Oracle Database 10gリリース2 (10.2)、Oracle Database 11gリリース1 (11.1)およびOracle Database 11gリリース2 (11.2)の間には、動作に関する重要な変更点があります。一般に、Oracle Databaseのアップグレード後の動作の変更によって発生する可能性がある危険性を最小限に抑えるために、データベース管理者(DBA)は詳細な情報を得て決定を行う必要があります。
この付録の内容は次のとおりです。
関連項目:
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注意:
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Oracle Database 11gリリース2 (11.2)では、互換性および相互運用性に影響を与える新機能および変更が導入されています。次の変更は、アップグレード処理に影響する可能性があります。
Oracle Databaseのリリース11.2.0.3のOracle Net ListenerでSNMPサポートが非推奨となりました。新しい実装ではSNMPを使用しないことをお薦めします。
関連項目: My Oracle Support (http://support.oracle.com )のNote 1341834.1「Planned end of support for SNMP in Oracle Net Listener」 |
一部のPL/SQLプロシージャは、Oracle Databaseのリリース11.2.0.3で、パッケージDBMS_XDB
からパッケージDBMS_XDB_ADMIN
に移動されました。
DBMS_XDB_ADMIN
に移動されたプロシージャは、次のとおりです。
moveXDB_tablespace
rebuildHierarchicalIndex
関連項目: 『Oracle Database PL/SQLパッケージおよびタイプ・リファレンス』 |
Oracle Database 11gリリース2(11.2)以上では、JOB_QUEUE_PROCESSES
を0
に設定すると、DBMS_SCHEDULER
およびDBMS_JOB
ジョブが実行されません。以前は、JOB_QUEUE_PROCESSES
を0
に設定すると、DBMS_JOB
ジョブは実行されませんでしたが、DBMS_SCHEDULER
ジョブは影響を受けることなく実行されました。デフォルト値は1000
です。
Oracle Databaseによって、ジョブ・キューの設定が上書きされ、アップグレード・モード中にスケジューラ・ジョブが無効化されます。したがって、Oracle Databaseのアップグレード時にこの設定を無視できます。データベースがUPGRADEモードでオープンされると、ジョブが実行できないようにdbms_jobまたはスケジューラ化で内部的に強制されます。UPGRADEモードでJOB_QUEUE_PROCESSES
が何に設定されているかは問題ではありません。
関連項目: このパラメータの詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。 |
次のXML DB構造体は、リリース11.2.0.3で非推奨になりました。
PL/SQLプロシージャDBMS_XDB_ADMIN.createRepositoryXMLIndex
PL/SQLプロシージャDBMS_XDB_ADMIN.XMLIndexAddPath
PL/SQLプロシージャDBMS_XDB_ADMIN.XMLIndexRemovePath
PL/SQLプロシージャDBMS_XDB_ADMIN.dropRepositoryXMLIndex
XMLスキーマの注釈(属性)csx:encodingType
ハイブリッドXMLType
記憶域のCLOB部分(オブジェクト・リレーショナル記憶域内に埋込みのCLOBデータ)上のXMLIndex
索引
関連項目: 『Oracle XML DB開発者ガイド』 |
cursor_sharing=similar
パラメータはOracle Databaseリリース11.2.0.3では非推奨です。かわりに、適応カーソル共有を使用してください。
関連項目: 適応カーソル共有の詳細は、Oracle Database SQLチューニング・ガイドを参照してください |
Oracleチェンジ・データ・キャプチャは、Oracle GoldenGateに置き換えられています。そのため、新しいアプリケーションにはOracle GoldenGateを使用することを強くお薦めします。
Oracle Database 11gリリース2(11.2)では、チェンジ・データ・キャプチャは以前のリリースと同様に機能します。チェンジ・データ・キャプチャを現在使用している場合、当分は引き続き使用できます。ただし、チェンジ・データ・キャプチャは今後、拡張はされません。
Oracle Databaseのリリース11.2.0.3以上では、データ・マイニング Java APIは非推奨です。現在Oracle Data Miningでは、Oracle Data Minerの新しいリリースがサポートされています。以前のリリース(Oracle Data Miner Classic)は、Oracle Technology Network (OTN)からダウンロードして入手できますが、開発は終了しています。
非推奨のパラメータは通常のパラメータと同様に動作しますが、非推奨のパラメータをパラメータ・ファイルに指定した場合、インスタンスの起動時に警告メッセージが表示されます。また、非推奨のすべてのパラメータは、インスタンスの起動時にアラート・ログに記録されます。
現行データベースで非推奨に指定されているすべての初期化パラメータのリストを表示するには、次のSQL文を発行します。
SQL> SELECT name FROM v$parameter WHERE isdeprecated = 'TRUE';
次の初期化パラメータはOracle Database 11gリリース2(11.2)で非推奨となりました。
ACTIVE_INSTANCE_COUNT
PARALLEL_IO_CAP_ENABLED
次の初期化パラメータは、Oracle Database 11gリリース2 (11.2)でサポートが終了しました。
注意: サポートが終了した1つ以上の初期化パラメータを使用してデータベースを開始することはできますが、警告が返され、アラート・ログに記録されます。 |
DRS_START
GC_FILES_TO_LOCKS
MAX_COMMIT_PROPAGATION_DELAY
PLSQL_NATIVE_LIBRARY_DIR
PLSQL_NATIVE_LIBRARY_SUBDIR_COUNT
SQL_VERSION
次の静的データ・ディクショナリ・ビューはOracle Database 11gリリース2(11.2)で非推奨となりました。
ALL_STREAMS_STMTS
(replaced by DBA_STREAMS_STMTS
)ALL_STREAMS_STMT_HANDLERS
(replaced by DBA_STREAMS_STMT_HANDLERS
)DBA_COMPARISON_SCAN_SUMMARY
(replaced by DBA_COMPARISON_SCAN
)USER_COMPARISON_SCAN_SUMMARY
(replaced by USER_COMPARISON_SCAN
)次の動的パフォーマンス・ビューは、Oracle Database 11gリリース2 (11.2)で非推奨となりました。
V$FLASH_RECOVERY_AREA_USAGE
(V$RECOVERY_AREA_USAGE
に変更)Oracle Databaseの機能はOracle Database 11gリリース2 (11.2)で非推奨となりました。非推奨となった機能は、下位互換性のためにこのリリースでサポートされています。ただし、これらの非推奨となった機能は移行の対象外とすることをお薦めします。
ディクショナリ管理表領域
ローカル管理表領域を作成することをお薦めします。ローカル管理表領域は、ディクショナリ管理表領域より非常に効率的に管理されます。
MAX_JOB_SLAVE_PROCESSES
MAX_JOB_SLAVE_PROCESSES
は非推奨となりました。かわりにJOB_QUEUE_PROCESSES
を使用してください。
Oracle Database 11gリリース2(11.2)以上では、LOG_ARCHIVE_DEST_
n
およびLOG_ARCHIVE_DEST_STATE_
n
パラメータでサポートされる宛先の数が10から31に増えました。宛先LOG_ARCHIVE_DEST_11
からLOG_ARCHIVE_DEST_31
は、SYNC
、ARCH
、LOCATION
、MANDATORY
、ALTERNATE
またはDEPENDENCY
属性をサポートしておらず、また、ALTERNATE
またはDEPENDENCY
属性のターゲットとして指定することもできません。
LOG_ARCHIVE_DEST_11
からLOG_ARCHIVE_DEST_31
を使用できるのは、COMPATIBLE
初期化パラメータを11.2.0
以上に設定した場合のみです。
Oracle Database 11gリリース1 (11.1)では、互換性および相互運用性に影響を与える機能および変更が導入されています。この後の各項では、これらの問題によって発生する問題を回避するために実行できるアクションについて説明します。
次の初期化パラメータはOracle Database 11gリリース1(11.1)で非推奨となりました。
すべての非推奨の初期化パラメータのリストを表示するには、次のSQL文を発行します。
SQL> SELECT name FROM v$parameter WHERE isdeprecated = 'TRUE';
非推奨のパラメータは通常のパラメータと同様に動作しますが、非推奨のパラメータをパラメータ・ファイルに指定した場合、インスタンスの起動時に警告メッセージが表示されます。また、非推奨のすべてのパラメータは、インスタンスの起動時にアラート・ログに記録されます。
BACKGROUND_DUMP_DEST
(DIAGNOSTIC_DEST
に変更)COMMIT_WRITE
CURSOR_SPACE_FOR_TIME
INSTANCE_GROUPS
LOG_ARCHIVE_LOCAL_FIRST
PLSQL_DEBUG
(PLSQL_OPTIMIZE_LEVEL
に変更)PLSQL_V2_COMPATIBILITY
REMOTE_OS_AUTHENT
RESOURCE_MANAGER_CPU_ALLOCATION
CQ_NOTIFICATION$_REG_INFO
オブジェクトの)
TRANSACTION_LAG
属性USER_DUMP_DEST
(DIAGNOSTIC_DEST
に変更)次の初期化パラメータは、Oracle Database 11gリリース1 (11.1)でサポートが終了しました。
DDL_WAIT_FOR_LOCKS
LOGMNR_MAX_PERSISTENT_SESSIONS
PLSQL_COMPILER_FLAGS
注意: サポートが終了した1つ以上の初期化パラメータを使用してデータベースを開始することはできますが、警告が返され、アラート・ログに記録されます。 |
Oracle Database 11gリリース1(11.1)では、次の静的データ・ディクショナリ・ビューの列が削除されました。
静的データ・ディクショナリ・ビュー | 削除された列 |
---|---|
V$DATAFILE |
PLUGGED_IN |
この項では、Oracle Database 11gリリース1(11.1)で非推奨となった機能を示します。下位互換性を保持する目的で、これらの機能がこのリリースでサポートされています。ただし、これらの非推奨となった機能は移行の対象外とすることをお薦めします。
Oracle Ultra Search
Oracle Secure Enterprise Searchを使用することをお薦めします。
Java Development Kit(JDK)1.4
JDK 5.0の使用をお薦めしますが、JDK 1.5も完全にサポートされます。
CTXXPATH索引
かわりにXMLIndexを使用することをお薦めします。
関連項目: 『Oracle XML DB開発者ガイド』 |
Oracle Database 11gリリース1(11.1)の新しいデータベース・コンポーネントである自動メンテナンス・タスク管理では、すべての自動メンテナンス・タスクがメンテナンス期間の拡張セット内にスケジュールされます。自動メンテナンス・タスク管理を使用することにより、オプティマイザ統計の収集、セグメント・アドバイザおよび自動SQLチューニング・アドバイザなどのタスクについて、メンテナンス・タスクのスケジュール作成をより細かく制御することが可能です。
自動メンテナンス・タスク管理では、既存のメンテナンス期間がすべて使用されます(たとえば、MAINTENANCE_WINDOW_GROUP
の現行のメンバーである期間)。そのメンテナンス期間に関連付けられた既存のリソース・プランが使用されます。ただし、AUTOTASK_CONSUMER_GROUP
は、AutoTaskリソース・サブプランによってリソース・プラン内で置換されます。
オプティマイザ統計の収集またはセグメント・アドバイザのいずれかを10gで無効にしている場合は、対応する自動メンテナンス・タスク管理機能は、Oracle Database 11gリリース1(11.1)へのアップグレード後に無効になります。
次に、メンテナンス・タスクのデフォルト設定を示します。
オンライン・バックアップは無効です。
オプティマイザ統計の収集は有効です。
セグメント・アドバイザは有効です。
自動SQLチューニングは有効です。
その他の自動メンテナンス・タスク管理クライアントはすべてデフォルトで有効です。
自動メンテナンス・タスク管理は、Oracle Database 11gリリース1(11.1)へのアップグレード時に自動的に有効になりますが、AutoTaskオンライン・バックアップは自動的に有効にはなりません。必要な場合は、データベースをアップグレードした後に、手動でオンライン・バックアップを構成する必要があります。データベースをダウングレードした場合、自動メンテナンス・タスク管理は、そのリリースでのデフォルトの動作状態に戻ります。
関連項目: 自動メンテナンス・タスク管理機能の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。 |
Oracle Database 11gリリース1 (11.1)には、Oracle ASM管理タスクの実行目的に特化した新しいSYSASM
権限が導入されています。SYSDBA
権限のかわりにSYSASM
権限を使用することにより、ASMの管理職務とデータベースの管理職務を明確に区別できます。
ディスク・グループのメンテナンス(CREATE
DISKGROUP
、MOUNT
/DISMOUNT
、ADD
/DROP
DISK
、ONLINE
/OFFLINE
DISK
、DROP
DISKGROUP
)をSYSDBA
で実行すると、Oracle ASMのalert.log
に警告メッセージが表示されます。これらの作業はSYSDBA
では非推奨になっており、SYSASM
で実行する必要があります。
OSASM
は、Oracle ASM専用に使用される新しいオペレーティング・システム・グループです。OSASM
グループのメンバーはオペレーティング・システム認証を使用してAS
SYSASM
で接続が可能であり、Oracle ASMに対するすべてのアクセス権限を持ちます。
関連項目: Oracle ASMインスタンスへのアクセスの詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。 |
Oracle Database 11gリリース1(11.1)以上では、ソフトウェア・バージョンをまたいでOracle DatabaseとASMのディスク・グループの互換性設定を拡張できます。新しい互換性属性であるcompatible.rdbms
およびcompatible.asm
を使用して、データベース用のディスク・グループおよびASM用のディスク・グループを使用するために必要な最小ソフトウェア・バージョンをそれぞれ指定できます。
この機能により、Oracle Database 10gリリース1(10.1)、Oracle Database 10gリリース2(10.2)およびOracle Database 11gリリース1(11.1)のディスク・グループで構成される異機種環境が実現します。デフォルトでは、属性は両方とも10.1に設定されます。新機能を活用するには、これらの属性を拡張する必要があります。
関連項目: ASMディスク・グループの互換性の詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。 |
以前のリリースでは、ANALYZE...COMPUTE STATISTICS
およびANALYZE...ESTIMATE STATISTICS
句を使用して、索引での統計の収集を開始および停止できました。これらの句はサポートが終了しています。Oracle Database 11gリリース1(11.1)では、索引の作成中および再構築中に統計が自動的に収集されます。今回のバージョンでは、これらの句はサポートされていません。
Oracle Database 11gリリース1(11.1)へのアップグレード中に、DMSYS
スキーマ・オブジェクトは大きな制約もなく、ユーザー・スキーマに存在するユーザー・モデルとともにアップグレードされます。アップグレード完了時に、マイニングのメタデータはSYS
スキーマに移行されますが、ユーザー・モデルは新しいメタデータで継続して機能します。COMPATIBLE
初期化パラメータを11.0.0に設定した後、DMSYS
スキーマを削除することをお薦めします。また、DBAは、既存のユーザーが引き続きマイニング・モデルを作成できるように、新しいCREATE MINING MODEL
権限を付与する必要があります。
ユーザー・スキーマに存在するデータ・マイニング・モデルは、モデルのアップグレードの一環として自動的にアップグレードされますが、これはOracle Databaseのアップグレード処理で欠かすことのできない部分です。データ・マイニング・モデルのエクスポートおよびインポート・ユーティリティを、データ・マイニング・モデルのリリース間アップグレードのために使用することもできます。
データベースのダウングレード処理中に、データ・マイニングのコンポーネントは以前のリリースにダウングレードされます。ダウングレード処理では、パッケージ、タイプおよび表オブジェクトなどのDMSYS
オブジェクトが再ロードされる他、ユーザー・スキーマがある場合はダウングレードするユーザー・スキーマ内のモデル・オブジェクトが再ロードされます。データベースのアップグレードの一環として作成されたオブジェクトは、ダウングレード処理中にSYS
スキーマから削除されます。これは透過的な処理であり、ユーザーの介入は不要です。
アップグレード(およびCOMPATIBLE
初期化パラメータを11.0.0に設定してからDMSYS
スキーマの削除)を行った後に、Oracle Database 10gリリース1(10.1)からエクスポートされたモデルがすでに存在しないDMSYS
スキーマを参照しているために、そのモデルのインポート作業が多少複雑になる場合があります。このような場合の対策として、Oracle Database 10gリリース1(10.1)のデータベースに存在するDMSYS
のインタフェースを十分(かつ必要最小限)に模倣するスクリプトが用意されおり、インポート処理を続行できるようになっています。モデルが古くなると、通常ユーザーは古いモデルをインポートするよりもモデルを作成しなおすため、このような例は一般的には発生しません。
データ・マイニングはCOMPATIBLE
初期化パラメータで保護されていません。データベースをOracle Database 11gリリース1(11.1)にアップグレードしても、COMPATIBLE
が10.1.0
または10.2.0
に設定されている場合は、データ・マイニングの新機能および既存の機能はすべて動作します。Oracle Database 11gリリース1 (11.1)のみで使用できる新しいマイニング・モデルを作成し、その後Oracle Database 10gリリース2 (10.2)にデータベースをダウングレードする場合は、ダウングレードする前に新しいマイニング・モデルを削除する必要があります。
Oracle Database 11gリリース1(11.1)以上では、Oracle Data Mining Scoring Engineのインストールができなくなりました。
関連項目: Oracle Data Miningユーザー・ガイド |
Oracle Database 11gリリース1(11.1)では、ストアド・アウトラインの使用は非推奨となっています。かわりに、オプティマイザでSQL文の実行計画履歴をメンテナンスできるSQL計画管理機能を使用する必要があります。実行計画履歴を使用することにより、SQL文の計画変更を示している新しい計画をオプティマイザで検出することができます。オプティマイザは新しい計画を検出すると、新しい計画を保存し、パフォーマンス評価の対象としてマーキングし、現時点で優れた計画とみなされている古い計画を使用します。オプティマイザが新しい計画を使用するのは、新しい計画のほうが古い計画よりもパフォーマンスが優れていることが検証された場合のみです。SQL計画ベースラインは、優れたSQL文の計画とみなされている一連の計画で構成されます。
SQLプロファイルの移行
SQLプロファイルは、Oracle Database 10gリリース1(10.1)で導入されたSQL管理オブジェクトです。これらのオブジェクトは、SYSTEM
表領域内に定義されたディクショナリの一部に存在しました。SQLプロファイルが格納されるディクショナリ表は再構築され、SQL管理オブジェクトであるSQL計画ベースラインの記憶域としても使用できるようになりました。また、これらのディクショナリ表はSYSAUX
表領域内に定義されています。
Oracle Database 10gリリース1(10.1)からOracle Database 11gリリース1(11.1)にアップグレードすると、既存のSQLプロファイルはデータベース・アップグレード・スクリプトによってSYSTEM
表領域からSYSAUX
表領域に移動されます。したがって、Oracle Database 11gリリース1 (11.1)のデータベース・インスタンスが起動していてもSYSAUX
表領域がオフラインの場合は、オプティマイザでSQL管理オブジェクトにアクセスすることはできず、このことがSQLワークロードのパフォーマンスに影響する場合があります。一方、Oracle Database 10gリリース1(10.1)の場合、SQLプロファイルはSYSTEM
表領域に格納されていたため、SQLプロファイルが使用できないということはありませんでした。SYSAUX
表領域をオフラインにすると、SQLのパフォーマンスに影響が出る可能性があります。
下位互換性
Oracle Database 11gリリース1(11.1)では、下位互換性は次のようになっています。
SQL文のストアド・アウトラインがユーザー・セッションに対してアクティブな場合(たとえば、ストアド・アウトラインのカテゴリがユーザー・セッションのカテゴリと一致する場合)、文はストアド・アウトラインを使用してコンパイルされます。
SQL文に対してプライベート・アウトラインが使用可能な場合、文はプライベート・アウトラインを使用してコンパイルされます。
SQL文に対してストアド・アウトラインが使用可能な場合、SQL計画管理機能は使用されません。ただし、別のユーザー・セッションで同じSQL文がアクティブなストアド・アウトラインなしで使用されている場合は、SQL計画管理機能が使用されます。
関連項目:
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Oracle Database 11gリリース1(11.1)の新しいオプションであるバイナリのXML記憶域オプションは、COMPATIBLE
初期化パラメータを11.0.0
以上に設定した場合に使用できます。この記憶域オプションを使用して表または列を作成すると、互換性の最小要件が確認されます。最小要件は、バイナリのXMLドキュメントを直接XML DBリポジトリに格納しようとしたときにも確認されます。
データベースをOracle Database 11gリリース1(11.1)にアップグレードするときに、既存のユーザーXMLType表およびインスタンスの変更は一切行われません。アップグレードの完了後に、新しい記憶域形式を使用して既存の表を変更したり、その後で新しい表を作成することができます。XML DBの表XDB$CONFIG
およびXDB$ACL
と、対応するXMLスキーマは、データベースをOracle Database 11gリリース1 (11.1)にアップグレードするときに、バイナリのXML記憶域に移行されます。
Oracle Database 11gリリース1(11.1)のPL/SQLでは、互換性および相互運用性が変更されました。
Oracle Database 11g以上では、PL/SQLネイティブ・コンパイルにCコンパイラは不要です。したがって、現在、PL/SQLネイティブ・コンパイルをサポートする目的のみにCコンパイラを使用している場合は、データベースがインストールされているシステム(およびOracle RAC構成の各ノードから)からCコンパイラを削除できます。
さらに、PL/SQLネイティブ・コンパイルの出力はファイル・システム上で実現されなくなりました。そのため、Oracle Database 10gの初期化パラメータPLSQL_Native_Library_Dir
およびPLSQL_Native_Library_Subdir_Count
は、Oracle Database 11gでは重要でなくなりました。これらのパラメータが示すディレクトリ、およびディレクトリの内容は、アップグレード処理の完了時に削除しても問題ありません。
また、ORACLE_HOME
/plsql
ディレクトリにあるSPNC_COMMANDS
ファイルも不要です。
PL/SQLネイティブ・コンパイルの制御用として、初期化パラメータPLSQL_Code_Type
のみが残されています。したがって、DBAはPL/SQLネイティブ・コンパイルを考慮する必要はありません。
ネットワーク・ユーティリティ・パッケージに対するアクセス制御のデフォルトの動作が変更され、権限を持たないすべてのユーザーに対してネットワーク操作が許可されなくなりました。このデフォルトの動作はこれまでのバージョンのOracle Databaseとは異なる動作であり、互換性がなくなりました。
Oracle Database 11gリリース1(11.1)にアップグレードするデータベース・ユーザーの場合、PL/SQLネットワーク・ユーティリティ・パッケージに依存するアプリケーションは問題なくコンパイルできます。ただし、権限が必要なネットワーク操作を実行しようとすると、実行時にアプリケーションで例外が受信される可能性があります。ネットワーク操作の実行に必要な権限をワイルドカードを使用してPUBLIC
に付与することで互換性を回復することはできますが、データベース管理者はそれぞれの状況を個別に慎重に調査し、必要な場合にのみ権限を付与することを強くお薦めします。
注意: Oracle XML DBでは、アクセス制御リストを適切に維持する必要があります。まだシステムにOracle XML DBがインストールされていない場合は、アップグレード作業中にインストールされます。 |
PL/SQLの動作を制御するOracleパラメータの一部は、Oracle Database 11gリリース1(11.1)で動作が変更されました。
いずれかのパラメータ設定により、PL/SQLのデバッグ・コード生成モードが選択されている場合は、ネイティブ・コードが生成されません。
PLSQL_OPTIMIZE_LEVEL
<=
1
の場合は、デバッグ・コードが生成されます。
PLSQL_DEBUG
は非推奨です。
かわりに、PLSQL_OPTIMIZE_LEVEL
を使用する必要があります。PLSQL_DEBUG
を使用すると、非推奨であることを示す警告が発行されます。
PLSQL_OPTIMIZE_LEVEL
<=
1
の場合は、ネイティブ・コードが生成されません。
PLSQL_COMPILER_FLAGS
はサポート終了です。これは無効になっており、不正なオプションが設定されているという内容のエラー・メッセージが表示されます。
PLSQL_V2_COMPATIBILITY
は非推奨です。
Oracle XML DBでは、アクセス制御リスト(ACL)に基づくセキュリティ・メカニズムによって、Oracle XML DBのリソースへのアクセスが制限されます。ACLとは、アクセス制御エントリ(ACE)のリストで、指定されたリソースへのアクセス権を持っているユーザー、ロールおよびグループの特定は、このリストを基に行われます。
WebDAV ACLエントリの処理方法は変更されました。Oracle Database 11gリリース1(11.1)より前のリリースの場合、指定されたACL内で<deny
>エントリは常に<allow
>エントリより優先されました。Oracle Database 11gリリース1(11.1)以上では、ACEの順番が重要ではなくなりました。デフォルトの動作は、最初に出現した<allow
>エントリまたは<deny
>エントリによってのみ決定されます。つまり、プリンシパルに対する動作は最初のエントリで決定され、そのプリンシパルに設定された他のACEは効力を持ちません。
デフォルトの動作は、これまでのバージョンのOracle Databaseとは異なる動作に変更され、互換性は失われました。Oracle Database 11gリリース1(11.1)へのアップグレード時に、必要に応じて手動でACLを並べ替えることにより、前のリリースと同様に動作させることができます。つまり、<allow>
の後に<deny>
が続くACLがある場合は、<deny>
エントリが先に検出されるように、ACLを手動で並べ替える必要があります。
関連項目: ACLの評価ルールの詳細は、『Oracle XML DB開発者ガイド』を参照してください。 |
DBMS_OLAP
パッケージは非推奨でり、SQLアクセス・アドバイザに置き換えられています。
SQLアクセス・アドバイザ・リポジトリの内部構造が変更されたため、データベースをアップグレードすることにより、既存のSQLアクセス・アドバイザのタスクはすべて初期状態にリセットされます。つまり、アップグレード前に正常に完了していたタスクに対する推奨情報は、すべて削除されます。
アップグレード後に、既存のSQLアクセス・アドバイザのタスクを再実行することにより、推奨情報を回復できます。
Standard Edition(SE)の初期データベースをアップグレードする場合、次のコンポーネントに必要なオプションがStandard Editionにはインストールされていないため、次のコンポーネントはSEサーバーでアップグレードすることはできません。
OLAPカタログ
OLAPアナリティック・ワークスペース
Oracle OLAP API
アップグレード後、これらのコンポーネントをDBA_REGISTRY
ビューで参照すると、STATUS
の値がOPTION OFF
と表示され、関連付けられたコンポーネント・スキーマに無効なオブジェクトが含まれます。Database Upgrade Assistant(DBUA)には、これらのコンポーネントのアップグレードが失敗したことが表示されます。
UNIXシステムでは、セグメンテーション違反などの処理できないシグナルにより、アプリケーション・プログラムがクラッシュした場合、通常、コア・ダンプ・ファイルが生成されます。このファイルは、core
というデフォルト名で、アプリケーションを現在実行しているディレクトリに配置されます。
Oracle Database 11gリリース1(11.1)以上では、Oracle Call Interface(OCI)を使用するアプリケーションの場合は、core_process_id(process_idはクラッシュしたプロセスのUNIX ID)という名前のサブディレクトリを作成できるようになりました。この場合、core
ファイルは、アプリケーションが実行されている場所ではなく、そのサブディレクトリに配置されます。
sqlnet.oraにDIAG_SIGHANDLER_ENABLED = TRUE
を設定した場合も、生成されたcore
ファイルはcore_process_idという名前のディレクトリに配置されます。
Oracle Database 11gリリース1(11.1)以上では、UNDO_MANAGEMENT
パラメータのデフォルト値はAUTO
であるため、自動UNDO管理はデフォルトで有効になっています。パラメータをMANUAL
に設定し、必要に応じて自動UNDO管理をオフにする必要があります。
UNDO_MANAGEMENT
およびROLLBACK_SEGMENTS
初期化パラメータは、基本初期化パラメータから基本初期化パラメータ以外に変更になりました。正しく効率的に実行するためにほとんどのデータベースで必要とされているのは、基本パラメータの設定のみです。
関連項目: 『Oracle Databaseリファレンス』の「UNDO_MANAGEMENT 」 |
LOG_ARCHIVE_DEST_
n
パラメータを使用して、Oracle Standard Editionを実行するデータベース・インスタンス上にローカルのアーカイブ先を指定できます。以前は、このパラメータで指定できるのはOracle Enterprise Editionを実行するデータベース・インスタンス上のみでした。
このリリース用の移行ユーティリティでは、アップグレード前の環境における内部SGAのオーバーヘッドの値に基づいて、SHARED_POOL_SIZE
の新しい値を設定することが推奨されています。その値は、Oracle Database 11gリリース1(11.1)にアップグレードする前に次の問合せを実行することにより求めることができます。
SQL> SELECT SUM(BYTES) FROM v$sgastat WHERE pool = 'shared pool';
Oracle Database 11gリリース1(11.1)では、内部SGAのオーバーヘッド(共有プール内の起動時のオーバーヘッド)の正確な値は、新しいv$sgainfo
ビューにリストされます。
手動SGAモードのときに、SHARED_POOL_SIZE
の値が小さすぎて内部SGAのオーバーヘッドに対応できない場合は、起動中にORA-00371エラーが発生します。このエラーでは、SHARED_POOL_SIZE
パラメータの推奨値を含むエラー・メッセージが生成されます。自動共有メモリー管理を使用している場合、共有プールのサイズは自動調整されるため、ORA-00371エラーが発生することはありません。
Oracle Database 10gリリース1(10.1)より前のOracle Databaseリリースで共有プールに割り当てられたメモリー量は、SHARED_POOL_SIZE
初期化パラメータの値とインスタンスの起動中に計算された内部SGAのオーバーヘッドを合計した値と等しい量でした。このオーバーヘッドは、他のいくつかの初期化パラメータの値に基づいていました。
たとえば、SHARED_POOL_SIZE
パラメータが64MBで内部SGAのオーバーヘッドが12MBの場合、SGA内の共有プールのサイズは実際には76MBになります。ただし、SHARED_POOL_SIZE
パラメータの値は引き続き表示されます。
Oracle Database 10gリリース1(10.1)以上では、内部SGAのオーバーヘッドのサイズはSHARED_POOL_SIZE
パラメータの値に含まれます。起動時に共有プールに割り当てられるメモリー量は、SHARED_POOL_SIZE
パラメータの値と正確に一致します。したがってこのパラメータには、内部SGAのオーバーヘッドと共有プールとして実際に必要なサイズの両方を含んだ値を設定する必要があります。
内部SGAのオーバーヘッドが変更されていないと仮定すると、起動後に実際に共有プールとして使用できる値はSHARED_POOL_SIZE
パラメータの値より12MB少ない値、つまり52MBになります。共有プールの実際のメモリー量を64MBに維持するには、このパラメータを76MBに設定します。
Oracle Database 11gリリース1(11.1)以上では、JOB_QUEUE_PROCESSES
初期化パラメータは基本パラメータから基本パラメータ以外に変更になりました。正常かつ効率的に稼働するために、多くのデータベースで基本的なパラメータのみが設定されている必要があります。デフォルト値も、0
から1000
に変更されます。
Oracle Databaseによって、ジョブ・キューの設定が上書きされ、アップグレード・モード中にスケジューラ・ジョブが無効化されます。したがって、Oracle Databaseのアップグレード時にこの設定を無視できます。データベースがUPGRADEモードでオープンされると、ジョブが実行できないようにdbms_jobまたはスケジューラ化で内部的に強制されます。UPGRADEモードでJOB_QUEUE_PROCESSES
が何に設定されているかは問題ではありません。
関連項目: このパラメータの詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。 |
アラート・ログおよびトレース・ファイルの場所は、初期化パラメータBACKGROUND_DUMP_DEST
およびUSER_DUMP_DEST
によっては設定されなくなりました。これらは自動診断リポジトリ(ADR)に保持されるようになり、自動診断リポジトリの場所は初期化パラメータDIAGNOSTIC_DEST
によって設定されます。
関連項目: 診断情報の管理の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。 |
互換性および相互運用性に影響を与える変更とロールおよびパラメータに対する変更が、Oracle Database 10gリリース2 (10.2)で導入されました。Oracle Database 10gリリース2 (10.2)からOracle Database 11gリリース1 (11.1)にアップグレードする場合は、これらの変更によって発生する問題を回避するために実行できるアクションに関する情報を、次の各項で確認してください。
次の初期化パラメータはOracle Database 10gリリース2(10.2)で非推奨となりました。すべての非推奨の初期化パラメータのリストを表示するには、次のSQL文を発行します。
SQL> SELECT name FROM v$parameter WHERE isdeprecated = 'TRUE';
非推奨のパラメータは通常のパラメータと同様に動作しますが、非推奨のパラメータをパラメータ・ファイルに指定した場合、インスタンスの起動時に警告メッセージが表示されます。また、非推奨のすべてのパラメータは、インスタンスの起動時にアラート・ログに記録されます。
LOGMNR_MAX_PERSISTENT_SESSIONS
MAX_COMMIT_PROPAGATION_DELAY
REMOTE_ARCHIVE_ENABLE
SERIAL_REUSE
SQL_TRACE
次の初期化パラメータは、Oracle Database 10gリリース2 (10.2)でサポートが終了しました。
注意: サポートが終了した1つ以上の初期化パラメータを使用してデータベースを開始することはできますが、警告が返され、アラート・ログに記録されます。 |
ENQUEUE_RESOURCES
Oracle Database 10gリリース2(10.2)では、次の静的データ・ディクショナリ・ビューの列が削除されました。
静的データ・ディクショナリ・ビュー | 削除された列 |
---|---|
DBA_HIST_SQLBIND |
CHILD_NUMBER |
XMLファンクションで使用した場合の日付のフォーマットの動作が変更されています。XMLデータの日付とタイムスタンプは標準フォーマットで表記するようにXMLスキーマ標準で規定されています。Oracle Database 10gリリース2(10.2)より前のリリースでは、XMLデータ内の日付およびタイムスタンプはこの標準に準拠しておらず、生成されるXML内の日付およびタイムスタンプのフォーマットはデータベースのフォーマットによって決定されていました。
Oracle Database 10gリリース2(10.2)では、Oracle XML DBのXML生成ファンクションにより、XMLスキーマ標準に従って日付およびタイムスタンプが生成されます。
関連項目: 詳細は、『Oracle XML DB開発者ガイド』を参照してください。 |
Oracle Database 10gリリース2(10.2)より前のリリースからアップグレードした後は、CONNECT
ロールに含まれる権限はCREATE SESSION
のみになり、前のリリースでCONNECT
ロールに付与されていた他の権限は、アップグレード時に取り消されます。
Oracle Database 10gリリース2(10.2)に付属のタイムゾーン・ファイルはバージョン4からバージョン8に更新され、一部のタイムゾーン地域の変換ルールに対して行われた変更が反映されています。これらの変更は、TIMESTAMP WITH TIME ZONE
データ型の既存のデータに影響する場合があります。