1 One View Reportingについて

この章の内容は次のとおりです。

1.1 Oracle BI PublisherとJD Edwards EnterpriseOne

JD Edwards EnterpriseOneには、Oracle Business Intelligence(BI)Publisherとの統合が3種類用意されています。各統合は特定のレポート要件に対応しています。それは、顧客向けのドキュメントを生成すること、エンドユーザーが独自の業務レポートを作成できるようにすること、パワー・ユーザーおよびITスタッフが複雑なアドホック・レポートを作成できるようにすることです。この項では、各統合の概要とそれぞれの一般的な使用例を示します。

  • JD Edwards EnterpriseOne用の組込みBI Publisher: UBEの出力を顧客向けのドキュメントに変換します(Pixel Perfect)。JD Edwards EnterpriseOne用の組込みBI Publisherの一般的な使用例には、請求書、計算書、ピッキング・リスト、小切手などがあります。

    詳細は、『JD Edwards EnterpriseOne Tools BI Publisher for JD Edwards EnterpriseOne Guide』を参照してください。

  • One View Reporting: エンドユーザーがカスタマイズされたレポートの作成および実行をJD Edwards EnterpriseOneの対話型アプリケーションから直接行えるようにします。これらのレポートは一般に、ユーザーまたはロール固有であり、ユーザーが通常業務の一環として毎日、毎週のように定期的に実行するものです。この種のレポートでは、データ選択、順序、含めるデータ・カラム、およびデータ視覚化(チャート、テーブル、グラフ)に関して高度なカスタマイズが必要になります。これらのエンドユーザー・レポートを使用すると、日々の標準的なビジネス・プロセスの一部である業務データの可視性が高まるため、ユーザーの生産性が向上します。One View Reportingにより、ユーザーはJD Edwards EnterpriseOneアプリケーションの内部からデータ・フィールドを選択して特定のデータ選択を実行し、BI Publisher内のレイアウト機能を活用してレポート出力のフォーマットを定義することができます。一般的な使用例には、売上レポート、顧客レポート、仕入先レポート、従業員レポートなどがあります。このガイドでは、One View Reporting統合のインストール、構成および管理タスクと使用例について説明します。

  • アドホック・レポート: パワー・ユーザーやITスタッフが強力なクエリーを作成して、随時データを照会できるようにします。この種のレポートは、通常のビジネス・プロセスの範囲を外れた特殊なビジネス要件を満たすために作成するのが一般的であり、1、2回しか実行されません。一般に、これらのレポートではユーザーがSQL文を作成してデータを取得する必要があります(クエリー・ビルダー)。クエリーは通常、JD Edwards EnterpriseOneのデータ・スキーマを理解しているIT部門またはパワー・ユーザーが作成します。クエリーの作成後、IT部門またはパワー・ユーザーはデータ表示用のテーブルやチャートを含めたレポート・レイアウトを作成します(テンプレート・ビルダー)。この統合は、JD Edwards EnterpriseOne JDBCドライバとOracle BI Publisher Enterprise Editionを利用しています。この統合は一般に「対話型レポート」と呼ばれています。当然ながら、一般的な使用例はありません。

1.2 One View Reportingの概要

オラクル社のJD Edwards EnterpriseOne One View Reportingは、Oracle BI Publisherでデータにアクセスしてレポートを生成するための直観的で使いやすい方法を提供します。

既存のレポートを実行したり、テーブル、グラフおよびチャートを含む新しいレポートを作成して、PDFドキュメント、HTML、Excelスプレッドシートなどの様々な形式で表示したりすることが簡単にできます。また、多くのレポートでレポート・データを対話的にフィルタ処理してさらに分析を行うことが可能です。

One View Reportingでは、標準およびカスタムの検索/表示フォームを使用してレポート・データを検索できます。また、結合ビジネス・ビューを使用して複数のテーブルのレコードにアクセスするOne Viewアプリケーションも用意されています。One Viewの検索/表示フォームでは、商取引データとマスター・データがこれまでにない組合せで結び付けられます。このデータの組合せは、ユーザーが選択したBI Publisherレイアウトで表示可能です。データ・ブラウザを使用してレポート・データを検索し、One Viewレポートを生成することもできます。

One View Reportingには次のような利点があります。

  • ほとんどのレポート・ニーズに対するITサポートが不要になるため、レポートの開発および管理のコストが削減されます。

  • サードパーティのレポート製品が不要になるため、総保有コストが削減されます。

  • 簡単かつリアルタイムに情報にアクセスできるため、エンドユーザーの満足度が向上します。

  • 情報への低コストのアクセスが実現するため、ビジネス上の意思決定が可能になります。

  • データ表示やレポート生成に必要だったカスタム・アプリケーションが減少する、または不要になるため、システム・アップグレードのコストが削減されます。

1.3 One Viewレポートについて

One Viewレポートは次のコンポーネントで構成されます。

  • Business Intelligence(BI)Publisherデータ・モデル: BI Publisherサーバー上の<report name>.xdmzファイルです。

  • BI Publisherレポート: BI Publisherサーバー上の<report name>.xdozファイルです。

  • One Viewレポートのレポート定義: レポートのメタデータで、JD Edwards EnterpriseOne内にあります。

One Viewレポートは、エンドユーザーがJD Edwards EnterpriseOneクエリー・フォームの「One View」メニューから「レポートの追加」を選択すると作成されます。これらのOne Viewレポートは、Oracle BI Publisherサーバー上に格納されます。One Viewレポートのメタデータは、JD Edwards EnterpriseOneのテーブルにも格納されます。