/no -p -o udp_ephemeral_low=9000 -o udp_ephemeral_high=65500

関連項目:

Direct NFSクライアントを使用する場合は、「Direct NFSクライアントのためのTCPネットワーク・プロトコル・バッファの設定」を参照してください。